これが僕らのありがとう

「なぁ、リンク。今日の朝食は何だ?」

珍しくソニックがキッチンに顔を覗かせた。何かと思えば口から出たのは今朝の献立を尋ねるものだった。

「今日は和風のにしようと思って。ご飯に焼き魚、それから味噌汁だよ。」

「ふーん。そうか。」

朝食担当のリンクが答えると、ソニックは少し考え込む。やがて、おもむろにキッチンに入ってきた。

「ソニック?」

リンクが不思議そうに尋ねると、ソニックはニヤリと笑った。

「今日は手伝うぜ。」

リンクはぽかんとしてソニックを見つめた。すると、ソニックは肩をすくめて付け加える。

「町の方は何ともなかったぜ。一回は走って来たんだ。たまにはお前みたいに、走った後、朝食作るのも悪くないと思ってさ。」

「えっ?…でも……いいの?」

「いっつも任せっぱなしじゃ悪いだろ?」

リンクの言葉に、ソニックは笑って返す。

「でも、オレも頼み事してるし………。」

なおもリンクは申し訳なさそうに言う。ソニックは包丁を手にしながら、もう一方の手をヒラヒラと降った。

「あんなの、どうってことないさ。それとも、俺は邪魔か?」

「そんなことないよ!むしろ、手伝ってくれた方がありがたい…………………あ。」

思わず出た本音にリンクは口に手を当てた。対してソニックは、にっこり笑う。

「なら、決まりだな。」

そして、野菜を切り始めた。





「………いつも、ありがとな。」


ふいにポツリと呟かれた言の葉。しかし、その言葉はすぐに消えてしまって。ソニックはリンクが聞き届けたかどうか、確証は持てなかった。しかし、それはしっかりと届いていて。


「こちらこそ。」


リンクは笑みをこぼすと、作業を再開した。ソニックは一瞬リンクを振り返るが、すぐにもとの体勢に戻る。彼も笑みを浮かべながら。




オレ/俺が頼んだことは毎日のことだけど。君/お前はちゃんとやってくれている。そのことに感謝を込めて、ありがとう。




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