短編の短編

「猫屋敷」さんでお題を見つけたので思うがままに書いてみました。
※リンク先がなくなっていたので、リンクは外しています。
出演はリンクとフォックスです
―――――――――――――

「参ったな………。完全に迷った。」

森の中を歩いていた狐、フォックスは立ち止まった。ちょっとリンクを探しに来ただけなのに、と一人ごちる。そして、何故ここに来たのか思いを馳せてみた。

…………………………………。

「あぁ……。」

“ロイ達がなんかやらかしそうな雰囲気だったから、逃げて来たんだったな………いや、確かにリンクに用はあったが。”

やれやれとため息を吐く。

“厄介事から逃れんとしたために、より困った状態に陥ったと。”

フォックスは遠い目をした。が、それで解決するはずもなく。

“…………。進まないことには始まらないな。現実逃避はここまでだ。”

フォックスは腹を括ると、再び歩き出した。












「……………ん?」

しばらく歩き続けていたが、思いがけない音を聞き取り、フォックスは足を止めた。ピンと耳を立て、神経を磨ぎ澄ませる。

“………空耳か?”

そう思い、肩をすくめた時。

「……………………!こっちだ!」

確かに自然の音ではないものを聞いた。フォックスはそちらの方に走りだした。


♪~~~~


走って行くと、微かだった音は大きくなっていった。


♪♪♪~~♪♪♪~~


更に走って行くと、ただの音ではなくメロディーだったことに気付く。


そして。


「…………リンク。」

たどり着いたその場所に、尋ね人はいた。

彼は切り株に腰を下ろし、目を瞑ってオカリナを吹いていた。が、フォックスの呟きを聞き取ったのだろう。彼は顔を上げた。音が止む。

「…………フォックス?」

フォックスは挨拶程度に手を上げて、リンクに歩み寄った。

「どうして……というか、よくここまで来れたね。ここ、迷いの森っていうんだけど。」

「お前のオカリナのおかげでな。……って会場の周りにそんな森があったのか。」

「なかなか入れる場所じゃないけどね。」

リンクは苦笑した。

「迷いの森、なぁ……分からなくなるわけだ。」

フォックスはため息を吐いた。リンクはクスリと笑みをこぼした。

「やっぱり始めは迷うよね。道を間違えたら入り口に戻っちゃうし。」

リンクが笑いながら言うとフォックスはぽかんと口を開けた。

「……俺は、同じところをぐるぐる回っていたのか。」

「たぶんそう。でも、運がよかったね。迷いの森から出られないと、スタルフォスになっちゃうから。」

「スタルフォス?」

フォックスが聞き返すと、リンクはさらりと答えた。

「骸骨の魔物だよ。」

それを聞いた途端、フォックスは盛大に顔をしかめた。

「……それは嫌だな。」

「まぁ、その前にオレが見つけると思うけど。」

至極真面目にリンクが言うと、ガクッとフォックスから力が抜けた。

「冗談じゃないのかよ……。」

「ホントだよ。実際、俺の知り合いも一人、なっちゃったらしいし。」

“………もう何も聞くまい……。あぁ、だが一つだけ。”

「なんでリンクはこんな危険な場所にいるんだよ?」

「ここ、オレにとっては庭みたいなもんだから。……さてと。」

リンクは立ち上がった。

「フォックスはどこに行きたかったの?」

「俺?………あ。」

“そういえば、用事があったから森に入ったんだったな。”

フォックスは本来の目的を思い出すと、二、三度頷いた。

「お前を探してたんだよ。コンのとこに行かないかってな。」

すると、リンクの顔が曇った。

「フォックスが迷ったのってオレのせいだったんだ……。でも、乱闘ならやらないよ?」

「ターゲットならやるだろ?……まぁ、時間的に苦しいが。」

「……そうだね。取り敢えず帰ろうか。いきなり入り口に出ない方がいいよね?」

「……あぁ、頼む。」

二人は歩き出した。

「それにしても……またロイなんかやってるの?」

「あぁ……。なんで分かった?」

「だって、フォックスがそうやってオレを誘うときっていつもそうだもん。」

「……………。」

フォックスは黙り込むしかなかった。





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