短編の短編

小ネタです。
ゼルダがどう闘うのか、というどうでもいい話。
出演はピーチとゼルダ、少しだけサムス。
―――――――――――――

「ねぇゼルダ。あなた、乱闘強いよね。何か秘訣があるの?」

お茶に誘われて、のほほんと紅茶を飲んでいたところに思いがけない言葉が降り掛かった。質問者であるピーチは興味津々といった具合に身を乗り出している。問い掛けられた本人、ゼルダはピタ、と動きを止めた。が、優雅にカップを机に戻した。

「……またピーチさん、突然どうしたのですか?」

それに、私よりもあなたの方が強いじゃないですかと付け加えながら、首を傾げた。

「いいえ、強いわ!この前だって、リンクに勝っていたじゃない。」

だらしないわねぇ、と言うピーチに、ゼルダは苦笑するしかない。

“…リンク、全然本気を出していないもの。”

そして、こっそりため息を吐いた。

「それに!ゼルダの闘い方って、とても綺麗じゃない。まるで舞っているかのように魅せるあの姿!!」

「そ、そうでしょうか……。」

ゼルダは控えめに否定するが、暴走したピーチを止める術はもうない。ピーチの中で物凄く自分が美化されているのを聞いて、次から闘いにくいとゼルダは思ってしまった。

「それで、ゼルダってどんな闘い方するのかなぁって思ったわけ。」

ピーチの熱い説得は続く。

「ですが…私の闘い方なら、普段の乱闘で見ていらっしゃるじゃないですか。」

「本人の口から聞きたいのよ。」

“これは……引きそうにありませんね………。”

なんとか丸め込めようとするが、上手くいきそうになく。ゼルダはため息を吐いた。

「わかりました。しかし、幻滅なさっても知りませんよ?」

「大丈夫大丈夫。それで?」

一口、紅茶を飲むと、ゼルダは話しはじめた。

「そうですね……闘いが始まったばかりの頃は、ひたすらアタックしますね。つまり接近戦を行います。魔法で強化して……振り払ったり、蹴ったり、というところでしょうか。そして、ある程度ダメージがたまったら、強い攻撃で足場の外に飛ばします。そこで、ディンの炎を炸裂させます。それはもう、何度も。相手の方が地上に戻って来れないように……場外になってしまうまで続けます。」

「そ、そう………。」

ピーチの顔は引きつっており、彼女は聞いた事を後悔し始めていた。ゼルダが柔らかい表情を浮かべながら淡々と述べる様は、はっきり言って怖かった。しかし、彼女の話はまだ続いている。

「また、飛び道具とかは出来るだけネールの愛で跳ね返しますね。攻撃も受けずに2倍返しできますから。あぁ、後、素早い相手だとシークの方が楽なときもあります。だからその時は始めからシークの姿で戦いますね。その方が速く動けるので。それと、私自身のダメージがたまってきた時もシークに変わります。シークの姿の方が飛ばされにくいのですよ。シークの時は、出来るだけ速く動いて……こう……なんと言いますか、相手の方を翻弄させるように行動します。ただ、シークの姿ですと、魔法が使えませんので力が弱くなるのが不便ですが。」

そこで、ピーチは首を傾げた。すると、それに気付いたゼルダはクスリと笑みをこぼした。

「シークに変身している間は、姿を保つことに魔力を費やさねばならないのです。」

「なるほどねぇ。」

ピーチは合点がいったように頷いた。

「私はこのように闘いますが………。」

「え?あ!うん。ありがとう。とても勉強になったわ。」

「それはよかったです。」

ピーチはなんとか笑みを浮かべると、もう冷めてしまった紅茶を飲み干した。

「ごめんなさい、ちょっと用事があるのを思い出したの。ここで失礼させてもらうわね。」

ゼルダがやんわりと頷くと、ピーチはそそくさとその場を後にした。ゼルダはカップを口に近づけた。

「あら。」

しかし、いつの間に飲みおわっていたのか、中は空だった。紅茶を淹れ直そうと席を立ち上がった。

「あら、ゼルダ。」

そこへサムスがやってきた。

「サムスさん。乱闘帰りですか?」

「えぇ、そうよ。あなたは?」

「私は先程までピーチさんとお話をしていまして……今から紅茶を淹れ直そうと思うのですが、よければサムスさんもご一緒にどうですか?」

「もらうわ。」

サムスは近くの椅子に腰を下ろした。






そして、先程と同じ話題になり、サムスが唖然としたのはまた別の話。







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