想いのペンダント

次の日の昼頃、いなかったメンバーが続々と帰ってきた。

「やぁ、みんな、久しぶり!」

ヨッシーが元気よく入ってきた。ピカチュウが

「おかえり!」

と手を振った。

「やぁ、みんな!」

ヨッシーに続いてピットが入ってくる。それにはオリマーが応えた。

「やぁ、ピットさん。修行はどうでしたかな?」

「まぁまぁだったよ。ところで、全然準備が進んでないようだけど?」

「準備?何のこと?」

ディディが聞き返した。

「え?今日はゼルダの誕生日じゃなかったの?慌てる必要なかったかなぁ…。」

ディディの言葉にヨッシーが疑問符を浮かべた。が、その言葉にその場にいたメンバーが

「誕生日!?」

と驚きの声を上げる。

「……おかしいなぁ。リンクに今日、絶対帰ってきて、って念を押されたんだけど。」

とピットは首を傾げた。すると、その声に答える者達がいた。

「僕/私 達もだよ。」

アイスクライマーだった。2人を見て、ネスが声を上げた。

「もう帰ってきたの!?珍しく早いね。」

「だって、なんかリンク、恐かったし。」

とポポ。

「そうそう。それこそ珍しく、ね。」

とナナ。
その時、サムスがやってきた。

「あー疲れた。あら、みんなお揃い?」

「結構揃ってることは揃ってんじゃねーの?」

ソニックが返した。

「なら手伝えよ……。」

サムスに続き、ファルコが文句を言いながらやってくる。カービィも一緒だ。

「何をしてるの?」

プリンが聞いた。

「会場づくり。」

カービィは短く答える。

「結構集まってるね。」

トレーナーが帰ってきた。

「みんな、出てこい!」

そしてポケモン達を出す。

「おかえりー!」

ピカチュウがトレーナーに駆け寄った。

「あ、ピカチュウ。元気だった?……ところで、リンクは?」

「……さぁ。」

ファルコンは肩をすくめた。





噂のリンクは自分の部屋でペンダントを完成させていた。

「…やっとできた…。」

リンクはペンダントをしげしげと眺める。

「いいできじゃないか。」

急にフォックスの声がした。リンクが見ると、隣からペンダントを眺めている。

「…フォックス、いつからそこに?」

「今さっきだ。鍵が開いていたから、入らせてもらった。」

「………ひどいなぁ。」

「あとは会場とゼルダの機嫌だけだな。」

「…それを言うなよ…。」

リンクは溜め息をついた。

「まぁ、なんとかなるさ。会場には誰かが連れてきてくれるから、それ渡せば分かるだろ?」

「…たぶんね。ゼルダ、まだ怒ってるの?」

「怒っているのとは違うと思うが……部屋からは出てきていない。」

その時、ドドドドド!と扉を激しく叩く音がした。

「だ、誰?というか何?」

リンクは動揺しながらもさっとペンダントだけは隠した。フォックスが扉を開ける。そこにいたのはカービィだった。

「大変大変!」

カービィは叫びながら部屋に入ってきた。

「どうした!?」

フォックスの顔が変わった。

「ゼルダが……ゼルダがどこにもいない!」

「……部屋にも?」

今度はリンクが表情を曇らせた。

「うん。」

「行ってみよう。」

フォックスは言うと、部屋を出ていった。すぐにカービィがついていく。

「……ゼルダ……。」

リンクは白い箱を取出し、そこにペンダントを入れた。そして、紙を一枚入れる。それから2人を追った。





フォックスとカービィはゼルダの部屋にたどり着いた。フォックスがノブに手をかける。

「開いている……。」

フォックスとカービィは部屋の中に入った。しかし、中には誰もいない。

「ほらね………。」

カービィが呟いた。フォックスは頷きながら、部屋をぐるっと見た。

「…荒らされた形跡はないな…。」

フォックスは部屋の分析をしている。するとリンクがやってきた。

「……嘘だろ。」

「何?」

リンクの呟きにカービィが聞いた。が、リンクはキョロキョロと部屋を見渡している。やがて、カービィの質問に答える気になったのか、言った。

「……あいつだ。間違いない。」

「え?」

「この件はオレに任せて。ちょっと出かけてくる。」

リンクはカービィが聞き返したのに答えず、部屋を飛び出していってしまった。

「……リンク……?」

カービィは唖然としながら、リンクの名を呼ぶ。フォックスはやれやれと首を振ると部屋を後にした。カービィもついていく。






フォックスとカービィが廊下を歩いているとマリオに会った。マリオは2人に話しかける。

「フォックス、カービィ…浮かない顔をしているが、どうしたんだ?」

「ゼルダがいなくて…。」

カービィがため息をつきながら答えた。マリオは目を丸くした。

「すると、ゼルダの誤解は解けてないのか?」

「あぁ…リンクがそれで悩んでいた。」

非難を少々込めて、フォックスが答える。だが、マリオには伝わらなかった。

「リンクも大変だな……俺も誤解してたから言えないが。」

「兄さん!大変だ!」

その時、ルイージが走ってきた。

「……今度は何だよ……。」

フォックスの声は誰にも聞こえなかった。何事もなかったようにマリオはルイージに聞く。

「どうしたんだ?」

ルイージはマリオに何かの紙を渡した。マリオがそれを読み上げる。

「えーと、なになに……『ピーチ姫は我輩が預かった。助けたければ、我輩の城まで来い。クッパより』………。」

「ど、どうするの?」

ルイージが不安げに聞いた。それにフォックスが答える。

「とりあえず……誰かが助けに行かないといけないのは明白だな。」

「ゼルダといい、ピーチといい、大変だね……。」

「………俺が行く。ルイージ、手伝ってくれ。」

カービィのことは完璧に無視し、マリオは言うなり歩きだした。

「えぇ~!僕もー!?」

と文句を言いつつも、ルイージはマリオについていった。

「……なんだかリンクが心配になってきた……。」

「そうだね……。」

フォックスはしばらく考えていたようだった。が、やがて、

「俺も行ってくる。」

と言い、歩きだす。

「え?でも、リンク、どこ行ったのか分かんないよ?」

フォックスは立ち止まった。そして、説明する。

「確かに、リンクは行き先を告げずに飛び出していった。だが、あいつは侵入者のことを知っているみたいだ。つまり、それは、あいつと同じ出身ということを意味するはずだろ。だったら…ハイラルに戻ったと考えるのが普通だろ!」

そういうと走り去っていった。

「みんなぁ……。」

カービィは何かしたいと思ったが、結局どうすることもできず、仕方なく部屋に戻った。





少し時は戻り……

リンクはフォックスの言ったとおり、ハイラル平原にいた。 レシラーレシラーレシラーシーラー♪ とオカリナの音が響き渡る。すると、栗毛色の馬―エポナがやってきた。

「久しぶり、エポナ。元気だった?」

そう声をかけながら少し撫でて、リンクはエポナに乗った。

「……アイツが……ガノンドロフが、戻って来たんだ。」

リンクが呟くと、エポナは知っているというようにリンクを振り返った。

「…知っていたんだね…。ごめん、オレ、全然知らなかった……。それに、ゼルダも攫われてしまったんだ…。だから、今度こそアイツを倒す。…じゃあ、エポナ、行こ おっと!」

リンクが言い切る前にエポナは走りだした。慌ててバランスをとる。エポナはそれを確認すると、スピードをあげた。

「エ、エポナ!?どうしたの?」

エポナは構わずに走り続けた。リンクはしばらく動揺していたが、やがて、エポナに任せることに決めた。エポナに揺られながら、周りの景色を眺める。

“…ハイラルはそんなに変わっていない……。ガノンドロフ、どういうつもりでゼルダを?それに…オレは確かにアイツの息の根を止めたと思ってたんだけど……。でも…絶対あれはガノンドロフだ。……勘だけど…間違えようがない。”





しばらくすると、エポナは止まった。伺うようにリンクを見上げる。そこは城下町の前だった。

「ここに何かあるの、エポナ?」

するとエポナはリンクから視線を外し、地面を軽く蹴った。

“…城下町の様子も変わってないと思うけど……きっとエポナは何か感じてるんだろうな。”

「よし、ちょっと行ってくるね。」

リンクはエポナからおりた。

「?……うわぁーー!」

が、リンクの降りた所に足場はなく、どこかに落ちていった。





その頃、ガノン城では、ガノンドロフとゼルダが話し合っていた。が、急にガノンドロフが立ち上がった。どこか遠くを眺めている。

“…何者かが入ってきたようだな………あの小僧か。早い到着だな。しかし…せっかくここまで上手くいっているのだ。違うことにしてもらおう。”

「どうかされました?」

ゼルダが、ガノンドロフの突然の行動を不審に思って聞いた。

「…誰か来たようだ。」

ガノンドロフは大儀そうに答えた。

「リンクですか?」

驚いて、ゼルダは返す。

「違うだろうな。…そういえば、ピーチが攫われたようだぞ。」

「……そちらに行ったのでしょうね。」

ゼルダは顔を曇らせた。

「一応見に行く。あれについては………。」

「はい……分かっています。」

ガノンドロフはいなくなった。





ドン、と激しい音をたててリンクは落ちた。

「いたた…ここ、どこだよ………。」

言いながら立ち上がる。そして、周りを観察した。

「…ハイラルにこんなとこあったかなぁ……。」

首をひねるが、考えるのを諦めて歩きだした。すると、ギィィィ……ガタン、ヒュッ…ヒュッ…っと何かが揺れだした。リンクはそれを一瞥する。

「大きな刃か…危ないなぁ……。」

軽く回避した。が、すぐにゴトゴトゴト……ガタン、ゴゴゴゴゴ…と不吉な音がし始めた。

「え……か、壁が動き出した?……とりあえず走るか………。」

リンクは暗闇の中へ走りだした。途中で

「キィー!」

とリーデットが出てきたが、

「邪魔だ!」

と一喝し、斬り付けて走り続けた。が…

「……行き止まり?」

一番奥まで来てしまったようだった。リンクは後ろを振り返る。

「まだ来るか……あれは!?」

リンクはまだ奥につづく、小さめの穴があるのを見つけた。迷わずにそこに入る。そこを抜けて、一息ついた。

「ふぅ……ここからどうしようかな…。」

一歩踏み出した。が、すぐに元の位置に戻った。

「…それはないよ……。」

リンクに向かって鋭い物が飛んできたのだった。

「…とりあえず、走り抜けるか。」

リンクは走りだした。前後左右からナイフやら針やらが飛んでくる。リンクは前後から来るものだけをよけた。急いで次の部屋に入り込む。

「今度は何かな?」

リンクはやけになっていた。ザコ軍団が登場する。

「…戦えばいいの?」

リンクは剣を抜くとかかっていった。





キン、シュッ…バン、シュン、……と2時間ほど戦い続けた。

「セイ、ヤッ、ハッ、ヤアアァァァ!……ハァ…ハァ…一体どれだけいるんだ…っく…うわぁ…。」

リンクは飛ばされた。が、その直後、バン!シュッ…バン、バン、バン…パキーン…と音がなり、全滅した。

「え……?あれ?」

リンクは周りを見渡した。

「……っと。」

フォックスがリンクの前に降り立った。

「……フォックス……?」

リンクは不思議なものを見るようにフォックスを見上げる。

「お前な、母体を倒さなきゃ意味ないだろ。」

「え…?母体?そんなの………」

「あれだよ。」

フォックスは機械の残骸を指差した。

「…あれは……?ハイラルにはあんな技術、ないはずだけど……。」

「そこは俺じゃわからないな。それより大丈夫か?」

「あ、うん。ありがとう。」

リンクはよたよたと起き上がった。フォックスは手を貸す。

「ところで…どうしてここに?」

「リンクのことが心配になってな。ハイラルにきてみれば、エポナに会った。お前が落ちたというところまではエポナが連れてきてくれたよ。」

「エポナ?彼女のこと、教えたっけ?」

フォックスは渋い顔をした。

「……俺はキツネだ。」

「え……あぁ。」

リンクは納得したように頷いた。

「さぁ、はやくゼルダを助けて帰ろう。」

フォックスは歩きだした。リンクも後を追う。

「…皆もう集まってるかな……。」

他の人に少し無理をして集まってもらった手前、遅れることになるであろう自分を思い、申し訳なく思うリンクだった。

「さぁな。少なくともピーチ、マリオ、ルイージはまだだろう。」

リンクは首を傾げる。

「何かあったの?」

「ピーチが攫われた。」

フォックスの淡々とした答に、リンクは目を見開いた。が、すぐに立ち直る。

「そっか……。でも、マリオ達がいるから、大丈夫だよな。」

リンクは走りだした。フォックスも走りだす。





リンク、フォックスはガノン城前についた。

「よく来たな、小僧!」

そこにガノンドロフは立っていた。

「? 一人じゃないのか。まぁ、狐がついても変わらんだろうがな。」

ガノンドロフはフォックスを馬鹿にした。

「…なんだ」

フォックスが言い返しかけたのをリンクが手で制した。

「フォックス、ガノンドロフはオレがなんとかする。だから、ゼルダを頼む。」

フォックスは正直、敵にバカにされて黙っていたくはないが、ここはリンクに従うことにした。フォックスは頷く。

「…だが、お前は?」

「オレは大丈夫。ゼルダを連れて先に戻っていてくれ。」

「……分かった。」

フォックスは走りかけた。

「待って。」

リンクは箱を取り出した。

「これを持っていってほしい。」

リンクは箱を渡した。フォックスはうなずき、城に向かって走り出す。

「行かせん!」

ガノンドロフはフォックスに襲い掛かった。しかし、シャキン!とリンクがガノンドロフの攻撃を受け止めた。

「ガノンドロフ!おまえの相手はオレだ!」

フォックスは行ってしまった。

“チッ。取り逃がしたか。まぁいい。初めから狙いはこいつだからな!”

ガノンドロフはリンクを振り払った。リンクは軽く吹っ飛ぶ。

「く………。」

が、リンクはさっと体制を立て直した。

「フッ、ハッ、ハッ、セイヤッ!」

リンクは剣でガノンドロフを攻撃した。ガノンドロフはすべて避ける。

「ハァァァァア!」

ガノンドロフはパンチを繰り出す。リンクはまともに喰らった。

「うぅぅ……。」

ドン。リンクは飛ばされて、倒れた。しかし、すぐに起き上がる。





リンクがガノンドロフと戦っている間に、フォックスはガノン城の最上階までやってきた。

「……やっと着いた。」

フォックスは目の前にある大きな扉を見上げた。

“とりあえず、ここまでに何のトラップもなかったことに感謝だな。さて……どうする?”

フォックスは取手をまわしてみた。

“…簡単に開くわけないか。強行手段しかないな…。”

フォックスは数歩下がった。銃を取り出し、撃つ。そして、取手をいじった。

“……何事かしら?”

ゼルダは音に驚き、扉の方をみた。

「ハァ!」

そのとき、フォックスが扉を蹴った。バン!と、扉は開いた。

「…やっと開いた。」

フォックスは中に入る。ゼルダはフォックスをみとめた。

「……フォックス……あなたでしたか。」

フォックスもゼルダをみとめた。だが、その直後眉を顰めた。

「…攫われた割には無傷のようだな。」

「攫われた?私が?」

フォックスは目を瞬かせた。

「違うのか?お前がいなくなって、リンクがガノンドロフだといったもんだから、てっきり…。」

“リンクが……?私のことは知っていたのね。それなのに……!”

ゼルダは顔をしかめる。沸々と怒りが湧き上がってきた。

「攫われたのでなければ、どうしてここにいる?まさか…自らガノンドロフに協力したなんてことは…」

「そうです。」

ゼルダはフォックスが言うのを遮っていった。

「!なんでだ!?ゼルダ、リンクの事がそんなに信用できないのか?今だってあいつは…」

「もう黙ってください!」

ゼルダは叫んだ。

「断る!お前の……」

カーン……カーン……カーン……。いきなり鐘が鳴った。

「なんだ……?」

ゼルダが部屋の中央に移動した。

「ゼルダ!何をする気だ!」

「私のそばに近づかないでください。……と言っても無駄なようですね……ヤッ!」

バン!ゼルダがディンの炎でフォックスを攻撃した。

「なっ……。」

フォックスは部屋の外に飛ばされた。ゼルダは神経を集中させる。

「ハァッ!」

ゼルダが両手を上げた。すると、光がどこかへゼルダの手から放出された。

「おい!どうした!?」

フォックスが部屋に戻ると、ゼルダは倒れていた。フォックスは駆け寄る。

「……気絶している…。」

ガタガタガタ……ヒュー……バリン! フォックスとゼルダの近くに天井が落ちてきた。

“城が崩壊しかけている……?とりあえず脱出だ!”

フォックスはゼルダを抱えるとその場を後にした。





「ハァ…ハァ…ハァ…。」

フォックスはハイラル入口まで帰ってきた。日は暮れかかっている。

“ハイラル城から結構遠いな…。”

フォックスはこんなことを思ったが、実は彼、迷っていたりする。

「フォックス!」

ファルコが走ってきた。

「遅かったな。あいつらはもう帰ってきてるぜ。」

「……早いな。」

フォックスは上の空だった。

「早いなってお前…もうすぐパーティー、始まるぞ。……そういや、リンクはどこだ?」

「…やっぱりまだか。」

フォックスの目が変わった。

「やっぱり?……何かあったのか?」

「ガノンドロフとぶつかった。ゼルダを頼む!」

フォックスはそう言うなり、走り去った。

「あ!オイ!フォックス!……たっく……大体、ガノンドロフって誰だよ…。」

ぶつぶつ文句をいいながら、ファルコはゼルダを部屋へ連れていった。





時は少し戻り…

ガノン城前では、リンクとガノンドロフが激しくやりあっていた。

「ハァ…ハァ…ハァ…。」

リンクは少しよろめいた。

「どうした小僧!?この程度で終わりか!?」

「くっ……まだまだぁ!」

リンクは再びガノンドロフにかかっていく。ガノンドロフはそれを容易くよけた。

「俺様は情けないよなぁ?お前みたいな奴に負けた事があるなどとは!」

リンクはキッとガノンドロフを睨んだ。

「…そのことで気になっていたんだ。お前はどうして生きている!?」

「ハッ。馬鹿な奴め。やはりあれで俺様を殺した気でいたか。勇者リンク!お前は甘い!」

ガノンドロフはリンクを突き飛ばした。

「くっ……!」

“そろそろか……。”

ガノンドロフは何かのスイッチを押した。カーン……カーン……カーン……。どこかで鐘が鳴った。

“…鐘?どこで鳴ってるんだろう…。”

リンクは飛び起きると三連続で切り、回転切りを繰り出した。そして、ガノンドロフの前に着地した。

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」

すると、リンクは何かの光に包みこまれた。

“なんだ……コレ……苦……くるしい……。”

しばらくすると光が無くなった。リンクは倒れる。

「……今回は俺様の勝ちだ、小僧。」

ガノンドロフはリンクの頭をもたげ、何かを飲ませた。

「恨むのなら、姫君を恨むんだな。フフフ……ハッハッハ!」

ガノンドロフは意地悪く笑った。

「俺様を陥れた罪、その身をもって償うがいい!」

「ハァ…ハァ…ハァ…うぐっ…」

リンクはその場に崩れこむ。

“意識が……遠のく…ダメだ、こんなところで、負けちゃ、”

リンクは気を失ってしまった。





次にリンクの目に映ったのはハイラル平原だった。

“あれ…オレ、なんでこんなところに……あれ、動いて……っ!!”

リンクは暴れ、地面に転がり落ちた。リンクはガノンドロフに担がれていたのだった。

「…っくぅ……。」

「フン…もう目が覚めたか。」

ガノンドロフは別段驚いた風でもなく、リンクを見下ろした。

「気分はどうだ?ん?」

「お前なんかに、気遣われるいわれは、っがぁ!!」

ガノンドロフはリンクを踏みつけた。

「口を慎め、小僧。」

「リンク!……テイヤッ!」

そこへフォックスが現れた。ガノンドロフを突き飛ばす。そしてリンクを支えた。

「大丈夫か!?しっかりしろ!」

「うぅ……フォ……フォックス…?……ゼルダは?」

“…お前って奴は…自分の事が先だろ…?”

相変わらずなリンクに、フォックスは思わず苦笑する。

「大丈夫だ。先に戻っている。あいつの心配はいらない。」

「そ……うか……。よかっ……」

「さっきの狐か。戻ってきたか。」

「あぁ。戻らせてもらったぜ!」

リンクが起き上った。フォックスはそれを支える。

「そうか…それはご苦労だったな。」

リンクが弱々しくフォックスの手を振り払った。

「ごめん。オレ、戦わなきゃ……。」

やはり弱々しく笑う。

「……俺も手伝おう。」

2人は戦闘体勢をとった。

「フハハハハ。受けてやりたいが、今回は観戦させてもらうとしよう。………………………………殺れ。」

「一体何を……」

「フォックス……。」

リンクはフォックスを遮って、弱々しく呼んだ。フォックスはリンクを見る。リンクは何かに耐えるように苦しそうな顔をしている。

“体が…勝手に………!!逃げろ、フォックス!”

リンクは突然、フォックスに襲い掛かった。

「なっ!……リンク、どうした!?」

フォックスはさっと攻撃を避ける。

「セイ、ヤッ、ハッ、ヤァァァァ!」

リンクの攻撃は続く。

「クッ……チィ。」

フォックスは必死で避けた。

「ヤァ!」

「ハァ!」

リンクの攻撃をフォックスは腕で受け止めた。そこから少量の血が出る。

「一体どうなってるんだ……!」

フォックスが叫んだ。リンクの唇だけが動く。苦痛そうな顔をしている。フォックスを振り切るとジャンプ斬りを繰り出した。フォックスは慌てて回避した。唇をギュッと噛む。

「…すまん、リンク…。」

フォックスはそう言うとその場を去った。

「……ハァ…ハァ…ハァ………。」

リンクの体が解放された。力が抜け、その場に跪く。

「見事だったぞ、小僧!」

ガノンドロフが嘲笑した。

“何をしたんだ……ガノンドロフ!”

リンクの思いは、しかし、声にはならなかった。

「さぁ、行こうか………………来い。」

ガノンドロフは歩きだした。

“体が……また………!やめてくれ……………!」

リンクはガノンドロフについていく。




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