想いのペンダント
次の日の昼頃、いなかったメンバーが続々と帰ってきた。
「やぁ、みんな、久しぶり!」
ヨッシーが元気よく入ってきた。ピカチュウが
「おかえり!」
と手を振った。
「やぁ、みんな!」
ヨッシーに続いてピットが入ってくる。それにはオリマーが応えた。
「やぁ、ピットさん。修行はどうでしたかな?」
「まぁまぁだったよ。ところで、全然準備が進んでないようだけど?」
「準備?何のこと?」
ディディが聞き返した。
「え?今日はゼルダの誕生日じゃなかったの?慌てる必要なかったかなぁ…。」
ディディの言葉にヨッシーが疑問符を浮かべた。が、その言葉にその場にいたメンバーが
「誕生日!?」
と驚きの声を上げる。
「……おかしいなぁ。リンクに今日、絶対帰ってきて、って念を押されたんだけど。」
とピットは首を傾げた。すると、その声に答える者達がいた。
「僕/私 達もだよ。」
アイスクライマーだった。2人を見て、ネスが声を上げた。
「もう帰ってきたの!?珍しく早いね。」
「だって、なんかリンク、恐かったし。」
とポポ。
「そうそう。それこそ珍しく、ね。」
とナナ。
その時、サムスがやってきた。
「あー疲れた。あら、みんなお揃い?」
「結構揃ってることは揃ってんじゃねーの?」
ソニックが返した。
「なら手伝えよ……。」
サムスに続き、ファルコが文句を言いながらやってくる。カービィも一緒だ。
「何をしてるの?」
プリンが聞いた。
「会場づくり。」
カービィは短く答える。
「結構集まってるね。」
トレーナーが帰ってきた。
「みんな、出てこい!」
そしてポケモン達を出す。
「おかえりー!」
ピカチュウがトレーナーに駆け寄った。
「あ、ピカチュウ。元気だった?……ところで、リンクは?」
「……さぁ。」
ファルコンは肩をすくめた。
噂のリンクは自分の部屋でペンダントを完成させていた。
「…やっとできた…。」
リンクはペンダントをしげしげと眺める。
「いいできじゃないか。」
急にフォックスの声がした。リンクが見ると、隣からペンダントを眺めている。
「…フォックス、いつからそこに?」
「今さっきだ。鍵が開いていたから、入らせてもらった。」
「………ひどいなぁ。」
「あとは会場とゼルダの機嫌だけだな。」
「…それを言うなよ…。」
リンクは溜め息をついた。
「まぁ、なんとかなるさ。会場には誰かが連れてきてくれるから、それ渡せば分かるだろ?」
「…たぶんね。ゼルダ、まだ怒ってるの?」
「怒っているのとは違うと思うが……部屋からは出てきていない。」
その時、ドドドドド!と扉を激しく叩く音がした。
「だ、誰?というか何?」
リンクは動揺しながらもさっとペンダントだけは隠した。フォックスが扉を開ける。そこにいたのはカービィだった。
「大変大変!」
カービィは叫びながら部屋に入ってきた。
「どうした!?」
フォックスの顔が変わった。
「ゼルダが……ゼルダがどこにもいない!」
「……部屋にも?」
今度はリンクが表情を曇らせた。
「うん。」
「行ってみよう。」
フォックスは言うと、部屋を出ていった。すぐにカービィがついていく。
「……ゼルダ……。」
リンクは白い箱を取出し、そこにペンダントを入れた。そして、紙を一枚入れる。それから2人を追った。
フォックスとカービィはゼルダの部屋にたどり着いた。フォックスがノブに手をかける。
「開いている……。」
フォックスとカービィは部屋の中に入った。しかし、中には誰もいない。
「ほらね………。」
カービィが呟いた。フォックスは頷きながら、部屋をぐるっと見た。
「…荒らされた形跡はないな…。」
フォックスは部屋の分析をしている。するとリンクがやってきた。
「……嘘だろ。」
「何?」
リンクの呟きにカービィが聞いた。が、リンクはキョロキョロと部屋を見渡している。やがて、カービィの質問に答える気になったのか、言った。
「……あいつだ。間違いない。」
「え?」
「この件はオレに任せて。ちょっと出かけてくる。」
リンクはカービィが聞き返したのに答えず、部屋を飛び出していってしまった。
「……リンク……?」
カービィは唖然としながら、リンクの名を呼ぶ。フォックスはやれやれと首を振ると部屋を後にした。カービィもついていく。
フォックスとカービィが廊下を歩いているとマリオに会った。マリオは2人に話しかける。
「フォックス、カービィ…浮かない顔をしているが、どうしたんだ?」
「ゼルダがいなくて…。」
カービィがため息をつきながら答えた。マリオは目を丸くした。
「すると、ゼルダの誤解は解けてないのか?」
「あぁ…リンクがそれで悩んでいた。」
非難を少々込めて、フォックスが答える。だが、マリオには伝わらなかった。
「リンクも大変だな……俺も誤解してたから言えないが。」
「兄さん!大変だ!」
その時、ルイージが走ってきた。
「……今度は何だよ……。」
フォックスの声は誰にも聞こえなかった。何事もなかったようにマリオはルイージに聞く。
「どうしたんだ?」
ルイージはマリオに何かの紙を渡した。マリオがそれを読み上げる。
「えーと、なになに……『ピーチ姫は我輩が預かった。助けたければ、我輩の城まで来い。クッパより』………。」
「ど、どうするの?」
ルイージが不安げに聞いた。それにフォックスが答える。
「とりあえず……誰かが助けに行かないといけないのは明白だな。」
「ゼルダといい、ピーチといい、大変だね……。」
「………俺が行く。ルイージ、手伝ってくれ。」
カービィのことは完璧に無視し、マリオは言うなり歩きだした。
「えぇ~!僕もー!?」
と文句を言いつつも、ルイージはマリオについていった。
「……なんだかリンクが心配になってきた……。」
「そうだね……。」
フォックスはしばらく考えていたようだった。が、やがて、
「俺も行ってくる。」
と言い、歩きだす。
「え?でも、リンク、どこ行ったのか分かんないよ?」
フォックスは立ち止まった。そして、説明する。
「確かに、リンクは行き先を告げずに飛び出していった。だが、あいつは侵入者のことを知っているみたいだ。つまり、それは、あいつと同じ出身ということを意味するはずだろ。だったら…ハイラルに戻ったと考えるのが普通だろ!」
そういうと走り去っていった。
「みんなぁ……。」
カービィは何かしたいと思ったが、結局どうすることもできず、仕方なく部屋に戻った。
少し時は戻り……
リンクはフォックスの言ったとおり、ハイラル平原にいた。 レシラーレシラーレシラーシーラー♪ とオカリナの音が響き渡る。すると、栗毛色の馬―エポナがやってきた。
「久しぶり、エポナ。元気だった?」
そう声をかけながら少し撫でて、リンクはエポナに乗った。
「……アイツが……ガノンドロフが、戻って来たんだ。」
リンクが呟くと、エポナは知っているというようにリンクを振り返った。
「…知っていたんだね…。ごめん、オレ、全然知らなかった……。それに、ゼルダも攫われてしまったんだ…。だから、今度こそアイツを倒す。…じゃあ、エポナ、行こ おっと!」
リンクが言い切る前にエポナは走りだした。慌ててバランスをとる。エポナはそれを確認すると、スピードをあげた。
「エ、エポナ!?どうしたの?」
エポナは構わずに走り続けた。リンクはしばらく動揺していたが、やがて、エポナに任せることに決めた。エポナに揺られながら、周りの景色を眺める。
“…ハイラルはそんなに変わっていない……。ガノンドロフ、どういうつもりでゼルダを?それに…オレは確かにアイツの息の根を止めたと思ってたんだけど……。でも…絶対あれはガノンドロフだ。……勘だけど…間違えようがない。”
しばらくすると、エポナは止まった。伺うようにリンクを見上げる。そこは城下町の前だった。
「ここに何かあるの、エポナ?」
するとエポナはリンクから視線を外し、地面を軽く蹴った。
“…城下町の様子も変わってないと思うけど……きっとエポナは何か感じてるんだろうな。”
「よし、ちょっと行ってくるね。」
リンクはエポナからおりた。
「?……うわぁーー!」
が、リンクの降りた所に足場はなく、どこかに落ちていった。
その頃、ガノン城では、ガノンドロフとゼルダが話し合っていた。が、急にガノンドロフが立ち上がった。どこか遠くを眺めている。
“…何者かが入ってきたようだな………あの小僧か。早い到着だな。しかし…せっかくここまで上手くいっているのだ。違うことにしてもらおう。”
「どうかされました?」
ゼルダが、ガノンドロフの突然の行動を不審に思って聞いた。
「…誰か来たようだ。」
ガノンドロフは大儀そうに答えた。
「リンクですか?」
驚いて、ゼルダは返す。
「違うだろうな。…そういえば、ピーチが攫われたようだぞ。」
「……そちらに行ったのでしょうね。」
ゼルダは顔を曇らせた。
「一応見に行く。あれについては………。」
「はい……分かっています。」
ガノンドロフはいなくなった。
ドン、と激しい音をたててリンクは落ちた。
「いたた…ここ、どこだよ………。」
言いながら立ち上がる。そして、周りを観察した。
「…ハイラルにこんなとこあったかなぁ……。」
首をひねるが、考えるのを諦めて歩きだした。すると、ギィィィ……ガタン、ヒュッ…ヒュッ…っと何かが揺れだした。リンクはそれを一瞥する。
「大きな刃か…危ないなぁ……。」
軽く回避した。が、すぐにゴトゴトゴト……ガタン、ゴゴゴゴゴ…と不吉な音がし始めた。
「え……か、壁が動き出した?……とりあえず走るか………。」
リンクは暗闇の中へ走りだした。途中で
「キィー!」
とリーデットが出てきたが、
「邪魔だ!」
と一喝し、斬り付けて走り続けた。が…
「……行き止まり?」
一番奥まで来てしまったようだった。リンクは後ろを振り返る。
「まだ来るか……あれは!?」
リンクはまだ奥につづく、小さめの穴があるのを見つけた。迷わずにそこに入る。そこを抜けて、一息ついた。
「ふぅ……ここからどうしようかな…。」
一歩踏み出した。が、すぐに元の位置に戻った。
「…それはないよ……。」
リンクに向かって鋭い物が飛んできたのだった。
「…とりあえず、走り抜けるか。」
リンクは走りだした。前後左右からナイフやら針やらが飛んでくる。リンクは前後から来るものだけをよけた。急いで次の部屋に入り込む。
「今度は何かな?」
リンクはやけになっていた。ザコ軍団が登場する。
「…戦えばいいの?」
リンクは剣を抜くとかかっていった。
キン、シュッ…バン、シュン、……と2時間ほど戦い続けた。
「セイ、ヤッ、ハッ、ヤアアァァァ!……ハァ…ハァ…一体どれだけいるんだ…っく…うわぁ…。」
リンクは飛ばされた。が、その直後、バン!シュッ…バン、バン、バン…パキーン…と音がなり、全滅した。
「え……?あれ?」
リンクは周りを見渡した。
「……っと。」
フォックスがリンクの前に降り立った。
「……フォックス……?」
リンクは不思議なものを見るようにフォックスを見上げる。
「お前な、母体を倒さなきゃ意味ないだろ。」
「え…?母体?そんなの………」
「あれだよ。」
フォックスは機械の残骸を指差した。
「…あれは……?ハイラルにはあんな技術、ないはずだけど……。」
「そこは俺じゃわからないな。それより大丈夫か?」
「あ、うん。ありがとう。」
リンクはよたよたと起き上がった。フォックスは手を貸す。
「ところで…どうしてここに?」
「リンクのことが心配になってな。ハイラルにきてみれば、エポナに会った。お前が落ちたというところまではエポナが連れてきてくれたよ。」
「エポナ?彼女のこと、教えたっけ?」
フォックスは渋い顔をした。
「……俺はキツネだ。」
「え……あぁ。」
リンクは納得したように頷いた。
「さぁ、はやくゼルダを助けて帰ろう。」
フォックスは歩きだした。リンクも後を追う。
「…皆もう集まってるかな……。」
他の人に少し無理をして集まってもらった手前、遅れることになるであろう自分を思い、申し訳なく思うリンクだった。
「さぁな。少なくともピーチ、マリオ、ルイージはまだだろう。」
リンクは首を傾げる。
「何かあったの?」
「ピーチが攫われた。」
フォックスの淡々とした答に、リンクは目を見開いた。が、すぐに立ち直る。
「そっか……。でも、マリオ達がいるから、大丈夫だよな。」
リンクは走りだした。フォックスも走りだす。
リンク、フォックスはガノン城前についた。
「よく来たな、小僧!」
そこにガノンドロフは立っていた。
「? 一人じゃないのか。まぁ、狐がついても変わらんだろうがな。」
ガノンドロフはフォックスを馬鹿にした。
「…なんだ」
フォックスが言い返しかけたのをリンクが手で制した。
「フォックス、ガノンドロフはオレがなんとかする。だから、ゼルダを頼む。」
フォックスは正直、敵にバカにされて黙っていたくはないが、ここはリンクに従うことにした。フォックスは頷く。
「…だが、お前は?」
「オレは大丈夫。ゼルダを連れて先に戻っていてくれ。」
「……分かった。」
フォックスは走りかけた。
「待って。」
リンクは箱を取り出した。
「これを持っていってほしい。」
リンクは箱を渡した。フォックスはうなずき、城に向かって走り出す。
「行かせん!」
ガノンドロフはフォックスに襲い掛かった。しかし、シャキン!とリンクがガノンドロフの攻撃を受け止めた。
「ガノンドロフ!おまえの相手はオレだ!」
フォックスは行ってしまった。
“チッ。取り逃がしたか。まぁいい。初めから狙いはこいつだからな!”
ガノンドロフはリンクを振り払った。リンクは軽く吹っ飛ぶ。
「く………。」
が、リンクはさっと体制を立て直した。
「フッ、ハッ、ハッ、セイヤッ!」
リンクは剣でガノンドロフを攻撃した。ガノンドロフはすべて避ける。
「ハァァァァア!」
ガノンドロフはパンチを繰り出す。リンクはまともに喰らった。
「うぅぅ……。」
ドン。リンクは飛ばされて、倒れた。しかし、すぐに起き上がる。
リンクがガノンドロフと戦っている間に、フォックスはガノン城の最上階までやってきた。
「……やっと着いた。」
フォックスは目の前にある大きな扉を見上げた。
“とりあえず、ここまでに何のトラップもなかったことに感謝だな。さて……どうする?”
フォックスは取手をまわしてみた。
“…簡単に開くわけないか。強行手段しかないな…。”
フォックスは数歩下がった。銃を取り出し、撃つ。そして、取手をいじった。
“……何事かしら?”
ゼルダは音に驚き、扉の方をみた。
「ハァ!」
そのとき、フォックスが扉を蹴った。バン!と、扉は開いた。
「…やっと開いた。」
フォックスは中に入る。ゼルダはフォックスをみとめた。
「……フォックス……あなたでしたか。」
フォックスもゼルダをみとめた。だが、その直後眉を顰めた。
「…攫われた割には無傷のようだな。」
「攫われた?私が?」
フォックスは目を瞬かせた。
「違うのか?お前がいなくなって、リンクがガノンドロフだといったもんだから、てっきり…。」
“リンクが……?私のことは知っていたのね。それなのに……!”
ゼルダは顔をしかめる。沸々と怒りが湧き上がってきた。
「攫われたのでなければ、どうしてここにいる?まさか…自らガノンドロフに協力したなんてことは…」
「そうです。」
ゼルダはフォックスが言うのを遮っていった。
「!なんでだ!?ゼルダ、リンクの事がそんなに信用できないのか?今だってあいつは…」
「もう黙ってください!」
ゼルダは叫んだ。
「断る!お前の……」
カーン……カーン……カーン……。いきなり鐘が鳴った。
「なんだ……?」
ゼルダが部屋の中央に移動した。
「ゼルダ!何をする気だ!」
「私のそばに近づかないでください。……と言っても無駄なようですね……ヤッ!」
バン!ゼルダがディンの炎でフォックスを攻撃した。
「なっ……。」
フォックスは部屋の外に飛ばされた。ゼルダは神経を集中させる。
「ハァッ!」
ゼルダが両手を上げた。すると、光がどこかへゼルダの手から放出された。
「おい!どうした!?」
フォックスが部屋に戻ると、ゼルダは倒れていた。フォックスは駆け寄る。
「……気絶している…。」
ガタガタガタ……ヒュー……バリン! フォックスとゼルダの近くに天井が落ちてきた。
“城が崩壊しかけている……?とりあえず脱出だ!”
フォックスはゼルダを抱えるとその場を後にした。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
フォックスはハイラル入口まで帰ってきた。日は暮れかかっている。
“ハイラル城から結構遠いな…。”
フォックスはこんなことを思ったが、実は彼、迷っていたりする。
「フォックス!」
ファルコが走ってきた。
「遅かったな。あいつらはもう帰ってきてるぜ。」
「……早いな。」
フォックスは上の空だった。
「早いなってお前…もうすぐパーティー、始まるぞ。……そういや、リンクはどこだ?」
「…やっぱりまだか。」
フォックスの目が変わった。
「やっぱり?……何かあったのか?」
「ガノンドロフとぶつかった。ゼルダを頼む!」
フォックスはそう言うなり、走り去った。
「あ!オイ!フォックス!……たっく……大体、ガノンドロフって誰だよ…。」
ぶつぶつ文句をいいながら、ファルコはゼルダを部屋へ連れていった。
時は少し戻り…
ガノン城前では、リンクとガノンドロフが激しくやりあっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
リンクは少しよろめいた。
「どうした小僧!?この程度で終わりか!?」
「くっ……まだまだぁ!」
リンクは再びガノンドロフにかかっていく。ガノンドロフはそれを容易くよけた。
「俺様は情けないよなぁ?お前みたいな奴に負けた事があるなどとは!」
リンクはキッとガノンドロフを睨んだ。
「…そのことで気になっていたんだ。お前はどうして生きている!?」
「ハッ。馬鹿な奴め。やはりあれで俺様を殺した気でいたか。勇者リンク!お前は甘い!」
ガノンドロフはリンクを突き飛ばした。
「くっ……!」
“そろそろか……。”
ガノンドロフは何かのスイッチを押した。カーン……カーン……カーン……。どこかで鐘が鳴った。
“…鐘?どこで鳴ってるんだろう…。”
リンクは飛び起きると三連続で切り、回転切りを繰り出した。そして、ガノンドロフの前に着地した。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
すると、リンクは何かの光に包みこまれた。
“なんだ……コレ……苦……くるしい……。”
しばらくすると光が無くなった。リンクは倒れる。
「……今回は俺様の勝ちだ、小僧。」
ガノンドロフはリンクの頭をもたげ、何かを飲ませた。
「恨むのなら、姫君を恨むんだな。フフフ……ハッハッハ!」
ガノンドロフは意地悪く笑った。
「俺様を陥れた罪、その身をもって償うがいい!」
「ハァ…ハァ…ハァ…うぐっ…」
リンクはその場に崩れこむ。
“意識が……遠のく…ダメだ、こんなところで、負けちゃ、”
リンクは気を失ってしまった。
次にリンクの目に映ったのはハイラル平原だった。
“あれ…オレ、なんでこんなところに……あれ、動いて……っ!!”
リンクは暴れ、地面に転がり落ちた。リンクはガノンドロフに担がれていたのだった。
「…っくぅ……。」
「フン…もう目が覚めたか。」
ガノンドロフは別段驚いた風でもなく、リンクを見下ろした。
「気分はどうだ?ん?」
「お前なんかに、気遣われるいわれは、っがぁ!!」
ガノンドロフはリンクを踏みつけた。
「口を慎め、小僧。」
「リンク!……テイヤッ!」
そこへフォックスが現れた。ガノンドロフを突き飛ばす。そしてリンクを支えた。
「大丈夫か!?しっかりしろ!」
「うぅ……フォ……フォックス…?……ゼルダは?」
“…お前って奴は…自分の事が先だろ…?”
相変わらずなリンクに、フォックスは思わず苦笑する。
「大丈夫だ。先に戻っている。あいつの心配はいらない。」
「そ……うか……。よかっ……」
「さっきの狐か。戻ってきたか。」
「あぁ。戻らせてもらったぜ!」
リンクが起き上った。フォックスはそれを支える。
「そうか…それはご苦労だったな。」
リンクが弱々しくフォックスの手を振り払った。
「ごめん。オレ、戦わなきゃ……。」
やはり弱々しく笑う。
「……俺も手伝おう。」
2人は戦闘体勢をとった。
「フハハハハ。受けてやりたいが、今回は観戦させてもらうとしよう。………………………………殺れ。」
「一体何を……」
「フォックス……。」
リンクはフォックスを遮って、弱々しく呼んだ。フォックスはリンクを見る。リンクは何かに耐えるように苦しそうな顔をしている。
“体が…勝手に………!!逃げろ、フォックス!”
リンクは突然、フォックスに襲い掛かった。
「なっ!……リンク、どうした!?」
フォックスはさっと攻撃を避ける。
「セイ、ヤッ、ハッ、ヤァァァァ!」
リンクの攻撃は続く。
「クッ……チィ。」
フォックスは必死で避けた。
「ヤァ!」
「ハァ!」
リンクの攻撃をフォックスは腕で受け止めた。そこから少量の血が出る。
「一体どうなってるんだ……!」
フォックスが叫んだ。リンクの唇だけが動く。苦痛そうな顔をしている。フォックスを振り切るとジャンプ斬りを繰り出した。フォックスは慌てて回避した。唇をギュッと噛む。
「…すまん、リンク…。」
フォックスはそう言うとその場を去った。
「……ハァ…ハァ…ハァ………。」
リンクの体が解放された。力が抜け、その場に跪く。
「見事だったぞ、小僧!」
ガノンドロフが嘲笑した。
“何をしたんだ……ガノンドロフ!”
リンクの思いは、しかし、声にはならなかった。
「さぁ、行こうか………………来い。」
ガノンドロフは歩きだした。
“体が……また………!やめてくれ……………!」
リンクはガノンドロフについていく。
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「やぁ、みんな、久しぶり!」
ヨッシーが元気よく入ってきた。ピカチュウが
「おかえり!」
と手を振った。
「やぁ、みんな!」
ヨッシーに続いてピットが入ってくる。それにはオリマーが応えた。
「やぁ、ピットさん。修行はどうでしたかな?」
「まぁまぁだったよ。ところで、全然準備が進んでないようだけど?」
「準備?何のこと?」
ディディが聞き返した。
「え?今日はゼルダの誕生日じゃなかったの?慌てる必要なかったかなぁ…。」
ディディの言葉にヨッシーが疑問符を浮かべた。が、その言葉にその場にいたメンバーが
「誕生日!?」
と驚きの声を上げる。
「……おかしいなぁ。リンクに今日、絶対帰ってきて、って念を押されたんだけど。」
とピットは首を傾げた。すると、その声に答える者達がいた。
「僕/私 達もだよ。」
アイスクライマーだった。2人を見て、ネスが声を上げた。
「もう帰ってきたの!?珍しく早いね。」
「だって、なんかリンク、恐かったし。」
とポポ。
「そうそう。それこそ珍しく、ね。」
とナナ。
その時、サムスがやってきた。
「あー疲れた。あら、みんなお揃い?」
「結構揃ってることは揃ってんじゃねーの?」
ソニックが返した。
「なら手伝えよ……。」
サムスに続き、ファルコが文句を言いながらやってくる。カービィも一緒だ。
「何をしてるの?」
プリンが聞いた。
「会場づくり。」
カービィは短く答える。
「結構集まってるね。」
トレーナーが帰ってきた。
「みんな、出てこい!」
そしてポケモン達を出す。
「おかえりー!」
ピカチュウがトレーナーに駆け寄った。
「あ、ピカチュウ。元気だった?……ところで、リンクは?」
「……さぁ。」
ファルコンは肩をすくめた。
噂のリンクは自分の部屋でペンダントを完成させていた。
「…やっとできた…。」
リンクはペンダントをしげしげと眺める。
「いいできじゃないか。」
急にフォックスの声がした。リンクが見ると、隣からペンダントを眺めている。
「…フォックス、いつからそこに?」
「今さっきだ。鍵が開いていたから、入らせてもらった。」
「………ひどいなぁ。」
「あとは会場とゼルダの機嫌だけだな。」
「…それを言うなよ…。」
リンクは溜め息をついた。
「まぁ、なんとかなるさ。会場には誰かが連れてきてくれるから、それ渡せば分かるだろ?」
「…たぶんね。ゼルダ、まだ怒ってるの?」
「怒っているのとは違うと思うが……部屋からは出てきていない。」
その時、ドドドドド!と扉を激しく叩く音がした。
「だ、誰?というか何?」
リンクは動揺しながらもさっとペンダントだけは隠した。フォックスが扉を開ける。そこにいたのはカービィだった。
「大変大変!」
カービィは叫びながら部屋に入ってきた。
「どうした!?」
フォックスの顔が変わった。
「ゼルダが……ゼルダがどこにもいない!」
「……部屋にも?」
今度はリンクが表情を曇らせた。
「うん。」
「行ってみよう。」
フォックスは言うと、部屋を出ていった。すぐにカービィがついていく。
「……ゼルダ……。」
リンクは白い箱を取出し、そこにペンダントを入れた。そして、紙を一枚入れる。それから2人を追った。
フォックスとカービィはゼルダの部屋にたどり着いた。フォックスがノブに手をかける。
「開いている……。」
フォックスとカービィは部屋の中に入った。しかし、中には誰もいない。
「ほらね………。」
カービィが呟いた。フォックスは頷きながら、部屋をぐるっと見た。
「…荒らされた形跡はないな…。」
フォックスは部屋の分析をしている。するとリンクがやってきた。
「……嘘だろ。」
「何?」
リンクの呟きにカービィが聞いた。が、リンクはキョロキョロと部屋を見渡している。やがて、カービィの質問に答える気になったのか、言った。
「……あいつだ。間違いない。」
「え?」
「この件はオレに任せて。ちょっと出かけてくる。」
リンクはカービィが聞き返したのに答えず、部屋を飛び出していってしまった。
「……リンク……?」
カービィは唖然としながら、リンクの名を呼ぶ。フォックスはやれやれと首を振ると部屋を後にした。カービィもついていく。
フォックスとカービィが廊下を歩いているとマリオに会った。マリオは2人に話しかける。
「フォックス、カービィ…浮かない顔をしているが、どうしたんだ?」
「ゼルダがいなくて…。」
カービィがため息をつきながら答えた。マリオは目を丸くした。
「すると、ゼルダの誤解は解けてないのか?」
「あぁ…リンクがそれで悩んでいた。」
非難を少々込めて、フォックスが答える。だが、マリオには伝わらなかった。
「リンクも大変だな……俺も誤解してたから言えないが。」
「兄さん!大変だ!」
その時、ルイージが走ってきた。
「……今度は何だよ……。」
フォックスの声は誰にも聞こえなかった。何事もなかったようにマリオはルイージに聞く。
「どうしたんだ?」
ルイージはマリオに何かの紙を渡した。マリオがそれを読み上げる。
「えーと、なになに……『ピーチ姫は我輩が預かった。助けたければ、我輩の城まで来い。クッパより』………。」
「ど、どうするの?」
ルイージが不安げに聞いた。それにフォックスが答える。
「とりあえず……誰かが助けに行かないといけないのは明白だな。」
「ゼルダといい、ピーチといい、大変だね……。」
「………俺が行く。ルイージ、手伝ってくれ。」
カービィのことは完璧に無視し、マリオは言うなり歩きだした。
「えぇ~!僕もー!?」
と文句を言いつつも、ルイージはマリオについていった。
「……なんだかリンクが心配になってきた……。」
「そうだね……。」
フォックスはしばらく考えていたようだった。が、やがて、
「俺も行ってくる。」
と言い、歩きだす。
「え?でも、リンク、どこ行ったのか分かんないよ?」
フォックスは立ち止まった。そして、説明する。
「確かに、リンクは行き先を告げずに飛び出していった。だが、あいつは侵入者のことを知っているみたいだ。つまり、それは、あいつと同じ出身ということを意味するはずだろ。だったら…ハイラルに戻ったと考えるのが普通だろ!」
そういうと走り去っていった。
「みんなぁ……。」
カービィは何かしたいと思ったが、結局どうすることもできず、仕方なく部屋に戻った。
少し時は戻り……
リンクはフォックスの言ったとおり、ハイラル平原にいた。 レシラーレシラーレシラーシーラー♪ とオカリナの音が響き渡る。すると、栗毛色の馬―エポナがやってきた。
「久しぶり、エポナ。元気だった?」
そう声をかけながら少し撫でて、リンクはエポナに乗った。
「……アイツが……ガノンドロフが、戻って来たんだ。」
リンクが呟くと、エポナは知っているというようにリンクを振り返った。
「…知っていたんだね…。ごめん、オレ、全然知らなかった……。それに、ゼルダも攫われてしまったんだ…。だから、今度こそアイツを倒す。…じゃあ、エポナ、行こ おっと!」
リンクが言い切る前にエポナは走りだした。慌ててバランスをとる。エポナはそれを確認すると、スピードをあげた。
「エ、エポナ!?どうしたの?」
エポナは構わずに走り続けた。リンクはしばらく動揺していたが、やがて、エポナに任せることに決めた。エポナに揺られながら、周りの景色を眺める。
“…ハイラルはそんなに変わっていない……。ガノンドロフ、どういうつもりでゼルダを?それに…オレは確かにアイツの息の根を止めたと思ってたんだけど……。でも…絶対あれはガノンドロフだ。……勘だけど…間違えようがない。”
しばらくすると、エポナは止まった。伺うようにリンクを見上げる。そこは城下町の前だった。
「ここに何かあるの、エポナ?」
するとエポナはリンクから視線を外し、地面を軽く蹴った。
“…城下町の様子も変わってないと思うけど……きっとエポナは何か感じてるんだろうな。”
「よし、ちょっと行ってくるね。」
リンクはエポナからおりた。
「?……うわぁーー!」
が、リンクの降りた所に足場はなく、どこかに落ちていった。
その頃、ガノン城では、ガノンドロフとゼルダが話し合っていた。が、急にガノンドロフが立ち上がった。どこか遠くを眺めている。
“…何者かが入ってきたようだな………あの小僧か。早い到着だな。しかし…せっかくここまで上手くいっているのだ。違うことにしてもらおう。”
「どうかされました?」
ゼルダが、ガノンドロフの突然の行動を不審に思って聞いた。
「…誰か来たようだ。」
ガノンドロフは大儀そうに答えた。
「リンクですか?」
驚いて、ゼルダは返す。
「違うだろうな。…そういえば、ピーチが攫われたようだぞ。」
「……そちらに行ったのでしょうね。」
ゼルダは顔を曇らせた。
「一応見に行く。あれについては………。」
「はい……分かっています。」
ガノンドロフはいなくなった。
ドン、と激しい音をたててリンクは落ちた。
「いたた…ここ、どこだよ………。」
言いながら立ち上がる。そして、周りを観察した。
「…ハイラルにこんなとこあったかなぁ……。」
首をひねるが、考えるのを諦めて歩きだした。すると、ギィィィ……ガタン、ヒュッ…ヒュッ…っと何かが揺れだした。リンクはそれを一瞥する。
「大きな刃か…危ないなぁ……。」
軽く回避した。が、すぐにゴトゴトゴト……ガタン、ゴゴゴゴゴ…と不吉な音がし始めた。
「え……か、壁が動き出した?……とりあえず走るか………。」
リンクは暗闇の中へ走りだした。途中で
「キィー!」
とリーデットが出てきたが、
「邪魔だ!」
と一喝し、斬り付けて走り続けた。が…
「……行き止まり?」
一番奥まで来てしまったようだった。リンクは後ろを振り返る。
「まだ来るか……あれは!?」
リンクはまだ奥につづく、小さめの穴があるのを見つけた。迷わずにそこに入る。そこを抜けて、一息ついた。
「ふぅ……ここからどうしようかな…。」
一歩踏み出した。が、すぐに元の位置に戻った。
「…それはないよ……。」
リンクに向かって鋭い物が飛んできたのだった。
「…とりあえず、走り抜けるか。」
リンクは走りだした。前後左右からナイフやら針やらが飛んでくる。リンクは前後から来るものだけをよけた。急いで次の部屋に入り込む。
「今度は何かな?」
リンクはやけになっていた。ザコ軍団が登場する。
「…戦えばいいの?」
リンクは剣を抜くとかかっていった。
キン、シュッ…バン、シュン、……と2時間ほど戦い続けた。
「セイ、ヤッ、ハッ、ヤアアァァァ!……ハァ…ハァ…一体どれだけいるんだ…っく…うわぁ…。」
リンクは飛ばされた。が、その直後、バン!シュッ…バン、バン、バン…パキーン…と音がなり、全滅した。
「え……?あれ?」
リンクは周りを見渡した。
「……っと。」
フォックスがリンクの前に降り立った。
「……フォックス……?」
リンクは不思議なものを見るようにフォックスを見上げる。
「お前な、母体を倒さなきゃ意味ないだろ。」
「え…?母体?そんなの………」
「あれだよ。」
フォックスは機械の残骸を指差した。
「…あれは……?ハイラルにはあんな技術、ないはずだけど……。」
「そこは俺じゃわからないな。それより大丈夫か?」
「あ、うん。ありがとう。」
リンクはよたよたと起き上がった。フォックスは手を貸す。
「ところで…どうしてここに?」
「リンクのことが心配になってな。ハイラルにきてみれば、エポナに会った。お前が落ちたというところまではエポナが連れてきてくれたよ。」
「エポナ?彼女のこと、教えたっけ?」
フォックスは渋い顔をした。
「……俺はキツネだ。」
「え……あぁ。」
リンクは納得したように頷いた。
「さぁ、はやくゼルダを助けて帰ろう。」
フォックスは歩きだした。リンクも後を追う。
「…皆もう集まってるかな……。」
他の人に少し無理をして集まってもらった手前、遅れることになるであろう自分を思い、申し訳なく思うリンクだった。
「さぁな。少なくともピーチ、マリオ、ルイージはまだだろう。」
リンクは首を傾げる。
「何かあったの?」
「ピーチが攫われた。」
フォックスの淡々とした答に、リンクは目を見開いた。が、すぐに立ち直る。
「そっか……。でも、マリオ達がいるから、大丈夫だよな。」
リンクは走りだした。フォックスも走りだす。
リンク、フォックスはガノン城前についた。
「よく来たな、小僧!」
そこにガノンドロフは立っていた。
「? 一人じゃないのか。まぁ、狐がついても変わらんだろうがな。」
ガノンドロフはフォックスを馬鹿にした。
「…なんだ」
フォックスが言い返しかけたのをリンクが手で制した。
「フォックス、ガノンドロフはオレがなんとかする。だから、ゼルダを頼む。」
フォックスは正直、敵にバカにされて黙っていたくはないが、ここはリンクに従うことにした。フォックスは頷く。
「…だが、お前は?」
「オレは大丈夫。ゼルダを連れて先に戻っていてくれ。」
「……分かった。」
フォックスは走りかけた。
「待って。」
リンクは箱を取り出した。
「これを持っていってほしい。」
リンクは箱を渡した。フォックスはうなずき、城に向かって走り出す。
「行かせん!」
ガノンドロフはフォックスに襲い掛かった。しかし、シャキン!とリンクがガノンドロフの攻撃を受け止めた。
「ガノンドロフ!おまえの相手はオレだ!」
フォックスは行ってしまった。
“チッ。取り逃がしたか。まぁいい。初めから狙いはこいつだからな!”
ガノンドロフはリンクを振り払った。リンクは軽く吹っ飛ぶ。
「く………。」
が、リンクはさっと体制を立て直した。
「フッ、ハッ、ハッ、セイヤッ!」
リンクは剣でガノンドロフを攻撃した。ガノンドロフはすべて避ける。
「ハァァァァア!」
ガノンドロフはパンチを繰り出す。リンクはまともに喰らった。
「うぅぅ……。」
ドン。リンクは飛ばされて、倒れた。しかし、すぐに起き上がる。
リンクがガノンドロフと戦っている間に、フォックスはガノン城の最上階までやってきた。
「……やっと着いた。」
フォックスは目の前にある大きな扉を見上げた。
“とりあえず、ここまでに何のトラップもなかったことに感謝だな。さて……どうする?”
フォックスは取手をまわしてみた。
“…簡単に開くわけないか。強行手段しかないな…。”
フォックスは数歩下がった。銃を取り出し、撃つ。そして、取手をいじった。
“……何事かしら?”
ゼルダは音に驚き、扉の方をみた。
「ハァ!」
そのとき、フォックスが扉を蹴った。バン!と、扉は開いた。
「…やっと開いた。」
フォックスは中に入る。ゼルダはフォックスをみとめた。
「……フォックス……あなたでしたか。」
フォックスもゼルダをみとめた。だが、その直後眉を顰めた。
「…攫われた割には無傷のようだな。」
「攫われた?私が?」
フォックスは目を瞬かせた。
「違うのか?お前がいなくなって、リンクがガノンドロフだといったもんだから、てっきり…。」
“リンクが……?私のことは知っていたのね。それなのに……!”
ゼルダは顔をしかめる。沸々と怒りが湧き上がってきた。
「攫われたのでなければ、どうしてここにいる?まさか…自らガノンドロフに協力したなんてことは…」
「そうです。」
ゼルダはフォックスが言うのを遮っていった。
「!なんでだ!?ゼルダ、リンクの事がそんなに信用できないのか?今だってあいつは…」
「もう黙ってください!」
ゼルダは叫んだ。
「断る!お前の……」
カーン……カーン……カーン……。いきなり鐘が鳴った。
「なんだ……?」
ゼルダが部屋の中央に移動した。
「ゼルダ!何をする気だ!」
「私のそばに近づかないでください。……と言っても無駄なようですね……ヤッ!」
バン!ゼルダがディンの炎でフォックスを攻撃した。
「なっ……。」
フォックスは部屋の外に飛ばされた。ゼルダは神経を集中させる。
「ハァッ!」
ゼルダが両手を上げた。すると、光がどこかへゼルダの手から放出された。
「おい!どうした!?」
フォックスが部屋に戻ると、ゼルダは倒れていた。フォックスは駆け寄る。
「……気絶している…。」
ガタガタガタ……ヒュー……バリン! フォックスとゼルダの近くに天井が落ちてきた。
“城が崩壊しかけている……?とりあえず脱出だ!”
フォックスはゼルダを抱えるとその場を後にした。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
フォックスはハイラル入口まで帰ってきた。日は暮れかかっている。
“ハイラル城から結構遠いな…。”
フォックスはこんなことを思ったが、実は彼、迷っていたりする。
「フォックス!」
ファルコが走ってきた。
「遅かったな。あいつらはもう帰ってきてるぜ。」
「……早いな。」
フォックスは上の空だった。
「早いなってお前…もうすぐパーティー、始まるぞ。……そういや、リンクはどこだ?」
「…やっぱりまだか。」
フォックスの目が変わった。
「やっぱり?……何かあったのか?」
「ガノンドロフとぶつかった。ゼルダを頼む!」
フォックスはそう言うなり、走り去った。
「あ!オイ!フォックス!……たっく……大体、ガノンドロフって誰だよ…。」
ぶつぶつ文句をいいながら、ファルコはゼルダを部屋へ連れていった。
時は少し戻り…
ガノン城前では、リンクとガノンドロフが激しくやりあっていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…。」
リンクは少しよろめいた。
「どうした小僧!?この程度で終わりか!?」
「くっ……まだまだぁ!」
リンクは再びガノンドロフにかかっていく。ガノンドロフはそれを容易くよけた。
「俺様は情けないよなぁ?お前みたいな奴に負けた事があるなどとは!」
リンクはキッとガノンドロフを睨んだ。
「…そのことで気になっていたんだ。お前はどうして生きている!?」
「ハッ。馬鹿な奴め。やはりあれで俺様を殺した気でいたか。勇者リンク!お前は甘い!」
ガノンドロフはリンクを突き飛ばした。
「くっ……!」
“そろそろか……。”
ガノンドロフは何かのスイッチを押した。カーン……カーン……カーン……。どこかで鐘が鳴った。
“…鐘?どこで鳴ってるんだろう…。”
リンクは飛び起きると三連続で切り、回転切りを繰り出した。そして、ガノンドロフの前に着地した。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
すると、リンクは何かの光に包みこまれた。
“なんだ……コレ……苦……くるしい……。”
しばらくすると光が無くなった。リンクは倒れる。
「……今回は俺様の勝ちだ、小僧。」
ガノンドロフはリンクの頭をもたげ、何かを飲ませた。
「恨むのなら、姫君を恨むんだな。フフフ……ハッハッハ!」
ガノンドロフは意地悪く笑った。
「俺様を陥れた罪、その身をもって償うがいい!」
「ハァ…ハァ…ハァ…うぐっ…」
リンクはその場に崩れこむ。
“意識が……遠のく…ダメだ、こんなところで、負けちゃ、”
リンクは気を失ってしまった。
次にリンクの目に映ったのはハイラル平原だった。
“あれ…オレ、なんでこんなところに……あれ、動いて……っ!!”
リンクは暴れ、地面に転がり落ちた。リンクはガノンドロフに担がれていたのだった。
「…っくぅ……。」
「フン…もう目が覚めたか。」
ガノンドロフは別段驚いた風でもなく、リンクを見下ろした。
「気分はどうだ?ん?」
「お前なんかに、気遣われるいわれは、っがぁ!!」
ガノンドロフはリンクを踏みつけた。
「口を慎め、小僧。」
「リンク!……テイヤッ!」
そこへフォックスが現れた。ガノンドロフを突き飛ばす。そしてリンクを支えた。
「大丈夫か!?しっかりしろ!」
「うぅ……フォ……フォックス…?……ゼルダは?」
“…お前って奴は…自分の事が先だろ…?”
相変わらずなリンクに、フォックスは思わず苦笑する。
「大丈夫だ。先に戻っている。あいつの心配はいらない。」
「そ……うか……。よかっ……」
「さっきの狐か。戻ってきたか。」
「あぁ。戻らせてもらったぜ!」
リンクが起き上った。フォックスはそれを支える。
「そうか…それはご苦労だったな。」
リンクが弱々しくフォックスの手を振り払った。
「ごめん。オレ、戦わなきゃ……。」
やはり弱々しく笑う。
「……俺も手伝おう。」
2人は戦闘体勢をとった。
「フハハハハ。受けてやりたいが、今回は観戦させてもらうとしよう。………………………………殺れ。」
「一体何を……」
「フォックス……。」
リンクはフォックスを遮って、弱々しく呼んだ。フォックスはリンクを見る。リンクは何かに耐えるように苦しそうな顔をしている。
“体が…勝手に………!!逃げろ、フォックス!”
リンクは突然、フォックスに襲い掛かった。
「なっ!……リンク、どうした!?」
フォックスはさっと攻撃を避ける。
「セイ、ヤッ、ハッ、ヤァァァァ!」
リンクの攻撃は続く。
「クッ……チィ。」
フォックスは必死で避けた。
「ヤァ!」
「ハァ!」
リンクの攻撃をフォックスは腕で受け止めた。そこから少量の血が出る。
「一体どうなってるんだ……!」
フォックスが叫んだ。リンクの唇だけが動く。苦痛そうな顔をしている。フォックスを振り切るとジャンプ斬りを繰り出した。フォックスは慌てて回避した。唇をギュッと噛む。
「…すまん、リンク…。」
フォックスはそう言うとその場を去った。
「……ハァ…ハァ…ハァ………。」
リンクの体が解放された。力が抜け、その場に跪く。
「見事だったぞ、小僧!」
ガノンドロフが嘲笑した。
“何をしたんだ……ガノンドロフ!”
リンクの思いは、しかし、声にはならなかった。
「さぁ、行こうか………………来い。」
ガノンドロフは歩きだした。
“体が……また………!やめてくれ……………!」
リンクはガノンドロフについていく。
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