リーダーは誰だ!?

メンバーが集結して少ししてからのお話。
集合しているキャラに少々違和感あるかもしれません。
メインはマルス(一応)。

キャラ崩壊注意!!
崩壊と言うほど壊れはしないと思いますが、ほとんどのキャラにおいて、好きな人は許せないかもしれません。閲覧は自己責任でお願いします。
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「ねぇ、みんな。リーダーとかってどうする?」

突然のマルスの言葉にみんなの手が止まった。が、それは一瞬のことで、

「そんなの、世界一有名な俺に決まってるじゃないか!」

と、マリオが名乗り出た。気持ち前に出ている。すると、違う所からも名乗り出る声がした。

「何を言う!速さにかけては俺だ!だからリーダーは俺だ!」

ファルコンだ。マリオとファルコンの間には火花が飛び散っている。

「足なら俺が一番だぜ?」

そこにソニックが横槍を入れた。すると、ドンキーも便乗する。

「リーダーは俺だ!力が必要だからな!」

……もはや根拠がおかしい等と指摘する人は存在しなかった。

「ボク、ボク!」

「ボクもやってみたい!」

「こらこら。」

挙げ句の果てにはカービィやゼニガメも興味本位に手を挙げ出した。ゼニガメに関してはフシギソウに引き戻されてはいたが。

「お前らな……他の奴のことを考えられなきゃ、リーダーは無理だ。」

「みんな、そんなこと言って全然だめねぇ……。私がやるわ。」

「何?」

「何だと!」

「え?」

フォックスとサムスが宣言すると、大反発された。すでにピリピリしていた空気は、瞬く間に爆発した。リーダーを巡っての言い争いが始まったのだ。

「俺だ!」

「私よ!」

「俺!」

「ボク!」

「俺がやる!」

しばらく様子を見ていたスネークとネスだったが、彼らが立ち上がったのはほぼ同時だった。

「仕方ないな。俺がやってやろう。」

「みんな、みっともないなぁ。ぼくがやるよ。」

「ダメだ!!」

見事なまでに喧嘩組の声がはもった。ネス、スネークも喧嘩に参戦し、ますます激しさを増していく。

「なんか、すごいことになっちゃってるよ……。」

傍観組のルイージがおろおろして呟いた。ファルコは一つ頷いて、どうでもよさそうに返す。

「あれはしばらく止まらないな。」

すると、アイクがマルスに向き直った。

「……どうする気だ、マルス?」

「いや……そんなこと言われても……まさかこんな大事になるなんて……。」

振られたマルスはまだ状況についてこれていなかった。

「……普通は考えないよね。」

トレーナーが同情して言った。

「こっちで勝手に決めない?あんな風に喧嘩されると少し頼りない……。」

ピットが提案した。

「少しどころじゃないわ。」

ピーチが文句を呟きながら同意した。他の人もピットの意見に賛成のようで、バラバラな所にいた人も集まってきた。

「みんなに聞きたいんだけどさぁ、誰になってほしいの?」

ヨッシーが言うと、傍観組は押し黙った。やがて、ディディがおもむろに口を開けた。

「……ぼくはやっぱドンキー。」

隣で、ファルコが肩をすくめる。そして、当然、といったように言い切った。

「フォックスだな。」

そのまま、傍観組の目は、近くにいたリュカに向いた。リュカはたじろいだが、

「……ネス。」

と、なんとか言の葉を出す。そして、今度はルイージに視線が集まった。

「僕は兄さん、かな。」

ルイージはさらっと言った。すると、ピーチがそれにうなずいた。

「私もルイージと同じよ。」

ピーチが視線を下げると、一行の視線も下がる。ピカチュウが一瞬首を傾げたが、

「トレーナー、かな。」

と無言の要請にこたえた。そのままメタナイトに発言が求められたが、

「あの中で決めろと?」

と一蹴された。隣にいたアイクは、マルスの方を見て一言。

「言い出したお前がやればいい。」

マルスがため息をついたのは言うまでもない。次にバトンが回ったのはアイスクライマーだった。

「サムス。」

とナナは答え、

「ソニック。」

とポポは答えた。珍しく意見が食い違った。そして、ゼルダにも発言が求められた。

「私はリンクが…。」

彼女は控えめに答えた。

「……ファルコンさんですね。」

無言の圧力がくる前に名を挙げるオリマー。そして、

「……スネーク……。」

とピット、

「リンク。」

とトレーナー、

「マルスだな。」

とロイがテンポよく言っていった。

「誰でもいい。」

ルカリオは、この話題に無関心を示した。

「カービィに決まってる。」

プリンの目はハートだ。最後にマルスへ視線が向いたが、

「僕は分からないから聞いたんだけど……。」

マルスは困ったように頭をかいた。しばらく沈黙がはしった。

「……みんな、見事に分かれたね……。」

一同の心情を代表して、ヨッシーが言った。
やがて、ヨッシーはリンクに向き直った。

「リンクは何も言ってなかったけど、リンクなら誰を推薦するの?」

傍観組はリンクを見た。リンクは困ったような顔をしたが、やがて顔を背けた。

「……オレは、リーダーなんて必要ないと思う。」

「え!?」

傍観組のほとんどは驚きの声を上げた。

「確かに決めるのは大変だけど、必要ないことはないと思うよ。」

トレーナーが反論に出た。大体の者がそれに同意して頷く。

「なら聞くけど、どうして必要?」

「理由、か。そうだね……。」

マルスは腕を組んで考え込んだ。やがて、おもむろに口を開く。

「僕は、これだけの人数がいたらまとめ役が必要になってくると思うね。現に今……この状態だし……。」

「オレが思うに、逆にリーダーなんて作ったらまとまらないんじゃない?」

大儀そうにリンクが言った。が、顔は真剣そのものだ。

「どうしてそう思う?」

ルカリオが聞いた。リンクが答えようと口を開こうとした。が、

「分かった。」

とルイージが言う方が速かった。自然と傍観組の注目がルイージに集まる。ルイージは尻込みしてしまったようだった。

「……続けろ。」

メタナイトが促したことでルイージは答えを言った。

「あそこで喧嘩をしているのは、みんな、リーダーになりたいからなんだと思う。それなのに、他の誰かがなっちゃったってことにでもなったら……。」

「…いい気はしねぇな。」

ファルコが唸った。ピットがリンクを見た。

「リンクが言いたかったことって、それ?」

リンクは頷いた。

「その通りだよ。大体、オレ達はリーダーなしでまとまれないほど幼稚じゃない。……違う?」

しばらく間が開いた。傍観組はお互いを見合う。やがて、ゆっくりとオリマーが言った。

「そうですね……確かに、リンクの言う通りです。」

「なら、リーダーは必要ないってことでいいのかしら?」

ピーチが結論を出すと、それぞれが肯定した。傍観組では話がまとまった。
……かのようにみえた。

「あの人達」

「どうするの?」

ポポとナナがマリオ達―喧嘩組を指さした。彼らの喧嘩はまだ続いていたのだ。しかも、確実に傍観組が話し合っている間にヒートアップしていた。

「……止めないわけにはいかないね。」

ピカチュウが苦笑しながら言った。すると、

「…仕方ないなぁ……。」

とリンクは立ち上がり、喧嘩組のところへ向かっていった。そして一言。

「その件についての話し合いは終わったよ。」

直球を投げた。

「……た、単刀直入だね……。」

リュカの呟きに傍観組は頷くしかなかった。しかし、喧嘩組には効果覿面で、喧嘩は収まった。

「え?」

「ハ?」

「どういう事?」

……数々の抗議はあがったが。しかし、リンクは気にとめた様子もなく続けた。

「オレ達にリーダーは必要ない。ね、みんな?」

リンクは傍観組の方を振り向いた。トレーナーが後を引き継いで言う。

「僕達はリーダーなしでもまとまれるはず、っていうのが僕達の話し合いの結果。」

「何を勝手に決めているんだ!」

ドンキーが吠えた。しかし当然と言えば当然であろう。が、ピットは涼しい顔をして答えた。

「さっきの様子じゃあ、声をかけても無駄な気がしたし。」

「……頼りなかったとは言えないよね。」

ルイージの声が聞こえた者は、おもわず苦笑した。

「だが、それは話が急すぎる。」

やはり納得のいかないスネークが言い返した。するとゼルダがやんわりと問い返す。

「それならば、そちらで何か話はまとまりましたか?」

「そ、それは……。」

ネスが言い淀む。喧嘩組の方では、まとまるどころでは無かったのだ。

「こちらでは、リーダーを決めることで揉めるくらいならリーダーを作ることはない、という意見が出た。」

ルカリオが言った。するとマリオが

「なら多数決でどうだ?」

と提案した。驚いてオリマーが聞き返す。

「どうしてそうなるのでしょう?」

その質問にはフォックスが答えた。

「要するに、揉めなきゃいいんだろ?穏便に済ますという点では、多数決は適していると思うが。」

すると、マルスが思案顔で呟いた。

「……そうだね……それならリーダーを決めるのには最適……。」

「ならば、多数決をするのに賛成の者は?」

アイクが言うと、ヨッシーとリンク以外が手を挙げた。呆れたようにプリンが言った。

「どうして手を挙げないの?」

「そこまでしてリーダーを決める必要がない、っていうのがあくまでもオレの意見。それに……。」

リンクはヨッシーを見た。ヨッシーはリンクの言わんとすることを汲み取って頷く。

「さっきもこちらだけで誰になってほしいのか聞いたけど、見事にバラバラだったよ。」

「……そうだったな。」

メタナイトが呟いた。が、ソニックは不満顔だ。

「だけど、俺達が入ったら変わるかもしれないぜ?」

「…可能性はあるよね。」

ディディが言った。が、またしてもリンクがそれを否定した。

「残念だけど、ないよ。」

とうとうサムスが激怒した。

「どうしてそうやって決めつけるの!?」

リンクは肩をすくめた。

「理由は簡単だよ。喧嘩をしていた人はみんな、自分がいいと思っている。手を挙げるにしても自分に手を挙げる。結局バラバラだよ。あ、自分以外に手を挙げなきゃいけないってルールを付け加えるなら話は別だよ。だけど……それじゃ納得しないでしょ?」

「…カンペキな答だな。」

ファルコが感嘆して言った。だが反感を持った者もいた。

「だったら、何かいい案でもあるのか?」

ファルコンだ。喧嘩組の一部は煮え切らない思いがあるらしく、リンクを睨んだりもしている。リンクはため息を吐いた。

「だから、オレはリーダーを作らないっていうのが持論なんだって。……しばらく様子を見てみたらどうかな?後々リーダーが必要になってくるかもしれないけど、今は必ず必要かというとそうでもないと思う。……リーダーを決めるのを焦らなくていいと思うんだ。」

全員が押し黙った。しばらくして、あ!とピットが叫んだ。

「今思いついたんだけど、期間を決めて交代でやっていかない?お試しとして。」

ピットはリンクの意見を完全に無視したことには気づいていない。が、誰もそのことをわざわざ言ったりしなかった。

「……いい、それ、面白そうじゃねーか。」

そう、大体の者がピットの提案に興味を持ったのだ。

「やろう、やろう!」

カービィが叫んだのを皮切りに殆どの人がその気になって騒ぎ始めた。そんな中一人みんなの部屋を出て行く影があった。それを見つけたトレーナーは、そっと後を追う。



「ハァ………。」

トレーナーは影を追ってパルコニーまでやってきた。外は真っ暗だ。そして、静かだった。……影――リンクのため息を除いては。

「……来なきゃよかったかな……。」

リンクは手すりにもたれ掛かり、招待状を取り出した。そしてまた、ため息を吐く。

「そんなに不満なの、リンク。」

トレーナーはリンクに近づいていった。リンクは驚いて振り返った。

「……もしかして今の、聞こえた?」

その顔には困った様子がありありと浮かんでいた。

「来なきゃよかったかな、ってところ?聞こえたよ。残念だけど。」

「……ごめん。今の、忘れて。」

リンクはトレーナーの横をすり抜けて中へ行こうとした。

「待って!一つ教えてよ。……どうしてリーダーを決めたくないの?」

しばらく間が開いた。やがて、リンクは首を振った。

「……聞かない方がいいよ。筋の通った理由じゃないから。」

「それでも、聞かせてほしい。」

リンクは無視して立ち去ろうとした。が、何かが絡みついてリンクを捕まえた。それは、フシギソウの蔓だった。リンクは身動きすらとれない。トレーナーはリンクの前に回った。

「いきなり何を!」

「……教えてくれるまで放さない。」

トレーナーは腕を組んで仁王立ちしていた。隣でフシギソウが申し訳なさそうに座っている。しばらくリンクはトレーナーを睨んでいた。が、トレーナーが本気なのを感じ取りとうとう折れた。

「………リーダーになりたくない。かといって誰かを中心にして事を進めたりしたくない。…そんな、自分勝手な理由だよ。」

「非協力的だね………。」

「そう言われてしまっても仕方ないね。」

トレーナーはまじまじとリンクを見つめた。その時、バルコニーにつながる扉が開き、ネスがやってきた。

「二人ともこんなところにいたんだ。探したよ。」

が、二人を認めると固まってしまった。

「……な……何、してるの……?」

なんとか言葉を絞り出す。が、その表情はどこか青白い。トレーナーは表情を崩さなかった。

「……気にしないで。それで用件は?」

それどころか、トレーナーは淡々と言葉を継いだ。しかもその目はリンクから外れていない。

「……放してよ……。」

リンクのかすかな抗議は誰の耳にも届かなかった。

「え、あぁ、そうそう。お試しリーダーのことなんだけど、始めはマリオだよ。明日から始めて、一人一週間。パスはなし。二人は最後の方だったと思ったけど……。それを伝えに来ただけ。」

「……分かった。ありがとう。」

ネスはそそくさと戻っていった。

「……………。」

「……………。」

しばらく無言だった。が、リンクがため息を吐くと、切り出した。

「いつまでこうしておくの?理由は話した。満足してないの?」

「…いや……そんなことはないけど………。」

「なら放してよ。オレは、はじめに言ったはずだよ。筋の通った理由じゃないって。」

ようやく、トレーナーはおれた。フシギソウに蔓を戻すように言うと、フシギソウは蔓を引っ込める。リンクは立ち上がるなり中へ入ろうとした。

「もうちょっとだけ話に付き合って!………リンク、帰っちゃうの?」

トレーナーのその声は弱々しかった。リンクはハッとするとトレーナーに向き直った。

「それはしないよ。だから安心して?」

トレーナーは神妙な顔をして頷いた。

「後……どうするの?リーダーを決めるってことに決定したみたいだけど…。」

リンクは少し言葉に詰まった。ちょっと顔を背け、呟く。

「……もう、成り行きに任せるよ……。」

今度こそリンクは中に入っていってしまった。

「……リンク……。」

バルコニーには冷たい空気が流れていた。



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