リーダーは誰だ!?
メンバーが集結して少ししてからのお話。
集合しているキャラに少々違和感あるかもしれません。
メインはマルス(一応)。
キャラ崩壊注意!!
崩壊と言うほど壊れはしないと思いますが、ほとんどのキャラにおいて、好きな人は許せないかもしれません。閲覧は自己責任でお願いします。
―――――――――――――
「ねぇ、みんな。リーダーとかってどうする?」
突然のマルスの言葉にみんなの手が止まった。が、それは一瞬のことで、
「そんなの、世界一有名な俺に決まってるじゃないか!」
と、マリオが名乗り出た。気持ち前に出ている。すると、違う所からも名乗り出る声がした。
「何を言う!速さにかけては俺だ!だからリーダーは俺だ!」
ファルコンだ。マリオとファルコンの間には火花が飛び散っている。
「足なら俺が一番だぜ?」
そこにソニックが横槍を入れた。すると、ドンキーも便乗する。
「リーダーは俺だ!力が必要だからな!」
……もはや根拠がおかしい等と指摘する人は存在しなかった。
「ボク、ボク!」
「ボクもやってみたい!」
「こらこら。」
挙げ句の果てにはカービィやゼニガメも興味本位に手を挙げ出した。ゼニガメに関してはフシギソウに引き戻されてはいたが。
「お前らな……他の奴のことを考えられなきゃ、リーダーは無理だ。」
「みんな、そんなこと言って全然だめねぇ……。私がやるわ。」
「何?」
「何だと!」
「え?」
フォックスとサムスが宣言すると、大反発された。すでにピリピリしていた空気は、瞬く間に爆発した。リーダーを巡っての言い争いが始まったのだ。
「俺だ!」
「私よ!」
「俺!」
「ボク!」
「俺がやる!」
しばらく様子を見ていたスネークとネスだったが、彼らが立ち上がったのはほぼ同時だった。
「仕方ないな。俺がやってやろう。」
「みんな、みっともないなぁ。ぼくがやるよ。」
「ダメだ!!」
見事なまでに喧嘩組の声がはもった。ネス、スネークも喧嘩に参戦し、ますます激しさを増していく。
「なんか、すごいことになっちゃってるよ……。」
傍観組のルイージがおろおろして呟いた。ファルコは一つ頷いて、どうでもよさそうに返す。
「あれはしばらく止まらないな。」
すると、アイクがマルスに向き直った。
「……どうする気だ、マルス?」
「いや……そんなこと言われても……まさかこんな大事になるなんて……。」
振られたマルスはまだ状況についてこれていなかった。
「……普通は考えないよね。」
トレーナーが同情して言った。
「こっちで勝手に決めない?あんな風に喧嘩されると少し頼りない……。」
ピットが提案した。
「少しどころじゃないわ。」
ピーチが文句を呟きながら同意した。他の人もピットの意見に賛成のようで、バラバラな所にいた人も集まってきた。
「みんなに聞きたいんだけどさぁ、誰になってほしいの?」
ヨッシーが言うと、傍観組は押し黙った。やがて、ディディがおもむろに口を開けた。
「……ぼくはやっぱドンキー。」
隣で、ファルコが肩をすくめる。そして、当然、といったように言い切った。
「フォックスだな。」
そのまま、傍観組の目は、近くにいたリュカに向いた。リュカはたじろいだが、
「……ネス。」
と、なんとか言の葉を出す。そして、今度はルイージに視線が集まった。
「僕は兄さん、かな。」
ルイージはさらっと言った。すると、ピーチがそれにうなずいた。
「私もルイージと同じよ。」
ピーチが視線を下げると、一行の視線も下がる。ピカチュウが一瞬首を傾げたが、
「トレーナー、かな。」
と無言の要請にこたえた。そのままメタナイトに発言が求められたが、
「あの中で決めろと?」
と一蹴された。隣にいたアイクは、マルスの方を見て一言。
「言い出したお前がやればいい。」
マルスがため息をついたのは言うまでもない。次にバトンが回ったのはアイスクライマーだった。
「サムス。」
とナナは答え、
「ソニック。」
とポポは答えた。珍しく意見が食い違った。そして、ゼルダにも発言が求められた。
「私はリンクが…。」
彼女は控えめに答えた。
「……ファルコンさんですね。」
無言の圧力がくる前に名を挙げるオリマー。そして、
「……スネーク……。」
とピット、
「リンク。」
とトレーナー、
「マルスだな。」
とロイがテンポよく言っていった。
「誰でもいい。」
ルカリオは、この話題に無関心を示した。
「カービィに決まってる。」
プリンの目はハートだ。最後にマルスへ視線が向いたが、
「僕は分からないから聞いたんだけど……。」
マルスは困ったように頭をかいた。しばらく沈黙がはしった。
「……みんな、見事に分かれたね……。」
一同の心情を代表して、ヨッシーが言った。
やがて、ヨッシーはリンクに向き直った。
「リンクは何も言ってなかったけど、リンクなら誰を推薦するの?」
傍観組はリンクを見た。リンクは困ったような顔をしたが、やがて顔を背けた。
「……オレは、リーダーなんて必要ないと思う。」
「え!?」
傍観組のほとんどは驚きの声を上げた。
「確かに決めるのは大変だけど、必要ないことはないと思うよ。」
トレーナーが反論に出た。大体の者がそれに同意して頷く。
「なら聞くけど、どうして必要?」
「理由、か。そうだね……。」
マルスは腕を組んで考え込んだ。やがて、おもむろに口を開く。
「僕は、これだけの人数がいたらまとめ役が必要になってくると思うね。現に今……この状態だし……。」
「オレが思うに、逆にリーダーなんて作ったらまとまらないんじゃない?」
大儀そうにリンクが言った。が、顔は真剣そのものだ。
「どうしてそう思う?」
ルカリオが聞いた。リンクが答えようと口を開こうとした。が、
「分かった。」
とルイージが言う方が速かった。自然と傍観組の注目がルイージに集まる。ルイージは尻込みしてしまったようだった。
「……続けろ。」
メタナイトが促したことでルイージは答えを言った。
「あそこで喧嘩をしているのは、みんな、リーダーになりたいからなんだと思う。それなのに、他の誰かがなっちゃったってことにでもなったら……。」
「…いい気はしねぇな。」
ファルコが唸った。ピットがリンクを見た。
「リンクが言いたかったことって、それ?」
リンクは頷いた。
「その通りだよ。大体、オレ達はリーダーなしでまとまれないほど幼稚じゃない。……違う?」
しばらく間が開いた。傍観組はお互いを見合う。やがて、ゆっくりとオリマーが言った。
「そうですね……確かに、リンクの言う通りです。」
「なら、リーダーは必要ないってことでいいのかしら?」
ピーチが結論を出すと、それぞれが肯定した。傍観組では話がまとまった。
……かのようにみえた。
「あの人達」
「どうするの?」
ポポとナナがマリオ達―喧嘩組を指さした。彼らの喧嘩はまだ続いていたのだ。しかも、確実に傍観組が話し合っている間にヒートアップしていた。
「……止めないわけにはいかないね。」
ピカチュウが苦笑しながら言った。すると、
「…仕方ないなぁ……。」
とリンクは立ち上がり、喧嘩組のところへ向かっていった。そして一言。
「その件についての話し合いは終わったよ。」
直球を投げた。
「……た、単刀直入だね……。」
リュカの呟きに傍観組は頷くしかなかった。しかし、喧嘩組には効果覿面で、喧嘩は収まった。
「え?」
「ハ?」
「どういう事?」
……数々の抗議はあがったが。しかし、リンクは気にとめた様子もなく続けた。
「オレ達にリーダーは必要ない。ね、みんな?」
リンクは傍観組の方を振り向いた。トレーナーが後を引き継いで言う。
「僕達はリーダーなしでもまとまれるはず、っていうのが僕達の話し合いの結果。」
「何を勝手に決めているんだ!」
ドンキーが吠えた。しかし当然と言えば当然であろう。が、ピットは涼しい顔をして答えた。
「さっきの様子じゃあ、声をかけても無駄な気がしたし。」
「……頼りなかったとは言えないよね。」
ルイージの声が聞こえた者は、おもわず苦笑した。
「だが、それは話が急すぎる。」
やはり納得のいかないスネークが言い返した。するとゼルダがやんわりと問い返す。
「それならば、そちらで何か話はまとまりましたか?」
「そ、それは……。」
ネスが言い淀む。喧嘩組の方では、まとまるどころでは無かったのだ。
「こちらでは、リーダーを決めることで揉めるくらいならリーダーを作ることはない、という意見が出た。」
ルカリオが言った。するとマリオが
「なら多数決でどうだ?」
と提案した。驚いてオリマーが聞き返す。
「どうしてそうなるのでしょう?」
その質問にはフォックスが答えた。
「要するに、揉めなきゃいいんだろ?穏便に済ますという点では、多数決は適していると思うが。」
すると、マルスが思案顔で呟いた。
「……そうだね……それならリーダーを決めるのには最適……。」
「ならば、多数決をするのに賛成の者は?」
アイクが言うと、ヨッシーとリンク以外が手を挙げた。呆れたようにプリンが言った。
「どうして手を挙げないの?」
「そこまでしてリーダーを決める必要がない、っていうのがあくまでもオレの意見。それに……。」
リンクはヨッシーを見た。ヨッシーはリンクの言わんとすることを汲み取って頷く。
「さっきもこちらだけで誰になってほしいのか聞いたけど、見事にバラバラだったよ。」
「……そうだったな。」
メタナイトが呟いた。が、ソニックは不満顔だ。
「だけど、俺達が入ったら変わるかもしれないぜ?」
「…可能性はあるよね。」
ディディが言った。が、またしてもリンクがそれを否定した。
「残念だけど、ないよ。」
とうとうサムスが激怒した。
「どうしてそうやって決めつけるの!?」
リンクは肩をすくめた。
「理由は簡単だよ。喧嘩をしていた人はみんな、自分がいいと思っている。手を挙げるにしても自分に手を挙げる。結局バラバラだよ。あ、自分以外に手を挙げなきゃいけないってルールを付け加えるなら話は別だよ。だけど……それじゃ納得しないでしょ?」
「…カンペキな答だな。」
ファルコが感嘆して言った。だが反感を持った者もいた。
「だったら、何かいい案でもあるのか?」
ファルコンだ。喧嘩組の一部は煮え切らない思いがあるらしく、リンクを睨んだりもしている。リンクはため息を吐いた。
「だから、オレはリーダーを作らないっていうのが持論なんだって。……しばらく様子を見てみたらどうかな?後々リーダーが必要になってくるかもしれないけど、今は必ず必要かというとそうでもないと思う。……リーダーを決めるのを焦らなくていいと思うんだ。」
全員が押し黙った。しばらくして、あ!とピットが叫んだ。
「今思いついたんだけど、期間を決めて交代でやっていかない?お試しとして。」
ピットはリンクの意見を完全に無視したことには気づいていない。が、誰もそのことをわざわざ言ったりしなかった。
「……いい、それ、面白そうじゃねーか。」
そう、大体の者がピットの提案に興味を持ったのだ。
「やろう、やろう!」
カービィが叫んだのを皮切りに殆どの人がその気になって騒ぎ始めた。そんな中一人みんなの部屋を出て行く影があった。それを見つけたトレーナーは、そっと後を追う。
「ハァ………。」
トレーナーは影を追ってパルコニーまでやってきた。外は真っ暗だ。そして、静かだった。……影――リンクのため息を除いては。
「……来なきゃよかったかな……。」
リンクは手すりにもたれ掛かり、招待状を取り出した。そしてまた、ため息を吐く。
「そんなに不満なの、リンク。」
トレーナーはリンクに近づいていった。リンクは驚いて振り返った。
「……もしかして今の、聞こえた?」
その顔には困った様子がありありと浮かんでいた。
「来なきゃよかったかな、ってところ?聞こえたよ。残念だけど。」
「……ごめん。今の、忘れて。」
リンクはトレーナーの横をすり抜けて中へ行こうとした。
「待って!一つ教えてよ。……どうしてリーダーを決めたくないの?」
しばらく間が開いた。やがて、リンクは首を振った。
「……聞かない方がいいよ。筋の通った理由じゃないから。」
「それでも、聞かせてほしい。」
リンクは無視して立ち去ろうとした。が、何かが絡みついてリンクを捕まえた。それは、フシギソウの蔓だった。リンクは身動きすらとれない。トレーナーはリンクの前に回った。
「いきなり何を!」
「……教えてくれるまで放さない。」
トレーナーは腕を組んで仁王立ちしていた。隣でフシギソウが申し訳なさそうに座っている。しばらくリンクはトレーナーを睨んでいた。が、トレーナーが本気なのを感じ取りとうとう折れた。
「………リーダーになりたくない。かといって誰かを中心にして事を進めたりしたくない。…そんな、自分勝手な理由だよ。」
「非協力的だね………。」
「そう言われてしまっても仕方ないね。」
トレーナーはまじまじとリンクを見つめた。その時、バルコニーにつながる扉が開き、ネスがやってきた。
「二人ともこんなところにいたんだ。探したよ。」
が、二人を認めると固まってしまった。
「……な……何、してるの……?」
なんとか言葉を絞り出す。が、その表情はどこか青白い。トレーナーは表情を崩さなかった。
「……気にしないで。それで用件は?」
それどころか、トレーナーは淡々と言葉を継いだ。しかもその目はリンクから外れていない。
「……放してよ……。」
リンクのかすかな抗議は誰の耳にも届かなかった。
「え、あぁ、そうそう。お試しリーダーのことなんだけど、始めはマリオだよ。明日から始めて、一人一週間。パスはなし。二人は最後の方だったと思ったけど……。それを伝えに来ただけ。」
「……分かった。ありがとう。」
ネスはそそくさと戻っていった。
「……………。」
「……………。」
しばらく無言だった。が、リンクがため息を吐くと、切り出した。
「いつまでこうしておくの?理由は話した。満足してないの?」
「…いや……そんなことはないけど………。」
「なら放してよ。オレは、はじめに言ったはずだよ。筋の通った理由じゃないって。」
ようやく、トレーナーはおれた。フシギソウに蔓を戻すように言うと、フシギソウは蔓を引っ込める。リンクは立ち上がるなり中へ入ろうとした。
「もうちょっとだけ話に付き合って!………リンク、帰っちゃうの?」
トレーナーのその声は弱々しかった。リンクはハッとするとトレーナーに向き直った。
「それはしないよ。だから安心して?」
トレーナーは神妙な顔をして頷いた。
「後……どうするの?リーダーを決めるってことに決定したみたいだけど…。」
リンクは少し言葉に詰まった。ちょっと顔を背け、呟く。
「……もう、成り行きに任せるよ……。」
今度こそリンクは中に入っていってしまった。
「……リンク……。」
バルコニーには冷たい空気が流れていた。
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集合しているキャラに少々違和感あるかもしれません。
メインはマルス(一応)。
キャラ崩壊注意!!
崩壊と言うほど壊れはしないと思いますが、ほとんどのキャラにおいて、好きな人は許せないかもしれません。閲覧は自己責任でお願いします。
―――――――――――――
「ねぇ、みんな。リーダーとかってどうする?」
突然のマルスの言葉にみんなの手が止まった。が、それは一瞬のことで、
「そんなの、世界一有名な俺に決まってるじゃないか!」
と、マリオが名乗り出た。気持ち前に出ている。すると、違う所からも名乗り出る声がした。
「何を言う!速さにかけては俺だ!だからリーダーは俺だ!」
ファルコンだ。マリオとファルコンの間には火花が飛び散っている。
「足なら俺が一番だぜ?」
そこにソニックが横槍を入れた。すると、ドンキーも便乗する。
「リーダーは俺だ!力が必要だからな!」
……もはや根拠がおかしい等と指摘する人は存在しなかった。
「ボク、ボク!」
「ボクもやってみたい!」
「こらこら。」
挙げ句の果てにはカービィやゼニガメも興味本位に手を挙げ出した。ゼニガメに関してはフシギソウに引き戻されてはいたが。
「お前らな……他の奴のことを考えられなきゃ、リーダーは無理だ。」
「みんな、そんなこと言って全然だめねぇ……。私がやるわ。」
「何?」
「何だと!」
「え?」
フォックスとサムスが宣言すると、大反発された。すでにピリピリしていた空気は、瞬く間に爆発した。リーダーを巡っての言い争いが始まったのだ。
「俺だ!」
「私よ!」
「俺!」
「ボク!」
「俺がやる!」
しばらく様子を見ていたスネークとネスだったが、彼らが立ち上がったのはほぼ同時だった。
「仕方ないな。俺がやってやろう。」
「みんな、みっともないなぁ。ぼくがやるよ。」
「ダメだ!!」
見事なまでに喧嘩組の声がはもった。ネス、スネークも喧嘩に参戦し、ますます激しさを増していく。
「なんか、すごいことになっちゃってるよ……。」
傍観組のルイージがおろおろして呟いた。ファルコは一つ頷いて、どうでもよさそうに返す。
「あれはしばらく止まらないな。」
すると、アイクがマルスに向き直った。
「……どうする気だ、マルス?」
「いや……そんなこと言われても……まさかこんな大事になるなんて……。」
振られたマルスはまだ状況についてこれていなかった。
「……普通は考えないよね。」
トレーナーが同情して言った。
「こっちで勝手に決めない?あんな風に喧嘩されると少し頼りない……。」
ピットが提案した。
「少しどころじゃないわ。」
ピーチが文句を呟きながら同意した。他の人もピットの意見に賛成のようで、バラバラな所にいた人も集まってきた。
「みんなに聞きたいんだけどさぁ、誰になってほしいの?」
ヨッシーが言うと、傍観組は押し黙った。やがて、ディディがおもむろに口を開けた。
「……ぼくはやっぱドンキー。」
隣で、ファルコが肩をすくめる。そして、当然、といったように言い切った。
「フォックスだな。」
そのまま、傍観組の目は、近くにいたリュカに向いた。リュカはたじろいだが、
「……ネス。」
と、なんとか言の葉を出す。そして、今度はルイージに視線が集まった。
「僕は兄さん、かな。」
ルイージはさらっと言った。すると、ピーチがそれにうなずいた。
「私もルイージと同じよ。」
ピーチが視線を下げると、一行の視線も下がる。ピカチュウが一瞬首を傾げたが、
「トレーナー、かな。」
と無言の要請にこたえた。そのままメタナイトに発言が求められたが、
「あの中で決めろと?」
と一蹴された。隣にいたアイクは、マルスの方を見て一言。
「言い出したお前がやればいい。」
マルスがため息をついたのは言うまでもない。次にバトンが回ったのはアイスクライマーだった。
「サムス。」
とナナは答え、
「ソニック。」
とポポは答えた。珍しく意見が食い違った。そして、ゼルダにも発言が求められた。
「私はリンクが…。」
彼女は控えめに答えた。
「……ファルコンさんですね。」
無言の圧力がくる前に名を挙げるオリマー。そして、
「……スネーク……。」
とピット、
「リンク。」
とトレーナー、
「マルスだな。」
とロイがテンポよく言っていった。
「誰でもいい。」
ルカリオは、この話題に無関心を示した。
「カービィに決まってる。」
プリンの目はハートだ。最後にマルスへ視線が向いたが、
「僕は分からないから聞いたんだけど……。」
マルスは困ったように頭をかいた。しばらく沈黙がはしった。
「……みんな、見事に分かれたね……。」
一同の心情を代表して、ヨッシーが言った。
やがて、ヨッシーはリンクに向き直った。
「リンクは何も言ってなかったけど、リンクなら誰を推薦するの?」
傍観組はリンクを見た。リンクは困ったような顔をしたが、やがて顔を背けた。
「……オレは、リーダーなんて必要ないと思う。」
「え!?」
傍観組のほとんどは驚きの声を上げた。
「確かに決めるのは大変だけど、必要ないことはないと思うよ。」
トレーナーが反論に出た。大体の者がそれに同意して頷く。
「なら聞くけど、どうして必要?」
「理由、か。そうだね……。」
マルスは腕を組んで考え込んだ。やがて、おもむろに口を開く。
「僕は、これだけの人数がいたらまとめ役が必要になってくると思うね。現に今……この状態だし……。」
「オレが思うに、逆にリーダーなんて作ったらまとまらないんじゃない?」
大儀そうにリンクが言った。が、顔は真剣そのものだ。
「どうしてそう思う?」
ルカリオが聞いた。リンクが答えようと口を開こうとした。が、
「分かった。」
とルイージが言う方が速かった。自然と傍観組の注目がルイージに集まる。ルイージは尻込みしてしまったようだった。
「……続けろ。」
メタナイトが促したことでルイージは答えを言った。
「あそこで喧嘩をしているのは、みんな、リーダーになりたいからなんだと思う。それなのに、他の誰かがなっちゃったってことにでもなったら……。」
「…いい気はしねぇな。」
ファルコが唸った。ピットがリンクを見た。
「リンクが言いたかったことって、それ?」
リンクは頷いた。
「その通りだよ。大体、オレ達はリーダーなしでまとまれないほど幼稚じゃない。……違う?」
しばらく間が開いた。傍観組はお互いを見合う。やがて、ゆっくりとオリマーが言った。
「そうですね……確かに、リンクの言う通りです。」
「なら、リーダーは必要ないってことでいいのかしら?」
ピーチが結論を出すと、それぞれが肯定した。傍観組では話がまとまった。
……かのようにみえた。
「あの人達」
「どうするの?」
ポポとナナがマリオ達―喧嘩組を指さした。彼らの喧嘩はまだ続いていたのだ。しかも、確実に傍観組が話し合っている間にヒートアップしていた。
「……止めないわけにはいかないね。」
ピカチュウが苦笑しながら言った。すると、
「…仕方ないなぁ……。」
とリンクは立ち上がり、喧嘩組のところへ向かっていった。そして一言。
「その件についての話し合いは終わったよ。」
直球を投げた。
「……た、単刀直入だね……。」
リュカの呟きに傍観組は頷くしかなかった。しかし、喧嘩組には効果覿面で、喧嘩は収まった。
「え?」
「ハ?」
「どういう事?」
……数々の抗議はあがったが。しかし、リンクは気にとめた様子もなく続けた。
「オレ達にリーダーは必要ない。ね、みんな?」
リンクは傍観組の方を振り向いた。トレーナーが後を引き継いで言う。
「僕達はリーダーなしでもまとまれるはず、っていうのが僕達の話し合いの結果。」
「何を勝手に決めているんだ!」
ドンキーが吠えた。しかし当然と言えば当然であろう。が、ピットは涼しい顔をして答えた。
「さっきの様子じゃあ、声をかけても無駄な気がしたし。」
「……頼りなかったとは言えないよね。」
ルイージの声が聞こえた者は、おもわず苦笑した。
「だが、それは話が急すぎる。」
やはり納得のいかないスネークが言い返した。するとゼルダがやんわりと問い返す。
「それならば、そちらで何か話はまとまりましたか?」
「そ、それは……。」
ネスが言い淀む。喧嘩組の方では、まとまるどころでは無かったのだ。
「こちらでは、リーダーを決めることで揉めるくらいならリーダーを作ることはない、という意見が出た。」
ルカリオが言った。するとマリオが
「なら多数決でどうだ?」
と提案した。驚いてオリマーが聞き返す。
「どうしてそうなるのでしょう?」
その質問にはフォックスが答えた。
「要するに、揉めなきゃいいんだろ?穏便に済ますという点では、多数決は適していると思うが。」
すると、マルスが思案顔で呟いた。
「……そうだね……それならリーダーを決めるのには最適……。」
「ならば、多数決をするのに賛成の者は?」
アイクが言うと、ヨッシーとリンク以外が手を挙げた。呆れたようにプリンが言った。
「どうして手を挙げないの?」
「そこまでしてリーダーを決める必要がない、っていうのがあくまでもオレの意見。それに……。」
リンクはヨッシーを見た。ヨッシーはリンクの言わんとすることを汲み取って頷く。
「さっきもこちらだけで誰になってほしいのか聞いたけど、見事にバラバラだったよ。」
「……そうだったな。」
メタナイトが呟いた。が、ソニックは不満顔だ。
「だけど、俺達が入ったら変わるかもしれないぜ?」
「…可能性はあるよね。」
ディディが言った。が、またしてもリンクがそれを否定した。
「残念だけど、ないよ。」
とうとうサムスが激怒した。
「どうしてそうやって決めつけるの!?」
リンクは肩をすくめた。
「理由は簡単だよ。喧嘩をしていた人はみんな、自分がいいと思っている。手を挙げるにしても自分に手を挙げる。結局バラバラだよ。あ、自分以外に手を挙げなきゃいけないってルールを付け加えるなら話は別だよ。だけど……それじゃ納得しないでしょ?」
「…カンペキな答だな。」
ファルコが感嘆して言った。だが反感を持った者もいた。
「だったら、何かいい案でもあるのか?」
ファルコンだ。喧嘩組の一部は煮え切らない思いがあるらしく、リンクを睨んだりもしている。リンクはため息を吐いた。
「だから、オレはリーダーを作らないっていうのが持論なんだって。……しばらく様子を見てみたらどうかな?後々リーダーが必要になってくるかもしれないけど、今は必ず必要かというとそうでもないと思う。……リーダーを決めるのを焦らなくていいと思うんだ。」
全員が押し黙った。しばらくして、あ!とピットが叫んだ。
「今思いついたんだけど、期間を決めて交代でやっていかない?お試しとして。」
ピットはリンクの意見を完全に無視したことには気づいていない。が、誰もそのことをわざわざ言ったりしなかった。
「……いい、それ、面白そうじゃねーか。」
そう、大体の者がピットの提案に興味を持ったのだ。
「やろう、やろう!」
カービィが叫んだのを皮切りに殆どの人がその気になって騒ぎ始めた。そんな中一人みんなの部屋を出て行く影があった。それを見つけたトレーナーは、そっと後を追う。
「ハァ………。」
トレーナーは影を追ってパルコニーまでやってきた。外は真っ暗だ。そして、静かだった。……影――リンクのため息を除いては。
「……来なきゃよかったかな……。」
リンクは手すりにもたれ掛かり、招待状を取り出した。そしてまた、ため息を吐く。
「そんなに不満なの、リンク。」
トレーナーはリンクに近づいていった。リンクは驚いて振り返った。
「……もしかして今の、聞こえた?」
その顔には困った様子がありありと浮かんでいた。
「来なきゃよかったかな、ってところ?聞こえたよ。残念だけど。」
「……ごめん。今の、忘れて。」
リンクはトレーナーの横をすり抜けて中へ行こうとした。
「待って!一つ教えてよ。……どうしてリーダーを決めたくないの?」
しばらく間が開いた。やがて、リンクは首を振った。
「……聞かない方がいいよ。筋の通った理由じゃないから。」
「それでも、聞かせてほしい。」
リンクは無視して立ち去ろうとした。が、何かが絡みついてリンクを捕まえた。それは、フシギソウの蔓だった。リンクは身動きすらとれない。トレーナーはリンクの前に回った。
「いきなり何を!」
「……教えてくれるまで放さない。」
トレーナーは腕を組んで仁王立ちしていた。隣でフシギソウが申し訳なさそうに座っている。しばらくリンクはトレーナーを睨んでいた。が、トレーナーが本気なのを感じ取りとうとう折れた。
「………リーダーになりたくない。かといって誰かを中心にして事を進めたりしたくない。…そんな、自分勝手な理由だよ。」
「非協力的だね………。」
「そう言われてしまっても仕方ないね。」
トレーナーはまじまじとリンクを見つめた。その時、バルコニーにつながる扉が開き、ネスがやってきた。
「二人ともこんなところにいたんだ。探したよ。」
が、二人を認めると固まってしまった。
「……な……何、してるの……?」
なんとか言葉を絞り出す。が、その表情はどこか青白い。トレーナーは表情を崩さなかった。
「……気にしないで。それで用件は?」
それどころか、トレーナーは淡々と言葉を継いだ。しかもその目はリンクから外れていない。
「……放してよ……。」
リンクのかすかな抗議は誰の耳にも届かなかった。
「え、あぁ、そうそう。お試しリーダーのことなんだけど、始めはマリオだよ。明日から始めて、一人一週間。パスはなし。二人は最後の方だったと思ったけど……。それを伝えに来ただけ。」
「……分かった。ありがとう。」
ネスはそそくさと戻っていった。
「……………。」
「……………。」
しばらく無言だった。が、リンクがため息を吐くと、切り出した。
「いつまでこうしておくの?理由は話した。満足してないの?」
「…いや……そんなことはないけど………。」
「なら放してよ。オレは、はじめに言ったはずだよ。筋の通った理由じゃないって。」
ようやく、トレーナーはおれた。フシギソウに蔓を戻すように言うと、フシギソウは蔓を引っ込める。リンクは立ち上がるなり中へ入ろうとした。
「もうちょっとだけ話に付き合って!………リンク、帰っちゃうの?」
トレーナーのその声は弱々しかった。リンクはハッとするとトレーナーに向き直った。
「それはしないよ。だから安心して?」
トレーナーは神妙な顔をして頷いた。
「後……どうするの?リーダーを決めるってことに決定したみたいだけど…。」
リンクは少し言葉に詰まった。ちょっと顔を背け、呟く。
「……もう、成り行きに任せるよ……。」
今度こそリンクは中に入っていってしまった。
「……リンク……。」
バルコニーには冷たい空気が流れていた。
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