想いのペンダント

リンク中心(一応)。ほとんどのキャラが出ます。リンゼルと信じます。
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みんなの部屋(カービィ命名。リビングにあたる)にはマリオ、ドンキー、ピカチュウ、フォックス、そしてサムスがいた。そこにゼルダがやってくる。ゼルダは、近くの机の上でくつろいでいたピカチュウに声をかけた。

「ねぇ、ピカチュウ。リンクを見ませんでした?」

「えっ?…知らないよ?」

ピカチュウはポカンとして返した。ゼルダはそれに曖昧に微笑んだ。

「そう…ありがとうございます。」

その話を聞いていたマリオが、二人に声をかけた。

「いないのか?」

ゼルダは困ったようにうつむいた。

「私…昨日からリンクを見ていないのです…特に用事があるというわけではないのですが……どこに行ったのでしょうか?」

そこへドンキーも会話に参加してきた。

「いないと言えば、ピーチはどうした?」

「……知らないなぁ。」

マリオが眉をひそめてつぶやいた。

「まさか……いえ、ありえないわ。そんなこと……って、あれ!」

何かをごちゃごちゃ呟いていたと思えば、いきなり叫んだサムス。彼女の方を見てみれば、彼女は窓の方を指差した。その場にいた6人は一斉にサムスが指さした方を向いた。

「何だよ!」

サムスの意図することがよく分からなかったらしいドンキーが、苛立たしげに言った。

「あそこだよ!」

ピカチュウは窓へ走りより、指差した。

「……ピーチ姫……」

マリオが力なくつぶやく。そこにはピーチとリンクが仲良く話す姿があった。

「…どうした?」

フォックスは今まで、話に気にも止めず、本を読んでいたが、部屋の空気がおかしいのに気付き顔を上げた。ゼルダが無言で窓の外を指差す。

「…あれがどうかした うわっ!」

フォックスは慌てて跳んだ。フォックスがいた位置で鞭がはじける。フォックスはサムスの攻撃を危機一髪でよけたのだった。

「いきなり何だ!」

フォックスは怒鳴る。

「ちょっと来なさい!」

サムスは怒鳴り返すとフォックスを無理やり部屋から連れ出した。





2人は廊下に出て、みんなの部屋から少し離れたところまで来た。フォックスは立ち止まる。

「…もういいだろ。何だ。」

先頭を歩いていたサムスだったが、仕方なく振り返る。あきれたように腰に手を当て、告げた。

「あの状況を見て分からないの?」

フォックスは眉を顰めた。

「あの状況?リンクとピーチのことか?」

「当たり前じゃない!」

サムスはカッとして叫んだ。しかし、

「……分からないな。」

フォックスは腕を組み、至って真面目な顔で言った。サムスはさらにたたみかける。

「……!どうしてっ!?1つしかないじゃない!まるで2人は…」

「本人に聞いたらどうだ?」

サムスの言葉を、フォックスはめんどくさそうに遮って言った。やれやれ、と言いたげな顔をしている。

「…何!?その言い方は!まるで自分は何でも知っているような感じね!!」

「あぁ。どうやらあの中でリンクの性格を完全に理解しているのは俺だけだと感じた。」

今度はサムスが眉を顰める番だった。

「…どうして?ゼルダが一番…」

「リンクを信じろ。ピーチはともかく、リンクはそんな奴じゃない。」

そう言い残すと、フォックスはさっさと行ってしまった。サムスはそれを見送るしかなかった。フォックスが行ってしまうと、サムスはみんなの部屋に戻った。





「……ゼルダは?」

サムスがみんなの部屋に戻ると、ゼルダはその場にいなかった。

「…部屋にもどっちゃった……。」

「ただいま。」

そこへリンクが部屋に入って来た。が、すぐに様子がおかしいことに気付いたようだった。

「…どうしたの?なんか、空気がすごく重た…わっ!マリオ、いきなりどうした!放せ!」

マリオがリンクに掴みかかっていた。

「昨日からいなかったが、どこに行っていたんだ!」

マリオはリンクの質問に答えず、そのままのいきおいでリンクに聞いた。リンクはひとまず、大人しくマリオの問いに答えた。

「昨日はずっとこの家にいたけど…今日は買い物に行ってたよ。……マリオ、そろそろ放して欲しいんだけど…。まだ、やらなきゃいけないことがあるから。」

マリオはしぶしぶ手を放した。

「ありがとう。」

リンクは礼を述べると道具箱まで行き、小刀を取り出した。そして部屋の扉へ歩み寄る。

「…もう1つ訊いていいか?」

ドンキーが言った。リンクは振り替える。

「…どうぞ?」

「ピーチが一緒だったようだが、なぜだ?」

「ピーチ?……あぁ、彼女には買い物を手伝ってもらってたんだ。」

いきなりリンクは横に跳んだ。リンクのいた場所にマリオの攻撃があたる。

「……オレからも1つ聞きたい。」

リンクはまわりの様子を伺った。

「オレ……何かやったかな?」

マリオ、ドンキー、ピカチュウ、サムスは無言で返した。4人が答えそうにないのを見て、リンクは部屋を出て行ってしまった。

「私…夜御飯の準備をしてくるわ…。」

サムスは、内心この日が食事担当であっとことに感謝しながら、あたふたとキッチンに行ってしまった。

「…ぼ、僕も手伝う!」

ピカチュウもキッチンに入っていってしまった。残されたドンキーがマリオを伺うと、彼は手を握り締めて扉の方を睨みつけていた。





その日の夜、ゼルダは夕食の場に姿を現さなかった。そこで、カービィはゼルダの部屋にやってきた。コン、コンと扉を叩く。

「ゼルダ?」

ゼルダは無言で扉を見つめた。返事がないのにしびれを切らし、カービィは取っ手を回した。が、鍵がかかっていたため、開かなかった。少し考え込んだ後、気づいていないと解釈し、カービィは連続で扉を叩き始めた。

「……カービィ。」

ゼルダは、さすがに申し訳なくなって、無視することを放棄した。

「あ、ゼルダ!ごはんだよ!!」

カービィは叩くのをやめ、要件を伝えた。

「しばらく、放っておいてください……。」

が、返ってきたのはカービィの期待に反する言葉だった。

「え?でも、ご飯は!?」

「…いりません…。」

ゼルダの声は、とても弱弱しかった。カービィはしばらく扉を見つめた。が、あきらめてみんなの部屋に向かった。





その頃、リンクの部屋の前にはフォックスがいた。扉を叩く。

「入るぞ。」

「…え!?ちょ、ちょっと待って!」

フォックスはリンクに構うことなく入った。部屋の中は埃っぽく、リンクの手にはペンダントと小刀が握られていた。

「…待って、って言ったんだけど…。」

「なんだ?それ。」

フォックスはリンクの抗議を無視し、ペンダントを指差した。

「え……と、これは……。ごめん、内緒。」

リンクは困ったような顔をした。それを見て、納得したようにフォックスは頷いた。

「…あぁ…なんとなくだが分かった。」

「ところで、オレに何の用?」

リンクは要件を問うた。フォックスは正直、夕食すら忘れているリンクに呆れた。

「…夕食だ。」

「あぁ………。」

リンクは悩むように腕を組んだ。

「後でいいよ。…残っていたら、だけど。」

「……?分かった。」

疑問は残ったが、フォックスは何も聞かず部屋を後にした。その後、カチャ、と鍵がかかる音が聞こえた。





みんなの部屋には何人かが夕食を食べるために集まっていた。

「みんな遅いなぁ。」

ソニックが愚痴った。それにネスが答える。

「そうだね。トレーナーは大会、ヨッシーは里帰り、アイスクライマーは また山登り、ルカリオ、メタナイト、ピットは修行、スネークは任務…にしても、集まりが悪いよね。」

「アイクもだ。急に国が大変なことになったらしい。」

マルスが付け加えた。

「みんな遅いから、先に食べていましょうか。もともと待つ必要もないし。」

「そうだね。」

ディディが言ったのを皮切りに、その場にいた全員がご飯をよそい、食べ始めた。

「ルイージどうだった?」

サムスが部屋に入ってきたルイージを見つけ、声をかけた。

「…お腹すいてないって…どうしたんだろう。」

しょんぼりしたように答え、ルイージも食べ始めた。

「あーハラ減った。なんで俺が2人も呼ぶはめになったんだ?」

ファルコがピーチとドンキーを連れて入ってきた。

「あ…ごめんなさい…兄さんの事で頭がいっぱいになって…その…。」

「ハァ。ピーチも連れてきたんだ。感謝しろよな。」

そう言うファルコはすでに食事をとっている。

「ところでマリオは?」

ドンキーと共に食べ始めたピーチがルイージに聞いた。

「なんか……よく分からない……。」

ドンキー、サムス、ピカチュウは顔を合わせた。

「答えになってねーよ。」

ソニックが突っ込んだ。しかし、ルイージはそれ以上答えようとしなかった。

「はぁ………。」

そこへカービィが戻ってきた。そして椅子に座る。

「ゼルダは?」

何も言わないカービィにファルコンが聞いた。

「ほっといてって言われた……。」

「食べないの?」

プリンは聞きながらカービィの隣に移動する。

「うん…。なんか、ゼルダの事が気になって…。」

「君もか?」

ファルコンが聞いた。フォックスが部屋に入ってきたところだった。

「…いきなりなんだよ。」

「1人で戻ってきたみたいだが?」

ファルコが捕捉する。

「あぁ…そういうことか…。後で食べるらしい。ところで……みんなと顔を合わせたくなさそうだったが、何かあったのか?」

「…彼が?僕達と顔を合わせたくない?」

マルスが驚きの声をあげる。その頃、食べ終わったらしいリュカ、ディディが部屋で遊び始めた。オリマーは話に加わらずにその様子を眺めている。

「厳密に言うと、俺、サムス、マリオ、ピカチュウの4人だな。」

ドンキーが説明した。

「?一体どういう意味かな?」

更に不思議そうに首をかしげるマルス。それを見かねたサムスが、ため息をつきながら立ち上がった。

「…マルス、フォックス、ちょっと来て…。」

サムスは出ていった。

「………またか。」

やれやれといったようにフォックスはサムスを追っていった。疑問に思いつつも、マルスもフォックス同様にサムスを追った。





サムス、フォックス、マルスの3人は、夕方に話していたところにやって来ていた。

「…どうしたんだい?」

マルスは気になっていた事を口にした。

「実は……」

サムスは先ほど見た、ピーチとリンクの事を話した。

「…あり得ないね。ピーチならともかく、リンクだからね。」

マルスはフォックス同様、即座に否定する。一方フォックスは、眉間に皺をよせていた。

「それで、その事をリンクに話したと?」

フォックスが聞いた。

「いいえ……。」

サムスは続きを話した。

「……リンクに攻撃した?…なるほどな…。」

「…ゼルダもリンクを信用してないみたいだね。」

マルスの言葉を聞くと、フォックスは歩き始めた。

「どこへ行くのよ?」

「リンクの部屋だ。」

サムスの質問に短く答えると、そのまま行ってしまった。

「…戻ろうか、サムス。ピーチにも話を聞いた方がよさそうだしね。」

マルスはみんなの部屋へ向かって歩きだした。

「ピーチに……?そうね……。」

サムスはマルスに続いた。





「ピーチ。ちょっといいかな?」

マルスはみんなの部屋に戻るとすぐにピーチに声をかけた。そして手招きする。

「なぁに?」

ピーチがマルス、サムスのところへ歩いてきた。ドンキー、ピカチュウは耳をそばだてる。

「リンクと出かけてたらしいけど、どこに行っていたの?」

「どこって、買い物よ。リンクが手伝って、って言うから。それが何か?」

「…一体、何を買ったの?」

「えっと、それはね……あぁ、ごめんなさい。ヒミツなの。リンクに口止めされてて……。でも、明日になったら分かるわ。」

「明日になったら……?明日……なにかあったかな……?」

「何言ってるのよ!明日は何の日?」

ピーチはそう言うと、カレンダーを指差した。すると、サムスが合点がいったように叫んだ。

「あ!そうよ、明日は大事な日よ!ピーチ、今すぐマリオのところに行って誤解を解いてきなさい!」

「誤解?何のことかしら?」

「マリオは、ピーチが浮気してると思ってるんだよ!」

状況を理解したピカチュウが、少し力んで説明した。

「まぁ、それはひどいわね…。」

ピーチは少々不機嫌そうな顔をし、そう言い残すと、スタスタと部屋を出ていった。

「…それで、何だったんだ?」

まだ分かっていないドンキーが聞いた。

「ヒミツよ。こういうことはハプニングが一番。」

そう言うとサムスは、夕食の後片付けをするためにキッチンに入っていった。





その頃、リンクの部屋に再び来ていたフォックスはノックした。中からリンクが答える。

「…誰?悪いけど、そこで用件を言ってくれる?」

「……俺だ。」

「あぁ、フォックスか。それで用件は?」

「中で言いたい。俺は知ってるからいいだろ?」

「……どうしても?」

「どうしても、だ。」

「………ハァ。」

溜め息をつきながらもリンクは持っていたペンダントと小刀を置いた。そしてカチャ、と音をたてて鍵を開け、扉を開けた。フォックスが中に入る。

「…マリオ達のことは聞いた。あいつらのことはほっておけ。誤解しているだけだ。」

「誤解?何を……?」

「ゼルダもらしいが……あいつら、リンクがピーチと浮気したと思ったらしい。」

リンクは首を傾げた。

「………浮気?オレが?……ピーチに手伝ってもらったから?」

「どうやらそうらしい。」

「そして、ゼルダもそう思っているって……?」

「あぁ。そうらしいな。夕食にも来ていなかった。」

「……なぁ、みんな教えてくれなかったんだけど、オレ、何かした?」

「いや。みんなが誤解をしているだけだ。」

それを聞いて、更にリンクは混乱したようだった。腕を組んで考え込んだ。

「うーん…。おかしいなぁ。ゼルダのことだから、それだけで浮気だと思わないと思うけど……。やっぱ、何かやっちゃってるはずなんだけどな……。…………とにかく、ゼルダに謝ってくる。」

リンクは部屋を飛び出していった。

「…あいつらしいな…。」

フォックスはやれやれと開け放たれた扉とペンダントを見た。部屋の扉を閉め、自分の部屋に戻る。





リンクはゼルダの部屋まで来ると扉を叩いた。返事はない。そこで、リンクは再び扉を叩いた。やはり返事は返ってこない。リンクは話しかけてみることにした。

「…ゼルダ…?リンクだけど…。居るなら、開けてほしいな…。」

「………………。」

リンクはゆっくりとノブを回した。しかし、開かなかった。

「…怒ってる…みたいだね……。ごめん。オレ、何かしたのなら謝るよ。…でも、オレは今、ゼルダが何を怒っているのか分からないんだ。だから、教えてほしい。これからは、しないようにするから…。」

「…どうして分からないの……?」

ゼルダは扉を睨みながら言った。その声は小さかったが、リンクには聞こえていた。

“……何をしたんだろう……ゼルダをこんなに怒らすようなこと……あぁ、どうして分からないんだ!”

リンクはゼルダの怒っている理由を必死に考えていた。

“…行ってしまったのかしら…?”

外が静かになったので、ゼルダは勘違いした。が、ドン!と大きな音を立ててリンクがドアを叩く。ゼルダはとても驚いた。

「ゼルダ、ごめん!やっぱり分からない!本当にごめんなさい………。」

ゼルダはキッと扉を見た。返事はしなかった。リンクは溜め息を吐くと、あきらめてとぼとぼと部屋に戻った。

“やっぱりリンクは浮気なんかしていないのかもしれない……。”

リンクが本当にいなくなったのを感じるとると、ゼルダは考えにふけった。そして、一枚の紙切れを手にとる。

“これが嘘、あるいは間違いだったら……?”

そこには
『リンクは浮気をしている。信じないのならば、確かめてみるといい。』と書いてあった。

“…これを私のもとに置いていったのは誰……?”





一方、ピーチはマリオの部屋にやってきて、コン、コン♪と心地よい音をたてて、扉を叩いた。

「誰だ?」

マリオはそう言いながら、気だるそうに扉を開けた。「…ピーチか…。」
マリオは呟くと怪訝そうにピーチを見上げる。

「もう、ひどいわ。私は浮気なんかしてません!」

「そりゃ、そうだろうね…………。」

「まぁ、信じてくれないの?リンクのお手伝いをしただけなのに?」

「あぁ、あいつもそう言ってたよ。で、何を買ったんだ?」

「それは……。」

ピーチは返答に困り、口籠もった。これ見よがしにマリオは言った。

「言えないんだろ。」

ピーチは困ったようにうつむいた。が、すぐに、

「……分かったわ。ちょっと待っていてね。許可だけ得てくるから。」

と言い、歩きだす。

「…許可って何だよ。」

マリオの小言が聞こえたピーチは振り返った。そして

「私が戻ってくるまでに明日が何の日か考えてごらんあそばせ!」

と言いながら、アピールして去っていった。





リンクの去ったゼルダの部屋では、相変わらずゼルダが考え事をしていた。

「…そろそろ信じてもらえたかな。」

そこに大柄の男が現れた。

「ガ、ガノンドロフ……!!」

ゼルダはその男を認めると数歩下がった。警戒の色を強める。

「リンクの情報は満足してもらえたようだな。」

意地悪く大柄の男=ガノンドロフが笑った。

「これはあなたが……。」

ゼルダは驚愕し、紙切れを手に取ると、紙切れとガノンドロフを交互に見た。

「ハイラルの姫君にお伝えするべきだと思いまして。」

ガノンドロフはしたり顔をしながら、あえて丁寧に告げる。ゼルダは、不気味な笑みを浮かべているガノンドロフをしばらく見つめた。が、

「……どうやら、私が間違っていたようです。」

と言い残して、部屋を飛び出していった。





リンクの部屋にやってきたピーチは扉を叩いた。

「誰?」

というリンクの声が返ってくる。

「私よ。」

ピーチは短く言った。

「ごめん、そこで用件を言ってもらえる?」

丁度その時、ゼルダがその場にたどり着いた。が、ピーチを見つけると廊下の陰に潜んだ。

“どうしてピーチがいるの?”

ゼルダは不安げに様子を見守っていた。

「分かったわ。えっとね、あのこと、話してもいいかしら?」

するとリンクが扉を開けた。そして叫ぶ。

「どうして!?ダメに決まってるじゃないか!」

“え……?何のこと……?やっぱり2人は……。”

ゼルダは胸に手をやった。

「でも、ゼルダじゃなければいいじゃない。」

ピーチは粘り強くリンクを説得した。

「ダメったらダメ。ゼルダに情報が入ったらどうするの?」

リンクのその言葉を聞き、ゼルダはいたたまれなくなって、部屋に戻った。そんなことは露知らず、リンクは続ける。

「オレのやってること、全部水の泡だよ!」

「でもね、私もマリオに誤解されて、大変なのよ!」

「マリオ?誤解?……ごめん、オレのせいで……。分かった。信じてくれそうになければ話していい。でも口止めは……」

「絶対するわ!ありがとう!」

ピーチはニッコリ笑うと、走り去った。





「やっぱり2人は浮気をしていたのね!あれは本当だったんだわ!」

ゼルダは部屋に戻るなり、叫んだ。

「どうして?どうしてよ………。なんで…………あぁ、リンクのバカ!」

言うだけ言うとベッドに泣き崩れた。すると、再びガノンドロフが部屋に現れた。そして話しかける。

「本当だっただろう?」

ゼルダは答えずに泣き続けた。実は、ガノンドロフとしても、事が非常に上手くいっているのに驚いていたが、そんなことを少しも表に出さず、続ける。

「あいつが憎くないか?仕返しをしたいとは思わないか?」

ガノンドロフはゼルダをそそのかした。ゼルダはハッとして、しばらく考え込む。

「……できないわ。だって……リンクはあなたより強い。」

これまた予想外の好感触にガノンドロフは内心ほくそ笑んでいた。更に、そそのかす。

「あぁ。認めたくないが、俺より強い。しかし………俺と姫君が力を合わせば…………?」

「私とあなたが協力して………?できますか?」

ガノンドロフは、勝った、と思った。

「もちろん。姫君のご協力さえ得られれば。」

ゼルダの頭の中はリンクが浮気したという事しかなかった。そこで、何も考えずに答える。

「…わかりました。私は何をしたら?」

「まずは俺の城へ。」

ガノンドロフはにやりと笑う。2人はワープでいなくなった。




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