サイドストーリー

リンクが捕まった。リンクのトモダチを名乗るスタルキッドにも、その情報はすぐに入ってきた。リンクだったらすぐに元気になっていなくなると思っていたが、そんな話は全然聞かない。

さすがにおかしいと思ったスタルキッド。ダークリンクに聞くのがはやいとは知っていたが、それが危険なこともちゃんと分かっていた。じゃあどうする。うーん、と頭を捻っていると、

「悩み事カ?」

他のスタルキッドに心配された。スタルキッドは首を振って誤魔化す。

「別ニ。」

「そうカ?」

そのスタルキッドは不思議そうにスタルキッドを見つめていた。しばらくうんうんとこちらを見ていたが、ポン、と手を叩く。

「この前、オモシロイこと聞いたゾ!」

「オモシロイこと?」

正直、今は放っておいてほしいと思ったが、自分が心配させたのが悪いのは分かっているスタルキッド。しょうがない、と話を聞くことにした。

「ツインローバ、知ってるカ?」

「………?ガノンドロフ様のナカマって聞いたゾ。」

スタルキッドが答えると、相手は大きく頷いた。

「デモ、まぬけ!」

「………は?」

いきなりの悪口に固まってしまった。何にも言えずに相手を見る。

「強い、怖い、魔法もできる!デモ、いっぱい見せてくれる!」

「そ、そうカ。」

勢いに押されて、スタルキッドはそうなんだと思った。それと同時に、だから何だと思う。でも、相手が一生懸命励まそうとしてくれているのは分かっていたから、それ以上は言わない。

「おうちも見せてくれるって聞いたゾ!」

スタルキッドはよく分からず、首を傾げた。

「連れて行ってくれるってことカ?デモ、帰ればいいダケ……。」

「違う!透明な丸いヤツで、見せてくれる!」

スタルキッドが言いかけると、強く言って間違いを直す。それを聞いて、スタルキッドは思わず目をキラキラとさせてしまった。

「違う場所が、その丸いヤツで見れる?」

期待を込めて、教えてくれたスタルキッドに聞く。

「そうダゾ!」

スタルキッドの顔が明るくなったのが分かったのだろう、相手のスタルキッドも嬉しそうだ。

「オモシロソウ!見てくる!!」

スタルキッドはパッと走り出した。ナカマは元気づけようと、懐かしい家が見られると教えてくれたが。スタルキッドはその時ピンときたのだ。スタルキッドの目的は、別のところにあった。





「ツインローバってオマエらカ?」

ツインローバを見つけ出し、遠慮なく話しかける。子供のトッケンってやつだ。すると、ツインローバは鬱陶しそうな顔をした。

「なんだい、随分と生意気な餓鬼だね。」

しっしと犬を追いやるように手を振っていたが、それに気付かないフリをして、

「ヒヒッ、ツインローバ、強いってホント?」

と、スタルキッドは聞いた。すると、

「あぁ、強いさ。」

何かやっていたことをやめて、こちらを見た。偉そうなままだけど。でも、スタルキッドにはそんなことは関係ない。強いと聞いて、あえてキラキラした目をして見せる。

「魔法もデキル?」

できると知っていながら、質問する。ツインローバ達はふふんと得意そうな顔をした。

「あぁ、見てみるかい?」

「見たイ!」

スタルキッドはソッコーで答えた。すると、仕方ないねぇなんて言いながら、ツインローバの二人は炎と氷を出してくれた。

「スゴイスゴイ!」

スタルキッドは魔法を見せてもらって、大げさにはしゃいだ。はしゃげばはしゃぐほど、どんどんツインローバは偉そうになって、色んな技を見せてくれた。

一通り見たかなと思ったくらいで、無邪気にスタルキッドは口を開く。

「そういえば。ゆうしゃが捕まったッテ聞いた。ホント?」

途端に、ツインローバは狼狽えた。

「あ、あんた、どこでそんなことを……。」

どうやらみんながこそこそ言っていることは知らないみたいだ。でも、そこはどうでもいいので、スタルキッドは続けて聞いた。

「魔法で見れる?」

「はぁ?」

ツインローバは度肝を抜かれたような顔をした。

「見たい見たい!見せテ!」

ツインローバが困ったのを知っていながら、スタルキッドは無邪気にねだる。だが、流石のツインローバも、困ったような顔のまま、簡単にうんと言わない。

「そうは言ってもねぇ……。」

「ツインローバ強い!デキル!見せテ!!」

スタルキッドはもっとツインローバを褒めて、そしてだだをこねた。ツインローバの二人は顔を見合わせる。そして、肩をすくめた。

「仕方ないねぇ……。」

とうとう、ツインローバはやってくれる気になったのだ。どこからともなく透明の丸い玉を取りだし、机に乗せる。

「フンッ!」

ツインローバは掛け声と一緒に、透明の丸い玉に向かって手を伸ばした。そうして見えたのは、リンクの姿。ごくりとこっそり唾を飲みこみ、スタルキッドはそれを覗きこんだ。

……痛そう。スタルキッドが最初に思ったのは、それだった。手を挙げた状態で上から延びる鎖に繋がれて。やっぱり思う、リンクはすごく痛そうだ、と。

リンクを熱心に見ていると、ふと、見える端っこに、こちらを見るツインローバがいることに気付いた。

「ざまーみろ!」

慌ててスタルキッドは叫ぶ。ケタケタと笑って見せ、楽しそうにしながら机の周りを走り回った。そして、色んな角度からリンクの様子を確認する。右に行けばリンクの横が、後ろに行けばリンクの後ろが、よく見えた。やっぱりツインローバはすごいらしい。マヌケだけど。

「ほらほら、もう十分だろう。」

ツインローバから声がかかる。そろそろ終わらないといけないみたいだ。

「もうちょっと!」

スタルキッドは動きを止め、最後にじっとリンクを見つめた。

“待ってて。絶対助けるカラ。”

「まだ満足出来ないかい?」

呆れたような声でスタルキッドは顔をツインローバに向けた。声は呆れていたのに、顔はニヤニヤと嗤っている。これ以上は許してもらえない、と分かった。

「満足した!」

ヒヒッと笑いを残し、タタッと部屋を後にした。

「あれはなかなか大物になるねぇ。そう思わないかい、コウメさん。」

「憎き勇者とは言え、あれを見て喜べるんだからねぇ。先が楽しみだよ、コタケさん。」

部屋を出たすぐに、ケッケッケッと嗤う声が追いかけてきた。スタルキッドは立ち止まり、ツインローバの方を振り返る。

「……ざまーみろ。」

ポツリ、小さく呟くと、スタルキッドは姿を消した。





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