小ネタ集

リンクが迷いの森のスタルキッドの住処でお世話になっていたある日のこと。今日もまたリンクは、友達や他のスタルキッドに引っ張られて城下町に来ていた。



スタルキッド達は的あて屋が好きで、何度も足を運んでいた。今回も当たり前のように的あて屋に入っていく。

「いらっしゃい。また来たのかー、君たち。好きだねぇ!」

「コレ、全員分。」

面白そうに言う店主に、あるスタルキッドがルピーを渡した。店主は笑いながらそれを受け取ったが、そのまま動きを止める。店主はしばらくそのルピーを見つめていた。やがて、ニヤリと笑うとその半分くらいを突き返してきた。

「いつも遊んでくれるからな。今日はまけてやるよ!パーフェクト、出るといいな!」

歓声を上げるスタルキッド達。わいわいがやがやしながら、それぞれが挑戦する。いい線いくやつ、散々なやつ、いろいろだった。しかし、パーフェクトは出ない。順番が終盤に近付いた時、

「今日もやらないカ?」

友達のスタルキッドがリンクに言った。少々つまらなさそうである。しかし、いつもリンクは的当てを遠慮させてもらっていた。今回もリンクは胸の前で手を振って、やらないとアピールする。すると、

「やってみろ。面白いゾ。」

口々に他のスタルキッドからも勧められた。困ったな、とリンクが思っていると、吹き矢を差し出された。

「ホラ!」

やらざるを得ない雰囲気である。仕方なくリンクは、的の前に立った。

“吹き矢とか使ったことがないんだけどな……。”

心の中で呟きながら、リンクは見様見真似で吹き矢を構えた。的が出てくる。試しに吹くと、矢はあらぬ方向に飛んでいった。後ろからあちゃーという声や、クスクス笑う声が聞こえた。リンクはそれらには構わず、次を吹く。すると、それは綺麗に的に当たった。

“……分かった。”

その時、リンクは吹き矢の使い方を理解した。次の瞬間、リンクのスイッチが入った。スッと周りの音が消える。リンクは一心不乱に吹き矢を放った。



結果は当然……

「す、すごいな、君……。」

パーフェクトである。ハッと我に返って、リンクは変に気合いが入りすぎていたことに気づいた。もしかしたら引かれたかも、と恐る恐るスタルキッド達を見る。すると、

「すごいゾ!」

「ぱーふぇくとダ……!」

拍手喝采だった。自分のことのように喜ぶスタルキッド達を見て、リンクはなんだか嬉しかった。





「オマエ、コレ、使ったことあるのカ?」

その日の帰り道。他のスタルキッド達から離れた頃を見計らって、友達がリンクに聞いた。リンクはフルフルと首を振る。

「ソウだと思った……。」

どこか諦めたように、友達のスタルキッドは呟いた。




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