与えられし試練
リンクは世界の様子を無機質な声による報告のみで把握し、適度に攻撃した。その過程で、平行線を突き進んでいた両陣営が、交わるようになったらしい。思惑通りに事が進んだ。喜ばしい事態である。だが、リンクはそれを知ったとき、笑えなかった。自分の望んだことなのに、自分の願いに大きく近付いているのに、手放しで喜べない。だが、何故かは考えないようにした。本末転倒になるのは、火を見るより明らかだからだ。両軍が交わるようになって程なくして、守護者が倒されたという報告が上がった。つまり、協力できるようになったということだ。出陣させた守護者達が全滅させられるようにもなり、結束は強まっていると考えられた。女神軍と魔王軍が和平を結ぶ可能性が現実味を帯びてきた。いや、和平を結ぶのも時間の問題だろう。あんなにいがみ合っていた側近達でさえ、普通に話せるようになっていると報告を受けている。
「女神と魔王が和平を締結しました。」
リンクの襲撃からどれくらい経っただろう。ある日、唐突に響いた無機質な声。リンクはホッと息をついた。
「やっと、ここまで………。」
リンクは窓の外に目を向けた。
「もう、オレが負けても大丈夫かな……?」
リンクは歯を食い縛った。今の声は誰が聞いても弱々しかっただろう。まだ終わっていないのだ。自分の役目は、まだ。自分はこれから、試練達成の成果として打ち破られなければならない。そして、誰にも気付かれない場所に逃げ込まなければならない。それまで気を抜いてはいけないのだ。リンクは気を引き締め直した。
「さて、オレの居場所を教えてあげないとね。」
「塔の透明化を解除しますか?」
リンクは首を振った。
「まだダメ。変なタイミングだと怪しまれる。きっかけが欲しいから、ちょっと行ってくるね。」
リンクは塔を降り、外に出た。なんだかんだで、正規の方法で外に出るのは初めてだなと思いながら、辺りを見回す。塔の入口は、やはり目覚めた地の森の中にあった。リンクは森から平原に出る。さて、どうしようかと思考を巡らせていると、人影が見えた。どうしようかと首を傾げるも、すぐに好都合だと思い、姿を消して彼等に近づいた。それはテリーとプチブリン数人だった。リンクは森と反対側に、当人達からは外れるよう、軽い攻撃を撃った。驚いた彼等はリンクの思惑どおり、森の方へ走り出す。リンクは、何かの拍子で森から進路がずれないよう、何度か追撃した。彼等が森の中に逃げ込んだのを確認し、自身も姿を隠しながら森の中へ入った。奥へ奥へと進む彼らの後をこっそり追う。塔の正面に着いた時、入り口付近だけ透明化を解いた。彼らはびびったらしく、塔の方をうかがいながら森の中に身を潜めている。そこで、リンクは塔の前に姿を現した。気怠そうに辺りを見渡す。怯える彼らの姿はばっちり見えたが、見えなかった振りをした。
「おかしいな。上手く誘い込めたと思ったんだけど。」
リンクは大袈裟にぼやいた。肩を竦め、塔に向かって歩いていく。彼らを横目で確認すると、目を見開いて固まっていた。リンクはそのまま中に入り、塔を再び透明化した。そして、すぐさまスクリーンを出現させて外の様子をうかがった。彼らはよほど驚愕したらしい。まだ身を固めたままだった。それからしばらく、彼らは動けないでいた。
「Oh!ここは、リンクの拠点デスネ!まさかこんなところにあったなんて!報告デース!」
金縛りが解けたかのように我に返ったテリーは、プチブリン達を急かし、嵐のように森を出て行った。プチブリン達も急げ急げと言いながらテリーを追っていく。
「……賽は投げられた。」
テリーたちが走り去るのを確認してスクリーンを消すと、リンクは憂いの表情で微笑んだ。
それから程なくして、探索隊がやってきたらしい。テリー達が去ってすぐに透明化を解除する仕掛けを施しておいたのだが、しっかり見つけて解除してくれたようだ。リンクの拠点である塔が露になった。そして、とうとう連合軍が攻めてきた。
最上階にいるリンクのもとへ、ゼルダとガノンドロフが乗り込んできた。他の人は守護者達がしっかり足止めをしているらしく、現れたのは二人だけだ。リンクはゼルダとガノンドロフを、窓の反射で確認した。しかし、振り返ることなく、窓の外を眺めているフリをして口を開いた。
「二人ともご苦労様。そろそろ止めを刺そうかと思っていたから、行く手間が省けたよ。」
シャキ、と金属の音が聞こえ、ゼルダとガノンドロフが構えたのが気配で分かった。彼等は口を開かない。リンクは体勢を変えずに言葉を続ける。
「君達が死ねば、指揮官がいなくなって、統率を失う。そうしたら、オレの勝ちは決まったようなものだよね。」
リンクはクスクスと笑った。笑いながら、なんて淡白な笑い方なんだろうと思った。どうやら、少し気が参ってきているらしい。だが、これが最後だとリンクは気を引き締めた。嫌味な笑みを浮かべ直し、だんまりを決め込んでいる2人の方に体を向けた。ゼルダもガノンドロフも、真剣な顔でリンクを見ていた。後には引けないというような必死さと同時に、未来を切り開いてみせるという強い意志が滲み出している。
“ガノンドロフが見ていたオレは、こんな顔をしていたのかな。”
感慨にふけりそうになるのを堪え、リンクは横に手を伸ばした。これまでお世話になった剣が現れる。
「終わりにしよう、この戦い。
………
……………
…………………さようなら。」
最後の言葉は、一体どういう風に聞こえただろう。どこか遠くでそんなことを思いながら、リンクは二人に襲いかかった。何も考えないように、ただがむしゃらに剣を振るう。基本的にはガノンドロフと剣を交えた。そこへゼルダが絶妙なタイミングで援護するものだから、たまったものじゃない。勝つつもりは毛頭なかったが、簡単に負けるつもりもなかったリンクは、時にガノンドロフを払うと、ゼルダを狙った。しかし、ゼルダ自身に対処されたり、ガノンドロフが上手に立ち回ったりして、あまり功をなさなかった。ゼルダとガノンドロフのコンビネーションは見事だった。だんだんとリンクが追い詰められていく。とうとう、ゼルダの矢とガノンドロフの一太刀がリンクに直撃し、リンクは部屋の端まで弾きとばされた。起き上がるより早く、ガノンドロフがリンクに剣の切先を突き付けた。
「……お前の負けだ、小僧。」
静かにガノンドロフが通告した。リンクは無視して動こうとしたが、ガノンドロフは脅すように剣を近づけた。
「リンク。あなたに勝つ見込みはありません。……お願い、もう、やめて……っ!!」
ゼルダの叫びは悲痛だった。リンクはじっと二人を見た。潮時だ、と思った。リンクは持ち前の俊敏さでガノンドロフの手から逃れ、二人から距離を取った。
「ハハッ、これは想定外。まさかここまで追い詰められるなんて。」
リンクは頭に手を置き、大袈裟なくらいに首を振った。
「……今は諦めるよ。どうせすぐ、チャンスは巡ってくる。」
リンクは二人に向かって人差し指をピンと向けた。
「だって、君達また対立するでしょ?フフ、その時まで待ってあげる。次は、負けないよ?」
リンクが言い終わらないうちから、ガノンドロフは再びリンクに襲いかかっていた。それを避けながら、リンクはワープしようとする。しかし。
“……ワープ、出来ない!?”
トライフォースは、リンクに力を与えてくれなかった。リンクの願いは対立のない世界を作ることで、リンク自身はそのための試練である。女神側と魔王側が協定を結んだことでリンクの願いは叶った。したがって、これ以上の試練は不要で、リンクという試練は打ち破られなければならない。つまりリンクは、トライフォースに見限られたのだった。それを理解しても、リンクは逃げなければ、と思った。トライフォースは自分が持ったままでいたい。余計な力を彼等に与えたくない。
“自力で逃げるしか……いや。”
リンクは、手に取って以降、返すタイミングもなく持ち続けていたシーカーストーンを取り出した。ガノンドロフの追撃を避けながら、急いで操作する。しかし、これも不発に終わった。迫るゼルダの矢を避ける。
「あなたがかつて使用していた道具について、力を入れて研究を行いました。特にシーカーストーンは、プルアが解明に成功しまして。今のあなたに使えるとお思いですか?」
リンクはチラリとゼルダを見たが、焦る気持ちを隠して、状況を分析した。
“戦闘で勝つのは不可能。というか、勝ったら意味がない。逃げるにはワープが楽だけど、オレの力だけでは無理。当然、ポータルは使えない。時のオカリナも風のタクトも今手元にないし。……あっても使えるか微妙だけど。と、なると……正面を走り抜けるか、窓から飛び降りるか。……正面は無謀すぎるか。女神軍も魔王軍もいるだろうし。守護者の助けももう期待できない。この高さから飛び降りるのは危険すぎるけど、一か八か、窓しかない!!”
リンクは二人を怯ませると、窓に向かって走った。窓は閉じられたままだったが、この勢いなら割って出られると信じ、地を蹴る。しかし、後ろから捕まれ、力強く引っ張られた。そうかと思うと、部屋の中央に投げ出されていた。リンクは咳き込む。そのまま、馬乗りにされたのが分かった。リンクがなんとか目を開けると、ガノンドロフの険しい顔が見えた。
「無様だな。逃げようと奔走するとは。潔く散ればいいものを。……トライフォース、返してもらうぞ。」
リンクはガノンドロフをキッと睨んだ。そして、暴れた。だが、抵抗虚しく、トライフォースが引き剥がされたのを感じた。
“あぁ、終わった……。”
このときリンクが感じたのは、悲愴でもなく無念でもなく、安堵だった。これから彼等は仲良く暮らしていくだろう。自分の役目は終わったのだ。もう無理に彼等を傷つけなくていい。それが何よりも嬉しかった。トライフォースという力を返してしまうことは気掛かりだが、協定が結ばれた今、事は上手く運ぶかもしれない。この先は彼らに期待するしかない。リンクはこれからの繁栄を祈りながら、意識を手放した。
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「女神と魔王が和平を締結しました。」
リンクの襲撃からどれくらい経っただろう。ある日、唐突に響いた無機質な声。リンクはホッと息をついた。
「やっと、ここまで………。」
リンクは窓の外に目を向けた。
「もう、オレが負けても大丈夫かな……?」
リンクは歯を食い縛った。今の声は誰が聞いても弱々しかっただろう。まだ終わっていないのだ。自分の役目は、まだ。自分はこれから、試練達成の成果として打ち破られなければならない。そして、誰にも気付かれない場所に逃げ込まなければならない。それまで気を抜いてはいけないのだ。リンクは気を引き締め直した。
「さて、オレの居場所を教えてあげないとね。」
「塔の透明化を解除しますか?」
リンクは首を振った。
「まだダメ。変なタイミングだと怪しまれる。きっかけが欲しいから、ちょっと行ってくるね。」
リンクは塔を降り、外に出た。なんだかんだで、正規の方法で外に出るのは初めてだなと思いながら、辺りを見回す。塔の入口は、やはり目覚めた地の森の中にあった。リンクは森から平原に出る。さて、どうしようかと思考を巡らせていると、人影が見えた。どうしようかと首を傾げるも、すぐに好都合だと思い、姿を消して彼等に近づいた。それはテリーとプチブリン数人だった。リンクは森と反対側に、当人達からは外れるよう、軽い攻撃を撃った。驚いた彼等はリンクの思惑どおり、森の方へ走り出す。リンクは、何かの拍子で森から進路がずれないよう、何度か追撃した。彼等が森の中に逃げ込んだのを確認し、自身も姿を隠しながら森の中へ入った。奥へ奥へと進む彼らの後をこっそり追う。塔の正面に着いた時、入り口付近だけ透明化を解いた。彼らはびびったらしく、塔の方をうかがいながら森の中に身を潜めている。そこで、リンクは塔の前に姿を現した。気怠そうに辺りを見渡す。怯える彼らの姿はばっちり見えたが、見えなかった振りをした。
「おかしいな。上手く誘い込めたと思ったんだけど。」
リンクは大袈裟にぼやいた。肩を竦め、塔に向かって歩いていく。彼らを横目で確認すると、目を見開いて固まっていた。リンクはそのまま中に入り、塔を再び透明化した。そして、すぐさまスクリーンを出現させて外の様子をうかがった。彼らはよほど驚愕したらしい。まだ身を固めたままだった。それからしばらく、彼らは動けないでいた。
「Oh!ここは、リンクの拠点デスネ!まさかこんなところにあったなんて!報告デース!」
金縛りが解けたかのように我に返ったテリーは、プチブリン達を急かし、嵐のように森を出て行った。プチブリン達も急げ急げと言いながらテリーを追っていく。
「……賽は投げられた。」
テリーたちが走り去るのを確認してスクリーンを消すと、リンクは憂いの表情で微笑んだ。
それから程なくして、探索隊がやってきたらしい。テリー達が去ってすぐに透明化を解除する仕掛けを施しておいたのだが、しっかり見つけて解除してくれたようだ。リンクの拠点である塔が露になった。そして、とうとう連合軍が攻めてきた。
最上階にいるリンクのもとへ、ゼルダとガノンドロフが乗り込んできた。他の人は守護者達がしっかり足止めをしているらしく、現れたのは二人だけだ。リンクはゼルダとガノンドロフを、窓の反射で確認した。しかし、振り返ることなく、窓の外を眺めているフリをして口を開いた。
「二人ともご苦労様。そろそろ止めを刺そうかと思っていたから、行く手間が省けたよ。」
シャキ、と金属の音が聞こえ、ゼルダとガノンドロフが構えたのが気配で分かった。彼等は口を開かない。リンクは体勢を変えずに言葉を続ける。
「君達が死ねば、指揮官がいなくなって、統率を失う。そうしたら、オレの勝ちは決まったようなものだよね。」
リンクはクスクスと笑った。笑いながら、なんて淡白な笑い方なんだろうと思った。どうやら、少し気が参ってきているらしい。だが、これが最後だとリンクは気を引き締めた。嫌味な笑みを浮かべ直し、だんまりを決め込んでいる2人の方に体を向けた。ゼルダもガノンドロフも、真剣な顔でリンクを見ていた。後には引けないというような必死さと同時に、未来を切り開いてみせるという強い意志が滲み出している。
“ガノンドロフが見ていたオレは、こんな顔をしていたのかな。”
感慨にふけりそうになるのを堪え、リンクは横に手を伸ばした。これまでお世話になった剣が現れる。
「終わりにしよう、この戦い。
………
……………
…………………さようなら。」
最後の言葉は、一体どういう風に聞こえただろう。どこか遠くでそんなことを思いながら、リンクは二人に襲いかかった。何も考えないように、ただがむしゃらに剣を振るう。基本的にはガノンドロフと剣を交えた。そこへゼルダが絶妙なタイミングで援護するものだから、たまったものじゃない。勝つつもりは毛頭なかったが、簡単に負けるつもりもなかったリンクは、時にガノンドロフを払うと、ゼルダを狙った。しかし、ゼルダ自身に対処されたり、ガノンドロフが上手に立ち回ったりして、あまり功をなさなかった。ゼルダとガノンドロフのコンビネーションは見事だった。だんだんとリンクが追い詰められていく。とうとう、ゼルダの矢とガノンドロフの一太刀がリンクに直撃し、リンクは部屋の端まで弾きとばされた。起き上がるより早く、ガノンドロフがリンクに剣の切先を突き付けた。
「……お前の負けだ、小僧。」
静かにガノンドロフが通告した。リンクは無視して動こうとしたが、ガノンドロフは脅すように剣を近づけた。
「リンク。あなたに勝つ見込みはありません。……お願い、もう、やめて……っ!!」
ゼルダの叫びは悲痛だった。リンクはじっと二人を見た。潮時だ、と思った。リンクは持ち前の俊敏さでガノンドロフの手から逃れ、二人から距離を取った。
「ハハッ、これは想定外。まさかここまで追い詰められるなんて。」
リンクは頭に手を置き、大袈裟なくらいに首を振った。
「……今は諦めるよ。どうせすぐ、チャンスは巡ってくる。」
リンクは二人に向かって人差し指をピンと向けた。
「だって、君達また対立するでしょ?フフ、その時まで待ってあげる。次は、負けないよ?」
リンクが言い終わらないうちから、ガノンドロフは再びリンクに襲いかかっていた。それを避けながら、リンクはワープしようとする。しかし。
“……ワープ、出来ない!?”
トライフォースは、リンクに力を与えてくれなかった。リンクの願いは対立のない世界を作ることで、リンク自身はそのための試練である。女神側と魔王側が協定を結んだことでリンクの願いは叶った。したがって、これ以上の試練は不要で、リンクという試練は打ち破られなければならない。つまりリンクは、トライフォースに見限られたのだった。それを理解しても、リンクは逃げなければ、と思った。トライフォースは自分が持ったままでいたい。余計な力を彼等に与えたくない。
“自力で逃げるしか……いや。”
リンクは、手に取って以降、返すタイミングもなく持ち続けていたシーカーストーンを取り出した。ガノンドロフの追撃を避けながら、急いで操作する。しかし、これも不発に終わった。迫るゼルダの矢を避ける。
「あなたがかつて使用していた道具について、力を入れて研究を行いました。特にシーカーストーンは、プルアが解明に成功しまして。今のあなたに使えるとお思いですか?」
リンクはチラリとゼルダを見たが、焦る気持ちを隠して、状況を分析した。
“戦闘で勝つのは不可能。というか、勝ったら意味がない。逃げるにはワープが楽だけど、オレの力だけでは無理。当然、ポータルは使えない。時のオカリナも風のタクトも今手元にないし。……あっても使えるか微妙だけど。と、なると……正面を走り抜けるか、窓から飛び降りるか。……正面は無謀すぎるか。女神軍も魔王軍もいるだろうし。守護者の助けももう期待できない。この高さから飛び降りるのは危険すぎるけど、一か八か、窓しかない!!”
リンクは二人を怯ませると、窓に向かって走った。窓は閉じられたままだったが、この勢いなら割って出られると信じ、地を蹴る。しかし、後ろから捕まれ、力強く引っ張られた。そうかと思うと、部屋の中央に投げ出されていた。リンクは咳き込む。そのまま、馬乗りにされたのが分かった。リンクがなんとか目を開けると、ガノンドロフの険しい顔が見えた。
「無様だな。逃げようと奔走するとは。潔く散ればいいものを。……トライフォース、返してもらうぞ。」
リンクはガノンドロフをキッと睨んだ。そして、暴れた。だが、抵抗虚しく、トライフォースが引き剥がされたのを感じた。
“あぁ、終わった……。”
このときリンクが感じたのは、悲愴でもなく無念でもなく、安堵だった。これから彼等は仲良く暮らしていくだろう。自分の役目は終わったのだ。もう無理に彼等を傷つけなくていい。それが何よりも嬉しかった。トライフォースという力を返してしまうことは気掛かりだが、協定が結ばれた今、事は上手く運ぶかもしれない。この先は彼らに期待するしかない。リンクはこれからの繁栄を祈りながら、意識を手放した。
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