謝罪要求
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『これで柱は9名全員揃ったね。私は鬼殺隊結成以来の精鋭が集まったと思っているよ。これからも鬼殺隊を支える柱として君達の活躍に期待しているよ』
『御意』
半年に一度の柱合会議が終わり、当主の産屋敷耀哉は襖の奥へと子ども達に手を引かれて戻って行った。
会う度に顔の痣は広がり、着実に病という名の呪いが進行していることは誰の目にも明白だった。
(その命の灯火が消えるまで、共に戦います。耀哉様……)
前回までの柱7名に、今回新たに甘露寺蜜璃、時透無一郎の2名が加わり、9名の柱が揃ったことになる。
「じゃあ俺は用もないし、帰るぜ」
音柱の宇髄天元が誰よりも先に立ち上がった。
「待て!宇髄!話がある!」
それを煉獄杏寿郎が制した。「何だよ」と面倒そうな顔を向け立ち止まり、何事かと全員が2人に視線を向けた。
「うちの葉子を虐めないでもらえるか!葉子に言いたい事があるなら、まず俺が聞こう!」
高らかに、その場にいた誰の耳にも届くような大きな声で言ったものだから、甘露寺を始め、胡蝶がざわついた。
「え?葉子ちゃん?宇髄さん…… 葉子ちゃんを……女の子を虐めたんですか?私の友達なんですけど……」
「そうだ!着物が似合わないと、見た目を罵られたそうだ!酷く落ち込んでいた!」
「女子の見た目を罵るだなんて、一体何様ですか?宇髄さん。見損ないました。最低です」
蝶屋敷にいる女子達だって、そんなことを人から言われたら傷付く。彼女らから姉のように慕われているしのぶは、その姿を想像しただけで心が痛む。
朗らかな蜜璃が珍しく怒り、胡蝶しのぶもゴミを見るような冷ややかな目で天元を責めた。
「甘露寺の友人に……だと?とりあえず甘露寺に謝れ。そして俺にもだ」
伊黒小芭内までもが加勢をし始める。
「違えよ!おい!煉獄!誤解を与える言い方すんな!思ったことを伝えただけだ。俺は帰るぜ……」
バツが悪くなった天元はさっさとその場から去ろうとしている。
「おいおい、鬼殺隊士ならともかく一般人に暴言吐くたァ、どうかしてるぜェ」
不死川実弥も、横目で見ながら苦言を呈した。凶暴そうな見た目とは裏腹に、存外良い人なのだ。
その皆の様子を冨岡義勇と時透無一郎は、無表情で眺めていた。2人が何を思っているのかは誰にも分からない。
「煉獄の……すると元藤の家の女人か。隊士が迷惑をかけたばかりだというのに、さらに追い討ちをかけた……と。嗚呼……何とおいたわしや」
悲鳴嶼行冥までもが、皆を制するわけでもなく数珠をジャリジャリと鳴らし、涙を流し始めた。
いよいよバツが悪くなった天元は
「わーったよ!わかった!わかったよ!謝れば良いんだろ!はいはい、すみませんでした」
「誠意が感じられないな!」
「それは謝ったって言わねェなァ」
天元は、なんだってこんなに皆から責められないといけないのかと唇を噛んだ。元はと言えば全て己がまいた種だが。
「もしかして……宇髄さん。子どもが好きな子にちょっかいを出すアレですか?奥さんが3人もいるというのに、節操がありませんね」
「やれやれです」と、しのぶはさらに畳み掛けた。胡蝶しのぶを、蟲柱を怒らせてはいけない。
すると、杏寿郎が天元の肩をがっしりと掴んだ。
「葉子に心を奪われてしまうのはよくわかる!だが、宇髄!残念だったな!葉子は俺の許嫁なんだ」
ひと足もふた足も遅かったなと、杏寿郎に高らかに笑われた天元の額には青筋が浮かんでいた。
その様子を見て蜜璃をはじめ、他の柱達はくすくすと笑っていた。
冨岡義勇と時透無一郎は相変わらず、無表情のまま微動だにせずことの成り行きを静かに見守っていた。