緩やかな一撃[ワンパンマン]
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イツキ__一般会社の社員、サイタマの幼馴染
サイタマ__ほぼ原作通り
1
私には最強の男がついている。別に守って欲しいとか頼んでないけどあいつは私のことをいつも助ける。それはきっとあいつのヒーロー業のついでなんだろうけど。
「なにまた襲われてんだよ、お前」
「こっちだって好きで襲われてない!!」
そして今日もまた‘サイタマ’に私は助けられた。どうやら私は怪人とのエンカウント率が高いらしい。そのせいで会うたびに小言ばっかり!なんてめんどくさい!
「あんたこそなんで毎回私のところに現れるの?」
「は?!怪人が現れたらヒーローが現れなきゃいけないだろ!」
「ヒーロー?あっそ!なら仕方ないねぇ!」
そうだ、どうせこいつの行動源はヒーローなんだ。そんなわかりきっていることに無性に腹が立つ。嘘でも私を守るためとか、言ってくれないんだね。こっちは昔からあんたに片想いし続けてるのに。ぐちゃぐちゃになった心を必死にかき集めて平静を装う。
「今なにするところだったんだ?」
「家に帰るところだったの」
「送るか?」
「……うん」
思わず頷いた。こいつこういうところあるから嫌いになんかなれないんだよね。ずるいなぁ。そう思いながら手袋をとって私の荷物をもつ想い人の背中を追いかけた。
「寒っ」
「ほんとそれ」
冷たい風が秋の終わりを私たちに伝えた。
2
寒くて痛い冬がやってきた。
「ふー……」
息を吐くと白い息が出てくる。冬は指先が赤く冷たくなって、動きが鈍くなる。それが私はあまり好きじゃない。動けなくなるというのはこの世界では死を意味すると言っても過言じゃないから。怪人なんて現れたらひとたまりもない。
「でも、怪人が現れると、あいつに会えるからなぁ……」
だけど怪人にあったら私は確実に……。そう思うとさらに体が冷えるような気がした。そうだ、あいつがいつも助けてくれると思っちゃいけない。私は自惚れちゃいけないんだ。そんな時、唇が震えた。
「ばーか、ばか、ばかばか」
もう、25歳だ。こんな虚しい片想いにはそろそろ終止符を打つべきだ、そうだろう?そもそも女のおの字も知らないようなヒーローばかに期待する方が愚かだ。そうやってぐちぐちと言葉の羅列を頭に並べていると耳元を何かが通り過ぎていった。
「は」
そしてその何かは目の前で弾け飛んだ。ものすごい爆風と共に。爆風に身を包まれて体は後ろに飛んでいく。そして私は建物に打ちつけられる。
「ぐッ!?ぁ、うう゛……!」
体の骨という骨が砕けたみたいな激痛が走った。その上額から血が流れだす。なになになに!!!!最悪!ほんとに怪人に出くわすなんて!逃げるために急いで体を起こそうとしたが思うように動かない。そりゃそうだよね、初めてだもん、ここまで怪我を負ったのは。いつもなら襲われる前にあいつが助けてくれてた。奇跡的に私は助かっていた。あのヒーローによって。今回は流石に死ぬのかな?だって動けないし。仕方ないよね、むしろ今までよく生き残ってた方。そう考えたら気持ちも落ち着いてきた。そっと、私は目を瞑って死を待つことにした。
……けど
「くそっ!……やっぱりあいつのこと好きになんてならなきゃ良かった!」
心は諦めずにあのヒーローを待ってしまう。最強で、最高にかっこいいあいつを。
「早くこい……早く、助けてよ!!」
目の前が霞む。何か、人間では何かが近づいてくる音が聞こえる。ここまでなの?私って人間はこんなにもちっぽけなの……?生暖かい息が降りかかる。食われ
「おい、大丈夫か?」
風船が割れたかのような音と共に目の前が晴れる。べチャリと肉の音がする。目の前にはあのヒーローが立っていた。なんだ、やっぱり来てくれるんだ……。安心感で涙が出る。怪人がいなくなったから急に体が寒さを認識し始めて震え始める。
「遅いよ、ばか」
いつものように悪態をつく。どうせ、‘遅いってなんだよ、助けただろ’とかって言うんだろうけど。そう思ってサイタマを見ていると動きが無い。
「サイタマ……?」
すると布の擦れる音が聞こえた。それはサイタマが私を抱きしめた時の音だった。
「なにして」
「ごめんな、怖かったろ」
「は?」
突然の謝罪だった。こいつからこんな言葉が聞けるなんて思ってもいなかったから。震えていた体に温もりが広がる。それで気づいた。私、怖かったんだ。体の震えは、恐怖からだったんだ。
「うっ、ぅう……!」
サイタマの胸の中で、残った恐怖を吐き出すために私はうめくように泣いた。そんな私の背中を撫で、サイタマは私が動けるようになるのを待ってくれた。
「ぅ、あ」
「よしよし」
サイタマの腕の中は安らぎで溢れていたように私は感じた。
「グスッ、ぅ……はぁ、も、だいじょぶ」
「おう」
落ち着いてきて呼吸も安定してきた。こんなにも傍が安心するなんて……。やっぱり、サイタマのこと嫌いになんて
「じゃあもう家から出るな」
……?
「今、なんて」
「俺の家に住めよ。やっぱり一人だとお前は死にそうだし、俺の傍が一番安全だろ?」
「は……?」
なに言ってんの?頭打った?それとも私が狂ったの?
「う、嘘だよね?だって、サイタマは私のことなんてどうでもよくて、それに人に興味がなくて、意外と常識人じゃん。こんなおかしい事、言わないよ……」
蹲って現実逃避をし始める。なんで?え、だって、これ、夢、であって?グラグラと視界が揺らぎ出す。それに追い打ちをかけるように目の前の男は言う。
「言いたいことは済んだか?」
「え」
「おかしいのはな、俺が一番わかってるよ」
そう言ったから私はサイタマを見上げた。その顔は薄暗く、ヒーローというにはあまりにも欲に満ちていた。思わず喉を通る息がか細い音を立てる。
「強くなってから色々変わったんだ。周りの環境も、俺自身も。その中で唯一変わってないのはお前だけだった。そんなお前に……俺はお前への想いが膨らんでいった……。そんな理由はいやか?」
声は優しい。ただ、声だけはだ。いや、内容も別に悪く無い。けれどあまりにも雰囲気がおかしい。
「私に、なんて言われたいの?」
「ただ、‘一緒に行く’って言ってくれ」
「ことわったらど」
「返事はそもそも必要としてないけど」
そういうと私を持ち上げてどこかへと走り出すサイタマ。驚きすぎて声すら出ない。それと案外スピードが出ていて、とても怖い。
「なにしてんのよぉ……!!」
「攫ってる」
「ばか……!」
悪態をつくことしかできることがない。もういや!!私は目を瞑った。そしてそのすぐ
「ついたぞ」
「ん……」
目の前には廃れたアパートがあった。ここが、サイタマの家?こんな時なのに私、片想いの人の家にワクワクしてる。なんて能天気な。
「サイタマ」
「なんだ?」
「……私のこと好きなの?」
「……イツキ」
「なに?」
「好きなんじゃない、愛してる」
「……似合わないね」
呆れたようにサイタマの顔を見ると、泣きそうな顔をしていた。わたしはギョッとしてなんで泣きそうなのか理由を考えた。けどなにも思いつかなくて……。
「なによ、攫われた人より攫った人のほうが辛そうなんて聞いたことないわ」
「……俺は、ヒーロー失格だな」
「なに言ってんの」
サイタマは何か言いたげだったけど、そのまま口を閉じた。もどかしいったらありゃしない。私はサイタマの腕を掴んだ。
「攫ったんだったら責任持って!」
「は」
「なにあんな威勢のいいこと言っておいてなにしみったれたこと言ってんのよ!両思いになったことを知った私の身にもなりなさいよ!それにねぇ!あんたのヒーロー像なんてどうでもいい!言ったのなら責任取ればか!!」
全部言い切って息が乱れる。ああ、もうこうなったらしっかりと私のことを奪わせてやろう。私の全てをだ!こいつにはその責任がある!
「いいのか……?」
「言いも何もあんたが始めたことでしょ」
「だけど」
「それにね!私、サイタマ以上のヒーローなんて知らない。あんたは最強で最高のヒーローよ……」
恥ずかしいったらありゃしないわ。顔が赤くなるのを感じて唇を噛む。女の私にそんなこと言わせないでよね。
「……ありがとな」
「そんな言葉より欲しいものあるんだけど」
「?」
呑気な顔をしているサイタマに私はキスをした。
(ヤンデレにしたかったのにサイタマはなんかヤンデレになりきれないような気もしたので急遽路線変更になった。いつかちゃんとヤンデレにする)
サイタマ__ほぼ原作通り
1
私には最強の男がついている。別に守って欲しいとか頼んでないけどあいつは私のことをいつも助ける。それはきっとあいつのヒーロー業のついでなんだろうけど。
「なにまた襲われてんだよ、お前」
「こっちだって好きで襲われてない!!」
そして今日もまた‘サイタマ’に私は助けられた。どうやら私は怪人とのエンカウント率が高いらしい。そのせいで会うたびに小言ばっかり!なんてめんどくさい!
「あんたこそなんで毎回私のところに現れるの?」
「は?!怪人が現れたらヒーローが現れなきゃいけないだろ!」
「ヒーロー?あっそ!なら仕方ないねぇ!」
そうだ、どうせこいつの行動源はヒーローなんだ。そんなわかりきっていることに無性に腹が立つ。嘘でも私を守るためとか、言ってくれないんだね。こっちは昔からあんたに片想いし続けてるのに。ぐちゃぐちゃになった心を必死にかき集めて平静を装う。
「今なにするところだったんだ?」
「家に帰るところだったの」
「送るか?」
「……うん」
思わず頷いた。こいつこういうところあるから嫌いになんかなれないんだよね。ずるいなぁ。そう思いながら手袋をとって私の荷物をもつ想い人の背中を追いかけた。
「寒っ」
「ほんとそれ」
冷たい風が秋の終わりを私たちに伝えた。
2
寒くて痛い冬がやってきた。
「ふー……」
息を吐くと白い息が出てくる。冬は指先が赤く冷たくなって、動きが鈍くなる。それが私はあまり好きじゃない。動けなくなるというのはこの世界では死を意味すると言っても過言じゃないから。怪人なんて現れたらひとたまりもない。
「でも、怪人が現れると、あいつに会えるからなぁ……」
だけど怪人にあったら私は確実に……。そう思うとさらに体が冷えるような気がした。そうだ、あいつがいつも助けてくれると思っちゃいけない。私は自惚れちゃいけないんだ。そんな時、唇が震えた。
「ばーか、ばか、ばかばか」
もう、25歳だ。こんな虚しい片想いにはそろそろ終止符を打つべきだ、そうだろう?そもそも女のおの字も知らないようなヒーローばかに期待する方が愚かだ。そうやってぐちぐちと言葉の羅列を頭に並べていると耳元を何かが通り過ぎていった。
「は」
そしてその何かは目の前で弾け飛んだ。ものすごい爆風と共に。爆風に身を包まれて体は後ろに飛んでいく。そして私は建物に打ちつけられる。
「ぐッ!?ぁ、うう゛……!」
体の骨という骨が砕けたみたいな激痛が走った。その上額から血が流れだす。なになになに!!!!最悪!ほんとに怪人に出くわすなんて!逃げるために急いで体を起こそうとしたが思うように動かない。そりゃそうだよね、初めてだもん、ここまで怪我を負ったのは。いつもなら襲われる前にあいつが助けてくれてた。奇跡的に私は助かっていた。あのヒーローによって。今回は流石に死ぬのかな?だって動けないし。仕方ないよね、むしろ今までよく生き残ってた方。そう考えたら気持ちも落ち着いてきた。そっと、私は目を瞑って死を待つことにした。
……けど
「くそっ!……やっぱりあいつのこと好きになんてならなきゃ良かった!」
心は諦めずにあのヒーローを待ってしまう。最強で、最高にかっこいいあいつを。
「早くこい……早く、助けてよ!!」
目の前が霞む。何か、人間では何かが近づいてくる音が聞こえる。ここまでなの?私って人間はこんなにもちっぽけなの……?生暖かい息が降りかかる。食われ
「おい、大丈夫か?」
風船が割れたかのような音と共に目の前が晴れる。べチャリと肉の音がする。目の前にはあのヒーローが立っていた。なんだ、やっぱり来てくれるんだ……。安心感で涙が出る。怪人がいなくなったから急に体が寒さを認識し始めて震え始める。
「遅いよ、ばか」
いつものように悪態をつく。どうせ、‘遅いってなんだよ、助けただろ’とかって言うんだろうけど。そう思ってサイタマを見ていると動きが無い。
「サイタマ……?」
すると布の擦れる音が聞こえた。それはサイタマが私を抱きしめた時の音だった。
「なにして」
「ごめんな、怖かったろ」
「は?」
突然の謝罪だった。こいつからこんな言葉が聞けるなんて思ってもいなかったから。震えていた体に温もりが広がる。それで気づいた。私、怖かったんだ。体の震えは、恐怖からだったんだ。
「うっ、ぅう……!」
サイタマの胸の中で、残った恐怖を吐き出すために私はうめくように泣いた。そんな私の背中を撫で、サイタマは私が動けるようになるのを待ってくれた。
「ぅ、あ」
「よしよし」
サイタマの腕の中は安らぎで溢れていたように私は感じた。
「グスッ、ぅ……はぁ、も、だいじょぶ」
「おう」
落ち着いてきて呼吸も安定してきた。こんなにも傍が安心するなんて……。やっぱり、サイタマのこと嫌いになんて
「じゃあもう家から出るな」
……?
「今、なんて」
「俺の家に住めよ。やっぱり一人だとお前は死にそうだし、俺の傍が一番安全だろ?」
「は……?」
なに言ってんの?頭打った?それとも私が狂ったの?
「う、嘘だよね?だって、サイタマは私のことなんてどうでもよくて、それに人に興味がなくて、意外と常識人じゃん。こんなおかしい事、言わないよ……」
蹲って現実逃避をし始める。なんで?え、だって、これ、夢、であって?グラグラと視界が揺らぎ出す。それに追い打ちをかけるように目の前の男は言う。
「言いたいことは済んだか?」
「え」
「おかしいのはな、俺が一番わかってるよ」
そう言ったから私はサイタマを見上げた。その顔は薄暗く、ヒーローというにはあまりにも欲に満ちていた。思わず喉を通る息がか細い音を立てる。
「強くなってから色々変わったんだ。周りの環境も、俺自身も。その中で唯一変わってないのはお前だけだった。そんなお前に……俺はお前への想いが膨らんでいった……。そんな理由はいやか?」
声は優しい。ただ、声だけはだ。いや、内容も別に悪く無い。けれどあまりにも雰囲気がおかしい。
「私に、なんて言われたいの?」
「ただ、‘一緒に行く’って言ってくれ」
「ことわったらど」
「返事はそもそも必要としてないけど」
そういうと私を持ち上げてどこかへと走り出すサイタマ。驚きすぎて声すら出ない。それと案外スピードが出ていて、とても怖い。
「なにしてんのよぉ……!!」
「攫ってる」
「ばか……!」
悪態をつくことしかできることがない。もういや!!私は目を瞑った。そしてそのすぐ
「ついたぞ」
「ん……」
目の前には廃れたアパートがあった。ここが、サイタマの家?こんな時なのに私、片想いの人の家にワクワクしてる。なんて能天気な。
「サイタマ」
「なんだ?」
「……私のこと好きなの?」
「……イツキ」
「なに?」
「好きなんじゃない、愛してる」
「……似合わないね」
呆れたようにサイタマの顔を見ると、泣きそうな顔をしていた。わたしはギョッとしてなんで泣きそうなのか理由を考えた。けどなにも思いつかなくて……。
「なによ、攫われた人より攫った人のほうが辛そうなんて聞いたことないわ」
「……俺は、ヒーロー失格だな」
「なに言ってんの」
サイタマは何か言いたげだったけど、そのまま口を閉じた。もどかしいったらありゃしない。私はサイタマの腕を掴んだ。
「攫ったんだったら責任持って!」
「は」
「なにあんな威勢のいいこと言っておいてなにしみったれたこと言ってんのよ!両思いになったことを知った私の身にもなりなさいよ!それにねぇ!あんたのヒーロー像なんてどうでもいい!言ったのなら責任取ればか!!」
全部言い切って息が乱れる。ああ、もうこうなったらしっかりと私のことを奪わせてやろう。私の全てをだ!こいつにはその責任がある!
「いいのか……?」
「言いも何もあんたが始めたことでしょ」
「だけど」
「それにね!私、サイタマ以上のヒーローなんて知らない。あんたは最強で最高のヒーローよ……」
恥ずかしいったらありゃしないわ。顔が赤くなるのを感じて唇を噛む。女の私にそんなこと言わせないでよね。
「……ありがとな」
「そんな言葉より欲しいものあるんだけど」
「?」
呑気な顔をしているサイタマに私はキスをした。
(ヤンデレにしたかったのにサイタマはなんかヤンデレになりきれないような気もしたので急遽路線変更になった。いつかちゃんとヤンデレにする)
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