都心から少し離れた街中にそのバーはひっそりと営業しており、三人の男がいた

「何か飲みますか？」

「そうだな、何か適当に頼む」


注文を聞くとバーテンダーの男はグラスを用意してカクテルを作り始める


「今日雄英の入学式だったんだよなぁ？」


バーカウンターの椅子に座り、机に肘をついている銀髪の男が同じく隣に座っている男に声をかけた


「あぁ」


男は淡々と短く返事を返すだけ


「また社会のゴミを増やす気かよ
いい感じにぶっ殺されてくれねぇかなあ」

［それを君達が掃除するんだよ］


最後の声はバーカウンターに置かれたテレビの中からだった


「せんせぇ、早く脳無をくれよ…そうすればすぐにでもヒーローを殺しに行くからさぁ」

［まだだ、もう少し時間がかかる
君達は少しでも情報を集めておいた方がいいんじゃないかい？］

「それはこいつに任せてるから暇なんだ
俺は早くゲームしたくてしょうがないんだよおちょっかいかけちゃおうかなあ」

「自分で集めればいいものを…」


グラスを傾けながら指さされた男は呟く


［オールマイトが雄英で教師になったらしいね］

「耳がお早いことで…」

［そりゃあ我ら敵（ヴィラン）の天敵、かの平和の象徴様だからね］

「知ってるなら話が早い
今雄英はオールマイトによる学生達の個性の底上げを計画してる
容易に乗り込もうなんて考えるなよ、死柄木」


チラリと銀髪の男を見やるがどこ吹く風


［そこで君の存在が重要になる
………期待しているよ］


そこでテレビの声は途切れた


「期待？
はっ、俺に何を期待するんだか」


男は自嘲の笑みを浮かべ、もう一人の男は高揚したように両手を広げる


「楽しみだなあ、楽しみだなあ！
なあ、アンタもそう思うだろ？


雄英のプロヒーロー、神落セイ先生？」

「………俺はヒーローなんて大層なもんじゃない

黒霧…ご馳走さま」

「はい、お粗末様でした」