主人公side
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いつものようにギターを弾き、大好きな歌を歌う
歌いはじめた頃と比べるとたくさんの人に聞いてもらえるようになってきた
中には友達が混じっていたりするが、ここで出会い、わたしの歌を好きだと何度も聴きにきてくれる人も増えた
友情や日常をテーマにして作った曲もあったが、どちらかというと恋愛をテーマにしたものが多かった
恋愛の歌なんて歌えるほど恋愛経験が豊富な訳では無かったが、それでも自分なりに頑張って作ったラブソングたち
その中でもひとつ、失恋をテーマにした曲があるのだが、なぜかそれには思い入れがあった
といっても、失恋だって今まで生きてきた中ではちゃんとした記憶がない
そう言えば自信過剰な嫌な女のようだが、そうではなく、数人と付き合った事はあるものの別れても落ち込む、なんて感情があまり芽生えなかったのだ
どの人とも付き合ったキッカケは向こうからの告白で、別れも向こうから告げられた
その度みんな口を揃えて「俺の事好きじゃないだろう」だとか「一緒に居るとつらい」なんて言うものだから、わたしは本気で恋愛なんて出来るのだろうかと不安になった
恋愛映画を観て「あぁ素敵だな」とうっとりしたこともあったし、離れてもお互いが思い合い、最後には結ばれるなんてストーリーを羨ましく感じることだってあるのに、
どうしても自身の恋愛、というのがしっくりこなかったのだ
全くと言っていいほど周りの男性に恋愛感情が芽生えない中、恋愛に対する興味や、付き合っていくうちに好きになるかもしれない、という淡い期待で告白を何度か受け入れた。しかし残念ながら、触れ合いたいなんて感情も、好きという感情も芽生える事はなく、どの人ともすぐに終わりを迎えた。勿論キス以上なんて到底考えられなかった。付き合った彼等には本当に申し訳ない。
タイプは?と聞かれて脳内をくまなく探しまわっても当てはまる人物や顔の作りや性格なんてものはなく、「優しそうな人」や「笑顔が似合う人」なんてありきたりな言葉を並べていた
そんな中、ある日突然目の前に現れた
ツーブロックでオールバック
両頬には普通の生活をしていたら到底出来なさそうな傷
目が合うと吸い込まれそうな真っ暗な瞳
かっちりとスーツを着こなしていて、ぱっと見は冷たそう
その、どう見ても「優しそうな」や「笑顔の似合う」なんて言葉とはかけ離れた彼に、今まで曖昧に答えていた好きなタイプの定型文を一瞬で塗り替えられたのだ
その時わたしは一目惚れやらビビッときた、なんて今まで憧れていた感情を初めて知り、自分の中からジワジワと湧き立つそれをなんとか相手に悟られないよう抑え込み、はじめまして、と笑顔で挨拶した
「あ、あぁ」
と動揺した彼を見て
もしかして態度に出ていたかな、と焦りながらも自己紹介を続けた
「あ、わたし美穂って言います。ここで毎週金曜日に歌ってます」そう言ってスケッチブックを見せると
彼の動きがしばらく止まった
どうしたのだろう、何かおかしな事を口走ったかな?と不安になったが
「あぁ、すまない。たまたまこの近くを通ったんだが、耳に残る声だったから聴かせてもらっていたんだ」
と褒め言葉が混じった彼のそれにわたしは気分が良くなった
そして
「ただ最後の方しか聴けなかったんだ」と残念がる彼に、一曲歌うと申し出たのだ
なにを歌おうか、と考えたのだが、何故か一曲しか浮かばない
その理由は自分でも分からなかったが、彼を見てどうしても歌いたいと思ったのは、会えないもどかしさを綴った唯一の失恋ソングだった
歌いはじめた頃と比べるとたくさんの人に聞いてもらえるようになってきた
中には友達が混じっていたりするが、ここで出会い、わたしの歌を好きだと何度も聴きにきてくれる人も増えた
友情や日常をテーマにして作った曲もあったが、どちらかというと恋愛をテーマにしたものが多かった
恋愛の歌なんて歌えるほど恋愛経験が豊富な訳では無かったが、それでも自分なりに頑張って作ったラブソングたち
その中でもひとつ、失恋をテーマにした曲があるのだが、なぜかそれには思い入れがあった
といっても、失恋だって今まで生きてきた中ではちゃんとした記憶がない
そう言えば自信過剰な嫌な女のようだが、そうではなく、数人と付き合った事はあるものの別れても落ち込む、なんて感情があまり芽生えなかったのだ
どの人とも付き合ったキッカケは向こうからの告白で、別れも向こうから告げられた
その度みんな口を揃えて「俺の事好きじゃないだろう」だとか「一緒に居るとつらい」なんて言うものだから、わたしは本気で恋愛なんて出来るのだろうかと不安になった
恋愛映画を観て「あぁ素敵だな」とうっとりしたこともあったし、離れてもお互いが思い合い、最後には結ばれるなんてストーリーを羨ましく感じることだってあるのに、
どうしても自身の恋愛、というのがしっくりこなかったのだ
全くと言っていいほど周りの男性に恋愛感情が芽生えない中、恋愛に対する興味や、付き合っていくうちに好きになるかもしれない、という淡い期待で告白を何度か受け入れた。しかし残念ながら、触れ合いたいなんて感情も、好きという感情も芽生える事はなく、どの人ともすぐに終わりを迎えた。勿論キス以上なんて到底考えられなかった。付き合った彼等には本当に申し訳ない。
タイプは?と聞かれて脳内をくまなく探しまわっても当てはまる人物や顔の作りや性格なんてものはなく、「優しそうな人」や「笑顔が似合う人」なんてありきたりな言葉を並べていた
そんな中、ある日突然目の前に現れた
ツーブロックでオールバック
両頬には普通の生活をしていたら到底出来なさそうな傷
目が合うと吸い込まれそうな真っ暗な瞳
かっちりとスーツを着こなしていて、ぱっと見は冷たそう
その、どう見ても「優しそうな」や「笑顔の似合う」なんて言葉とはかけ離れた彼に、今まで曖昧に答えていた好きなタイプの定型文を一瞬で塗り替えられたのだ
その時わたしは一目惚れやらビビッときた、なんて今まで憧れていた感情を初めて知り、自分の中からジワジワと湧き立つそれをなんとか相手に悟られないよう抑え込み、はじめまして、と笑顔で挨拶した
「あ、あぁ」
と動揺した彼を見て
もしかして態度に出ていたかな、と焦りながらも自己紹介を続けた
「あ、わたし美穂って言います。ここで毎週金曜日に歌ってます」そう言ってスケッチブックを見せると
彼の動きがしばらく止まった
どうしたのだろう、何かおかしな事を口走ったかな?と不安になったが
「あぁ、すまない。たまたまこの近くを通ったんだが、耳に残る声だったから聴かせてもらっていたんだ」
と褒め言葉が混じった彼のそれにわたしは気分が良くなった
そして
「ただ最後の方しか聴けなかったんだ」と残念がる彼に、一曲歌うと申し出たのだ
なにを歌おうか、と考えたのだが、何故か一曲しか浮かばない
その理由は自分でも分からなかったが、彼を見てどうしても歌いたいと思ったのは、会えないもどかしさを綴った唯一の失恋ソングだった
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