短編
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その日のわたしはかなり浮かれていた
何故かというと、大好きな尾形先生との待ちに待ったデートの日だったからだ
もうすぐ卒業するわたしは、絶対に制服を着たままだと一緒に外出してくれない彼に一度でいいから、と頼みこんで今日の約束にありついた
普段学校に行く時より少しでも可愛く見えるように、冬服のセーラー服にお気に入りのカーディガンを羽織り、髪はアイロンを使って念入りにセットした。化粧は濃すぎず、ナチュラルに。尾形先生は可愛いと言ってくれるだろうか?
そう、少しドキドキしながら待ち合わせ場所へ向かった
しかし彼の反応は薄い。いや、薄いなんてもんじゃない。全くこっちを見ないのだ
仕方なく歩き始めるが彼の視線はひたすら進行方向だった
「ねぇ、尾形せんせ、アイス食べようよー。今月限定のフレーバーが3つあるの。ねぇ、半分こしよ?」
ちらりと隣を見るが、尾形先生は目線を前へ向けたままわたしに返事する
「寒いし、甘いのは食うつもりない。それよりさっさと帰ろうぜ」
何故、そんなに帰りたがるのか
せっかくのデートなのに、全く視線があわないことが気に入らないわたしはその場に立ち止まる
二歩ほど先に進んだ彼が後ろを振り向く
「おい、どうした」
やっと視線が合うが、それもまたすぐにそらされる
「全然こっち見てくれないんだもん」
口を尖らせながら、その腕を掴もうとすると
「おい、やめろ、離れろ」
と、ふりほどかれた
言いたい事はわかる
高校生と付き合っているなんて周りに知れたら大変なのだろう
淫行だなんだと言われるのだろう
家庭教師としてうちにやって来た尾形先生に、わたしは一目惚れをした。自分でもびっくりするほどの猛アタックの甲斐あってか、家庭教師が終わる最後の日の告白に彼は頷いた
授業の時は必ず私服に着替えてから、と促されていたし、付き合ってからも会う時は絶対に制服では来るな、と念を押されていた
きっと、高校生と付き合ってるという背徳感が嫌なのだろう
でも、だからってこんな態度はどうなんだろう?酷すぎやしないか
あからさまにむくれるわたしに困ったようで、
「はぁ、わかったから、アイス食べたらさっさと帰るぞ」
と機嫌をとろうとする尾形先生
その妥協に、やったぁ、なんて言いながら近づこうとして、
彼の視線が一点に流れたことに気づく
それを辿ると、そこには可愛いブレザータイプの制服を着た、これまた可愛らしい女の子が歩いていた
「なに、それ」
結局、可愛い女の子が好きなんじゃないか
制服着たわたしと付き合ってるのはバレたくないくせに、他の子は見ているじゃないか
胸の奥に真っ黒い感情が芽生えた
斜め後ろからジッとその後頭部を見つめるとその視線を感じたのか、尾形先生が振り向いた
そして、わたしの上から下まで見つめると、ため息を吐いたのだ
そりゃあ、わたしはめちゃくちゃ可愛い訳でもないし、綺麗でもないけれど、そんなあからさまな態度をとられたらどうしようもなく悲しくて、胸が苦しくなる。わたしのことを本当に好きなのか?たまたま告白されたからとりあえず付き合ってるんじゃないのか?
そんな考えが頭を渦巻いた
それでも好きだから、いつか好きになってもらえたら。小さな期待はなかなか叶わなくて、きっとこれからも叶うことはないのだろう
今日まで気付かないようにしていたけど、そういうことなんでしょう?
「わかった。もういいよ」
涙が出そうだったけど、なんとか堪えた
「もう付き合ってくれなくて、大丈夫だから。今までありがとうございました」
そして、これ以上ここにいたらそのまま泣いてしまいそうだったので、くるりと踵を返し、その場から離れた
人混みをかき分け、早足で歩くと我慢していた涙が堰を切ったように溢れた
しかし、人がまばらになった場所で、強い力で左腕掴まれた
「おい、美穂、勝手に行ってんじゃねぇ」
振り向きたくなくて、身体は半分彼の方を向いているが、顔を背ける
見られたくない
「何を勘違いしているかわからないけど、別れるつもりはない」
その言葉に
伺うように彼の方を振り向く
そして、目線を落とし
「手」
と、呟いたわたしに
なんのことだと眉を寄せる彼
「手、繋いでたら勘違いされちゃう。嫌なんでしょう?」
そう言うわたしに彼はハッと何かに気づいた様子で、しかし、それでも手を離さなかった
「あー、そうか。勘違いさせた。違う。そうじゃない」
なにが、そうなのか。なにが、そうじゃないのか。意味がわからない
怪訝そうに伺うわたしに
「お前は悪くない。いや、お前の制服姿が悪いんだ」
と、意味の分からない言葉を放つ尾形先生
「美穂の制服姿は、あまりにも可愛いすぎる」
だから、お前が悪い
と、
一瞬なにを言われたのか分からなかったが、その言葉の意味がわかって顔が熱くなった
そして、言葉を続ける尾形先生
「学校の日以外に制服でなんか歩くな。そんな格好で歩いてたら変な男が寄ってくる。みんなエロい目で見てんだよ。なんだそのカーディガンの袖は。スカートも短い。なァ、美穂。いい加減、自覚しろよ」
ずっと合わなかった目は先ほどから全く逸らされないし、全然喋らないと思っていた彼は饒舌で。今日一番長いセリフを吐いている
「淫行とか、言われるから嫌だったんじゃ、」
「あ?ヤってねぇし、淫行じゃねぇ」
そう言う彼に、好きじゃないけどとりあえず付き合ってるんだと思ってた、と伝えると
「好きじゃなかったら、普通付き合わないだろ?お前は阿呆か」
と怒られた
そして
「でも、さっき可愛い女子高生見てたよね」
と問うと、
「あ?見てたか?あー、たぶんなんでこんなに周りの制服着てる女共は、お前と違って可愛いくないんだと思ったんだよ」
え、そんなに、わたしのこと好きなんだ
その実感に今まで抱いていた不安はすべて消え、急に少し優位に立った気分になった
「じゃあ、ここでキスして」
と伝えると
彼は目を見開いてなんて事を言うんだ、って顔をしたけれど、
優しくキスをしてくれた
手を繋いで歩き出すと
「おい、今日はもう俺の家に帰るぞ」
と言われ、先程のキスですべてが満たされたわたしはこくりと頷いた
何故かというと、大好きな尾形先生との待ちに待ったデートの日だったからだ
もうすぐ卒業するわたしは、絶対に制服を着たままだと一緒に外出してくれない彼に一度でいいから、と頼みこんで今日の約束にありついた
普段学校に行く時より少しでも可愛く見えるように、冬服のセーラー服にお気に入りのカーディガンを羽織り、髪はアイロンを使って念入りにセットした。化粧は濃すぎず、ナチュラルに。尾形先生は可愛いと言ってくれるだろうか?
そう、少しドキドキしながら待ち合わせ場所へ向かった
しかし彼の反応は薄い。いや、薄いなんてもんじゃない。全くこっちを見ないのだ
仕方なく歩き始めるが彼の視線はひたすら進行方向だった
「ねぇ、尾形せんせ、アイス食べようよー。今月限定のフレーバーが3つあるの。ねぇ、半分こしよ?」
ちらりと隣を見るが、尾形先生は目線を前へ向けたままわたしに返事する
「寒いし、甘いのは食うつもりない。それよりさっさと帰ろうぜ」
何故、そんなに帰りたがるのか
せっかくのデートなのに、全く視線があわないことが気に入らないわたしはその場に立ち止まる
二歩ほど先に進んだ彼が後ろを振り向く
「おい、どうした」
やっと視線が合うが、それもまたすぐにそらされる
「全然こっち見てくれないんだもん」
口を尖らせながら、その腕を掴もうとすると
「おい、やめろ、離れろ」
と、ふりほどかれた
言いたい事はわかる
高校生と付き合っているなんて周りに知れたら大変なのだろう
淫行だなんだと言われるのだろう
家庭教師としてうちにやって来た尾形先生に、わたしは一目惚れをした。自分でもびっくりするほどの猛アタックの甲斐あってか、家庭教師が終わる最後の日の告白に彼は頷いた
授業の時は必ず私服に着替えてから、と促されていたし、付き合ってからも会う時は絶対に制服では来るな、と念を押されていた
きっと、高校生と付き合ってるという背徳感が嫌なのだろう
でも、だからってこんな態度はどうなんだろう?酷すぎやしないか
あからさまにむくれるわたしに困ったようで、
「はぁ、わかったから、アイス食べたらさっさと帰るぞ」
と機嫌をとろうとする尾形先生
その妥協に、やったぁ、なんて言いながら近づこうとして、
彼の視線が一点に流れたことに気づく
それを辿ると、そこには可愛いブレザータイプの制服を着た、これまた可愛らしい女の子が歩いていた
「なに、それ」
結局、可愛い女の子が好きなんじゃないか
制服着たわたしと付き合ってるのはバレたくないくせに、他の子は見ているじゃないか
胸の奥に真っ黒い感情が芽生えた
斜め後ろからジッとその後頭部を見つめるとその視線を感じたのか、尾形先生が振り向いた
そして、わたしの上から下まで見つめると、ため息を吐いたのだ
そりゃあ、わたしはめちゃくちゃ可愛い訳でもないし、綺麗でもないけれど、そんなあからさまな態度をとられたらどうしようもなく悲しくて、胸が苦しくなる。わたしのことを本当に好きなのか?たまたま告白されたからとりあえず付き合ってるんじゃないのか?
そんな考えが頭を渦巻いた
それでも好きだから、いつか好きになってもらえたら。小さな期待はなかなか叶わなくて、きっとこれからも叶うことはないのだろう
今日まで気付かないようにしていたけど、そういうことなんでしょう?
「わかった。もういいよ」
涙が出そうだったけど、なんとか堪えた
「もう付き合ってくれなくて、大丈夫だから。今までありがとうございました」
そして、これ以上ここにいたらそのまま泣いてしまいそうだったので、くるりと踵を返し、その場から離れた
人混みをかき分け、早足で歩くと我慢していた涙が堰を切ったように溢れた
しかし、人がまばらになった場所で、強い力で左腕掴まれた
「おい、美穂、勝手に行ってんじゃねぇ」
振り向きたくなくて、身体は半分彼の方を向いているが、顔を背ける
見られたくない
「何を勘違いしているかわからないけど、別れるつもりはない」
その言葉に
伺うように彼の方を振り向く
そして、目線を落とし
「手」
と、呟いたわたしに
なんのことだと眉を寄せる彼
「手、繋いでたら勘違いされちゃう。嫌なんでしょう?」
そう言うわたしに彼はハッと何かに気づいた様子で、しかし、それでも手を離さなかった
「あー、そうか。勘違いさせた。違う。そうじゃない」
なにが、そうなのか。なにが、そうじゃないのか。意味がわからない
怪訝そうに伺うわたしに
「お前は悪くない。いや、お前の制服姿が悪いんだ」
と、意味の分からない言葉を放つ尾形先生
「美穂の制服姿は、あまりにも可愛いすぎる」
だから、お前が悪い
と、
一瞬なにを言われたのか分からなかったが、その言葉の意味がわかって顔が熱くなった
そして、言葉を続ける尾形先生
「学校の日以外に制服でなんか歩くな。そんな格好で歩いてたら変な男が寄ってくる。みんなエロい目で見てんだよ。なんだそのカーディガンの袖は。スカートも短い。なァ、美穂。いい加減、自覚しろよ」
ずっと合わなかった目は先ほどから全く逸らされないし、全然喋らないと思っていた彼は饒舌で。今日一番長いセリフを吐いている
「淫行とか、言われるから嫌だったんじゃ、」
「あ?ヤってねぇし、淫行じゃねぇ」
そう言う彼に、好きじゃないけどとりあえず付き合ってるんだと思ってた、と伝えると
「好きじゃなかったら、普通付き合わないだろ?お前は阿呆か」
と怒られた
そして
「でも、さっき可愛い女子高生見てたよね」
と問うと、
「あ?見てたか?あー、たぶんなんでこんなに周りの制服着てる女共は、お前と違って可愛いくないんだと思ったんだよ」
え、そんなに、わたしのこと好きなんだ
その実感に今まで抱いていた不安はすべて消え、急に少し優位に立った気分になった
「じゃあ、ここでキスして」
と伝えると
彼は目を見開いてなんて事を言うんだ、って顔をしたけれど、
優しくキスをしてくれた
手を繋いで歩き出すと
「おい、今日はもう俺の家に帰るぞ」
と言われ、先程のキスですべてが満たされたわたしはこくりと頷いた