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傘持ってないんだけどさぁ…

どうも、今井です。今日は晴れだと思って家を飛び出してきたのに帰り際になったら土砂降りになってました。そう言えば兄ちゃん「帰るぐらいには雨降ると思うから一応傘もってけよ」とか言ってたような気もしますが今となっては後の祭りですね……。
「どおおおおおしよおおおお!!!!モブ子ぉおお!!!」
「いやそれはあんたが悪いからね?あと私このあとバイト先まで直接行かないとだからすずんちまで送れないんだよなぁ…すまん!頑張って帰ってくれ!」
そういってモブ子は土砂降りの雨の中掛けて言った。あぁ…私はまたびしょ濡れで帰らないといけないのか…それはそれで楽しそうだし?いっか!とか思って飛び出そうとした時後ろから声が聞こえた。
「すず?今帰り?よかったら俺と一緒に帰らない?」
振り返ると声の主であるたっちんがいた。上履きから外靴に履き替えている最中だった。私は彼に会えた喜びで犬のように駆け寄って行った。
「たっちん!!そう!今から帰ろうとおもってたとこ!でも傘なくて…もういっか!って思って飛び込もうと思ってたとこなんだよねー!」
外靴に履き替えたたっちんと共に下足室を出て雨降る校庭を見つめ飛び出そうとした。
「風邪ひくからダメだよすず、ほらこっちおいでお家まで送ってあげるから」
飛び出そうとした私の腕を掴み引き寄せられ傘に入れられ帰ることになった。
「は、はぁい……おねがいしまぁす……」
少し不貞腐れながらも送ってくれるというご好意に甘えることにした。歩き出して気がついたけどこれ相合傘だよね?近いよね?どどどどどどどどうしよう……………!!!!意識すればするほど恥ずかしくなってきた!!!今井!!ピンチです!!!恥ずかしすぎて!!!死んじゃいそうです!!!そんなことを考えながら下を向いて歩いていたらたっちんから話しかけてきた。

「急に静かになるから何事かと思ったらそういう事ね、ほらもうちょっとこっちおいで?」
「い、いや!あのぉ…恥ずかしくてこれ以上は…そのぉ…」
ほぼ無意識的に少し距離をとってしまう、濡れないようにとたっちんはあたしの方に傘を寄せてくれるが故にたっちんの肩がぬれてしまうことに気づく。
「てかっ!あたしの事気にしすぎでたっちん濡れてるじゃん!!ご、ごめ!!」
「も〜…すずが離れるから俺が濡れるんだよ?もうちょっと近く来なよ、ね?」
肩をぐいっと引き寄せられる。心拍数がえげつないほど上がる。
「ひゃ、ひゃい…ごめんなしゃい……」
「そういうすずの反応もかわいいから俺的には全然いいんだけどね」
たっちんはにこりと笑った。

引き寄せられた際にプレゼントしたお揃いのひまわりのピンバッチが付いたカバンが目に入った。
「たっちんこれ付けてくれてるんだ」
「うん、すずからもらったものだしすずも付けてたからね。見えるとこに付けたいなぁって」
「めっちゃうれしいこと言ってくれんじゃん!!もー!!!かわいいんだから!!!」
「かわいいのはすずだよ?」
「うっっ…は、はい……今井…ですか……そうですか………」
恥ずかしくて咄嗟に下を向いた。きっと耳まで真っ赤だろうたっちんはそれを見てにこにこしてるんだろうかわいいだなんて恥ずかしい。むず痒い、でも悪い気はしなかった。

そんなことをしていたら家が目の前に見えてきた、ドキドキしたもののとてつもなく幸せな空間はもうすぐ終わる。なにからなにまでドキドキしまくったから仕返してやろう。そんなことを考えていた。
「着いたよ、すず」
「たっちん!さんきゅ!……ねぇねぇたっちん…こっち向いてちょっとだけしゃがんで?」
「ん?どうしたの?」
あたしの指示に従ったたっちんにあたしはチュッとリップ音を立てて頬にキスをした。
「送ってもらったそのー…お、お礼だよ?じゃじゃじゃじゃじゃあ!!!!また明日ね!!!気をつけて帰ってねー!!!!!」
恥ずかしすぎて彼の方をあまり見てはいなかったが少しだけ顔を赤くしてポカーンとしていたのは確認できた。それを見てやり返せたなという気持ちに浸りながら家の扉を開けた。

数十分後、LINEで「嬉しかったよありがとう」と返信が来て思い出して恥ずかしくなるのはまた別のお話。
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