さよならネバーランド
兵器というものは夢を見ないはずなのに、なぜか見てしまった。贅沢品には今は手を出したくないのに、それは何故か私に差し出される。
「ここは……遊園地?」
私は夢の中の場所をぐるりと見渡す。ゴールドソーサーとはまた違った場所。人々で賑わい幸福に包まれる遊園地の真ん中に、私はぽつんと立っていた。
こんな状況に私は少々苛立ちを覚える。私に、今のような私に、こんな場所で心の底から楽しめると?第一に私は今、
「……………」
私は今、一人だ。誰もそばにはいない。
唯一、そばにいてほしいと想う人がかつてはいたが。今となってはもう遥か過去のような話だ。
「……帰りたい」
けれど目が醒めない。苦しい。人々の笑顔が、笑い声が、この幸せが、今の私には無いから。
私もかつて、その幸せが欲しかったから。
だからこんなにも苦しい。けれど私は目を醒さない。目を開けば、そこはいつものペンダント居住館の天井で、また灰色の景色が広がってるはずなのに。
頼む、頼むから、目を醒ましてほしい。寝ても醒めても地獄なら、現実を受け入れて悲観に浸る方がまだマシだというのに。
「……どこにも私の居場所なんてない。そんなの、分かってる。だから、もう放っておいてくれ……」
顔を覆って全てを見ないようにした。そのときだった。
もふり、と。頭に何か柔らかい感触を覚える。
「……?」
顔を上げると、そこには大きな白い犬の着ぐるみが立っていた。
「な、なんだ。お前」
「かわいいお嬢さん。どうかもう泣かないでほしい」
しかも喋るのかこいつ。それに失礼なことに、私は泣いてない。
「泣いてないよ」
「そんなの嘘だ。この夢の中くらい、素直でいてほしいな」
「………」
今更もう素直にはなれない。どうすれば素直になれるかなんて、もう忘れてしまった。
今の私にできる事と言えば、諦めることしかできない。
「ほら、こっちを見て」
「……無理だ。見れない」
「大丈夫。ほら」
柔らかい着ぐるみの両手が私の頬を優しく包んでくれる。その反動でずっと目に溜めてた涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「ほらやっぱり。ずっと我慢してた」
「うるさい……うるさい!!お前に何が分かるんだ!!私の受けた痛みも、寂しさも、何にも知らないくせに!!!!」
「……知ってるさ、そんなの」
着ぐるみは私をぎゅっと抱きしめる。やめて、もうやめて。止めようとした涙がどんどん溢れて頬を濡らして落ちてゆく。何度も、何度も。
誰かがそばにいてくれることが本当に久々で、懐かしくて、目を醒ました今の地獄のような現実では考えられないような優しくて寂しい気持ち。
あぁ、そうか。大きな白い犬の着ぐるみ、今になって気付いたよ。
どうやら私は、無意識のうちに君を呼んでいたらしい。君に会いたいと心から叫んでいたのだ。
「ヨナ、もう泣くな」
「だって、だって君は、もう」
「大丈夫、また会える」
「一人に、しないで」
「一人になんてしないさ」
そう言って、白い犬の着ぐるみは私の手のひらに飴玉をそっと載せた。
「約束だ。必ず迎えに行く」
涙でぼやけた視界と共に、意識もどんどん沈んでゆく。
気がつくと私は目を醒ましていた。灰色の地獄。変わらない風景。
ふと手のひらを見ると、夢の中で着ぐるみがくれた飴玉が何故かまだ握られていた。
……そっと包みを開いて、飴玉を口に放り込む。
すっぱいレモン味。けど舐めていくうちにだんだん甘くなっていく。
この部屋の扉の向こう側に君がいたらいいな。
そんなありもしないことを夢見て、私はまた少し泣いた。
レモン味の飴玉が、口の中で溶けてゆく。
「ここは……遊園地?」
私は夢の中の場所をぐるりと見渡す。ゴールドソーサーとはまた違った場所。人々で賑わい幸福に包まれる遊園地の真ん中に、私はぽつんと立っていた。
こんな状況に私は少々苛立ちを覚える。私に、今のような私に、こんな場所で心の底から楽しめると?第一に私は今、
「……………」
私は今、一人だ。誰もそばにはいない。
唯一、そばにいてほしいと想う人がかつてはいたが。今となってはもう遥か過去のような話だ。
「……帰りたい」
けれど目が醒めない。苦しい。人々の笑顔が、笑い声が、この幸せが、今の私には無いから。
私もかつて、その幸せが欲しかったから。
だからこんなにも苦しい。けれど私は目を醒さない。目を開けば、そこはいつものペンダント居住館の天井で、また灰色の景色が広がってるはずなのに。
頼む、頼むから、目を醒ましてほしい。寝ても醒めても地獄なら、現実を受け入れて悲観に浸る方がまだマシだというのに。
「……どこにも私の居場所なんてない。そんなの、分かってる。だから、もう放っておいてくれ……」
顔を覆って全てを見ないようにした。そのときだった。
もふり、と。頭に何か柔らかい感触を覚える。
「……?」
顔を上げると、そこには大きな白い犬の着ぐるみが立っていた。
「な、なんだ。お前」
「かわいいお嬢さん。どうかもう泣かないでほしい」
しかも喋るのかこいつ。それに失礼なことに、私は泣いてない。
「泣いてないよ」
「そんなの嘘だ。この夢の中くらい、素直でいてほしいな」
「………」
今更もう素直にはなれない。どうすれば素直になれるかなんて、もう忘れてしまった。
今の私にできる事と言えば、諦めることしかできない。
「ほら、こっちを見て」
「……無理だ。見れない」
「大丈夫。ほら」
柔らかい着ぐるみの両手が私の頬を優しく包んでくれる。その反動でずっと目に溜めてた涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「ほらやっぱり。ずっと我慢してた」
「うるさい……うるさい!!お前に何が分かるんだ!!私の受けた痛みも、寂しさも、何にも知らないくせに!!!!」
「……知ってるさ、そんなの」
着ぐるみは私をぎゅっと抱きしめる。やめて、もうやめて。止めようとした涙がどんどん溢れて頬を濡らして落ちてゆく。何度も、何度も。
誰かがそばにいてくれることが本当に久々で、懐かしくて、目を醒ました今の地獄のような現実では考えられないような優しくて寂しい気持ち。
あぁ、そうか。大きな白い犬の着ぐるみ、今になって気付いたよ。
どうやら私は、無意識のうちに君を呼んでいたらしい。君に会いたいと心から叫んでいたのだ。
「ヨナ、もう泣くな」
「だって、だって君は、もう」
「大丈夫、また会える」
「一人に、しないで」
「一人になんてしないさ」
そう言って、白い犬の着ぐるみは私の手のひらに飴玉をそっと載せた。
「約束だ。必ず迎えに行く」
涙でぼやけた視界と共に、意識もどんどん沈んでゆく。
気がつくと私は目を醒ましていた。灰色の地獄。変わらない風景。
ふと手のひらを見ると、夢の中で着ぐるみがくれた飴玉が何故かまだ握られていた。
……そっと包みを開いて、飴玉を口に放り込む。
すっぱいレモン味。けど舐めていくうちにだんだん甘くなっていく。
この部屋の扉の向こう側に君がいたらいいな。
そんなありもしないことを夢見て、私はまた少し泣いた。
レモン味の飴玉が、口の中で溶けてゆく。
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