青い春
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悟が任務でいない昼下がり
今日はどこにいるのかな?と、広い校舎を歩いて子猫を探し回る。
あの子は気分屋さんだから休む場所は日によって変わるんだ。
晴れた日には校庭の木陰
雨の日には鍛錬場の軒下
涼しく暖かいところが好きらしく、そんなところも子猫っぽいと思う。
・・・いた。
今日は校舎の裏の春風がよく通るところにいるらしい。
体を丸めて夢の中にいる彼女は
私の一つ下の学年の女の子。
初めて見かけた時には倒れているのかと心配したが、
どうやら授業をサボっているらしくただ寝ているのだとわかると
こうして時々寝ている彼女を探して一緒に微睡むのが密かな楽しみになっていた。
すっかり桜の木が黄緑色の葉が揺れる青の春。
スースーと寝息を立てる女の子の横に座り、頬にかかる髪を耳にかけてあげると『んぅ〜』と鳴き声が聞こえる。
まったく、本当に起きないな
太陽の光を輪にして輝く髪を撫でていると眠り猫が目を開ける。
『んぅ?』
「おはよう、子猫ちゃん。私は夏油傑。」
『傑くん・・・?』
初めて呼ばれたその声は、
外の世界を知らない甘えん坊の子猫がミルクを欲しがるような甘い声だった。
「そう、君の名前は?」
『んっと、にゃんこだよ』
「へぇ〜にゃんこちゃん…だね。」
『傑くんも、寝よ?』
先輩風を吹かせるつもりはないが、
私がいても構わずマイペースなところも可愛くて
呪術師をしていることを忘れてしまいそうな穏やかな時間を独り占めしたくなる。
・・・・・
春から入った呪術高専
同級生は少なくて建人くんと雄くんの2人だけ。
2人といるのは楽しいけれど、
1人でお昼寝するのはもっと好き。
「あなたはマイペースすぎてイカれてますね」
なんて建人くんに言われたっけ。
呪術師なんてみんなイカレてるんだもんと思いながら教室を抜け出し暖かい日差しの差す校庭へ向かう。
あの日の夢は、
ふわふわの綿菓子に包まれる夢。
私を迎えにきたのは蒼空色の王子様。
その王子様は私のことをお姫様にしてくれて
ずっーと2人で笑って暮らすの。
風が私の頬を撫でているのがわかる。
・・・んんぅ、ちがう
この優しい手の感じは、傑くんかな…?
傑くんは私がお昼寝をしている時に遊びにくる一つ上の先輩。
優しい声が聞きたくて目を開ける。
『傑くん…?』
「おはよ。今日もお昼寝かい?」
いつもの傑くんとの静かな時間。
そう思っていたけれど、傑くんの後ろから大きな声が聞こえてきてビクッと体が震える。
「傑!!何してんだよ。任務だろ、行く…ぞ?・・・誰だよ」
「悟、あまり大きい声を出さないでくれないか。子猫は大きい音が苦手なんだ。」
傑くんの後ろを覗いてみると、
傑くんと同じくらい大きい…白い人…?
白くて蒼空色で、この人は…夢に見た王子様・・・?
はわっ・・・。
あれ、なんだろうこの胸のトクトクするのは・・・。
・・・・・
最近傑がいなくなる。
今日はこのあと任務だってのに。
ちょっとしたら何も無かったみたいな顔をして教室に戻ってくるが
その間に「また喧嘩でもしたのか!?」と怒られんのは俺。
それがムカつくから今日は傑の後をつけていった。
ポッケに手を入れたまま、何かを探すようにキョロキョロしながら歩く柄の悪い男。
校庭の隅、木陰になっているところに探し物はあったらい。
でかい男がしゃがんでいるから何かは見えない。
「傑!!何してんだよ。任務だろ、行く…ぞ?・・・誰だよ」
「悟、あまり大きい声を出さないでくれないか。子猫は大きい音が苦手なんだ。」
は?ネコ?振り返りながらニヤリとしながら話す傑の奥には
校庭で寝ている女の子いた。
「私たちの後輩だよ、悟。にゃんこちゃんっていうんだ。子猫みたいでかわいいんだよ」
むくりと体を起こした女の子は小さくて、クルクルした目でこっちをキョトンと見ていた。
「かゎ・・・」
『川??』
4月って暑いんだな。
だんだん体温が上がってきているのが分かる。
「顔が赤いよ、悟」
傑の声なんて聞こえなかった。
ダンボールに入って拾ってほしそうな子猫に手を伸ばす。
猫だってお手くらい出来るだろう。
俺を見上げていた目が、手を追いかけて見ている。
白い腕を伸ばしてお手をするかと思ったら俺の手を掴みそのまま頬まで引き寄せた。
『おっきいおてて、あったか〜い』
「なっ!に、してんだよ!!!」
意図せず触れた頬はふにゃっとしてて、
思わず手を引っ込めてしまった。
『ちがうの?』
ちげーだろ。
なんで撫でられる前提なんだよ!
ちげーのに、なのにまた触れたいなんて思ってしまった自分にビックリして傑の襟元を引っ張って子猫の元を後にする。
『もぅいっちゃうの??』
隣で傑が何か言っていたが、
バクバクする心臓の止め方が分からなくて、
女を見て“女の子”って思ったのが初めてで、
思った通りにいかなかったのにまた触れたいなんて思った事にびっくりして
その日どうやって呪霊を祓ったのかも覚えていない。
帰りに傑と食べる当たり付きのアイスを食べ忘れていたなんて気づきもしないで寮に戻った。
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