赤い糸40,075km
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久世さんが練習を見に来てくれた翌日。夏休み前最後の登校日。
内容をほとんど進めずに宿題を配るだけの授業が終わり、移動する必要のない休み時間、俺が大口開けて欠伸をしているところに久世さんがスス、と近寄ってくる。彼女の方から何かアクションを起こしてくるのはこれが初めてで、俺は瞬時に口を閉じてその第一声を待つ。
「あの…、これ」
久世さんがおずおずと差し出してきた1枚のルーズリーフ。受け取って軽く目を通すと、そこにはマネージャーの仕事内容らしきものが箇条書きにまとめられていた。顔を上げて彼女の様子を窺うと、分かりやすくもじもじとしている。
「…やっぱり、見学だけさせてもらうのはちょっと…気が引ける…から、私にできることがあればしたいなって…。…そんな感じで合ってる…?」
促されてもう一度ルーズリーフの内容を読み込むと、『・ドリンクの用意⇒各自で水筒を持参している⇒追加で必要?⇒どこでなにを用意?』など、箇条書きにしたものに追加で現状把握してることや疑問に思っていることまで書かれているようだ。
「これ……書いてきたのか、昨日の今日で?」
「?」
首を傾げる久世さん。マジかよ。マネージャーに誘ったのはこっちだけど、まさかここまで真剣に考えてくれるとは思ってなかった。
俺の計画としてはとりあえず今日も見学してもらって、感触が良ければ夏休み中の練習試合にも誘って、それでもし良ければ夏休み明けから本格的に…と考えていたのに。「見学だけさせてもらうのは気が引ける」という先程の発言、そして昨日の「役に立てないなら居させてもらう資格ない」という発言。…なるほど、久世さんは俺が思うよりずっっと真面目なんだな。そりゃ軽く見に来ない?なんて誘っても全然来てくれない訳だ。そんで一度見に来てくれたらコレか。なんだよじゃあもっと早くから真剣にお願いするんだった。
視線を手元に戻すと、ルーズリーフには昨日の練習内容から部員達のメモまで書いてあるようだった。ここまでしてくれたんだから、俺もちゃんと応えてやりたい。
「…ありがとな。こんな真剣に考えてくれて」
「……あ、もしかして急にガチすぎた…?」
「いや、嬉しいよマジで。…コレさ、ちょっと借りていい?」
なぜ?と言いたげな久世さんに、筆箱から取り出した赤ペンを見せながら「赤ペン先生やるわ」と言うと、彼女の瞳がキラリと輝く。真面目に真面目で返されるの嬉しいんだろうな。俺は周りに真面目だと思われるのが気恥しくて軽く流すことも多いけど、好きだよこういうの。そりゃもう大歓迎。
「どうせ次の授業も自習とかだろ。この疑問点が無くなるように色々書いとくわ」
「……、やった」
彼女の瞳が柔らかく細められ、口角がゆったりと上がる。いや、それズルいんだって。初めて挨拶した時も思ったけど、この人のこういう笑顔ってかなり破壊力強いんだよな。俺が勝手にダメージを食らってると、久世さんは「じゃあお願いします」と言って自席へと戻って行く。その後ろ姿はまるで花が舞っているかのように軽やかだ。
俺は今一度ルーズリーフに目を落とす。綺麗な字で丁寧に書かれたそれに、自然と背筋が伸びる。
──さて、やりますか。
赤ペンをカチッとノックしてペン先を押し出す。項目自体はむしろ俺が思いつくよりもたくさん挙げてくれてるから、やっぱ疑問点に回答するくらいしかやれることねぇな。久世さんの字の横に、部の現状と「こうしてくれたら助かる」という内容をさらさらと書き込んでいく。
授業は予想通り夏休みの宿題範囲の説明程度のものだったから、時間が余ってつい余計なものまで書いてしまう。ルーズリーフの1番下の行に書いた『分からないことは何でも黒尾くんに聞くこと。』という自分の文字を見返して、ちょっと調子に乗りすぎか?と後悔する。でも多分彼女ならまた微笑んでくれる気がして、その姿を思い浮かべて一人ほくそ笑んだ。
────
昼休みに赤ペンで追記したルーズリーフを渡すと、久世さんは予想通り嬉しそうな顔でそれを受け取った。凛とした表情を綻ばせてくれる様子は、何度見ても気分がいいもんだ。
「ありがとう。放課後までに頭に入れておきます。」
「…今日からやんの?」
「できる限りのことをやってみるから、マネージャーとして使えそうかどうか黒尾くんが判断して」
判断って言われてもな…。何度も言うように俺は即戦力のマネージャーが欲しかった訳じゃなく、久世さんみたいなバレー好きに仲間になってほしかっただけだから、もう久世さんがOKならOKなんだけども。そもそもこんなガッツリしたメモまで書いて来てくれる時点で既に優秀なマネージャーだろ。でもまぁド真面目な彼女がそう提案するなら無碍にもできない。俺はとりあえず分かったと返事して、じゃあまた放課後と別れた。
「オス、行きますか」
「あー……えっと」
退屈な終業式も終わり、夏休みを知らせるチャイムが鳴る。いつもより浮き足立ったクラスメイト達も疎らになった頃、廊下側の席で荷物をまとめている久世さんに声を掛けると、意外にも否定的な反応が帰ってくる。彼女は周りをキョロキョロと見回しながらカバンの中の何かをぎゅっと掴んでいるようだった。彼女が握っているのは───ジャージだ。…ははぁ。なるほど。ボール拾いとかガチでやる気なんだなこの子。だからジャージに着替えたくて、そのタイミングを探している…と。しかし確かに女子マネージャーが増えるとなると着替えの場所は必要だよな、空いてる部室あったっけ?早いとこ先生に根回ししとかねぇと。なんて考えつつ、とりあえず今日どうするか思案する。
「今着替えたらまずいかな?」
「ウンそれはまずいよね今目の前に男の子が居るからね絶対にまずいよね」
おもむろにセーラー服の襟のボタン?をぷちっと外す彼女にノンブレスで抗議する。ハイ!僕居ますここに!!めちゃくちゃ男の子なんですけど見えてます?!久世さんは「え?あぁ…」みたいな顔で渋々第2ボタンから手を下ろす。いや嘘だろ久世さん。こっちはたまに見せる笑顔にちょっとドキッとかしてんのに俺の事男子だとすら思ってないわけ??ていうか俺の他にもまだ男子残ってるでしょーが!警戒心とか危機感とかねぇの?…いや、この人のこの感じ…まさか部活に意気込みすぎて周り見えてねぇのか…?どっちにしろ危ねぇわ。
「あ──……分かった。今日のところは体育館の倉庫にしよう。俺ドアの外で見張ってるから」
「え、そんな、見張らなくても」
「よくないッ!!」
かなり被せて大声で否定する。久世さんはきっとキョトンとしてるんだろうけどそっちはもう見ない。良くない。こういう会話。「ほらさっさと行くぞ」そう言って背を向けて歩きだすと、彼女も一拍遅れてからパタパタと付いてくる。オレは余計なことを考えないように、歩幅も合わせずに体育館へと突き進んだ。
ガラララ。
立て付けの悪い倉庫の扉を開く。幸いなことに体育館にはまだ誰も来ていないようだった。
「汚ぇとこで悪いけど」
「ううん。ごめんね?」
軽く促すと久世さんが倉庫の手前のマットの辺りに荷物を置く。…うーん、なんとなくもっと奥に行ってほしいんだけど…まぁいいか。俺はもう一度ガラララと扉を引き、そこに軽く背を預けた。
……いや、なにこのソワソワイベント。
女の子には分かんねぇかも知んねぇけどさ。
男子高生なんかみんなもれなくバカなのよ、俺も含めて。『女子』『着替え』この2単語だけで色々クるもんがあんだよちくしょう。あー違う違う。彼女はそういうんじゃない。大切なバレー好きの同志で、大切なマネージャー候補で、本人だって真剣にやろうとしてくれてる。そういう目では見たくない。俺が頭を振って思考を振りきそうとしていると、呑気な声と足音が響いてくる。
げ。今一番来てほしくねぇ奴が来た。
「? クロさん、何してんスか」
「黙れ。散れ。」
「えぇっ??!」
低く唸るように牽制すると、山本は分かりやすく怯む。そして上げたその声に、ドアの向こうの久世さんが反応したのが分かる。ああもう。
「すぐ!すぐ出ます!」
「出てくんな!!!」
ドアの中からは「え…?」と呆然とした声、そして体育館の中心では山本が異様に落ち着き払った顔をしていた。
「……今の……声は…………」
「何も考えるな。散れ。」
「もしや………今………その中で………………」
「黙れ」
ぐはっ!と悲鳴を上げて倒れ込む山本。
別にうちの連中は女子の着替えを覗こうなんてする奴は居ないけど、コイツは女子に慣れてないとかで妙に“敏感”だから、できればコイツにだけはバレたくなかった。がさごそとドアの中から微かに聞こえてくる音につい耳を澄ませてしまう。よくない。よくない。俺はのたうち回る山本を見てどうにか脳を冷やした。
少しすると、ドアを押さえる手に反発するような力を感じて、無意識に強く押さえつけていたことに気付く。久世さんが中からドアを開けようとしていることは明白だが、本当にちゃんと着替え終わってんだろうな…?その点においては信用ねぇからな?
「着替えました!出してください!」
ガラララ。
はっきりと着替えたと言うのを聞いてやっと手を離す。出て来た久世さんは手が疲れたのか軽く腕を振っていた。…制服以外の格好、ちゃんと見んの初めてだな。彼女は上半身は半袖の体操服、下半身は長袖ジャージを着ていて、どちらかと言えば男子っぽい着方だった。そうなるのがイヤだと思う層も居るらしく、季節問わずに上はジャージで下はハーフパンツっていう女子も居るけど、やっぱ久世さんは機能性重視か。
というかめちゃくちゃスタイいいな。
クラスの女子が久世さんをイケメンだとか話していたのを聞いた事があったけど、その時はまぁクールだしなぁ〜としか思っていなかった。でも今なら分かる。スラッと伸びた長い脚、ピンと伸びた背筋、サラサラのショートヘアが長い睫毛に引っかかって瞬きの度に揺れている。
おおお。なるほど。これは確かに少女漫画に出てくる王子様そのものだ。さっきまで女子として意識してしまっていた感覚がスッと引いていく。久世さんのこういうフラグクラッシャーなとこ、マジで有り難い。
「……?見張っててくれてありがとう…?」
「ハッ!」
久世さんに声を掛けられて我に返る。つい黙ってじろじろと見てしまっていた。申し訳ない。見張り役を終えたなら自分もさっさと着替えなくては。
「じゃ俺もマッハで着替えてくるから!ちょっと待っといて!」
「あ!ねぇ、彼は……?」
「置いといていい」
床に落ちてる山本を気にかける久世さんにスパッと返す。体育館を出ると、丁度福永と入れ違いになる。他の奴らももう着替え終わる頃だろう。俺は駆け足で部室に向かった。
・ ・ ・
俺が体育館に戻ると、すでにネットは張り終えられていた。
ピカピカのホワイトボードの下には人数分のドリンク。所定の位置に置かれたボールカゴ、得点板、そこに掛けられた床の汗拭き用のタオル。軽快な足音がする方へ目を向けると、久世さんがアップで使う用のマーカーコーンを並べ始めた。
───いや、完璧すぎませんか。
俺が呆然としていると、海が話しかけてくる。
「…今日から正式にマネージャー?」
「いや……今日の働きっぷりで使えるかどうか見てくれって言われたんだけど…」
「…使えるどころか…、完璧すぎるね……」
海の言葉にゆっくりと頷く。
あのルーズリーフに書かれていることを、久世さんは完璧以上にこなしていた。夏の蒸し暑い体育館の中、パタパタと動き回る彼女の額には汗が滲んでいる。その姿を、手持ち無沙汰な様子で見守る部員達。特に山本なんかは手伝いたそうにしつつ声の掛け方が分からないのかずっと右往左往している。
「すごい働いてくれるね。助かる。」
「お前はストレッチくらいしなさいね」
研磨がゲーム機をしまって隣に並ぶと、猫又監督が体育館に入ってくる。準備万端すぎる体育館に流石の監督も目を見開いて驚いているようだ。俺はすぐさま集合をかけて、本日の練習が始まる。
「片付けます!」
「ボール出します!」
「拾ってきます!」
「得点やります!」
「私拭きます!」
むさ苦しい体育館に、久世さんの凜とした声がよく通る。
昨日隅っこで縮こまっていた人とはまるで別人のように、積極的に声を掛け、体育館の中をあっちへこっちへと走り回っている。…マネージャーってこんな感じだっけ?中学の時にいた先輩マネージャーはもっとこう…なんというか…優しく見守ってくれていたというか…。今の久世さんはもはやパシリの極みみたいに雑用という雑用を全て巻き上げてくれている。そんなことまでしなくていいぞ、と声を掛けようかと思ったが、床の汗を拭いて颯爽と戻っていくその横顔はとてもキラキラしていて、俺は口を噤んだ。
「あんだけバリバリ働いてくれたら気持ちいいな!その分俺らも頑張んねぇと」
「…だな」
夜久みたいなこういう素直な反応が、きっと久世さんにとっては一番嬉しいんだろうな。練習も終盤、今日も3対3をしている俺たちを、得点板の後ろで見守る久世さん。彼女は常に自分の仕事を探しながらも、俺たちのプレーを食い入るように見ている。その目はやっぱり輝いていて、心配など無用だと雄弁に語っていた。
俺からマネージャーに誘ったんだから、彼女が何か困ることがあれば全て俺が責任持って支えるつもりでいた。でもそんなものはどうやら必要ないらしい。それなら俺も、ありがたくプレーに集中させてもらう。
メンバーをくるくると入れ替えて行われる3対3。ちょうど今は2年VS1年という組み合わせになっていた。俺のサーブを福永がAパスで返して、研磨がふわりとトスを上げる。山本がなかなか良いスパイクを打ち込んできて、俺は体を捻ってどうにかそれを上げる。「ナイスレシーブ」と、小さいけれど確かに声が聞こえた。海が2本目を上げてくれて、夜久が「ブロック1枚!」と教えてくれる。絶妙にトスが合わず、空中でどうにか堪える。レフト側を閉める山本のブロック、ライト前には研磨、後ろには福永が待ち構えていて、今の体勢で打ってもろくなことにならなそうだ。それならリバウンド取るか?味方の位置は?もしくはフェイント?研磨に読まれないか?たった一瞬、空中で思考が駆け巡る。───いや、勝負。山本の手の出し方はまだ甘い。その左手の先端を目掛けて、不恰好なスパイクを打つ。
「ナイス…!」
その声を聞きながら、俺は着地の衝撃を吸収しきれずゴロンと転がる。目線で追った先、ボールが遠くに飛んでいくのを見てほくそ笑んだ。
「ごめん、トス割れた」
「いんや、結果オーライ」
「ナイス判断!黒尾にやられてるようじゃ山本はまだまだだな」
「一言多いよねやっくん」
味方と手を当て合いながら得点を噛み締めつつ、得点板の方を見る。久世さんがこっち側の点を一枚めくった後、ぱちっと目が合った。そして、今まで見た中で一番の笑顔をくれる。
───よし。
やっぱ見てくれてるだけで全然違うわ。俺は心の中で確かな手応えを感じつつ次のプレーに集中…しようとしたところで、久世さんが「拭きます!」と駆け寄ってきて先程俺が転んだ床の汗を拭きに来てくれる。
「アッうん、ありがとね…」
なんとなくまたフラグを折られた気がしていると、全て見透かしたようにネットの向こうの研磨が鼻で笑う。また颯爽と得点板へ戻った久世さんは、相変わらずキラッキラに輝いた目でコートを見ていた。
「気合い入ってるなお前達、もっと面白いもん見せてやりな」
監督がそう言い、各々が返事をする。
全員の士気が高まっているのを感じる。マネージャー(候補)のパワー、恐るべし。
────
「あぁそうだ。黒尾…と、そちらの働き者の彼女」
練習メニューを全て終え、コーチと監督の総評も終わった後、体育館を出て行く直前で猫又監督が振り返る。既にネットの片付けを手伝おうとしていた久世さんの方を見ると、驚いた様子でこちらに駆け寄って来た。俺と久世さんが揃ったところで、監督がゆっくりと話しだす。
「急かすようで悪いんだけどね、そろそろ合宿の届出をしなくちゃならないんだ。もし合宿に行くなら、明日には入部届けを出して貰いたいんだよねぇ」
合宿。確かに夏休み中は合宿やら練習試合やらで遠征も多い。俺は夏休み明けくらいからマネージャーになってくれればな〜なんて悠長に考えていたから、そのへんの手続きのことはまだあまり考えていなかった。久世さんはどうしたいんだろう、と隣の彼女を見ると、彼女も「どうしたらいい?」と言いたげな表情でこちらを見ていた。
「あー…、明日には、どうするか決めておきます」
「おう、頼むよ」
監督は俺にそう言うと、久世さんの方に向き直る。久世さんはより一層背筋を伸ばし、緊張しているようだ。そんな彼女に猫又監督は柔らかくほほ笑みかける。
「バレーが好きなのは十分伝わった。歓迎するよ。」
「………はい…!」
彼女の返事を聞くと、「黒尾はいいのを連れてくるよねぇ」と笑いながら今度こそ体育館から出て行った。猫又監督が復帰したのは本当につい最近だけど、俺と研磨のコンビを見た時、いつから一緒にやっているのかと聞かれ、幼馴染でずっと俺が一緒にやろうと誘っていることを説明すると、「面白いの捕まえたなぁ」って笑ってくれた。猫又監督は、バレーが上手いとか下手とか、何ができるできないとか、マナーがどうこうとか、そういうことよりもバレーへの関心度や愛を見てくれる人だと思う。だからこそ俺は音駒に来たし、俺が一緒にバレーしたいと思う人を、監督に認めてもらえると嬉しい。
復帰してくれた尊敬する恩師、相棒のセッター、そして敏腕マネージャー。同期も後輩も良い奴らで、俺恵まれすぎかよ。胸にじんと広がる感覚を噛み締めていると、隣からの視線を感じる。
「…黒尾くんの評価を聞く前に、監督さんに歓迎してもらっちゃった」
「そーね…」
「……で……黒尾くんの評価は……?」
「不合格って言うと思う?」
そう返すと久世さんは「分かんないから聞いてるんじゃん」と少しむくれてしまう。分かんないの?俺こんなに満足してんのに?
「合格も合格。久世さんさえ良ければ合宿も手伝っていただけるとめちゃくちゃ助かります」
俺がそう言うと、久世さんの瞳の中がキラリと輝く。
お、来るぞ来るぞ。
想像通り破顔して「…やった!」と少し跳ねる久世さんに、ヤッターは俺の方なんだけどなぁと思う。
「じゃ明日入部届けもらって来るから」
「うん!よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
お互いに同級生相手にするとは思えないような綺麗なお辞儀をして、顔を上げて笑い合う。
音駒高校バレー部新体制。最強メンバーでお送りしていきますか。