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▼nに踏み込む

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□秘密:楽士のリーダーであるソーンに一目惚れし、彼女を救うために世界をループし続けている

□表層トラウマ
【永遠の横恋慕(ネバーエンディングラブストーリー)】

□緩和条件
nがソーンの×××を諦める、またはnがソーンの×××を助ける

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■本性:他人に愛情を向けられることを『束縛』だと感じ、強い恐怖を覚えて忌避する

■深層トラウマ
【二重の茨(ダブルバインド)】 

■緩和条件
nのことを愛する人物が、nの『愛情』への偏見と誤解を解く

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本名:白橡 音人(しろつるばみ ねいと)
年齢:26歳
職業:デイトレーダー
性別:男性

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幼い頃から母親に虐待を受けており、
「言われたことをやりなさい」「言われたことしかできないの」「わからないのにどうして聞かないの」「人に聞かないで自分で考えなさい」
等の矛盾する命令に苛まれていた。
更に「親は子供を愛するもの」という固定概念を繰り返し押し付けられ、音人は
「母は自分を愛しているから正しいことを教えてくれている」「自分自身が悪い子で言われた通りにできないから叱られている」
と誤解する。
結果的に、音人は自分自身を
「何も出来ず、母親の望んだ通りにも出来ない出来損ないの役立たず」
と思い込むようになった。

小学生の頃、母は音人の父親と共に事故に巻き込まれて亡くなり、音人は父方の祖父母に引き取られることになる。
愛情深い祖父母は音人を可愛がったが、音人はその「愛情」に対して、酷く怯えるようになっていった。

彼にとっての「愛情」は「母親の望んだ通りに出来たときに与えられるもの」だった。
「何も出来ない役立たず」の自分に、それが与えられるはずがないと、音人は思い込んでいたのである。
祖父母の与えてくれる「愛情」に対し、音人は「彼らの望むようにしなければいけない」と考えるが、何をしていいか分からない。
それもそのはずで、祖父母は音人が健やかに育つことこそを望み、何も見返りなどは求めていなかった。
世間では「無償の愛」と呼ばれるものを、音人が知るはずもなく、彼は祖父母から与えられる「愛情」を、段々と苦痛に感じるようになる。
彼らが望む通りにしなければいけないのに、自分には何も出来ず、何をしていいかもわからない。
身動きが取れなくなった音人にとって、それはまさしく『束縛』に他ならなかった。

彼は与えられる「愛情」を撥ね付けるようになり、「愛されたり、好きになられるのだと自分が自分でいられなくなる」のだと思い込んでしまう。
さらに、それは母親とのコミュニケーションでも同様であったことに気が付いた彼は、ますます「愛情」を拒絶するようになっていった。
周囲との「愛情」の認識に大きな齟齬のある彼の恐怖は、誰にも理解して貰うことは出来なかった。
そのうち彼は自分の「愛情への恐怖」を周囲に理解して貰うことを諦め、「周囲が愚かだから自分を理解出来ない」のだと自分自身を正当化してしまう。
自分以外の全てを見下すようになった音人は、その傲慢さを持って「束縛」から逃れるように、傍若無人な振る舞いと自由奔放な言動を見せるようになった。

成長するにつれ「愛されさえしなければいい」と思い至った音人は、「既に愛している誰かがいる人間」と関係を持つようになる。
周囲からは基本的に問題児扱いされる音人だったが、元々賢く他人の機嫌を伺うのが得意な彼の底知れぬ魅力に惹かれる者も少なくはなく、相手は掃いて捨てるほどいた。
「愛されたくない」と宣う音人に対し、大抵の人間は、彼の表面上の魅力に負けて、本気の「愛情」を音人に向けるようになる。
音人は相手が自分に興味が向いたことに気が付くと、あっさりと関係を断ち切り、次から次へと乗り換えていってしまった。 
当然彼の行動は人間関係でのトラブルの元となり、諍いは絶えなかった。

愛されることに怯えながらも、人と関係を持つことを止めない音人の根底にあるものは、「寂しさ」だった。
本当の「愛情」の意味を教えて貰えず、誰にも理解して貰えない感情を抱えた彼は、酷く孤独だったのである。
けれど音人は自分の抱える「寂しさ」には気がつくことが出来ず、ひたすらに「愛しても愛し返さない」理想を探し求め続けた。

やがて祖父母も亡くなり、転がり込んだ遺産で暮らしていた音人は、ある日、痴情の縺れから女性に刺されてしまい、入院することになる。
一人ベッドの上でぼんやりしていた音人は、同室の男性が、見舞いに来た家族に囲まれている様子を目の当たりにする。
愛してくれた人々を全て切り捨て、対人関係のトラブルのために友人すらもいなかった音人には、見舞い客などいるはずもなかった。
初めて自身の孤独に気が付いた音人は、µの歌を聞き、そのまま眠りに落ちるようにメビウスへと堕ちていってしまう。



メビウスで音人に与えられたのは、現実と変わらない、自由気ままで孤独な生活だった。
だが、『卒業』をきっかけに帰宅部へ入り、生まれて始めて「仲間」という存在を得た音人は、少しずつ自分の中で何かが変わるのを感じていく。

―――現実に帰ったら、全てをやり直そう。

仲間たちを知り、彼らの想いを胸に抱いた音人がそう思えたのは、最終決戦の直前だった。
しかし、彼はそこで、『運命の相手』と出会ってしまう。 

絶対に叶うことのない恋。 
絶対に振り向くはずのない相手。 
ソーンは、音人の「理想」を体現してしまっていた。

恋に落ちた――――――その直後に、ソーンの命は喪われてしまう。 

けれど、そのせいで『彼女』への恋心とその存在は、音人の心に深く深く穿たれてしまった。

……気が付くと、音人は再び、メビウスに戻ってきていた。 
初めは混乱する音人だったが、やがて起きる出来事が『繰り返されている』ことに気がついてから、彼の思考はある一点に辿り着く。

「ソーンを助けたい」

繰り返される世界を辿り、音人はソーンにもう一度会い、『彼女』を救おうと奔走する。

けれど、音人が何をしようとも、起きる物事の結末は変わらない。
そのことに気が付いても、音人は世界を繰り返すことを止めなかった。

何度も世界を繰り返すうちに、やがて自分も周囲も音人の名前を認識できなくなり、彼は『n』と名乗るようになる。

名前を失い、目的を見失っても、『n』は「n回目」の世界を、終わらないメビウスの輪の中を走り続けた。

終わったはずの始まりから、現実へ帰るための物語を。
何度でも何度でも何度でも、何度でも。

ただ一人、恋した相手を『×××る』ために。