青八木一
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瞼を伏せているから睫毛が影を作ってよけいに長く見え、筋の通った鼻は美しいとしか言えない。私の知っている青八木くんよりも、ずっと逞しくなり男の子から男性の身体になっているのが制服の上からでもわかる。
すき、だな。と思う。
私はお昼にお弁当を食べるのに静かな環境を求め、よく校舎裏に行く。ここは人はいるけど皆あまり喋らず一人の世界を楽しむ者の場だ。
いつもの校舎裏のお気に入りの木の下……なぜかそこに青八木くんが寝ていたのだ。
起こすのも悪いし、だからっていつもの場所を変える気にもなれず、私は青八木くんの寝顔を見ながらお弁当を食べていた。
自分で作ったお弁当の中身は知っているから面白くはないし、味だって素っ気ないものだけど。でも青八木くんがそこにいるだけでいつもより食事が楽しい気がした。
そろそろ昼休みも終わる。校舎裏から教室に戻るためにぱらぱらと皆動き始める。さすがに起こした方がいいだろうか気にしていると、名前を呼ばれた。
「名前……?」
タイミング良く青八木くんが起きたのかなと横になってる彼の顔を覗きこむと瞼は閉じられたままだ。
「青八木くん、起きないの」
「……」
返事はない。
そっと彼の髪を掬う。サラサラと指からこぼれ落ちた。
「起きないと……」
頬に触れる。柔らかく、血の通った温度に心臓が高鳴った。髪を耳にかけ、青八木くんの顔から手を離す。
「!!」
ふいにその手を掴まれる。
強い力ではないけど予想しない動きに驚いた。
青八木くんの体勢は変わっていないけど目は開いていて、ばっちりと合った。
腹筋だけで上体を起こした青八木くんは私の手を引く。あっけなく私は身体ごと彼に包まれてしまう。
ぎゅ、軽く力を入れて抱かれた後、両肩に手を置かれ、見つめ合えるくらいには身体を離される。
ゆっくりと近付いてくる彼の美しい顔に耐えられず、思わず目を閉じた。
唇に触れる暖かい感触。少しだけかさついた薄い唇が私のそれに合わさっているのかと思うだけで脳の奥が痺れる。
ゆっくりと離される。
余韻に浸りながら目を開けると思ったより彼の顔は近くにあった。
「青や…」
最後まで呼ばせは貰えず、声ごと唇を食べられる。
啄むようなキスをされ、リップ音を立てられると思ったよりそれは蠱惑的で、正直心臓がもたないんじゃないかと思うくらい忙しく鳴っている。
繰り返されるその行為に酔いしれているとペロリと下唇を舐められる。驚いて目も口も開いてしまうが、その瞬間を捕らえられ熱い彼の舌が口内に浸入してきた。
肩に置かれたはずの手は私の背中と頭に回され、逃げ道はない。もとより逃げるつもりもないけれど。
普段の静かな青八木くんからは想像つかない熱い体温を感じる。舌を吸われ絡ませ、体液も温度も混ざり合う初めてのことに頭がおかしくなりそう。
「ん…はぅん…」
合間に呼吸とともに甘い息が漏れる。
それを合図にしたみたいに、唇を離された。ちゅ、と最後に音を立ててキスをする。
「名前、いけない。学校でそんな声をだしては」
諭されるように言われ、はいと返事をしてしまったけど、元はと言えば青八木くんの所為なのに。
「名前が誘うからいけないんだ、オレだってそういうことしたくなる。相手が名前だと」
「……青八木くん」
さっきから全身心臓かと思うくらいうるさい鼓動が更に早まる。
「悪かったけど誘ったのは名前だから。でももう引退するまではしない」
青八木くんは身体ごと背を向け、歩きだす。
「行こう、純太が待ってる」
いやいや誘ってないし私のこと手嶋くんは別に待ってないよねとか思ったけど、全て飲み込んで、青八木くんが差し出してくれた手をとった。
暖かく、大きな幸せに手ごと包まれた。
続きはインターハイが、終わってから。
END
すき、だな。と思う。
私はお昼にお弁当を食べるのに静かな環境を求め、よく校舎裏に行く。ここは人はいるけど皆あまり喋らず一人の世界を楽しむ者の場だ。
いつもの校舎裏のお気に入りの木の下……なぜかそこに青八木くんが寝ていたのだ。
起こすのも悪いし、だからっていつもの場所を変える気にもなれず、私は青八木くんの寝顔を見ながらお弁当を食べていた。
自分で作ったお弁当の中身は知っているから面白くはないし、味だって素っ気ないものだけど。でも青八木くんがそこにいるだけでいつもより食事が楽しい気がした。
そろそろ昼休みも終わる。校舎裏から教室に戻るためにぱらぱらと皆動き始める。さすがに起こした方がいいだろうか気にしていると、名前を呼ばれた。
「名前……?」
タイミング良く青八木くんが起きたのかなと横になってる彼の顔を覗きこむと瞼は閉じられたままだ。
「青八木くん、起きないの」
「……」
返事はない。
そっと彼の髪を掬う。サラサラと指からこぼれ落ちた。
「起きないと……」
頬に触れる。柔らかく、血の通った温度に心臓が高鳴った。髪を耳にかけ、青八木くんの顔から手を離す。
「!!」
ふいにその手を掴まれる。
強い力ではないけど予想しない動きに驚いた。
青八木くんの体勢は変わっていないけど目は開いていて、ばっちりと合った。
腹筋だけで上体を起こした青八木くんは私の手を引く。あっけなく私は身体ごと彼に包まれてしまう。
ぎゅ、軽く力を入れて抱かれた後、両肩に手を置かれ、見つめ合えるくらいには身体を離される。
ゆっくりと近付いてくる彼の美しい顔に耐えられず、思わず目を閉じた。
唇に触れる暖かい感触。少しだけかさついた薄い唇が私のそれに合わさっているのかと思うだけで脳の奥が痺れる。
ゆっくりと離される。
余韻に浸りながら目を開けると思ったより彼の顔は近くにあった。
「青や…」
最後まで呼ばせは貰えず、声ごと唇を食べられる。
啄むようなキスをされ、リップ音を立てられると思ったよりそれは蠱惑的で、正直心臓がもたないんじゃないかと思うくらい忙しく鳴っている。
繰り返されるその行為に酔いしれているとペロリと下唇を舐められる。驚いて目も口も開いてしまうが、その瞬間を捕らえられ熱い彼の舌が口内に浸入してきた。
肩に置かれたはずの手は私の背中と頭に回され、逃げ道はない。もとより逃げるつもりもないけれど。
普段の静かな青八木くんからは想像つかない熱い体温を感じる。舌を吸われ絡ませ、体液も温度も混ざり合う初めてのことに頭がおかしくなりそう。
「ん…はぅん…」
合間に呼吸とともに甘い息が漏れる。
それを合図にしたみたいに、唇を離された。ちゅ、と最後に音を立ててキスをする。
「名前、いけない。学校でそんな声をだしては」
諭されるように言われ、はいと返事をしてしまったけど、元はと言えば青八木くんの所為なのに。
「名前が誘うからいけないんだ、オレだってそういうことしたくなる。相手が名前だと」
「……青八木くん」
さっきから全身心臓かと思うくらいうるさい鼓動が更に早まる。
「悪かったけど誘ったのは名前だから。でももう引退するまではしない」
青八木くんは身体ごと背を向け、歩きだす。
「行こう、純太が待ってる」
いやいや誘ってないし私のこと手嶋くんは別に待ってないよねとか思ったけど、全て飲み込んで、青八木くんが差し出してくれた手をとった。
暖かく、大きな幸せに手ごと包まれた。
続きはインターハイが、終わってから。
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