社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数日後、新開から飲みの誘いがあった。
この前あまり話せなかったから飲み直しといかないか、と。
もちろん荒北としても思わぬ邪魔が入ったこともあり、物足りなさを感じていたので即予定を埋めた。
高校卒業後も何かと集まったりはしていたが、大学を卒業し社会人となり、やがて家庭を持つと会う回数はぐっと減る。
新開も彼女と結婚を考えてるようなことを言っていたので時間の問題だろう。仕事が忙しく構ってやれず、別れを告げられた荒北は苦い思いもあるが、旧友たちが幸せになっていくを心から祝える度量のある男である。
その日は急ぎの案件もなく、荒北の頑張りもありほぼ定時に上がることができた。
炭火焼鳥がメインの居酒屋。焼肉でも良かったが焼鳥の気分のためこの店にした。新開は美味しいものがたくさん食べられればまず不満はないので大丈夫だろう。
「新開オメー知ってたのかよ、あの緑の服がオレの会社に居るって」
「ああ、本人がそう言っていただろう、総務の名字ですっ」
「ぜんっぜん聞いてねー」
「おめさん相変わらずだな」
「オメーもオレにバキュンすンなよ、ナニ仕留めんだョ」
「靖友のカシラ」
荒北は最後のカシラの串を新開に渡して、自分はネギマを齧った。特別カシラが食べたかった訳ではない。
いい感じにお腹も満たされ、酔いも回ってきたころ、何やら騒ぐ声がした。この店は個室ではないが、各テーブルの仕切りが長めで、暖簾も下がっており通路や他の客席から互いの顔が見えないようになっている。
なので今まで全く気づかなかったが、聞き覚えのある関西弁を確認した。
「小野田くんー、もうワイの癒しは小野田くんだけやー」
「誰だよ小野田くんて、鳴子相当酔ってるな」
「仕方ないだろ、先月彼女に振られたんだから」
「いいかげん名字さん解放してやれよ鳴子」
「いやや小野田くんいかんといてー」
思わず新開と顔を見合わせる。確実に二人の知っている鳴子だ。放っておけとも思うが、荒北にとっては現在の後輩。仕方なく様子を見に行く事にした。
「鳴子なにやってンの」
声のする暖簾を捲り覗いた。予期せぬ他者の介入と荒北の三白眼に部屋の空気に緊張が走ったのがわかった。
「荒北さん」
荒北の直属の後輩も同席しておりなんとなく会社の面子であることはわかったが、一応聞いた。
「んだよ、アレ」
見ると鳴子が名字に抱きつくように腕を回して泣き言を言っている。名字も別に嫌がってる訳でもなさそうだし野暮はしねーよと退散しようとしたが、名字から名指しされたので足を止める。
「荒北さん!」
「アァ?」
「あの、もしなんですけどお家知っていたら鳴子くん帰り送って貰えないでしょうか、かなり酔ってしまって」
「誰も知らねーのかよ鳴子んち」
「鳴子くんが落ち込んでるからって同期で飲みに来たんですけど……。鳴子くんいつもは全然酔わなくて、みんなを送る側だったので誰も知らないんです、聞いてもこの調子で」
「……チッ」
鳴子の襟首を掴んで無理矢理立たせる。
「いくぞボケナスが」
「小野田くんー」
まだ小野田を呼ぶ鳴子に蹴りをお見舞いする。周りからヒッと声が上がった。
「小野田チャンの手煩わせんなよ!こいつは小野田チャンじゃねー、緑の服の女だろ、ホレ、歩け」
ゲシゲシと叩いたり蹴ったり支えながら歩くもフラフラな鳴子であったが、その後新開の「迅くん呼ぼうか」の一言で割としっかりした足取りになったので、酔ったフリ疑惑が皆の心にしばらく残るのであった。
更に言えば名字の本日の衣装は緑色ではなくそれも疑問となるが些細なことである。
この前あまり話せなかったから飲み直しといかないか、と。
もちろん荒北としても思わぬ邪魔が入ったこともあり、物足りなさを感じていたので即予定を埋めた。
高校卒業後も何かと集まったりはしていたが、大学を卒業し社会人となり、やがて家庭を持つと会う回数はぐっと減る。
新開も彼女と結婚を考えてるようなことを言っていたので時間の問題だろう。仕事が忙しく構ってやれず、別れを告げられた荒北は苦い思いもあるが、旧友たちが幸せになっていくを心から祝える度量のある男である。
その日は急ぎの案件もなく、荒北の頑張りもありほぼ定時に上がることができた。
炭火焼鳥がメインの居酒屋。焼肉でも良かったが焼鳥の気分のためこの店にした。新開は美味しいものがたくさん食べられればまず不満はないので大丈夫だろう。
「新開オメー知ってたのかよ、あの緑の服がオレの会社に居るって」
「ああ、本人がそう言っていただろう、総務の名字ですっ」
「ぜんっぜん聞いてねー」
「おめさん相変わらずだな」
「オメーもオレにバキュンすンなよ、ナニ仕留めんだョ」
「靖友のカシラ」
荒北は最後のカシラの串を新開に渡して、自分はネギマを齧った。特別カシラが食べたかった訳ではない。
いい感じにお腹も満たされ、酔いも回ってきたころ、何やら騒ぐ声がした。この店は個室ではないが、各テーブルの仕切りが長めで、暖簾も下がっており通路や他の客席から互いの顔が見えないようになっている。
なので今まで全く気づかなかったが、聞き覚えのある関西弁を確認した。
「小野田くんー、もうワイの癒しは小野田くんだけやー」
「誰だよ小野田くんて、鳴子相当酔ってるな」
「仕方ないだろ、先月彼女に振られたんだから」
「いいかげん名字さん解放してやれよ鳴子」
「いやや小野田くんいかんといてー」
思わず新開と顔を見合わせる。確実に二人の知っている鳴子だ。放っておけとも思うが、荒北にとっては現在の後輩。仕方なく様子を見に行く事にした。
「鳴子なにやってンの」
声のする暖簾を捲り覗いた。予期せぬ他者の介入と荒北の三白眼に部屋の空気に緊張が走ったのがわかった。
「荒北さん」
荒北の直属の後輩も同席しておりなんとなく会社の面子であることはわかったが、一応聞いた。
「んだよ、アレ」
見ると鳴子が名字に抱きつくように腕を回して泣き言を言っている。名字も別に嫌がってる訳でもなさそうだし野暮はしねーよと退散しようとしたが、名字から名指しされたので足を止める。
「荒北さん!」
「アァ?」
「あの、もしなんですけどお家知っていたら鳴子くん帰り送って貰えないでしょうか、かなり酔ってしまって」
「誰も知らねーのかよ鳴子んち」
「鳴子くんが落ち込んでるからって同期で飲みに来たんですけど……。鳴子くんいつもは全然酔わなくて、みんなを送る側だったので誰も知らないんです、聞いてもこの調子で」
「……チッ」
鳴子の襟首を掴んで無理矢理立たせる。
「いくぞボケナスが」
「小野田くんー」
まだ小野田を呼ぶ鳴子に蹴りをお見舞いする。周りからヒッと声が上がった。
「小野田チャンの手煩わせんなよ!こいつは小野田チャンじゃねー、緑の服の女だろ、ホレ、歩け」
ゲシゲシと叩いたり蹴ったり支えながら歩くもフラフラな鳴子であったが、その後新開の「迅くん呼ぼうか」の一言で割としっかりした足取りになったので、酔ったフリ疑惑が皆の心にしばらく残るのであった。
更に言えば名字の本日の衣装は緑色ではなくそれも疑問となるが些細なことである。