社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
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***注意!!!***
ここからは荒北ルートになります。
鳴子ルートのみ読みたい方は一度目次へお戻り下さると助かります。
***
涙が頬を伝う。大好きだと、ずっと見ていたと言葉にしたいのに頭は真っ白で、金魚みたいにぱくぱくと口を動かすだけの名字に、荒北はそっと距離を詰めた。
「泣いてんじゃねーよ、こっち向け」
荒北の乱暴だが優しい声。
顔を上げた名字の涙を荒北の着ている浴衣で拭われる。
旅館で綺麗にクリーニングされた糊の匂いと。石鹸のような、それでいて爽やかな海を感じさせるような清涼感のある香りがした。
「荒北さんの匂いだ……」
そっと荒北の腕に触れ、言われた通り顔を合わせると、自然と笑みが浮かんだ。
「おりこうに笑えるじゃねーか、名字チャン」
髪を撫でられる。
憧れ続けたその腕が目の前にある。
名字は自身の頭に伸びる荒北の右腕に指を這わせ、そっと唇を寄せた。
一瞬だかびくっとわずかに荒北が動揺したのがわかった。
「荒北さん、好きです。ずっと好きでした。こんな風に気持ちを言える日がくるなんて思わなかった」
腕を掴んだまま目を見ながら伝えた。
名字の瞳は涙を溜めていたが、荒北を困らせまいと必死でまばたきを我慢して、溢れないようにした。
「ハッ、よくできたご褒美に泣いてもいいぜ」
ぐいと撫でられた頭ごと引き寄せられると荒北の胸に抱かれた。
薄いのにしっかりとついた筋肉は名字を受け止める。
「荒北さん、荒北さん……!」
名字が両腕を荒北の背中に回すと、一度だけ荒北も応えるようにぎゅっと抱き締めてくれた。
その後は力を抜き、頭をくしゃりとかき混ぜられる。
感極まり、名字は震えて涙はこれ以上せき止められなかった。
「東堂から聞いたヨ、名字チャン、東堂のファンクラブでありながらオレの写真欲しがったり質問ばかりしてたから忘れられねーって」
恥ずかしい過去を暴露されていたたまれない名字は荒北の胸で激しく赤面した。
宴会で睡魔に勝てなくなった名字を担いで東堂に休憩室を都合してもらえないか頼んだところ、喜んでこの話をしてくれたのだ。
荒北は自分でも現金だとは思うが、その話を聞いて腑に落ちた。
こんなに自分への好意をぷんぷんニオわせてる女が東堂や鳴子になびくのが許せなかったのだろうと。
名字を見下ろすと、俯いて髪が流れていたため首すじが目に付いた。
──ああニオイがする、オレが欲しくてたまらないニオイだ、そうだろ名前。
がぶりと本能のままそこに噛み付くと、存外色っぽい嬌声があがったので、その予想外のことは荒北の雄を呼び起こすことになる。
「オレも嫌いじゃねェよ、ずっと知ってた。お前がオレに対してだけ甘いニオイ出すの」
無理矢理顔を上げさせられた名字は喜びと恥ずかしさと驚きで、これ以上ないほど茹で上がっていたが、荒北は許してはくれなかった。
「野球もいまでも好きィ?塾帰りの名字チャン」
なんで知ってたの、ずっと見てたこと。どうして塾帰りの私だってわかったの、名字は聞きたかったけれど、あいにく唇は塞がれていたので言葉を紡ぐことはできなかった。
ここからは荒北ルートになります。
鳴子ルートのみ読みたい方は一度目次へお戻り下さると助かります。
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涙が頬を伝う。大好きだと、ずっと見ていたと言葉にしたいのに頭は真っ白で、金魚みたいにぱくぱくと口を動かすだけの名字に、荒北はそっと距離を詰めた。
「泣いてんじゃねーよ、こっち向け」
荒北の乱暴だが優しい声。
顔を上げた名字の涙を荒北の着ている浴衣で拭われる。
旅館で綺麗にクリーニングされた糊の匂いと。石鹸のような、それでいて爽やかな海を感じさせるような清涼感のある香りがした。
「荒北さんの匂いだ……」
そっと荒北の腕に触れ、言われた通り顔を合わせると、自然と笑みが浮かんだ。
「おりこうに笑えるじゃねーか、名字チャン」
髪を撫でられる。
憧れ続けたその腕が目の前にある。
名字は自身の頭に伸びる荒北の右腕に指を這わせ、そっと唇を寄せた。
一瞬だかびくっとわずかに荒北が動揺したのがわかった。
「荒北さん、好きです。ずっと好きでした。こんな風に気持ちを言える日がくるなんて思わなかった」
腕を掴んだまま目を見ながら伝えた。
名字の瞳は涙を溜めていたが、荒北を困らせまいと必死でまばたきを我慢して、溢れないようにした。
「ハッ、よくできたご褒美に泣いてもいいぜ」
ぐいと撫でられた頭ごと引き寄せられると荒北の胸に抱かれた。
薄いのにしっかりとついた筋肉は名字を受け止める。
「荒北さん、荒北さん……!」
名字が両腕を荒北の背中に回すと、一度だけ荒北も応えるようにぎゅっと抱き締めてくれた。
その後は力を抜き、頭をくしゃりとかき混ぜられる。
感極まり、名字は震えて涙はこれ以上せき止められなかった。
「東堂から聞いたヨ、名字チャン、東堂のファンクラブでありながらオレの写真欲しがったり質問ばかりしてたから忘れられねーって」
恥ずかしい過去を暴露されていたたまれない名字は荒北の胸で激しく赤面した。
宴会で睡魔に勝てなくなった名字を担いで東堂に休憩室を都合してもらえないか頼んだところ、喜んでこの話をしてくれたのだ。
荒北は自分でも現金だとは思うが、その話を聞いて腑に落ちた。
こんなに自分への好意をぷんぷんニオわせてる女が東堂や鳴子になびくのが許せなかったのだろうと。
名字を見下ろすと、俯いて髪が流れていたため首すじが目に付いた。
──ああニオイがする、オレが欲しくてたまらないニオイだ、そうだろ名前。
がぶりと本能のままそこに噛み付くと、存外色っぽい嬌声があがったので、その予想外のことは荒北の雄を呼び起こすことになる。
「オレも嫌いじゃねェよ、ずっと知ってた。お前がオレに対してだけ甘いニオイ出すの」
無理矢理顔を上げさせられた名字は喜びと恥ずかしさと驚きで、これ以上ないほど茹で上がっていたが、荒北は許してはくれなかった。
「野球もいまでも好きィ?塾帰りの名字チャン」
なんで知ってたの、ずっと見てたこと。どうして塾帰りの私だってわかったの、名字は聞きたかったけれど、あいにく唇は塞がれていたので言葉を紡ぐことはできなかった。