社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
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「荒北さん……」
寝起きで回らない頭で名字は必死に考えた。
ここはどこで、どうして荒北さんといるのだろう。二人の間には適度な距離が開いており、何かあったとも考えにくい。
「オレの前でダレのこと呼んでたんだよ」
明らかに不機嫌そうな声色で荒北は言った。はだけた合わせから胸板が覗く。それだけでドキリとして頬が熱くなるが、荒北は何か勘違いをしたのが盛大にため息をついた。
「おめーもいっちまうのかよ、結局」
横を向いて頭をガシガシと掻く、よく知った仕草。だって名字はずっと荒北を見ていたのだから。
「どこに行けばいいんですか、私は。ここがどこかもわからないのに」
「あー、名字ちゃん酔って寝ちまったから、東堂に言って休憩室用意してもらったんだけど、てか女が無防備にあんなとこで寝るんじゃねーよ」
叱られたのだが、荒北が自分のことを気にかけてくれたと名字は嬉しくなって笑ってしまう。それを訝しむように荒北は見ていた。
「あ!そういえば宴会は!」
「とっくに終わって今は希望者だけのカラオケ二次会やってんよ」
「そんな、どうしよう、私幹事なのに」
仕事を放棄したような責任を感じて立ち上がろうとするが、制された。
「もうとっくに片付けも終わってるし、鳴子のやつがまとめてたから心配いらねーヨ」
「そうですか、鳴子くんが……」
また助けられてしまった。彼の好意に甘え過ぎだ。
情けなくて涙がにじむ。
「だめですね……私」
「あ?!」
「いつも助けられてばかりで何もできなくて、研修の時から鳴子くんには助けられてばかりで」
ぐすぐすと涙する名字に、荒北は明らかに苛立っていた。
「そんなんソイツがそうしてぇんだから黙って受けとりゃいいだろボケナス、嫌なら断れ」
真剣な荒北の声に名字は顔を上げて荒北を見た。
「嫌なら断れ」
鋭い眼光に射抜かれる。
「おめェの気持ちは届いてんヨ、名字チャン、言ってみろよ、その口で」
「え……」
「フラフラと定まらねェその猫みてーな衝動を、誰に止めて欲しいんだよ名前。オレはわかってっけどな、甘えんな、言葉にしろ、ここで」
「荒北さん……」
憧れ焦がれ続けた先輩がここにいる。手を伸ばせば届く距離に降りてきてくれている。
そう、決まっているじゃないか。
「荒北さん、私、私は────」
寝起きで回らない頭で名字は必死に考えた。
ここはどこで、どうして荒北さんといるのだろう。二人の間には適度な距離が開いており、何かあったとも考えにくい。
「オレの前でダレのこと呼んでたんだよ」
明らかに不機嫌そうな声色で荒北は言った。はだけた合わせから胸板が覗く。それだけでドキリとして頬が熱くなるが、荒北は何か勘違いをしたのが盛大にため息をついた。
「おめーもいっちまうのかよ、結局」
横を向いて頭をガシガシと掻く、よく知った仕草。だって名字はずっと荒北を見ていたのだから。
「どこに行けばいいんですか、私は。ここがどこかもわからないのに」
「あー、名字ちゃん酔って寝ちまったから、東堂に言って休憩室用意してもらったんだけど、てか女が無防備にあんなとこで寝るんじゃねーよ」
叱られたのだが、荒北が自分のことを気にかけてくれたと名字は嬉しくなって笑ってしまう。それを訝しむように荒北は見ていた。
「あ!そういえば宴会は!」
「とっくに終わって今は希望者だけのカラオケ二次会やってんよ」
「そんな、どうしよう、私幹事なのに」
仕事を放棄したような責任を感じて立ち上がろうとするが、制された。
「もうとっくに片付けも終わってるし、鳴子のやつがまとめてたから心配いらねーヨ」
「そうですか、鳴子くんが……」
また助けられてしまった。彼の好意に甘え過ぎだ。
情けなくて涙がにじむ。
「だめですね……私」
「あ?!」
「いつも助けられてばかりで何もできなくて、研修の時から鳴子くんには助けられてばかりで」
ぐすぐすと涙する名字に、荒北は明らかに苛立っていた。
「そんなんソイツがそうしてぇんだから黙って受けとりゃいいだろボケナス、嫌なら断れ」
真剣な荒北の声に名字は顔を上げて荒北を見た。
「嫌なら断れ」
鋭い眼光に射抜かれる。
「おめェの気持ちは届いてんヨ、名字チャン、言ってみろよ、その口で」
「え……」
「フラフラと定まらねェその猫みてーな衝動を、誰に止めて欲しいんだよ名前。オレはわかってっけどな、甘えんな、言葉にしろ、ここで」
「荒北さん……」
憧れ焦がれ続けた先輩がここにいる。手を伸ばせば届く距離に降りてきてくれている。
そう、決まっているじゃないか。
「荒北さん、私、私は────」