社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
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「フクちゃん結婚しちまったなァ」
「しちまったとはなんだ荒北、結婚はいいものだぞ、愛する女と生活を共にするのだ、これ以上の幸せはないな、まあこの山神に愛される女こそが世界一幸せな女だがな」
ほぼひとり言のような荒北の呟きを拾い、何倍もの返しをする相変わらずトークのキレる東堂であったが、その愛する妻からのトークアプリにより中断される。
「すまないな荒北、オレはそろそろ失礼する。フクに挨拶してくるとしよう、隼人にもよろしくな!また皆で集まろうではないか!」
箱根学園、明早大学と名門の自転車競技部の主将を務め、現在は日本のチームで活躍しているが、世界に羽ばたく日も近いであろうと噂されるプロロードレーサー福富寿一。今日は彼の結婚式であった。
現在の知人やチームのメンバーを主とした式や披露宴と変わり、二次会は高校や大学の級友たちによる気安いお祝いムードであった。
久々に昔話に花を咲かせると思われた箱根学園旧インターハイレギュラー陣であったが、主役の福富は皆に囲まれているし、既婚者の東堂は早々に帰宅の途についてしまった。
「靖友、尽八はどうした」
「アァ?オメーが食いもん漁ってるうちに帰っちまったヨ」
ブュッフェ形式になっているので皿いっぱいに食べ物を乗せた新開が満足そうに荒北の元へ近づいてくる。
「尽八も忙しいな、旅館の仕事に、確か奥さんは妊娠中だろ?」
「あー、ンなこと言ってたナ。ガキ産まれたら見物に行くか」
「お祝いな、靖友」
もぐもぐと頬張りながらも訂正する。綺麗に食べながら喋るという器用さはもう特技である。
「あのー、新郎さんのお友達ですよね」
二人で近況を話したり、思い出話など懐かしみながら荒北は酒を飲み新開は気持ち良いほど食べていたが、不意に声をかけられる。二人組の女性たちだ。
新開が頷くと話しかけてきた女の方がにこりと笑う。黒いドレスではあったが、花柄のレースがあしらわれ淡い色のボレロを羽織っていたので地味な印象はなくむしろ育ちの良さを感じた。明るい茶色の髪を綺麗に巻いている。
「良かったらお話しませんか」
「ヒュウ、これは魅力的なお誘いだな」
バキュンポーズで歓迎する新開に対し、荒北は渋い顔だ。
もう一人の女は淡い緑のドレスでウエストのリボンが印象的だ。ロングの髪をハーフアップにして華やかさを演出している。が、荒北にはどうでもいいことで名乗られた気もするが覚える気もなく、緑の女と黒い女とした。
もう少し新開と語りたかったナと思ったが、それは口には出さず、酒とともに飲み込んだ。
「しちまったとはなんだ荒北、結婚はいいものだぞ、愛する女と生活を共にするのだ、これ以上の幸せはないな、まあこの山神に愛される女こそが世界一幸せな女だがな」
ほぼひとり言のような荒北の呟きを拾い、何倍もの返しをする相変わらずトークのキレる東堂であったが、その愛する妻からのトークアプリにより中断される。
「すまないな荒北、オレはそろそろ失礼する。フクに挨拶してくるとしよう、隼人にもよろしくな!また皆で集まろうではないか!」
箱根学園、明早大学と名門の自転車競技部の主将を務め、現在は日本のチームで活躍しているが、世界に羽ばたく日も近いであろうと噂されるプロロードレーサー福富寿一。今日は彼の結婚式であった。
現在の知人やチームのメンバーを主とした式や披露宴と変わり、二次会は高校や大学の級友たちによる気安いお祝いムードであった。
久々に昔話に花を咲かせると思われた箱根学園旧インターハイレギュラー陣であったが、主役の福富は皆に囲まれているし、既婚者の東堂は早々に帰宅の途についてしまった。
「靖友、尽八はどうした」
「アァ?オメーが食いもん漁ってるうちに帰っちまったヨ」
ブュッフェ形式になっているので皿いっぱいに食べ物を乗せた新開が満足そうに荒北の元へ近づいてくる。
「尽八も忙しいな、旅館の仕事に、確か奥さんは妊娠中だろ?」
「あー、ンなこと言ってたナ。ガキ産まれたら見物に行くか」
「お祝いな、靖友」
もぐもぐと頬張りながらも訂正する。綺麗に食べながら喋るという器用さはもう特技である。
「あのー、新郎さんのお友達ですよね」
二人で近況を話したり、思い出話など懐かしみながら荒北は酒を飲み新開は気持ち良いほど食べていたが、不意に声をかけられる。二人組の女性たちだ。
新開が頷くと話しかけてきた女の方がにこりと笑う。黒いドレスではあったが、花柄のレースがあしらわれ淡い色のボレロを羽織っていたので地味な印象はなくむしろ育ちの良さを感じた。明るい茶色の髪を綺麗に巻いている。
「良かったらお話しませんか」
「ヒュウ、これは魅力的なお誘いだな」
バキュンポーズで歓迎する新開に対し、荒北は渋い顔だ。
もう一人の女は淡い緑のドレスでウエストのリボンが印象的だ。ロングの髪をハーフアップにして華やかさを演出している。が、荒北にはどうでもいいことで名乗られた気もするが覚える気もなく、緑の女と黒い女とした。
もう少し新開と語りたかったナと思ったが、それは口には出さず、酒とともに飲み込んだ。
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