社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
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宴会の前にだいたいの者が東堂庵自慢の温泉を堪能し、浴衣に着替えている。名字は幹事で余興の準備などもある為、宴会中は飲酒を控え、私服のまま会場へと向かう。
途中、上機嫌な人事部の上司に肩をたたかれた。
「なんでしょうか田中部長」
「宴会ではコンパニオンさんとか、こないんだって?名字くん」
「はい、社員同士の親睦を深めるのが目的ですから!宴会終了後に二次会の会場を借りてありますので、そちらでは男性陣で自由にしていただいたらと思います」
満点の答えをした名字の腰に田中の手が回る。
普段はそんなことはないのだが、酒グセの悪い人事部長はすでに出来上がっている様子で話しが通じない。
「ということは名字くんがサービスしてくれるのかな、んん?」
「あー!田中部長サン、探しましたでー!」
酒気を帯びた息がかかるほどに相手の顔が近づいてきたその時、聞き慣れた声がした。
するするっと部長の腕を名字からほどくと、そのまま自分の肩に回してしまった。
ニカッと名字に笑顔を見せる。
「名字さん幹事やから宴会の用意あるやろ、ええで先行っとき」
何処に向かうのかは知らないが肩を組み合って宴会場と別方向に歩きながら、まだコンパニオンを求める部長に、鳴子が掛け合っている。
「いやー、二次会ではキレイどころのねーちゃん達お願いしときますんで、一次会はみんなでゲームでも楽しみましょうやー。なんでも豪華景品もぎょうさんあるらしいですよー」
心配そうに見守る名字をチラリと振り返り、心配するなと合図を送る鳴子。
温泉に行った帰りなのか血色が良さそうな顔色はさらに上気していて艶っぽいし、普段しっかりセットされた髪は洗いざらしで、見慣れぬ姿にどきりとする。
着慣れた感じで浴衣がよく似合っていた。自慢の脚も隠れているが全体的に身体が鍛えられているのがわかる。
鳴子にはよく助けられる。たくさんのものをもらっている。
名字は鳴子の声を聞くと安心するし、頼りにもしてしまっているのだろう。
二人は同期だから新人研修も一緒でいくつか部署を回ったし、飲み会などでも席が近いことが多い。
困った時にはいつもさり気なく助けてくれる。よく見てくれてるんだな、と心に暖かいものが灯る。
鳴子に冗談まじりに気持ちを伝えられるようになってからはそういった行為も意識してしまうようになっていた。
でも、同時に。
その行いは鳴子に交際中の彼女がいる時から同様に続いているもので、鳴子が身近な誰にでも優しいことを意味する。
変わったことと言えば二人のときに距離を詰めてきたり、時折名前ちゃん、と呼ばれることくらい。あとは仲の良い同期だった頃とあまり変わらない。
付き合ってもないのに、鳴子ではない人を追いかけているのに。それでもその優しさが自分だけに向けられていたら少しは違うかもしれないのに。
そんな風に考える名字は自分は最低だな、と思った。
──鳴子くんはおひさまみたいで暖かく明るくて、私には少し眩しい──
途中、上機嫌な人事部の上司に肩をたたかれた。
「なんでしょうか田中部長」
「宴会ではコンパニオンさんとか、こないんだって?名字くん」
「はい、社員同士の親睦を深めるのが目的ですから!宴会終了後に二次会の会場を借りてありますので、そちらでは男性陣で自由にしていただいたらと思います」
満点の答えをした名字の腰に田中の手が回る。
普段はそんなことはないのだが、酒グセの悪い人事部長はすでに出来上がっている様子で話しが通じない。
「ということは名字くんがサービスしてくれるのかな、んん?」
「あー!田中部長サン、探しましたでー!」
酒気を帯びた息がかかるほどに相手の顔が近づいてきたその時、聞き慣れた声がした。
するするっと部長の腕を名字からほどくと、そのまま自分の肩に回してしまった。
ニカッと名字に笑顔を見せる。
「名字さん幹事やから宴会の用意あるやろ、ええで先行っとき」
何処に向かうのかは知らないが肩を組み合って宴会場と別方向に歩きながら、まだコンパニオンを求める部長に、鳴子が掛け合っている。
「いやー、二次会ではキレイどころのねーちゃん達お願いしときますんで、一次会はみんなでゲームでも楽しみましょうやー。なんでも豪華景品もぎょうさんあるらしいですよー」
心配そうに見守る名字をチラリと振り返り、心配するなと合図を送る鳴子。
温泉に行った帰りなのか血色が良さそうな顔色はさらに上気していて艶っぽいし、普段しっかりセットされた髪は洗いざらしで、見慣れぬ姿にどきりとする。
着慣れた感じで浴衣がよく似合っていた。自慢の脚も隠れているが全体的に身体が鍛えられているのがわかる。
鳴子にはよく助けられる。たくさんのものをもらっている。
名字は鳴子の声を聞くと安心するし、頼りにもしてしまっているのだろう。
二人は同期だから新人研修も一緒でいくつか部署を回ったし、飲み会などでも席が近いことが多い。
困った時にはいつもさり気なく助けてくれる。よく見てくれてるんだな、と心に暖かいものが灯る。
鳴子に冗談まじりに気持ちを伝えられるようになってからはそういった行為も意識してしまうようになっていた。
でも、同時に。
その行いは鳴子に交際中の彼女がいる時から同様に続いているもので、鳴子が身近な誰にでも優しいことを意味する。
変わったことと言えば二人のときに距離を詰めてきたり、時折名前ちゃん、と呼ばれることくらい。あとは仲の良い同期だった頃とあまり変わらない。
付き合ってもないのに、鳴子ではない人を追いかけているのに。それでもその優しさが自分だけに向けられていたら少しは違うかもしれないのに。
そんな風に考える名字は自分は最低だな、と思った。
──鳴子くんはおひさまみたいで暖かく明るくて、私には少し眩しい──