社会人メロンパンズ(荒北 鳴子 )長編 完結
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部屋割りは同期同士で組んだので荒北や鳴子とも別れ名字も自分に割り振った部屋へ足を向けたところ呼び止められる。
「名字さん」
「東堂さん、お忙しいところありがとうございました」
「いや、それはかまわんが。荒北とは、その、どうだね」
「どうと言われましても……」
「正直オレは驚いたよ。名字さんが荒北と同じ会社にいたとは。追いかけたのかと思った」
「いや、それはさすがに偶然で。大学時代に諦めたつもりだったんですけど」
東堂は驚いたように名字を見る。
「なに?そうなのか。大学のレースでも何度か名字さんを見かけたからな、オレはてっきり……」
「ずっと憧れてはいますけど。憧れなのか、好きなのか。もう片思いが長すぎてわからないんですよね」
自嘲気味に笑う名字を見て東堂はまた驚いた。荒北の名前を出しただけで真っ赤になるような女子と記憶していたからだ。
「隠しもしない正直な気持ちを聞かせてくれたことに感謝しよう」
「あ、私ったら、すっかり東堂さんに甘えてしまって」
「かまわんよ、オレは女子の味方だ。荒北には君のように純粋な子が必要と思っていたからな。だが聡い名字さんのことだ、気づいているのだろう、キミに向けられる真っ直ぐな別の好意に」
名字は少し頬を染めて俯いた。東堂のよく知った、恋する乙女の反応。
「鳴子くんのことですかね……。彼は知り合った時から彼女さんがいて。そんな風に見たことなかったので、どうしたらいいのか……」
「積年の想いを叶えるも偽りのない等身大の気持ちに応えるも名字さん次第だな。だがいいのか、このオレに嫉妬しているような矮小な男だぞ荒北は」
「え……それはどういう……」
「ワッハッハ!キミの気持ちひとつだと言うことだよ名字さん!」
ビシッと指を差すと聞き慣れた声が廊下に響く。
「ッせーぞ東堂、仕事戻れ」
「どうした荒北、オレと名字さんが話しているのがそんなに気になるか」
「バッカ、そんなんじゃねーヨ!宴会の前には風呂だろ風呂ォ」
荒北の肩にはタオルが掛けられていたし、すでに寛ぎ着になっていた。鎖骨が見えて名字はどうしてもそこが気になってしまう。
「ンだよ名字チャン、赤い顔して。東堂のヤツになんか言われたァ?」
「いえ、その」
近付いてくる荒北。最近避けられていたと思っていたので久々の距離と鎖骨と帯の結ばれた腰の細さに名字の心臓は高鳴り限界だった。
「あの、荒北さんの」
「ァア?」
「荒北さんのせいです!!」
名字は耐えられず近寄りすぎた荒北を軽く押しのけ、走り去った。
事情もわからずぽかんとする荒北と、もうだめだ隼人にメールしよう、と笑い出した東堂が廊下の中央に残される。
名字は押しのけた際に触れた、薄布越しの荒北の感触を反芻しては胸がきゅんと締め付けられる思いを噛み締めていた。
「名字さん」
「東堂さん、お忙しいところありがとうございました」
「いや、それはかまわんが。荒北とは、その、どうだね」
「どうと言われましても……」
「正直オレは驚いたよ。名字さんが荒北と同じ会社にいたとは。追いかけたのかと思った」
「いや、それはさすがに偶然で。大学時代に諦めたつもりだったんですけど」
東堂は驚いたように名字を見る。
「なに?そうなのか。大学のレースでも何度か名字さんを見かけたからな、オレはてっきり……」
「ずっと憧れてはいますけど。憧れなのか、好きなのか。もう片思いが長すぎてわからないんですよね」
自嘲気味に笑う名字を見て東堂はまた驚いた。荒北の名前を出しただけで真っ赤になるような女子と記憶していたからだ。
「隠しもしない正直な気持ちを聞かせてくれたことに感謝しよう」
「あ、私ったら、すっかり東堂さんに甘えてしまって」
「かまわんよ、オレは女子の味方だ。荒北には君のように純粋な子が必要と思っていたからな。だが聡い名字さんのことだ、気づいているのだろう、キミに向けられる真っ直ぐな別の好意に」
名字は少し頬を染めて俯いた。東堂のよく知った、恋する乙女の反応。
「鳴子くんのことですかね……。彼は知り合った時から彼女さんがいて。そんな風に見たことなかったので、どうしたらいいのか……」
「積年の想いを叶えるも偽りのない等身大の気持ちに応えるも名字さん次第だな。だがいいのか、このオレに嫉妬しているような矮小な男だぞ荒北は」
「え……それはどういう……」
「ワッハッハ!キミの気持ちひとつだと言うことだよ名字さん!」
ビシッと指を差すと聞き慣れた声が廊下に響く。
「ッせーぞ東堂、仕事戻れ」
「どうした荒北、オレと名字さんが話しているのがそんなに気になるか」
「バッカ、そんなんじゃねーヨ!宴会の前には風呂だろ風呂ォ」
荒北の肩にはタオルが掛けられていたし、すでに寛ぎ着になっていた。鎖骨が見えて名字はどうしてもそこが気になってしまう。
「ンだよ名字チャン、赤い顔して。東堂のヤツになんか言われたァ?」
「いえ、その」
近付いてくる荒北。最近避けられていたと思っていたので久々の距離と鎖骨と帯の結ばれた腰の細さに名字の心臓は高鳴り限界だった。
「あの、荒北さんの」
「ァア?」
「荒北さんのせいです!!」
名字は耐えられず近寄りすぎた荒北を軽く押しのけ、走り去った。
事情もわからずぽかんとする荒北と、もうだめだ隼人にメールしよう、と笑い出した東堂が廊下の中央に残される。
名字は押しのけた際に触れた、薄布越しの荒北の感触を反芻しては胸がきゅんと締め付けられる思いを噛み締めていた。