王騎軍新米使用人日記
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3
沙月は愕然としていた。
少し前までの甘酸っぱい気持ちも吹っ飛んでいた。
「でっっっっっっか!!!!!!!」
ついに王騎の城に到着したのだ。
「どうしよう騰さん…私こんな大きなお城で働く自信ないです…」
ぷるぷると震える沙月。
「大丈夫だ。私がいる」
「え?どういうこと…」
「開門!王騎軍副官・騰が戻ったぞ」
「え?!旅芸人っていうのは?」
「冗談だ」
(だまされた…都会の人怖い…)
馬から降りると、騰様おかえりなさいませ!と使用人達が出迎える。
「春に今日から城で働く隆国の妹の沙月が来たと伝えてくれ」
「かしこまりました、殿は演習に出ております。騰様が戻ったらゆっくり休むようにと」
「わかった。馬を頼む。――では行くか… 沙月、そんな顔をするな」
ぶにっと沙月は頬をつままれる。
(王騎軍、副官、ということは。兄様の上司…)
「そうだな、お前の兄の上官だ」
(心を読まれている!?)
「顔に出ている」
(くやしい…)
「コココココ」
感情がすぐ顔に出る沙月に対し、騰は常にポーカーフェイス。
実に対照的な2人であった。
******
騰とは城の入り口で分かれ、そこから春という女使用人に城内を案内された。
春はこの城の使用人の中でもベテランだそうで、30代くらいの元気いっぱいの女性だ。
「あんた隆国様の妹さんなんだってね?でも殿から特別扱いはしなくて良いと言われているから、明日から皆と同じように仕事をちゃんと覚えてもらうよ」
「はい、勿論です。そのつもりです。ご指導宜しくお願い致します、春様」
春は使用人の皆には春姐さんって呼ばれてるから、あんたもそう呼びな、と笑った。
「春姐さん…」
「とりあえず…殿に会う前に見た目から整えようか。さ、こっちにおいで」
春に連れられてやって来たのは、なんと湯殿だった。
一度に何人も入れそうな立派な大きさの浴槽に、なみなみとお湯が満たされている。
「おおおお…これは…凄いですね…」
「凄いだろう?こんなに立派な湯殿があるのはこの辺りじゃこのお城くらいだよ。さ、磨こうか!」
「磨く…?って…」
垢すりを片手ににっこり笑いながら春は沙月に詰め寄り、文字通り隅々まで磨かれた。
「うう…春姐さん容赦ないです…」ほかほかひりひりする肌を擦りながら沙月は鏡台に座らされた。
「うん、一皮むけて綺麗になった!可愛い可愛い。この城で働くなら、身だしなみはきちんと整えるんだよ」
楽しそうに春は沙月の髪をとく。
それに、といたずらっぽく微笑みながら、素敵な殿方からお誘いがあるかもしれないよ、と囁いた。
「どこへ行くんですか?」
「あれま。この子はこんな立派なものを持ってるのに、まだお子様だったか~」
後ろからむぎゅっと胸を揉まれ、沙月は声にならぬ悲鳴を上げたのだった。
***************
それからしばらくして、王騎を始めとする一同が演習から帰ってきたとの知らせが入った。
沙月は春に連れられて城入口まで来ると、緊張しながら王騎将軍達の帰りを待つ。
すると騰もいつの間にか隣に来ていた。
「この短時間で見違えたな。流石春だ」
「騰様、この子は磨けばまだまだ光りますよ」
「それは重畳」
「えっと、がんばります…?」
「あ、いらっしゃった」
ザッザッと土埃をあげながら兵士達がこちらへ向かって来る。先頭の一際目立つ方が王騎将軍であろう。
(王騎将軍、凄くギラギラしてる…あんな人見た事ない…)
圧倒的存在感に目が離せない沙月と、こちらを見る王騎の視線がバチッ!と合った。
慌てて他の皆のように拱手をするが、蛇に睨まれた蛙の如く、王騎から視線が離せない。
ちなみに兄である隆国も演習帰りなので勿論この場に居て、妹にめちゃくちゃアピールしていたのだが、王騎の存在感には勝てず、隣の鱗坊から慰められていたのだが割愛。
「「「殿、おかえりなさいませ」」」
「ただいま帰りましたよォ。騰、この可愛らしい娘は沙月ですかァ?」
「ハ!途中街道沿いで倒れていた所を保護しました」
「倒れてないです!野いちご食べて少し寝てただけです!」
「コココココ、お転婆ですねェ」
「ハ!死体かと思いました」「騰様?!」
慌てて否定するも隣の春から服をひっぱられる。
(こら沙月、きちんと殿にご挨拶なさいよ)
(はいっ!すみません…)
「王騎将軍、お初にお目にかかります。隆国の妹の沙月と申します。働く場所を頂き、感謝しております。今日から粉骨砕身、殿の為に働きますのでよろしくお願いいたします」
深々とお辞儀をする。
「こちらこそよろしくお願いしますよォ。まずは春からここの事を色々と教わりなさい」
「はい!」
では皆さん、行きますよォ、と王騎達は城へと入って行った。
「…はぁぁ…王騎様…殿って、凄いです」
「あっははは!そりゃあ天下の六大将軍、秦の怪鳥だからね。普通の男とは比べ物にならないよ」
ちなみに隆国は沙月の横を通る時に必死にアイコンタクトを試みたが、脱力した妹は気づかなかった。そして鱗坊と同金に引きずられて風呂へと連れていかれた。可哀想な兄であった。
沙月は愕然としていた。
少し前までの甘酸っぱい気持ちも吹っ飛んでいた。
「でっっっっっっか!!!!!!!」
ついに王騎の城に到着したのだ。
「どうしよう騰さん…私こんな大きなお城で働く自信ないです…」
ぷるぷると震える沙月。
「大丈夫だ。私がいる」
「え?どういうこと…」
「開門!王騎軍副官・騰が戻ったぞ」
「え?!旅芸人っていうのは?」
「冗談だ」
(だまされた…都会の人怖い…)
馬から降りると、騰様おかえりなさいませ!と使用人達が出迎える。
「春に今日から城で働く隆国の妹の沙月が来たと伝えてくれ」
「かしこまりました、殿は演習に出ております。騰様が戻ったらゆっくり休むようにと」
「わかった。馬を頼む。――では行くか… 沙月、そんな顔をするな」
ぶにっと沙月は頬をつままれる。
(王騎軍、副官、ということは。兄様の上司…)
「そうだな、お前の兄の上官だ」
(心を読まれている!?)
「顔に出ている」
(くやしい…)
「コココココ」
感情がすぐ顔に出る沙月に対し、騰は常にポーカーフェイス。
実に対照的な2人であった。
******
騰とは城の入り口で分かれ、そこから春という女使用人に城内を案内された。
春はこの城の使用人の中でもベテランだそうで、30代くらいの元気いっぱいの女性だ。
「あんた隆国様の妹さんなんだってね?でも殿から特別扱いはしなくて良いと言われているから、明日から皆と同じように仕事をちゃんと覚えてもらうよ」
「はい、勿論です。そのつもりです。ご指導宜しくお願い致します、春様」
春は使用人の皆には春姐さんって呼ばれてるから、あんたもそう呼びな、と笑った。
「春姐さん…」
「とりあえず…殿に会う前に見た目から整えようか。さ、こっちにおいで」
春に連れられてやって来たのは、なんと湯殿だった。
一度に何人も入れそうな立派な大きさの浴槽に、なみなみとお湯が満たされている。
「おおおお…これは…凄いですね…」
「凄いだろう?こんなに立派な湯殿があるのはこの辺りじゃこのお城くらいだよ。さ、磨こうか!」
「磨く…?って…」
垢すりを片手ににっこり笑いながら春は沙月に詰め寄り、文字通り隅々まで磨かれた。
「うう…春姐さん容赦ないです…」ほかほかひりひりする肌を擦りながら沙月は鏡台に座らされた。
「うん、一皮むけて綺麗になった!可愛い可愛い。この城で働くなら、身だしなみはきちんと整えるんだよ」
楽しそうに春は沙月の髪をとく。
それに、といたずらっぽく微笑みながら、素敵な殿方からお誘いがあるかもしれないよ、と囁いた。
「どこへ行くんですか?」
「あれま。この子はこんな立派なものを持ってるのに、まだお子様だったか~」
後ろからむぎゅっと胸を揉まれ、沙月は声にならぬ悲鳴を上げたのだった。
***************
それからしばらくして、王騎を始めとする一同が演習から帰ってきたとの知らせが入った。
沙月は春に連れられて城入口まで来ると、緊張しながら王騎将軍達の帰りを待つ。
すると騰もいつの間にか隣に来ていた。
「この短時間で見違えたな。流石春だ」
「騰様、この子は磨けばまだまだ光りますよ」
「それは重畳」
「えっと、がんばります…?」
「あ、いらっしゃった」
ザッザッと土埃をあげながら兵士達がこちらへ向かって来る。先頭の一際目立つ方が王騎将軍であろう。
(王騎将軍、凄くギラギラしてる…あんな人見た事ない…)
圧倒的存在感に目が離せない沙月と、こちらを見る王騎の視線がバチッ!と合った。
慌てて他の皆のように拱手をするが、蛇に睨まれた蛙の如く、王騎から視線が離せない。
ちなみに兄である隆国も演習帰りなので勿論この場に居て、妹にめちゃくちゃアピールしていたのだが、王騎の存在感には勝てず、隣の鱗坊から慰められていたのだが割愛。
「「「殿、おかえりなさいませ」」」
「ただいま帰りましたよォ。騰、この可愛らしい娘は沙月ですかァ?」
「ハ!途中街道沿いで倒れていた所を保護しました」
「倒れてないです!野いちご食べて少し寝てただけです!」
「コココココ、お転婆ですねェ」
「ハ!死体かと思いました」「騰様?!」
慌てて否定するも隣の春から服をひっぱられる。
(こら沙月、きちんと殿にご挨拶なさいよ)
(はいっ!すみません…)
「王騎将軍、お初にお目にかかります。隆国の妹の沙月と申します。働く場所を頂き、感謝しております。今日から粉骨砕身、殿の為に働きますのでよろしくお願いいたします」
深々とお辞儀をする。
「こちらこそよろしくお願いしますよォ。まずは春からここの事を色々と教わりなさい」
「はい!」
では皆さん、行きますよォ、と王騎達は城へと入って行った。
「…はぁぁ…王騎様…殿って、凄いです」
「あっははは!そりゃあ天下の六大将軍、秦の怪鳥だからね。普通の男とは比べ物にならないよ」
ちなみに隆国は沙月の横を通る時に必死にアイコンタクトを試みたが、脱力した妹は気づかなかった。そして鱗坊と同金に引きずられて風呂へと連れていかれた。可哀想な兄であった。