短編
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ちっちゃい騰と私 その2
「ねぇ、どこに行くの?」
「こっち~」
今日は騰と森の中を探検中。
いつも遊んでいる広場を抜けて、細い山道を歩いてる。
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、どんどん先へ進んで行く騰。
「私こっちの方は良くわかんないよ」
「大丈夫、僕について来て!」
振り返り際、にこっと笑う。
「うっ!」
普段表情があまり変わらない分、たまに見せる笑顔がすごく可愛い!
この間まで私の後を泣きながらくっついて歩いてたくせに……
「手、繋ごうか?」
騰が手をこっちに差し出してくれた。
でも、私はなんだか急に恥ずかしくなっちゃって、
「…ううん、大丈夫だよ」
なんて、断ってしまった。
「そう。」
別に気にしてないように騰はくるっと前を向くと、またぴょんぴょん森の中を走って行った。
……その後ろ姿を見て胸がずきんと痛くなった。
私の馬鹿。
「…はぁはぁ…もう、早いよぉ」
騰を追いかけて駆け足してたら、すっかり汗だくになっちゃった。
足を止めて、しばらく息を整える。
「……ん?」
一息ついて周りを見回すと、さっきまで木々の間から見えていた騰の明るい色の髪の毛が見えない。
うそ…置いて行かれちゃった?!
あの子のことだ、途中でセミでも見つけて、そっちに夢中になっちゃったに違いない!
「とーーーーう!!」
しーん……
木のざわめく音とか、虫や鳥の声がやけに大きく聞こえる。
いつも遊んでいる森の中だけど、今日は普段来ない所。
どうしよう。でも、騰を置いていく訳にはいかない!
「だ、大丈夫だもん…」
とりあえず前に進むけど、道があるのかないのかわからなくなってきた。
「――きゃあっ!?」
焦って周りが見えていなかったのか、木の根っこで転んでしまった。
いたた…血は出ていないみたい。
そのまま根っこの所に座ってじっとしてたら、急に心細くなって、悲しくなってくる。
「…うっ…」
このままここで遭難しちゃうのかな……
きっと、夜になったら、お化けがたくさん出て……
頭から食べられちゃったりして……
そしたら、もう騰に会えない……
「うわぁぁ~ん!!そんなのやだぁ~!!!」
近くの藪から、がさがさっと大きな音がした。
「うぎゃーーーーーーっ!!」
「沙月ちゃん!」
そこから現れたのは――騰!
「大丈夫?ごめんね、セミが……わわっ?!」
「馬鹿馬鹿!何で置いてっちゃうのよ!もうこのままお化けに食べられちゃうと思ったんだからね!そしたら騰のお嫁さんになれないじゃない!!」
草まみれの騰に思いっきり抱き着いて、文句を言ってやった。
「……」
「ちょっと、何とか言いなさいよ!」
ぎゅっと小さな手で抱きしめ返される。
「沙月ちゃん、トウのお嫁さんになりたいの?」
「え?そ、そんなこと……は……」
思い返してみたら、うん、ばっちり言ってた。
「なりたくないの?」
で、出たー!
必殺!抱き着きからの、うるうる上目遣い!
この視線には弱いんだ。
「な、り……」
「なり?」
「……た、い!」
恥ずかしくてきっと私の顔は真っ赤になっていると思う。
「約束だよ?絶対だからね?」
「もう!わかったから~」
「沙月ちゃん大好き!」
「…!!」
私も大好きだよ、騰!
……って、言えればなぁ。
*
音を立てぬよう甲冑を外し、部屋着に着替えた騰は、そっと寝室へと向かった。
寝台には、気持ちよさそうに眠る妻の姿。
「…ただいま、沙月」
(寝顔は子供の頃と変わらないな)
ぎしりと寝台に座って沙月の頬を撫でる。
「ん~……トウ…?また来たの……ほら、入んなさい」
寝ぼけながら布団をまくり上げる沙月。
せっかくなのでそのまま布団に潜り込んだ。
「…また、おうちで叱られたの…?いい子いい子……」
どうやら愛する妻は子供の頃の夢でも見ているようだ。
昔のように髪をぐりぐりと撫でられながら、騰は昔のようにぎゅっと沙月に抱き着いた。
(… 沙月。約束通り私のお嫁さんになってくれてありがとう)
「く、苦しいよ~……」
騰は慌てて手を緩めると、そのまま妻の腕の中でゆっくり目を閉じた。
おわり。
ちび騰は、妄想全開です。
もはや騰なのかわからない(笑)
「ねぇ、どこに行くの?」
「こっち~」
今日は騰と森の中を探検中。
いつも遊んでいる広場を抜けて、細い山道を歩いてる。
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、どんどん先へ進んで行く騰。
「私こっちの方は良くわかんないよ」
「大丈夫、僕について来て!」
振り返り際、にこっと笑う。
「うっ!」
普段表情があまり変わらない分、たまに見せる笑顔がすごく可愛い!
この間まで私の後を泣きながらくっついて歩いてたくせに……
「手、繋ごうか?」
騰が手をこっちに差し出してくれた。
でも、私はなんだか急に恥ずかしくなっちゃって、
「…ううん、大丈夫だよ」
なんて、断ってしまった。
「そう。」
別に気にしてないように騰はくるっと前を向くと、またぴょんぴょん森の中を走って行った。
……その後ろ姿を見て胸がずきんと痛くなった。
私の馬鹿。
「…はぁはぁ…もう、早いよぉ」
騰を追いかけて駆け足してたら、すっかり汗だくになっちゃった。
足を止めて、しばらく息を整える。
「……ん?」
一息ついて周りを見回すと、さっきまで木々の間から見えていた騰の明るい色の髪の毛が見えない。
うそ…置いて行かれちゃった?!
あの子のことだ、途中でセミでも見つけて、そっちに夢中になっちゃったに違いない!
「とーーーーう!!」
しーん……
木のざわめく音とか、虫や鳥の声がやけに大きく聞こえる。
いつも遊んでいる森の中だけど、今日は普段来ない所。
どうしよう。でも、騰を置いていく訳にはいかない!
「だ、大丈夫だもん…」
とりあえず前に進むけど、道があるのかないのかわからなくなってきた。
「――きゃあっ!?」
焦って周りが見えていなかったのか、木の根っこで転んでしまった。
いたた…血は出ていないみたい。
そのまま根っこの所に座ってじっとしてたら、急に心細くなって、悲しくなってくる。
「…うっ…」
このままここで遭難しちゃうのかな……
きっと、夜になったら、お化けがたくさん出て……
頭から食べられちゃったりして……
そしたら、もう騰に会えない……
「うわぁぁ~ん!!そんなのやだぁ~!!!」
近くの藪から、がさがさっと大きな音がした。
「うぎゃーーーーーーっ!!」
「沙月ちゃん!」
そこから現れたのは――騰!
「大丈夫?ごめんね、セミが……わわっ?!」
「馬鹿馬鹿!何で置いてっちゃうのよ!もうこのままお化けに食べられちゃうと思ったんだからね!そしたら騰のお嫁さんになれないじゃない!!」
草まみれの騰に思いっきり抱き着いて、文句を言ってやった。
「……」
「ちょっと、何とか言いなさいよ!」
ぎゅっと小さな手で抱きしめ返される。
「沙月ちゃん、トウのお嫁さんになりたいの?」
「え?そ、そんなこと……は……」
思い返してみたら、うん、ばっちり言ってた。
「なりたくないの?」
で、出たー!
必殺!抱き着きからの、うるうる上目遣い!
この視線には弱いんだ。
「な、り……」
「なり?」
「……た、い!」
恥ずかしくてきっと私の顔は真っ赤になっていると思う。
「約束だよ?絶対だからね?」
「もう!わかったから~」
「沙月ちゃん大好き!」
「…!!」
私も大好きだよ、騰!
……って、言えればなぁ。
*
音を立てぬよう甲冑を外し、部屋着に着替えた騰は、そっと寝室へと向かった。
寝台には、気持ちよさそうに眠る妻の姿。
「…ただいま、沙月」
(寝顔は子供の頃と変わらないな)
ぎしりと寝台に座って沙月の頬を撫でる。
「ん~……トウ…?また来たの……ほら、入んなさい」
寝ぼけながら布団をまくり上げる沙月。
せっかくなのでそのまま布団に潜り込んだ。
「…また、おうちで叱られたの…?いい子いい子……」
どうやら愛する妻は子供の頃の夢でも見ているようだ。
昔のように髪をぐりぐりと撫でられながら、騰は昔のようにぎゅっと沙月に抱き着いた。
(… 沙月。約束通り私のお嫁さんになってくれてありがとう)
「く、苦しいよ~……」
騰は慌てて手を緩めると、そのまま妻の腕の中でゆっくり目を閉じた。
おわり。
ちび騰は、妄想全開です。
もはや騰なのかわからない(笑)