短編
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お風呂で泳がないで下さい(隆国&騰)
夕食後、騰と隆国が食堂から部屋へと向かっていたところ、待ってくださーい!と沙月が息を切らせて走ってきた。
「うん?どうした」
隆国が妹を満面の笑みで迎える。
「えっと、兄様じゃなくて…」
はぁはぁと息を整えながら、ちらりと隣の騰を見上げる。
「私か?」
「騰様、後で、私にお風呂で……教えてもらえませんか!」
「「?!」」
真っ赤な顔でこんな事を言うものだから、いつもポーカーフェイスの騰も流石に動揺が隠せず、目をぱちくりと瞬かせた。
隆国はわなわなと震え、「騰様…これはどういう…?説明をして頂いても宜しいですかな?」と詰め寄る。
「私は沙月がそのつもりならば、全力で応えたい」
キリッといい顔をする騰だが、今にも隆国に殴られそうだったのでひらりと沙月の後ろへと退散した。
「いいか、殿方を誘うにしても兄の目の前で、しかも風呂で色事を教わろうなどと…お前は…ううっ、いつの間にこんなにふしだらな子になってしまったんだ…」
隆国は涙目…いや、泣いていた。
「え?色事って… やだっ違います違います!言い方を間違えました」
「違うのか?本当だな」
途端にぱぁっと笑顔になる隆国、それに対して不満そうな顔をする騰。
「違うのか?私なら何でもお前の望むままに教えてやるぞ」
「ふあっ」
「騰!様!妹を誘惑しないで頂きたい!!」
「そう怒るな。お義兄さん」
「やめて下さい!お義兄さん呼びしないで!!」
そんな二人の様子をにこにこと仲が良いな~と見守っている沙月だったが、ふと呼び止めた目的を思い出した。
「あのっ!声を掛けたのはですね。騰様、お風呂で私に泳ぎ方を教えて欲しいんです」
「「泳ぎ方?」」
思わず声がはもってしまう二人だった。
*
実は――と沙月が語ったのはこうだ。
仕事のあとにお風呂に入っていると、摎が入ってきた。
湯船ですいすいと気持ちよさそうに泳ぐ摎。
沙月も一緒に泳ぎましょうよ!と言われ、挑戦してみたが――
「私、どうしても泳げなくて…。摎様に聞いたら、騰様にお風呂で泳ぎを手とり足とり教えてもらったって…しかもすごく優しく教えるのが上手いって言うから…」
「騰様…?」
この人、いつの間にそんな事を…と若干冷たい目で騰を見る隆国。
「いや、それは…(摎のやつ…わざと煽るような事を言ったな?)」
「…摎様には教えたのに、私には教えてくれないんですか…」
しゅんと悲しそうな顔をする沙月。
「――誤解があるようだが、それは最近ではなくて10年…いや、もっと前だ。摎がだいぶ小さい頃の話だぞ」
騰は沙月に向き合うと、ゆっくりと話し始めた。
「小さい頃の摎はそれはもう男勝りで、運動神経も抜群だった。よく殿の後をくっついて歩いては共に鍛錬していたからな。あの頃はそのまま一緒に風呂へ入る事も多かった。…あまり覚えてはいないが、多分その時に教えたんだろう」
「そっかぁ、小さい時だったんですね…。良かったぁ」
ほっとした顔をする沙月を見て、兄は嫌な予感がした。
――まさか…妹は騰様の事が好きなのではないか?
「沙月が良ければいくらでも教えてやろう。ただ、服を着たままでは泳ぎは教えられないからな?そのつもりで」
「――えっ!!それは…」
「兄さん絶対に許さんからな!!」
同じように瞬時に赤面する二人を見て、騰はやはり兄妹なんだな。と今更思う。
「そうですよね…恥ずかしい…。騰様、変な事言ってしまってごめんなさい…」
「むしろ頼ってくれて嬉しかったぞ。私はいつでもお前の力になりたいと思っている」
「騰様…」
「沙月…」
見つめ合う2人――
――はっ、この空気はいかん…!!
いい雰囲気を吹き飛ばすように、隆国は二人の間にさっと入る。
「まぁまぁ、泳げなくてもいいじゃないか。お前はそんなことできなくとも充分可愛いぞ」
「いやいや可愛いとか今は関係ないし…。というか、人前で真顔でそういう事言うのやめて。そう思ってるのは身内だからです!」
「いや俺は客観的に見てもそう思う。沙月は可愛い」
もー、兄様のそういうところがいやなの!と顔を赤くした妹にべしべしと叩かれながら、幸せを嚙みしめる。まだまだこの可愛い妹は誰にもやりたくない。
その時――隆国は殺気を感じて振り返ると、騰がこちらをじぃっ…と見ていた。
「はっはっは、全く可愛い妹でして!これは騰様に見せつけてしまいましたかな」
自身に纏わりつく殺気を払うかのように明るく言うが、無言で後ろからがしっと腕を回され、ギリギリと首を絞められる。
「えっ?…あの、騰様苦しい…んですが…」
「これを振りほどけないとはまだまだ鍛錬が足らんな。…隆国は明日訓練の内容を倍にするよう殿に言っておこう」
「――ぐっ!!」
――兄だからと言って邪魔をするな。
――この人本気で絞めてる!くそっ、妹の前でかっこ悪い姿は見せられん!
静かに男達の攻防戦が始まった。
*
止めようかどうしようかおろおろしていると、背後からコココココ…と独特な笑い声が。
背後にある木陰から、ぬうっと王騎が現れた。
「はぁ、全く…風呂で泳ぐようなお馬鹿さんは騰だけかと思っていましたよ。まさか摎まで泳いでいるとはねェ…」
「きゃっ、殿!いつからそこに?!」
「私も隆国に用事があったもので、沙月と同時にここへ来ていましたよォ」
「じゃあ最初から聞いてらしたんですね…恥ずかしい」
「いいですか沙月、風呂は泳ぐ場所ではありませんからね。あの2人が特殊なんです」
「…普通に考えてそうですよね。殿、すみません…」
「素直で大変結構ですよォ」
一方、兄達は全く王騎に気づかず――
「ぐっ…羨ましいなら羨ましいと言えばいいじゃないですか!」
「見せつけるのは感心しないな…フンっ!」
「ぐわぁっ!」
相変わらず攻防戦が続いている。
「…終わらなそうですねェ。」
「…私、戻りますね」
「まぁ、騰も摎も小さい頃から一緒に育っているせいか、まるであなた達兄妹のようなものですからね…あまり気にしないことです、コココココ」
「ええっ、あっ、殿?!」
王騎にはなんでもお見通しなのだった。
そして隆国と騰はまだまだ戦い続けていた…。
おわり。
勢いで書いたので、何かおかしい…
夕食後、騰と隆国が食堂から部屋へと向かっていたところ、待ってくださーい!と沙月が息を切らせて走ってきた。
「うん?どうした」
隆国が妹を満面の笑みで迎える。
「えっと、兄様じゃなくて…」
はぁはぁと息を整えながら、ちらりと隣の騰を見上げる。
「私か?」
「騰様、後で、私にお風呂で……教えてもらえませんか!」
「「?!」」
真っ赤な顔でこんな事を言うものだから、いつもポーカーフェイスの騰も流石に動揺が隠せず、目をぱちくりと瞬かせた。
隆国はわなわなと震え、「騰様…これはどういう…?説明をして頂いても宜しいですかな?」と詰め寄る。
「私は沙月がそのつもりならば、全力で応えたい」
キリッといい顔をする騰だが、今にも隆国に殴られそうだったのでひらりと沙月の後ろへと退散した。
「いいか、殿方を誘うにしても兄の目の前で、しかも風呂で色事を教わろうなどと…お前は…ううっ、いつの間にこんなにふしだらな子になってしまったんだ…」
隆国は涙目…いや、泣いていた。
「え?色事って… やだっ違います違います!言い方を間違えました」
「違うのか?本当だな」
途端にぱぁっと笑顔になる隆国、それに対して不満そうな顔をする騰。
「違うのか?私なら何でもお前の望むままに教えてやるぞ」
「ふあっ」
「騰!様!妹を誘惑しないで頂きたい!!」
「そう怒るな。お義兄さん」
「やめて下さい!お義兄さん呼びしないで!!」
そんな二人の様子をにこにこと仲が良いな~と見守っている沙月だったが、ふと呼び止めた目的を思い出した。
「あのっ!声を掛けたのはですね。騰様、お風呂で私に泳ぎ方を教えて欲しいんです」
「「泳ぎ方?」」
思わず声がはもってしまう二人だった。
*
実は――と沙月が語ったのはこうだ。
仕事のあとにお風呂に入っていると、摎が入ってきた。
湯船ですいすいと気持ちよさそうに泳ぐ摎。
沙月も一緒に泳ぎましょうよ!と言われ、挑戦してみたが――
「私、どうしても泳げなくて…。摎様に聞いたら、騰様にお風呂で泳ぎを手とり足とり教えてもらったって…しかもすごく優しく教えるのが上手いって言うから…」
「騰様…?」
この人、いつの間にそんな事を…と若干冷たい目で騰を見る隆国。
「いや、それは…(摎のやつ…わざと煽るような事を言ったな?)」
「…摎様には教えたのに、私には教えてくれないんですか…」
しゅんと悲しそうな顔をする沙月。
「――誤解があるようだが、それは最近ではなくて10年…いや、もっと前だ。摎がだいぶ小さい頃の話だぞ」
騰は沙月に向き合うと、ゆっくりと話し始めた。
「小さい頃の摎はそれはもう男勝りで、運動神経も抜群だった。よく殿の後をくっついて歩いては共に鍛錬していたからな。あの頃はそのまま一緒に風呂へ入る事も多かった。…あまり覚えてはいないが、多分その時に教えたんだろう」
「そっかぁ、小さい時だったんですね…。良かったぁ」
ほっとした顔をする沙月を見て、兄は嫌な予感がした。
――まさか…妹は騰様の事が好きなのではないか?
「沙月が良ければいくらでも教えてやろう。ただ、服を着たままでは泳ぎは教えられないからな?そのつもりで」
「――えっ!!それは…」
「兄さん絶対に許さんからな!!」
同じように瞬時に赤面する二人を見て、騰はやはり兄妹なんだな。と今更思う。
「そうですよね…恥ずかしい…。騰様、変な事言ってしまってごめんなさい…」
「むしろ頼ってくれて嬉しかったぞ。私はいつでもお前の力になりたいと思っている」
「騰様…」
「沙月…」
見つめ合う2人――
――はっ、この空気はいかん…!!
いい雰囲気を吹き飛ばすように、隆国は二人の間にさっと入る。
「まぁまぁ、泳げなくてもいいじゃないか。お前はそんなことできなくとも充分可愛いぞ」
「いやいや可愛いとか今は関係ないし…。というか、人前で真顔でそういう事言うのやめて。そう思ってるのは身内だからです!」
「いや俺は客観的に見てもそう思う。沙月は可愛い」
もー、兄様のそういうところがいやなの!と顔を赤くした妹にべしべしと叩かれながら、幸せを嚙みしめる。まだまだこの可愛い妹は誰にもやりたくない。
その時――隆国は殺気を感じて振り返ると、騰がこちらをじぃっ…と見ていた。
「はっはっは、全く可愛い妹でして!これは騰様に見せつけてしまいましたかな」
自身に纏わりつく殺気を払うかのように明るく言うが、無言で後ろからがしっと腕を回され、ギリギリと首を絞められる。
「えっ?…あの、騰様苦しい…んですが…」
「これを振りほどけないとはまだまだ鍛錬が足らんな。…隆国は明日訓練の内容を倍にするよう殿に言っておこう」
「――ぐっ!!」
――兄だからと言って邪魔をするな。
――この人本気で絞めてる!くそっ、妹の前でかっこ悪い姿は見せられん!
静かに男達の攻防戦が始まった。
*
止めようかどうしようかおろおろしていると、背後からコココココ…と独特な笑い声が。
背後にある木陰から、ぬうっと王騎が現れた。
「はぁ、全く…風呂で泳ぐようなお馬鹿さんは騰だけかと思っていましたよ。まさか摎まで泳いでいるとはねェ…」
「きゃっ、殿!いつからそこに?!」
「私も隆国に用事があったもので、沙月と同時にここへ来ていましたよォ」
「じゃあ最初から聞いてらしたんですね…恥ずかしい」
「いいですか沙月、風呂は泳ぐ場所ではありませんからね。あの2人が特殊なんです」
「…普通に考えてそうですよね。殿、すみません…」
「素直で大変結構ですよォ」
一方、兄達は全く王騎に気づかず――
「ぐっ…羨ましいなら羨ましいと言えばいいじゃないですか!」
「見せつけるのは感心しないな…フンっ!」
「ぐわぁっ!」
相変わらず攻防戦が続いている。
「…終わらなそうですねェ。」
「…私、戻りますね」
「まぁ、騰も摎も小さい頃から一緒に育っているせいか、まるであなた達兄妹のようなものですからね…あまり気にしないことです、コココココ」
「ええっ、あっ、殿?!」
王騎にはなんでもお見通しなのだった。
そして隆国と騰はまだまだ戦い続けていた…。
おわり。
勢いで書いたので、何かおかしい…