短編
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雷雨の夜(通常の兄様編)
夜。コンコン、と控えめに扉を叩く音を聞き、隆国はやはり来たかとため息をついた。
「兄様…私」
「入りなさい」
入って来たのは夜着姿の妹・沙月で、こんな時間にあられもない格好で一人ここまで来たのかと思うとつい小言を言いたくなったが…
その時大きな稲妻が光り、ゴロゴロと雷が鳴り響いた。
「~っ!!」
ひしっと兄に抱きつく。
「全くお前は昔から変わらんな…」
そう。沙月は雷が昔から大の苦手。
雷の日はいつも隆国にくっついて離れず、それを見て両親はまったく仲良し兄妹だな、とよく大笑いしていたものである。
「これでも暫くは我慢してたのよ?でもどんどん雷の音が大きくなって近づいてきて…」
*
「ははは、わかっておる」
隆国も雷が鳴るのを聞いて、妹の事を考えていたところだった。
とはいえ沙月ももう大人だ。まさか本当に来るとは思わなかったが…。
隆国の腕にしっかりと抱きついて震えている沙月は、いつまで経っても自分にとっては幼い妹だ。
この城で働き出してから急に大人びてしまったように見えたが、やはり沙月は沙月のまま。
何かあればこうして自分を一番に頼ってくれる、それが隆国には嬉しかった。
外ではまだ雨が吹き付け、ゴロゴロと雷が鳴り続けている。
沙月は震えながら兄の腕の中で必死に耳を塞いでいた。
「ほら、いつまでこうしているんだ?」
「…兄様…今日は一緒に寝てもいい?」
「こら。年頃の娘がそのような事を言うものではないぞ」
軽く頭を小突くが、本音としては妹にこうして甘えられるのは満更ではない。
「…まぁ、たまにはいいか」
「ほんと?ふふっ、一緒に寝るなんて子供の時以来だわ」
「ほら早く布団に入れ。明日も仕事だろう?」
「はぁい」
「なんだ、もう雷平気そうじゃないか」
「もういじわる!」
笑いながらからかうと途端にふくれ顔をする。何だか今だけ子供時代に戻ったようだ。
(むしろ雷に感謝だな。妹とこんなにゆっくりするのは久しぶりだ)
隆国は優しく隣で眠る妹の頭を優しく撫でた。
「――おやすみ、沙月」
「おやすみなさい…」
だんだんと雷も遠ざかって、雲の切れ間から月が覗く。
こうして、とある雷の夜は過ぎていった。
おわり。
隆国兄様に甘やかされたいなぁ(。-_-。)
夜。コンコン、と控えめに扉を叩く音を聞き、隆国はやはり来たかとため息をついた。
「兄様…私」
「入りなさい」
入って来たのは夜着姿の妹・沙月で、こんな時間にあられもない格好で一人ここまで来たのかと思うとつい小言を言いたくなったが…
その時大きな稲妻が光り、ゴロゴロと雷が鳴り響いた。
「~っ!!」
ひしっと兄に抱きつく。
「全くお前は昔から変わらんな…」
そう。沙月は雷が昔から大の苦手。
雷の日はいつも隆国にくっついて離れず、それを見て両親はまったく仲良し兄妹だな、とよく大笑いしていたものである。
「これでも暫くは我慢してたのよ?でもどんどん雷の音が大きくなって近づいてきて…」
*
「ははは、わかっておる」
隆国も雷が鳴るのを聞いて、妹の事を考えていたところだった。
とはいえ沙月ももう大人だ。まさか本当に来るとは思わなかったが…。
隆国の腕にしっかりと抱きついて震えている沙月は、いつまで経っても自分にとっては幼い妹だ。
この城で働き出してから急に大人びてしまったように見えたが、やはり沙月は沙月のまま。
何かあればこうして自分を一番に頼ってくれる、それが隆国には嬉しかった。
外ではまだ雨が吹き付け、ゴロゴロと雷が鳴り続けている。
沙月は震えながら兄の腕の中で必死に耳を塞いでいた。
「ほら、いつまでこうしているんだ?」
「…兄様…今日は一緒に寝てもいい?」
「こら。年頃の娘がそのような事を言うものではないぞ」
軽く頭を小突くが、本音としては妹にこうして甘えられるのは満更ではない。
「…まぁ、たまにはいいか」
「ほんと?ふふっ、一緒に寝るなんて子供の時以来だわ」
「ほら早く布団に入れ。明日も仕事だろう?」
「はぁい」
「なんだ、もう雷平気そうじゃないか」
「もういじわる!」
笑いながらからかうと途端にふくれ顔をする。何だか今だけ子供時代に戻ったようだ。
(むしろ雷に感謝だな。妹とこんなにゆっくりするのは久しぶりだ)
隆国は優しく隣で眠る妹の頭を優しく撫でた。
「――おやすみ、沙月」
「おやすみなさい…」
だんだんと雷も遠ざかって、雲の切れ間から月が覗く。
こうして、とある雷の夜は過ぎていった。
おわり。
隆国兄様に甘やかされたいなぁ(。-_-。)