王騎軍新米使用人日記
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王騎軍第二軍長・隆国には妹がいる。
名前を沙月という。
両親共に年齢がいってからの子であったので、周りにも驚かれたがそれはもう元気な子が生まれた。
隆国はすでに軍人として家を出ているが、年の離れた妹を目の中に入れても痛くないほど可愛がっているのである。
「沙月~!近くに来たから立ち寄ったぞ」
「おかえりなさい。御無事でしたか」
小走りで駆け寄る妹の頭を隆国はやさしく撫でると、お土産だ。と城下で人気の菓子を渡す。
「ありがとう兄様!私このお菓子大好きなの」
隆国はその笑顔を見ただけで地獄のような訓練の疲れも、ガサツな同僚の悩みも吹っ飛ぶ。
「沙月、欲しいものがあれば何でも言えよ。買ってやるぞ」
「そんな…いつも兄様が元気で帰ってきてくれるのが、一番のお土産だよ」
え?うちの妹女神?天女?やばくない???隆国脳内はお祭り騒ぎである。
沙月の方も、顔は怖いが細やかな気遣いがあり、何より家族に優しい兄が大好きなのだ。
「ハハハハハ」「うふふふふ」「全く2人は仲が良いねぇ」
兄妹の仲睦まじい様子を、両親もほのぼのとした気持ちで見ていた。
幸せ絶好調家族であった。
*
沙月はもうとっくに嫁入りしてもおかしくない年齢なのだが、如何せん両親と兄にとってはいつまで経っても幼い子供。
過保護な家族達に「お前はまだまだ子供だし、結婚は早いんじゃないか」と言われ、未だ一人。
本人もまだ結婚は考えていなかったので、年老いた両親と畑仕事をしながらのんびりと暮らしていた。
だがある日。流行り病にかかり、両親が立て続けに他界してしまったのだ。
隆国、沙月を頼んだよ…そう言い残して。
兄妹はそれはそれは悲しんだ。
しかし隆国はいつまでも落ち込んではいられなかった。
両親は王騎城の近くの村で細々と農業をしていたが、それを沙月が1人で行い、生活していけるのか?いや、難しいだろう。
なら、嫁に出すか。
いや、いきなりどこぞの馬の骨とも分からない男に大事な妹はやれない。
まず自分がその男の人となりを見定めなければ。
真面目か、きちんと働いているか、収入はあるか、周りの評判はどうか、気遣いはできるか、清潔感はあるか、同居する家族はいるのか…etc
その脳内確認事項は膨大な量――この男、かなり細かすぎるのである。
そんな悩む隆国の背中に、ねぇ兄さま。とぎゅっと沙月はしがみついた。
「私の事だったら心配しないで。落ち着いたら、どこかのお屋敷で住み込みで働こうと思ってるんだ」
「どこかのお屋敷って…お前、変な主人の所なんかに勤めたら…お前…あれだ…」
突然の申し出に、隆国は混乱した。
一瞬でこの純粋な妹が下衆な主人からあれやこれやされてあーれーな感じの妄想が広がる。
いけない。想像しただけで泣けてきた。
「…ちょ…っとこの件は一旦持ち帰らせて…検討させていただきます…」
「(…どこへ?)ちょ、兄さま?」
「上の者と相談の上、またご連絡します…」
「兄さま?頭だいじょうぶ?(上の者って誰?!)」
様子のおかしい兄(SAN値ゼロ)を見て、沙月はこれからは自分がしっかりしなきゃな、と決意を新たにしたのだった。
*
隆国はそのまま王騎の城へと出向き、王騎と軍団長達に相談した。
「…という訳なのです。殿、妹が田舎の金持ちの下衆野郎に穢されてしまいます…」
「…隆国。まだ妹がどこで働くかも決まってないんですよねェ?」
「はっ…そうなんですが…」
「じゃあ私が嫁に貰いましょう。幸せにしますお義兄さま」
副官の騰が真顔で隆国の手をしっかりと握る。
「騰様ーーーーっっ!!!!お義兄さまとか言わないで!!!」
上司が弟とか無理なんですけど;;
「妹って言ったってもうガキじゃねえんだから好きにさせてやれよ」
はい録嗚未正論!!隆国の心に大ダメージ!
「そうはいっても年の離れた大事な妹だ、隆国も心配なんだろうよ」
干央、顔が怖いけど優しい…好き…。隆国に潤んだ目で見つめられ、干央は寒気がした。
「ねぇ殿。もし良かったらなんですが…軍団付きの使用人として働いてもらうのはどうでしょう?ここは男ばかりで、同じくらいの年頃の女性が1人でもいれば嬉しいなぁって」
摎がそう提案すると、王騎はにっこり微笑んだ。
「ンフゥ。そうですねぇ、摎の話し相手としても丁度良いかもしれません。ついでに身の周りの事もやって貰えればありがたいですねェ。」
「やったぁ!ねぇねぇ隆国、どうかな?」
「妹がここで働くなんて思いもつかなかった…願ってもみない事です!殿、摎様、ありがとうございます!
おいお前ら、主に録嗚未と鱗坊と干央、ついでに騰様!手を出すなよ!絶対出すなよ!!」
「「「「・・・・」」」」
手を出すったって、顔もわからん上に兄がコレだしなぁ…。と王騎と摎を除く男達は顔を見合わせため息をついたのだった…
王騎軍第二軍長・隆国には妹がいる。
名前を沙月という。
両親共に年齢がいってからの子であったので、周りにも驚かれたがそれはもう元気な子が生まれた。
隆国はすでに軍人として家を出ているが、年の離れた妹を目の中に入れても痛くないほど可愛がっているのである。
「沙月~!近くに来たから立ち寄ったぞ」
「おかえりなさい。御無事でしたか」
小走りで駆け寄る妹の頭を隆国はやさしく撫でると、お土産だ。と城下で人気の菓子を渡す。
「ありがとう兄様!私このお菓子大好きなの」
隆国はその笑顔を見ただけで地獄のような訓練の疲れも、ガサツな同僚の悩みも吹っ飛ぶ。
「沙月、欲しいものがあれば何でも言えよ。買ってやるぞ」
「そんな…いつも兄様が元気で帰ってきてくれるのが、一番のお土産だよ」
え?うちの妹女神?天女?やばくない???隆国脳内はお祭り騒ぎである。
沙月の方も、顔は怖いが細やかな気遣いがあり、何より家族に優しい兄が大好きなのだ。
「ハハハハハ」「うふふふふ」「全く2人は仲が良いねぇ」
兄妹の仲睦まじい様子を、両親もほのぼのとした気持ちで見ていた。
幸せ絶好調家族であった。
*
沙月はもうとっくに嫁入りしてもおかしくない年齢なのだが、如何せん両親と兄にとってはいつまで経っても幼い子供。
過保護な家族達に「お前はまだまだ子供だし、結婚は早いんじゃないか」と言われ、未だ一人。
本人もまだ結婚は考えていなかったので、年老いた両親と畑仕事をしながらのんびりと暮らしていた。
だがある日。流行り病にかかり、両親が立て続けに他界してしまったのだ。
隆国、沙月を頼んだよ…そう言い残して。
兄妹はそれはそれは悲しんだ。
しかし隆国はいつまでも落ち込んではいられなかった。
両親は王騎城の近くの村で細々と農業をしていたが、それを沙月が1人で行い、生活していけるのか?いや、難しいだろう。
なら、嫁に出すか。
いや、いきなりどこぞの馬の骨とも分からない男に大事な妹はやれない。
まず自分がその男の人となりを見定めなければ。
真面目か、きちんと働いているか、収入はあるか、周りの評判はどうか、気遣いはできるか、清潔感はあるか、同居する家族はいるのか…etc
その脳内確認事項は膨大な量――この男、かなり細かすぎるのである。
そんな悩む隆国の背中に、ねぇ兄さま。とぎゅっと沙月はしがみついた。
「私の事だったら心配しないで。落ち着いたら、どこかのお屋敷で住み込みで働こうと思ってるんだ」
「どこかのお屋敷って…お前、変な主人の所なんかに勤めたら…お前…あれだ…」
突然の申し出に、隆国は混乱した。
一瞬でこの純粋な妹が下衆な主人からあれやこれやされてあーれーな感じの妄想が広がる。
いけない。想像しただけで泣けてきた。
「…ちょ…っとこの件は一旦持ち帰らせて…検討させていただきます…」
「(…どこへ?)ちょ、兄さま?」
「上の者と相談の上、またご連絡します…」
「兄さま?頭だいじょうぶ?(上の者って誰?!)」
様子のおかしい兄(SAN値ゼロ)を見て、沙月はこれからは自分がしっかりしなきゃな、と決意を新たにしたのだった。
*
隆国はそのまま王騎の城へと出向き、王騎と軍団長達に相談した。
「…という訳なのです。殿、妹が田舎の金持ちの下衆野郎に穢されてしまいます…」
「…隆国。まだ妹がどこで働くかも決まってないんですよねェ?」
「はっ…そうなんですが…」
「じゃあ私が嫁に貰いましょう。幸せにしますお義兄さま」
副官の騰が真顔で隆国の手をしっかりと握る。
「騰様ーーーーっっ!!!!お義兄さまとか言わないで!!!」
上司が弟とか無理なんですけど;;
「妹って言ったってもうガキじゃねえんだから好きにさせてやれよ」
はい録嗚未正論!!隆国の心に大ダメージ!
「そうはいっても年の離れた大事な妹だ、隆国も心配なんだろうよ」
干央、顔が怖いけど優しい…好き…。隆国に潤んだ目で見つめられ、干央は寒気がした。
「ねぇ殿。もし良かったらなんですが…軍団付きの使用人として働いてもらうのはどうでしょう?ここは男ばかりで、同じくらいの年頃の女性が1人でもいれば嬉しいなぁって」
摎がそう提案すると、王騎はにっこり微笑んだ。
「ンフゥ。そうですねぇ、摎の話し相手としても丁度良いかもしれません。ついでに身の周りの事もやって貰えればありがたいですねェ。」
「やったぁ!ねぇねぇ隆国、どうかな?」
「妹がここで働くなんて思いもつかなかった…願ってもみない事です!殿、摎様、ありがとうございます!
おいお前ら、主に録嗚未と鱗坊と干央、ついでに騰様!手を出すなよ!絶対出すなよ!!」
「「「「・・・・」」」」
手を出すったって、顔もわからん上に兄がコレだしなぁ…。と王騎と摎を除く男達は顔を見合わせため息をついたのだった…
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