短編
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俺色に染まれ(鱗坊夢)
「おい、怒っているのか?」
ずかずかと歩く私の後ろを、鱗坊様がついてくる。怒ってる?怒るにきまってる。私の顔を見れば今日もなんだか暗いだの色気がないだの言ってくるんだもの…最初は我慢していたけれど、ここのところずっとこんな風だから「何で鱗坊様にそんなこと言われなきゃいけないんですか?!」と先ほどキレてしまったところなのだ。ちょっといいなと思っていた方だったから余計に悲しいし腹が立つ。使用人と軍長という身分の違いがあるとはいえ、私だって怒る時は怒りますよ!
「おい沙月待て、話を――」ぐいっと手を捕まれた。それだけでちょっと胸が高鳴る自分にも腹が立つ。色々な怒りを込めてジロっと睨み付けると、鱗坊様がニヤリと笑った。
「…やっぱりお前いい表情するな」
「ハァ?!」何言ってんだこいつ…殴ってやろうか。
「ちょっと動くなよ」と言うと、突然私の髪に手を伸ばす。驚いて固まっている間に私のキッチリと纏めた髪は解かれ、手ぐしで整えられ、緩く纏め直される。えーと、どこに入れたかな…とどこからともなく紅の入れ物を出すと、長い指で器用に唇に色を乗せられた。あれ、意外と手がキレイなんだな…なんてさっきまでの怒りも忘れてぼーっと見ていると、できたぞ。と満足げに告げられた。
「…うむ、やっぱり俺の目に狂いはないな。沙月はいい女だ」
「ハァァ?!何言ってるんですか?!」真っ赤になった私の顔を見て、本当だぞ、と笑う。
「お前はいつも我慢しすぎなんだよ。そんなんじゃ疲れてしまうぞ」と真面目な顔をする鱗坊様。あれ?私の事心配していてくれたんだ。それに今私の事いい女って言った…本当に?
「髪型も化粧も、俺が教えてやろう。お前は元がいいからすぐに映える」
「ありがとうございます、ぜひ教えて下さい!」鱗坊様の事だからなんだかんだモテそうだし、そういうのも色々詳しいんだろうなぁ…ちょっと複雑、だけどせっかくだし…とぐるぐる考えていたら――鱗坊様の腕の中にいた。
「あ、あのっ!鱗坊様っ?」もがけば、耳にふうっと息をかけられる。
「ひゃっ…」
「――後は男を知ればもっといい女になりそうなんだが…それは時間をかけてゆっくり俺が教えてやろう。な、沙月」とそのまま耳元で囁かれて…。
一カ月後。
「なーんか最近の沙月やつ色っぽくなったと思わねぇか?前は地味でぱっとしなかったけどよ」
「確かに…化粧だけじゃないな、あれは」「なぁ、後でちょっと飲みにでも誘ってみるか!」
「おいお前ら…」働いている沙月を見ながらそんな話をしている部下たちの頭に、背後からゴンゴンゴンと木刀を振り下ろす鱗坊軍長。
「沙月は俺の女だからな。手を出したら…」ギロリと睨まれた部下たちはすみません!と冷や汗をかきながら脱兎のごとく逃げた。
「ふん。最初にアイツを見つけたのは俺だ」
――まっさらな沙月を俺の色で染めていく楽しみを、他の誰にも譲ってやるものか。
そう悪そうに笑う鱗坊を見て、他の軍長達はさすが鱗坊、先見の明がある…手が早い。と感心?したのだった。
おわり。
「おい、怒っているのか?」
ずかずかと歩く私の後ろを、鱗坊様がついてくる。怒ってる?怒るにきまってる。私の顔を見れば今日もなんだか暗いだの色気がないだの言ってくるんだもの…最初は我慢していたけれど、ここのところずっとこんな風だから「何で鱗坊様にそんなこと言われなきゃいけないんですか?!」と先ほどキレてしまったところなのだ。ちょっといいなと思っていた方だったから余計に悲しいし腹が立つ。使用人と軍長という身分の違いがあるとはいえ、私だって怒る時は怒りますよ!
「おい沙月待て、話を――」ぐいっと手を捕まれた。それだけでちょっと胸が高鳴る自分にも腹が立つ。色々な怒りを込めてジロっと睨み付けると、鱗坊様がニヤリと笑った。
「…やっぱりお前いい表情するな」
「ハァ?!」何言ってんだこいつ…殴ってやろうか。
「ちょっと動くなよ」と言うと、突然私の髪に手を伸ばす。驚いて固まっている間に私のキッチリと纏めた髪は解かれ、手ぐしで整えられ、緩く纏め直される。えーと、どこに入れたかな…とどこからともなく紅の入れ物を出すと、長い指で器用に唇に色を乗せられた。あれ、意外と手がキレイなんだな…なんてさっきまでの怒りも忘れてぼーっと見ていると、できたぞ。と満足げに告げられた。
「…うむ、やっぱり俺の目に狂いはないな。沙月はいい女だ」
「ハァァ?!何言ってるんですか?!」真っ赤になった私の顔を見て、本当だぞ、と笑う。
「お前はいつも我慢しすぎなんだよ。そんなんじゃ疲れてしまうぞ」と真面目な顔をする鱗坊様。あれ?私の事心配していてくれたんだ。それに今私の事いい女って言った…本当に?
「髪型も化粧も、俺が教えてやろう。お前は元がいいからすぐに映える」
「ありがとうございます、ぜひ教えて下さい!」鱗坊様の事だからなんだかんだモテそうだし、そういうのも色々詳しいんだろうなぁ…ちょっと複雑、だけどせっかくだし…とぐるぐる考えていたら――鱗坊様の腕の中にいた。
「あ、あのっ!鱗坊様っ?」もがけば、耳にふうっと息をかけられる。
「ひゃっ…」
「――後は男を知ればもっといい女になりそうなんだが…それは時間をかけてゆっくり俺が教えてやろう。な、沙月」とそのまま耳元で囁かれて…。
一カ月後。
「なーんか最近の沙月やつ色っぽくなったと思わねぇか?前は地味でぱっとしなかったけどよ」
「確かに…化粧だけじゃないな、あれは」「なぁ、後でちょっと飲みにでも誘ってみるか!」
「おいお前ら…」働いている沙月を見ながらそんな話をしている部下たちの頭に、背後からゴンゴンゴンと木刀を振り下ろす鱗坊軍長。
「沙月は俺の女だからな。手を出したら…」ギロリと睨まれた部下たちはすみません!と冷や汗をかきながら脱兎のごとく逃げた。
「ふん。最初にアイツを見つけたのは俺だ」
――まっさらな沙月を俺の色で染めていく楽しみを、他の誰にも譲ってやるものか。
そう悪そうに笑う鱗坊を見て、他の軍長達はさすが鱗坊、先見の明がある…手が早い。と感心?したのだった。
おわり。