さて、そんなこんなで柚紀VS三輪隊の非公式ランク戦が開始間近となる。勿論通常のランク戦同様ただ画面を見るだけ……かと思いきや

❲いや〜、まさかのタイミングで歌姫ちゃんのバトル実況をやるとは思わなかったよ〜。因みに今回は本当の偶然だからね？丁度この子にランク戦実況のレクチャーしてたんだから！！ってな訳で自己紹介からどうぞ！❳
❲は、ハイ！！……えっとお聞きの皆さんどうも初めまして！？海老名隊オペレーター、武富桜子です！巽先生にランク戦実況役に抜擢されまして、今シーズンから可能な限りやらせて頂きます！一応自分もチームに所属していますので全部は無理ですが……❳
❲そこは私や頼りになるオペレーターの先輩達に協力して貰うからモーマンタイ！！あ、因みに解説役には何故か居合わせた風間くんと当真にお願いしているよ〜。にしてもある意味丁度良い面子かもね、風間くんは歌姫ちゃんとついさっき手合わせしたばかりでほぼリアルタイムの現実力を把握してるし、今回のキーパーソンになりそうなスナイパーの事なら同じポジションの当真は最適だし！！❳
❲でもまぁ、何とかなるだろう柚紀なら。出水程じゃねぇが、俺様も今のトリオン体やトリガー慣れの為に手合わせ最近したし、それこそスナイパーの基礎知識は東さん直伝だ。後はアイツ次第ってこったな。………あ、この音声はギャラリーである風間隊二人と、つる姐と……多分柚紀の部屋で見ている奴等にしか聞こえてねぇ。試合が始まれば何時も通り、各作戦室にも聞こえるから、さっきの情報が三輪隊に筒抜けにはなってねぇ。…この位、少し考えれば分かる事だしな❳

まさかの実況・解説付きでの観戦となったのだ。そして【柚紀のトリオン体は冬島との合作、東とは洗脳被害に遭った辺りから仲が良い】のはかなり有名な事なので、当真が話した事はかなり有り得る事項であり事実だ。実際に出水や親友のフブキに肩慣らしで手合わせしているし、それを知らなくても東から学校の勉強だが師事的なのを受けていれば合間に…と考えれたりする。……その可能性気付けるかは不明だが
そしていざランク戦となりＢ級ランク戦の様にランダム転送され、スナイパーは何時も通りバックワームを起動するが……



❲えっと、ユズちゃんが向いている方角が１２時として……"１０時の方角でレーダーから反応が消失したのを確認！！"アタッカーとは距離があるから速攻を掛ければ倒せる筈だよ！❳
『了解！！(ブォン…ダン！！……ダン！…ダンダンダン！)……古寺くん視認！(キイィーン)…誘導弾（ハウンド）！！(ババババババババババ…)』
「えっ！！？鶴ヶ峰さんっ？！何で俺の位置が……(ドドドッ！)」
-　ドンッ！！！　-

-　-
-

「えっ？エッ？！は、早過ぎるっ！！歌姫隊員がいきなり古寺隊員を落としたぁーーー！！？でも何であんな速攻が可能なんですか？！だって古寺隊員はバックワームをちゃんと使ってましたよね？！」
「……あれは恐らく事前の打ち合わせと市河の技術力が成せた荒業だな。鶴ヶ峰もスナイパー二人を相手にするのは至難の業、ならば片方を潰してしまえば少しは楽になると考えたのだろうな。そして市河に【開始直後、コンマ数秒の間にレーダーから消えた反応で自分から近い位置を教えろ】と指示を出せばアレは可能だ。ま、あくまでも市河の能力……サイドエフェクトありきの戦術だがな」
「ウンウン。我が愛弟子に掛かればその位朝飯前だよ！！……多分どの方向を歌姫ちゃんが見てるか分かるようにレーダーをカスタマイズしている筈だから尚更かな？鶴ヶ峰の二人ってさ〜干支って言うか昔の時計の文字盤で方角言うんだよね〜南なら午とかさ。流石に私達は馴染みがないから普通に１時とか言うけどね。後、バックワームを過信し過ぎたね。装着したまま転送されない以上、位置バレの可能性は考慮しなきゃ！………少なくとも歌姫ちゃんと戦う時はね」
「ま、次があるかは分かんねぇが相手に寄ってはカバーに入るのを考慮しろって事だ。普通なら狙撃で位置バレしてカバーするって流れはあるが、ランダムとか言うが転送位置って意外と絞れるから結構誰がどこに居るって分かるんだよな〜。これが普通のランク戦なら複数がバックワーム使われたら特定の人物を見つけるのは面倒だが、今回はその心配は無かった訳だ」

そんな感じでスタートダッシュが決まれば１対３の状況に持ち込むのに成功した柚紀はそのまま前衛二人と戦闘を開始する。そして数の有利を生かした位置取りをして常に二人に挟まれた形で戦う柚紀に対して、米屋の動きが些か良くない。その理由は

「あの槍バカ、さっきのランク戦での経験が"足を引っ張ってる形"になってやがる！ちゃんと切り替えろ！！そんなんじゃ柚紀ちゃんには勝てないぞ！！？」
「え〜っと、……対戦経験がある方が所見より有利な気がするのは俺だけ？"カノ先輩"達もいずみん先輩と同意見？？」
「この場合は出水先輩の言い分が正しいな。さっき歌姫体験を三輪先輩が断った理由と同じだ……経験の差があるせいで三輪先輩との足並みが合ってねぇ。あれじゃ連携も上手くいかないだろうさ、どっかで仕切り直す必要がある。…ってのは流石の隊長さんは分かっているみたいだな」
「あっ！！レッドバレット！？で、思わず空中に退避した柚紀を奈良坂先輩が狙撃……は流石に読んでいたみたいだね。ってか空中で体制を変えるとかどうやったのさっ？！！」
「…少し分かりづらいけど手元に何かあるね。恐らくシールドかな？トリオン体の性能を活かせば片手で体を支えるのだって可能な筈だ。で、さっきと当真さんが言った通り狙撃で位置バレしちゃえば……古寺と同じ末路を辿る訳だ」

因みに何故狙撃を的確に回避出来たかと言うと、事前にステージは市街地Ａと決めていたのでシロには【過去のランク戦からスナイパー二人の平均射程距離算出と、狙撃に適した建物をピックアップ。及びバックワームで反応がロストした位置から現戦闘区域に掩護狙撃に適切な方角を割り出し】を指示していたのだ。……アタッカーは柚紀本人が対処するとして今回はスナイパー対策をシロに重視した訳である。それが上手く決まり奈良坂もベイルアウトさせれば再び二人と対峙。そして何やら会話をしているのに気付いた巽が❲今回だけの特別サービス！……向こうの会話を聞かせて上げるね❳と粋な計らいを敢行。そして《切り替えは大切ですよ、米屋先輩》と、出水と同じ事を口にした上で更にこんな事を二人に訊ねる