そして此処から勝負が決するまでそこまで時間は掛からず、柚紀が負けた所まで行けば『二宮さんの集中シールドをスコーピオンで割るのは至難の業だな〜。罅すら入ってなかったよ』と自己分析をした所で、何やら各自考え事や頭を抱えている面々を見て一番冷静な諏訪が話題を振る

「で、あの四つの大玉トリオン弾を作り出せた仕掛けは結局なんだったんだ？流石にサイドエフェクトの力業じゃないだろ？？」
『………それやったら皆からのお説教待ったなしなので流石にしてませんよ。ただ"冬島さんに"ちょっとお願いをして"改造を施したとあるトリガーに能力を付与した"感じですかね？つまりは歌姫の応用です』
「歌姫の？えっとつまり………他人にもその効果を分かるようにする為に"歌でなくトリガー"を用いた。なのは何となく分かりましたが………実際、ナニを使ったんですか？」
『ん〜、結構マイナーなトリガーだから予想はしづらいかも。でも、皆が知っている人がたまーに使うかな？って言ってもピンとこなさそうだから名前言っちゃうね。………ズバリ、東さんです！！？』

まさかの人物に更に頭を捻らせるメンバー。その中で比較的東と親交深い佐鳥と諏訪が、東が扱うトリガーを口にしていけば……ほぼ同時に答えらしきモノが浮かび上がる

「おい、まさかそれ…
「えっ？東さんがたまーに使うトリガーって言ったら
ダミービーコン(かっ！！？/……位しか思い浮かばないよ？)」」
『せいかーい！！これでステージが訓練室みたいな殺風景な場所だとすぐに気づかれそうだけど、建物があるステージならその頃には程よく瓦礫が散乱してそうだから最初みたいに弾で相殺されてもバレないかな〜って！ほら、【木を隠すなら森の中】的な感じです！！？』
「………………………柚紀ちゃんの言いたい事は分かるけど、よく上手く行ったよね。タイミング間違えてたら確実にバレていたんじゃないか？と言うより、何でちゃんとビーコンが弾に見えるんだい？？」
『だってビーコンもトリオン弾も元は私のトリオンから作られたモノですよ？だから"弾の形をしたビーコン"を作ると念じればイケます！！でもこれには欠点があって、一つは【私が弾トリガーを使う際に分解する数や大きさを把握されてたら、違和感に気づかれてしまう点】、後は【ビーコンを併用するのであくまでも"一つの弾が分裂した"定義での使用しか出来ない】のと、【ビーコンで偽造した弾トリガーは分解こそ冬島さんにお願いして可能にしましたが、弾道操作はほぼ無理なので弾の動きが不自然となります】綾辻先輩、例の弾を撃った場面に出来ますか？』
「ちょっとまってね。……………この辺りで良いかな？」

使用者は少ないが一応名前や性能が知れ渡っているトリガーを使った事や、【偽るの共通点から媒体に丁度良かった】と迅は解釈。が、他メンバーは未だに理解力が追いついてない。そしてそれを尻目に"見分け方講座"的な流れとなり、実際に放った場面で一時停止をする

『少し分かりづらいかも知れませんが、【同じ軌道に複数の弾が連なっている】のが分かりますか？コレ"先頭が本物で後続はビーコンが偽装したニセモノ"です。本来、シューターが放った弾が同じ軌道を通るのは性質的に無い筈なんです。それを気にしないのは【銃口から放たれる弾トリガーもシューターと同じなのを殆どの人が知ってて、脳が勝手に補正処理】しちゃうんです。理屈とかシューターが扱う弾の性質や手順を知っていれば違和感に気づけます。……二宮さんは気づけたかは不明ですがね。後、ビーコンの性質上レーダーには映っちゃうのであくまでも使えるのは個人戦の前衛ポジション限定かな？オペレーターのサポートあったら一発だし、スナイパーは距離がある分まだレーダーを見る余裕ありますし、結構レーダー頼りに撃っているとも東さんから聞きました』
「…………つまりは"個人戦なら確実にレーダーを使わない、でもちゃんと認識や理解をしていれば攻略法があるけそれ気づけるか"を柚紀さんは試した訳だね。……見た感じ二宮さんは気づいているか表情からしても分からないけど…分からないと言えば、致命傷を受けて負ける直前、二宮さんに何を話をしていたの？」
「あ！オレは全力出す直前に口ずさんだ台詞が気になるかも！！……なんか決め台詞っぽいな〜とは思っていたけど」

種明かしと見破る方法まで説明しある程度納得すれば、画像だからこそ分からない事を二人が訊ねる。それの横で「今後の柚紀ちゃんの成長が楽しみだな迅！！」「……楽しみでもあるし、頼もしくもあるけど、何かかなり複雑な気分」と話す二人の近くで、木虎は未だに考え事をしていた。そして時枝・佐鳥の質問に答えた所で『藍ちゃん？何か気になる事、あった？？』と訊ねれば、かなり言いづらそうにしつつ正直に話す

「……倒せなかったとは言っても、二宮さんにシールドを出させたのは凄いと思ったのと………先輩の才能に、軽く嫉妬してしまいました。例の生駒って方、フブキ先輩みたいに剣の心得がある方にもスコーピオンで勝ってましたし、本命のシューターでもＣ級時のランク戦は無敗、ですよね？………私は負けましたし、スコーピオンを扱える様になるまでかなり時間を要したと言うのに…」
『(……テクテク、スッ…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)私が住んでいた里にも街にもさ、フブキと同じ流派の道場があってね、護身の為に"体術と剣術の短刀部門"を習っていたんだ。まぁその、………とある理由で続けられなくなったからコッチに来る一年位前に辞めちゃったけどね。だから丸っきり素人じゃない、経験があったからこうやって実践でも早く使えるだけの技術を身に着けた…感覚を取り戻したって訳！(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)シューターに関しては完璧にサイドエフェクトのお陰だね、だって……夏休み後半位には【シューターとして一緒に皆と戦いたい】って思ってて日々妄想や空想を膨らませていたもん！！(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ、パッ)……因みに共闘メンバーには藍ちゃんだって居るよ？だから"次の防衛任務"辺りではお世話になります(ペコリ)』
「…………何故いきなり防衛任務の話が出てくるんですか？」

素直に心中を語る木虎の側に行き頭を撫でながら"自分がこうなれた訳"を語る。が、最後に関係ないワードが出て来て流石に疑問を抱く。これには中学生二人も同様だが、高校生三人や諏訪はその意図を察した様子。その理由は………


「(…ムクリ)ユズちゃんは既にＳ級の地位を持っているから、Ａ級昇格の為に【チームを組んでＢ級ランク戦に参加する意味がない】の。それを抜かしても私がオペレーターは確定だから【一緒に組む人は厳選な審査が必要になる】サイドエフェクトをどう思うかとか、人としてどうかとか。後は……年齢とかも気にする必要があるかな？多分【年上の男性とチームを組むのは無理に等しいからね】そうなるとかなり厳しいから【フウちゃんみたいに暫くはフリーで他の隊と合同で任務に就く】事になってます。ま、主に歌姫時に共闘した部隊中心かな？それで最初は亜種の時同様、嵐山隊とが良いとユズちゃんのご所望ですが……如何ですか？嵐山隊長」