6.種明かしの曲(161.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
迅と共に歩いている嵐山達は「行き先は……ウチで良いのか?」「あぁ、ソッチで大丈夫だ」と言われたので作戦室に向かって歩いていると、部屋前でちょっとした荷物を持って待っていたシロと合流。何故彼女が?とは誰も思わなかったが「どうして廊下で待っていたんだ?中には綾辻が居るぞ」とわざわざ待機していたのが全員気にしていた。これに対して「用意に手間取ってついさっき来たばかりでしたのでお待ちしてました。……先輩はこの事を知らないので」と、誰も柚紀の容態を報せていないのに気づき苦笑いを浮かべる。そして中に入れば綾辻が出迎え、シロと眠っている柚紀を見て不思議そうにしつつも事情は聞かず、とりあえずベッドを生成して柚紀を横にし荷物をベッド近くに置いて鞄から"耳"を覗かせていた兎のぬいぐるみを抱っこさせ色々準備をする。その間にお茶の用意を済ませれば、何が遭ったかを綾辻に説明。「そうでしたか……」と気分が低下する綾辻に「そんな失礼な人達は今頃お姉様やフブキ先輩が懲らしめてますから大丈夫です!?」と木虎が断言すれば、何とか浮上を果たす。それを黙って見守っていた男性陣は話題をシロが持参した荷物に
「所で市河ちゃん、……まだ何か入っているみたいだが………何を持ってきたんだ?」
「コレですか?中身はコーデ一式です。……誰に触られたか分からない服をユズちゃんに着させたままにするのは忍びないので。久し振りだったので何にするかを決めるのに時間が掛かりまして………あはは」
「……………なる程ね。それにしても市河ちゃん、……柚紀があそこまで拒絶反応起こすの始めてな気がするけど、……どうしてなのか、分かる?」
「………っ!?…理由、分からなくもないけど、………かなりのトラウマ、案件になるのかな?風景は、見えない、でも……イヤだって気持ちと、こ、……声が、聞こえ………っ!?駄目、……気持ち、悪くなってきた(ガクン!!)」
理由を知っていそうなシロに説明を要求する佐鳥に何とか答えようとするが、かなりの精神的負担になったらしく顔を真っ青にさせてその場に座り込んでしまう。そんなシロを介抱しようと反射的に近づくが、能力の事が頭を横切り無闇に触れなく対処に困っていると「開けろ嵐山っ!!?」と諏訪の声が。それに反応してドアを開けて招き入れれば「やっぱりか、……嫌な予感がしたんだよ」と悪態を放ちながらバックワームと何やら手袋を取り出して嵌めれば介抱を始め、必要そうなモノを指示して用意を頼む。幾分か落ち着いたが、顔色は優れないままでどうするか悩んでいると………
『……んっ………(スゥゥ……パチ、パチ)…此処は、……嵐山隊の、…(キョロキョロ…ガバッ!?)シロッ!!?どうしたのっ?!顔色がっ………もしかしなくても、私のせい…だよね。…………諏訪さん、彼女をそのままベッドに寝かせて下さい。私は平気なので』
「あぁ。(……スッ)にしても、どうなってやがる?なんでお前の回復は早いのに市河は此処まで重症化した?今までトラウマ案件が発生しても、このパターンは無かった筈だ」
『……ちゃんと説明します、何のせいであんな事になったのかや私の立ち直りが早かったのかも含めて。でもその前に…………"シロを寝かしつけます"。苦悩を少しでも和らかせる為に。だから少しだけ、待って下さい』
「………自分のせいでそうなったから償いの意味を込めて、か?多分市河はこれらのリスクを承知の上で専属になるのを決めた。だから他人の俺はとやかく言わねぇさ、テメェ等の問題だからな」
予想より早く覚醒した柚紀が目敏く顔色が良くない親友を見つければ、場所を明け渡す。そして"意識があっては苦悩が続くだけ"を経験で知っている柚紀は独自の処置法を施す事に。諏訪を始めとしたメンバー誰もが反論しないの確認して、…子守唄を口ずさむ
〜 LaLaLa〜LaLaLaLaLa〜LaLaLa〜〜 〜
「……珍しい、ですね。柚紀先輩がちゃんと歌詞を歌わないなんて」
「………柚紀ちゃんにとって子守唄でも、他人はそうとは限らないし、もしかしたら歌詞が合わないとか…それこそ歌詞を知らないのかも知れない。……母親が聞かせてくれたのをそのまま再現しているとかね」
「…………迅、以前市河ちゃんは【お前には柚紀ちゃんの過去が視えているのでは?】的な発言をしていたが、……実際の所はどうなんだ?」
「………………去年は、そうだったね。でも今は殆どそれは無くなった。恐らく精神的に安定したからだと思う。予知も他の人と同じ風に視える。ま、枝分かれの多さは相変わらずだけど確率が低い未来になるのは大分減ったかな?(それでも未来は不安定なままだ。特に……誰と…どっちと結ばれるかが確定していない。この先、何が待っているんだ?)」
ただメロディーを口ずさむのを邪魔しない程度の音量で話していると、短い曲なのか歌い終えた頃には少しだけ顔色が良くなったシロが眠りについていた。それを見て安堵しついでにぬいぐるみを抱っこさせた柚紀が鞄の中に何か入っているのに気づく。その中身が何かを聞けば綾辻達に許可を貰って奥の部屋で着替えを済ませる。そしてソファーにでなく折りたたみ式の椅子をベッド近くに置いてシロを観察しつつ話の体制を取る。(因みに諏訪はトリオン体のまま壁に背中を預けた状態で話を聞くらしい)
「で、何が……"トラウマになった原因は何だ?"あそこまでの反応からしてかなり嫌な体験したんだろ?」
『えっとですね、………私、背に大きな怪我をした事があったんです。で、それも普段ならお父さんに診てもらっていたのですが、暫く仕事で帰ってこれなかった時期があって、里にいる医学に精通した人に代わりに診断してもらったんです。そしたら……本人は善意な気持ちだったのですが、処方…投与と言うか塗られた薬が皮膚に合わなくて逆に痛みやら化膿をしてしまいまして、それのせいで今も痕が残ってしまって。……それから、お父さんが居なくなって色んな理由で身体検査をした際にその痕を見られては同じ様に薬を投与されそうになっては、…結局合わずに痛い思いを何度もしました。私は"このままで良い"と言っても医師たちは"女の子がそんなのは良くないやら可哀想だ"と善意を振りかざして。…だからシロはその"悪意なき善意の思念"に当てられたんだと思います。言っている事は正しくても、人によっては余計なお世話な訳ですから。それもそれで嫌な思いをすれば、誰だって気分は悪くなりますよ』