3.個人戦の曲(158.
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処置やらトリオン体の調律を行う為に身柄は柚紀専用の検査室に運ばれていた。そして目覚めたのは入隊式のカリキュラムが一通り終了した後であり、嵐山隊一同が様子を見に訪れたタイミングである。綾辻は素直に大丈夫かと心配したのだが……
「で、何であんな無茶をしたのかな柚紀ちゃん」
『その……反射的に、』
「あれは仮想空間に出て来た擬似トリオン兵でホンモノじゃないのは分かってたよね?」
『わ、分かってはいたけど、やっぱり目の前で攻撃れそうなのを見たら、助けたくなるよ…ね?』
「……その気持ちは分かるけど、ソレをしたら自分にペナルティーが降り掛かるって分かってたよね?あの後、風音ちゃんかなり気にしてランク戦で荒れに荒れまくってたって出水先輩から聞いたよ?」
『うっ、……それは誠に申し訳なく思ってます』
「そもそも、あの状態で攻撃を受けたとしても悪いのは油断をしていたフブキ先輩であり、柚紀先輩が無茶をする必要はありません。これが初見ならまだ分かりますが、あの人だって何度も擬似トリオン兵との戦闘や訓練室の仕様を理解しているんです。………助けたいと思うのは悪くないですが、それで倒れられたら本末転倒です。もう少し状況やその後に起こりうる事を考えた上で行動して下さい」
『ぅ、………ご、ごめんなさぁ〜い!!反省してるから許してぇ〜〜!!!(……ジワッ)』
嵐山を始めとした四人からお説教(?)を食らい、全員の言い分を聞いた後にやはり効果覿面らしく涙目になりながら謝る柚紀を綾辻が諌め、四人は溜め息を漏らす。……ちょっとした柚紀独自の暗黙のルールで【何かやらかした際にはその場にいる全員の言い分を聞いてから泣く】様にしているのだ。昔、泣いている時に言われた大切な事が理解出来ず同じ過ちを繰り返して大惨事になった事があった故の"再発防止の対策"である。そして、水分補給も済んで気持ちが落ち着いたにも関わらず何処が浮かない柚紀に、代表して佐鳥がどうしたのかと訊ねれば
『だって、……嵐山さん達が此処に居るって事は訓練体験、終わっちゃったんでしょ?………やりたかったな〜』
「…………アレを柚紀さんがやっても多分"全て一位"だよ?あれ等は防衛任務やB級ランク戦に使用する技術の習得や、トリオン体に慣れるのが目的だからね。そんなの君は既に修得済みでしょ?」
「「「「ウンウン」」」」
『…………でも、ちゃんと他の皆と同じ事、やりたかったな〜。言実さんにね【C級期間は一週間だ。一週間後にはB級に昇格させる】って言われてるの。……贔屓なしでもうそれだけの実力はあるって言われて嬉しくない訳じゃないけど、…ちょっと複雑』
「ですが先輩程の実力者がCに何時までも居るのは宜しくないかと、私も思いますよ?あれだけの敵をトリガーお一つで捌き切ったのですから、初回にかさ増しされていた事を考慮しても既に4000は行っても可笑しくないです。……そうやって特別扱いされるのがお嫌いな気持ちも分かりますが、自分の実力が他人からどう評価されているかを受け入れるのも大切かと」
『………まぁ、無理してC級のトリガーを使うのが自分には良くないってのは痛い程分かっているし、あの人の悩みの種解消の為にも早急にBに上げたいんだろうけど………初日で上がるのは流石に、ね。訓練室の一件、居合わせた人にしか知られてないから、一週間すれば私じゃない誰かがBに上がってくれるだろうって言実さんも考えたんだろうけど………実際どんな感じ?』
柚紀の問に答えるべきか一瞬躊躇する嵐山達だったが❲知り合って名前も知っている黒服のお三方の事なら、話しても大丈夫だと思いますよ?連絡先も交換してますし❳と、サポートに来ていたシロからの助言を聞いて各自話し始める
「一番の有能株は緑川だね。例の擬似トリオン兵を倒すアレの歴代最速タイムを叩き出してたし、その後の訓練もかなり飲み込みが早かったから彼なら一週間以内にBに上がれると思うよ?」
「次に私と同級生だった樫尾くんですが、彼も他の一般訓練生よりは才能が突出してますが、緑川くん程ではないですね。その……(コホン)請われたので、フブキ先輩の黒服トリガーをお借りして一戦しましたが、普通に私が勝てました。私は弧月を全く使用経験なかったので、仮入隊時から使用されている彼の方が部があったのに、です」
「ま、木虎の場合はこの数ヶ月で蓄積された経験が使い慣れないトリガーによる戦闘をカバーしたって感じじゃないかな?で、最後に黒服スナイパーの外岡だけど、……彼も腕は悪くないけど訓練内容次第じゃストレートで昇格条件は難しいかも。多分次の訓練内容は"捕捉と掩蔽"な気がするんだよね〜。前回から一ヶ月位経過してるし」
『………なる程。はぁ〜……訓練は兎も角、ランク戦はしたかったな〜。……流石にもう人居ないよね?そろそろ新学期始まるし…あまり基地に来れなくなりそうなんだよな〜。去年休みまくったからせめて残りは可能な限り出席したいし……』
知り合った黒服仲間の感想を聞いた後に、自分事ながら不満を漏らす柚紀。確かに個人的な理由ではあるが、休んでいた理由や両立の難しさを知る面々はかなり複雑な表情をしていた。そんな中、着信が入ったらしい嵐山が携帯を取り出して何やらチェックをしていると「……とりあえずランク戦ロビーに行かないか?言実さんがそこで待っているみたいだよ」と言われて皆で移動を開始する。……訓練生の隊服のポケットがかなり深めで携帯を落とす心配がない(更には言実からのクリスマスプレゼントで貰った、あの鎮めの鈴ツーカラーを使ったストラップを装着している)ので柚紀が所持をしているのを言実も知っている筈なのに何故嵐山に連絡が行ったのか?…と頭の中片隅に思いながら