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『(……ｷｲｨｰﾝ)な、何で。何で、当たらないのっ？！それに…(…クラッ)くっ！？体が、…上手く、動かせないっ！？この体に施された不要なシステムは解除した、筈なのにっ！！？』
「(スタッ)…………それは経験の差、だよ。今まで沢山の訓練や練習をしてきたのは柚紀さんであって、貴女じゃない。だから弾の動きが単調で読みやすいし、目線を気にしていれば狙いも大体予想が出来る。それに、その疲労を感じるシステムだって"頑張り過ぎてしまう自分には必要な設定"と彼女は認識している。だから外せない、……君が"彼女に代わって表世界に出る"と本気で望まない限りはね」
『っ！？(ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ)なら、…何故私は表に出てこれたの？！ランク戦を…戦うことをこの子は嫌っていない！その必要性を認めているのだから！！それだけではないわ！！私が未だに存在する意味はあるのっ？！此処は三門市！！あの街でも無ければ、この子を傷付ける者だって居ない！！？……ゼロではないが、あの人が側に居れは恐れる事はない！！わた、……ワタクシハ、ナンノタメニ、ソンザイ、シテイルノ？』
「(ザザザッ！)……理由をそうやって探す所はやっぱり柚紀と同じだね。分からないならさ、(ニコッ)探せば良いんだよ！今からだって遅くはないし、彼女は優しいから自分の中にもう一人居たとしても、きっと受け入れてくれる。と言うより気付いていそうだよね。そういう子なのは、君が一番分かっているんじゃないの？(コテン)」
『っ！？？……えぇ、そうよ。貴方に言われなくても分かっているわよ？私（わたくし）もこの子の一部だもの。でも、……(ギュッ)だからこそ、私は消えなきゃいけないの！！？でなければ………この子は何時までも【自分が本当に好きなのは貴方達どちらかを理解出来ない！！】私はっ！？(キイィーーン)この子を苦しめる要因になっては駄目なのっ！！？なるべきじゃないっ！！！？(ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ)』
-　ドゴーーン！！ドーン！！……パラ、パラ…　-

長時間元より戦闘経験が殆どないゆずきの相手を二人は難なくこなしていた。勿論、彼女の焦りや疲労による集中力散漫しているのも理由だが"本音と建前"……つまりは"柚紀とゆずきの感情や意志が一致していない"せいで本来の実力が出せていないのだ。それでも影浦達と互角以上に戦えていたのはゆずきが所謂"精神体…実体を持たない魂だけの存在"なのと、トリオン体の構図やランク戦システム内だからこそである。そしてその根本的概念である"自分の存在意義"が揺らぎ精神が不安定になってしまった彼女は大量のトリオン弾を生成、文字通り無差別爆撃が発生してしまう。……弾を生成時に発した重大発言により二人共初動は遅れるが、先に我に返った佐鳥が時枝に駆け寄り「充っ！？テレポート！！？」の声で意識が浮上、何とか二人して爆破地帯を離脱する

-　ビュンッ！！スタ、スタン！　-
「ひぃ〜〜！？まさか今日の隠し玉がメテオラとか、予想外過ぎるから！！？……でも柚紀にしては珍しいと言うか、予想外かチョイスだね。だって、……嫌ってなかった？こう言う爆破系」
「……………もしかしたら柚紀さんがじゃなくて"身近の誰かが本当は嫌いだから"、かも。ほら、彼女の母親がアレルギー持ちのせいで食べ物に偏りがあったのと同じ原理で。そしてその相手は十中八九…」
「…………おつるちゃんって訳か。あの人が自分を常に気に掛けているのは知っている。だからこそメテオラを不用意に使わない…としても、去年の女王討伐時に使っていたから"トラウマクラス"じゃ、なさそうだね。って……危ないっ！！！？(バッ！！？)」

そんな自己分析をしていた佐鳥だが、爆破によって崩壊した建物の瓦礫がこのままでは柚紀に当たると判断すれば、即座に行動を開始する。これに対して時枝は一瞬躊躇したが"トリオン量減少に伴う疲労や痛みを感じる設定"と"錯乱状態の彼女に通常の回避能力はない"のを理解すれば、コチラも動き出す。そして

-　ドゴーーーン！！！！　-
❲なっ！？？……充っ！賢っ！！応答しろっ！！？現状はっ、………柚紀ちゃんは無事かっ？！！頼むから返事をしてくれっ！！！？❳















-　パラ、パラパラ……　-
「……こちら佐鳥。三人共に無事ではありますが、ちょっと…身動きが取れません。あ、瓦礫による損傷も全員ないです！えっと、……少し彼女と話をするので時間を下さい。それで何とかなる筈です」
❲……………分かった。だが、そろそろ夜の部が始まる。あまり時間はないぞ？❳
「大丈夫です！！……多分。では後ほど」
『…………………どう、して、私を助けたの？それに……此処は、(ｷｮﾛｷｮﾛ)地下シェルター？？』
「此処は地下下水道、流石に水は流れていないけどこんな所までちゃんと作っているなんて、エンジニアの人達も凝っているよね。さて、(……スッ)さっきの言葉の意味、聞いてもいいかな？どうして君が自分は消えるべきと思ったのかを」

……状況を説明すると、佐鳥が柚紀の身柄を確保して瓦礫の下敷きは回避出来たが、弾の暴走は止まらず今も危険な状態なので"とりあえず安全な場所を"と模索していると、遅れて来た時枝が"足元にあるマンホール"に気づき、そのまま地下へ。……その際に"あの妙な浮遊感"を柚紀が感じた瞬間、反射的に佐鳥にしがみつき弾の生成が中断される。…時枝は"柚紀と周囲に浮遊する弾の隙間がマンホールの直径よりある"のを見て、"壁等をの障害物があれば弾は作れない"と判断した上での行動だったが……理由は違えど収まったので良しとする事に
そして抱きつかれた事により、着地に失敗して尻もちをついていながら相変わらず柚紀をホールドしている佐鳥から距離を取らせる意味も兼ねて質問をしながら手を差し出す時枝を見て、軽く躊躇をするが結局手を取り立ち上がって二人から距離を取った柚紀……ゆずきは語り出す