19.狡猾の曲(174.
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〜 ?の自室 〜
- ガチャッ……バタン、………ポフン! -
柚紀が奥に引き籠もって直にシロがやって来たので作戦室を後にした嵐山達だが、特にやる事も無かったのでその場で解散となり大半が帰路についた。木虎はフブキと会う約束をしていたらしく残りはしたが
そして帰宅して家族にそれとなく言葉を交わして自室のベッドに倒れ込み、ぼんやりと"あのシーンについて"考えてしまう
「(……あれは、事故?それとも狙ってやった事?どちらにしても)……俺には、出来ない事だな。嵐山さん達の前でとか、確実に…(コロン)(後、一応綾辻先輩から"彼女から"って事でチョコ貰ったけど、やっぱり彼奴と同じのだった。…嬉しくない訳じゃないけど)……………難しいな、彼奴より一歩前に出るのは。特に彼女関連だと」
そんな事を考えながら暫くベッドにゴロゴロしていると「ご飯出来たわよ〜」と母親に呼ばれる。が食べる気がおきなくて「基地で色々食べてきたから要らない」と返事を返す。そしてまた暫く堂々巡りをしていたが、……やはり空腹には勝てずベッドから起き上がれば荷物から可愛らしいラッピングされたモノを取り出して中身を確認する。……柚紀から貰ったチョコでも、ファンから貰ったモノでもなくクラスメートの女子からのだ。最初は断ろうとしたが、男子全員に配られているらしく流石に自分だけ受け取らないのは良くないと判断して、だ。因みに貰ったのは同じ様な事をしている女子数人分だけで、個人やら嵐山宛のはやんわりと断っている。(理由は作戦室で綾辻が話した内容通り)
そして中には楕円形のチョコレートが複数入っており、食べてみる
- カリッ -
「(モグモグ、ゴックン)…アーモンドをチョコでコーティングしたモノか。これなら簡単に作れるし量産も可能だね(モグモグ、モグモグ……)」
そこまで数も無かったのと、中学男子の食欲も相成り全て完食。軽くお腹も満たされたので今日はこのまま寝てしまおうと、寝間着に着替えて歯磨きをする為に部屋を出ようとしたその時
- グワンッ!! -
「っ!?な、なんだ?……いきな、り、…あた、まがっ!?それに、……けし、きが、ゆが、む(ガクッ!!)」
頭を抱えて片膝を付き、いきなり発生した頭痛と目眩を何とかやり過ごそうと暫くジッとする。が、一向に納まる様子もなく逆に悪化して意識すら朦朧となる。そんな時窓を叩く音がして、頑張ってそちらを見れば頼りになる隊長の姿が。幻想か現実か分からないまま何とか施錠を解除した所で力尽き、視界が暗転。最後に聞こえたのは「しっかりしろ!?」と自分に声を掛ける嵐山の声であった
- -
-
- チクタクチクタク、チクタクチクタク…… -
「……んっ、………此処、は…」
「………何の、音?………こんな音するの、部屋にはない、筈…」
『あ!気が付いたみたいだね。良かったぁ〜?!!』
「「!!?」」
ほぼ同時に意識を取り戻した佐鳥と時枝は"天井模様や聞き慣れない音"から異変に気づく。それ以上にいきなり柚紀の声が聞こえて来たので視線を巡らせば、二つ並んで敷いてある布団の丁度間に彼女は座っていた。……パジャマで肩には去年の暮に渡した特別製のストールを纏い、…何故か二人の手を片方ずつ繋いだまま
それに驚いて二人とも身動ぎしようとするが『まだ起きちゃ駄目!!検査結果が出るまでもう少し大人しくしてて』と手を繋いだまま横になるのを促され、時枝は渋々従う。……佐鳥はそれでも起き上がろうとするが上手く身体が動かせないのだ、柚紀と手を繋いでいるのを抜かしても片腕だけで起き上がれないのを悟って大人しくなったのを見計らい「おれ達は一体、此処は……君が使っている部屋?」と時枝が訊ねれば、軽く首を振り説明を始める
『此処はお婆ちゃんの家、なのは分かるか。私が使わせて貰っている部屋のお隣さんで、何時もは空き部屋状態。で、二人が此処に居る理由だけど………意識を失う前の事、覚えてる?』
「えっと、………確かクラスの女子が男子全員に渡していたチョコを、口にしてた。"感想を皆に聞いているから絶対に食べてね"って、言われて。そしたら、……頭痛と、目眩に襲われて…意識が飛ぶ瞬間に、嵐山さんが現れて……って感じ」
「佐鳥と同じく。で、……おれ達に一体、何が起きたの?後、……君と手を繋ぐ理由を、知りたいかな」
『それはね…「ユズちゃん、入って大丈夫そう?」!うん、平気。丁度二人も目が覚めた所だよ』
状況整理している所にシロとフブキが訪問。入室を許可すればコチラはオペレーター姿・トリオン体で色々持参した状態で室内に入れば、頭元にある行燈を付ける。……今夜は天気がよく、月明かりだけでほんのり室内が分かる程だったので障子を開けて室内を照らしていたのだ。念の為障子をフブキが締めてカーテンも締めた所で「もう二人とも安全圏内になったから"手を離して大丈夫だよ"、……お疲れ様ユズちゃん」とシロに言われて手を離せばホッと安堵する柚紀。それからフブキの助けを借りて起き上がり、差し出された飲み物を口にして再度時枝が訊ねれば、答えたのはフブキ
「ま、結論から言えば"とある科学物質による中毒症状が出た"って所だな。本来ならそんな危険食材が世間一般に出回る事はないんだが、……どうやら面倒な事になってるみてぇでさこうやって秘密裏に処置したって訳だ」
「??……その科学物質がナニかも気になるけど、それって十中八九佐鳥が食べたチョコに含まれていたって訳だよね?親は普通通りっぽかったし…………ん?ま、まってよ風音ちゃん!!ソレヤバくない!?だってあのチョコ、クラス全員に配られたよ!!?」
「それなら大丈夫。確かにラッピングの見た目は"一緒に見えるけど、リボンの色で中身を識別してたみたいだから"多分他の子には被害出てないよ。因みにターゲットになったのは此処に居る三人と"烏丸くん"だけ。あ、先に言っておくけど、渡した女子には罪はないよ?どちらかと言うと……"利用されただけ"だから、次に会った時に問い詰めても無駄。…………思ったより早く動いて来たねお相手さん」
「…………市河さんは、誰の仕業かもう分かってるの?こんな、下手すれば命に関わる程の…悪戯じゃ済まない事を仕向けた犯人を」
どうやらフブキも被害に遭ったらしく、その処置や状況整理している間に迅と合流し"二人が危ない状態になる"のが視えて、嵐山に二人の回収を依頼して柚紀が介抱していた。(烏丸は迅のお陰で未遂であり、フブキは一粒だけ食べたので症状はほぼ出ていない)……何故彼女だったのかと言うと
『経験、あったから。私も……"アーモンドに含まれていた規定値以上のシアン化合物による中毒症状に襲われた事が"。だからどんな症状になるか知っていたし、処置法も分かっていた。つまりは"生命維持装置"的な理由で二人と手を繋いでました。そして、………この騒動の裏には、…あの人が居る。【大人しく帰ってこなければ今度はこんなモノじゃ済まなくなる】、そんなメッセージを私に伝える為に仕掛けた功名で狡猾な、罠だった。………ごめんね、私のせいで、辛い思いさせちゃってさ』