新春の舞踊
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次の日の朝、佐鳥と時枝は神社最寄りの駅前に来てそれらしい人達を探していた。言実から到着予想時間は聞いており、それより前に二人は生身のままで待っていた。本当に向こうが自分達が案内人か分かるのか不思議に思いながら
「……柚紀さんはメディア関係に些か疎い人だけど、多分他の街の人におれ達の顔や名前は浸透してないよな。………逆にトリオン体で出迎えろなら分かるけどさ」
「まぁおつるちゃんが平気だって言うならそうなんじゃないの?ってかそれより……(ジャラッ)……何で佐鳥達にコレを渡してきたんだろう?言われた通り身に着けてはいるけど」
駅に電車が止まり人が出てきては視線を巡るが、それらしい人は未だ現れず時間を持て余し始めた佐鳥が昨日解散する前に言実から渡された【赤と黒、濃淡違う緑のパワーストーンがそれぞれ使われたブレスレット】を観察する。……嵐山から遠征に行くメンバーに柚紀が石を使ったお守りを渡したと聞いたので、恐らく製作者は彼女なのは想像付くが何故言実がコレを渡したのか、その意図が掴めないのだ。そんな事を一人考え耽っていると、前方からやって来た人に佐鳥が気づけずぶつかってしまう。勿論直ぐに相手の顔を見て謝る佐鳥に対して、恐らく20代位の……喉仏があるので男性は佐鳥と時枝を交互に見て
「水と火、それに君達を覆うその"波長"………貴方達が言実ちゃんが電話で話していた案内人の二人かしら?それにしても、……まだ中学生、よね。君達みたいな子供が精鋭部隊の一員なんて、ボーダーも人手不足なのかしら?大変ね〜〜」
「(ムッ!)佐鳥は自分からボーダーに入りました!それに色々苦労はしてますが、その事を嫌とか入隊して後悔した事は一度もありません!!後、見た目や年齢と実力はイコールじゃないですよ!?そりゃあ風音ちゃんみたいに、小さな時からずっと頑張ってきた訳じゃないけど……大切なのは"どれだけ真剣に取り組んだか"や"明白な目標を決めて努力を怠らない事"だとオレは思いますが?」
「(ポン!)落ち着けよ佐鳥。……初対面で互いの事を知らないのでご自分の思った事を口にするのは…別に悪くはないですが、貴方の話し方は何処か"子供なのに無理強いされた"と言う理由で憐れんでいる風に見受けられます。だからコイツは怒った、…………そう言う固定概念が彼女を追い詰めた要因の一つだろうから」
「……………………(スチャッ)確かにそうね、二人の言う通りだわ。気分を害したなら謝るわね、…ごめんなさいね。でもあの子、………柚紀ちゃんに関わる以上生半可な覚悟や意思は貴方達を苦しめ、最終的にはあの子が泣く羽目になる。そんな事を僕も二度とさせたくないの」
最初はサングラスを掛けたまま話していた男性だが、二人が各々思った事を口にした内容を聞いてソレを外して"試して悪かった"と謝罪と理由を告げる。その姿が保健室で見た言実と重なり"柚紀の為に思っての言動"と分かりナニも言えなくなってしまう。そんな空気を断ち切ったのは、少し離れた場所で成り行きを見守っていたガタイの良い男性二人であり「全く貴方という人は……」「彼等が良い人なのは、波長で分かると思いますが?」と語りながら近づいてきたのだ。その二人を見て佐鳥は、……ちょっと残念そうな表情をする
「ありゃま、佐鳥の勘が外れたや〜。てっきり"怖い顔付きだけど面倒見の良い人"が来ると思ったんだけどな〜。柚紀ちゃんが懐く人、大体そのパターンだもん!!」
「あら、意外と良い線いってるわね!確かに候補にはそのタイプの子も居たんだけど、コッチも同じ様な催し物が控えてて【神社職と護衛がこなせる子で柚紀ちゃんと顔見知り】って絞ったらこの二人になったのよ。……さて、一応名乗った方が良いわよね、初対面時の挨拶は基本だもの。……月城煌 、コッチの二人は僕の事をコウって呼ぶけど気にしないでね!で、おかっぱ頭の方が石切尊 、"カノ"みたいに黒髪長髪が渥美太郎 。因みにカノは君達が知っている野々村風音ちゃんの渾名の一つよ。彼女の家族皆同じ武術を習っていたから基本名前で呼んでいたのだけど、あの子名前で呼ばれるの嫌いでしょ?だから年上の子達には"カノ"と呼ばれているわ」
「「よろしく」」
「………宜しくお願いします。おれは時枝充、コッチの理解が追い付いてない方が佐鳥賢と言います」
挨拶もそこそこに早速移動しようとしたが、タクシーが一台しかおらず、荷物もそれなりにあるので先にガタイの良い二人が行く事に。これに対して案内役の自分達と一緒じゃなくて良いかと訊ねれば「平気よ、此処には"初めて来た訳じゃないから"」とアキラに言われ、時枝がうっすらと警戒心を抱く。その空気の変化に気づいたが話を聞いていなかった佐鳥が二人を交互に見つめれば「少し話をしましょうか」と言って柏手を一つ叩いた瞬間
- キイィーン -
「っ!?ナニ、今の感覚っ!!ってか一瞬耳鳴りがしたんだけどっ!」
「それもだけど、……音が、無くなった?別にずっと賑わう場所や時間帯じゃないけど妙に…静か過ぎる」
「あら、佐鳥くんは結構良い五感と感性持ってるわね〜。で、時枝くんは冷静さと分析力が売りかしら?………今、"人払の結界"を張ったから少しの間は誰も来ないわ。言実ちゃんに"僕のお眼鏡にかなったら少しだけコチラのチカラに関する事を二人に話してくれ"って言われたの。ま、入門編だからそこまで難しくない筈だから気楽に聞いて頂戴な(ポンポン)」
「「…………」」
正直状況が飲み込めないが、言実が仕組んだ事なら悪い事にはならないだろうと待ち合いスペースのベンチに二人も腰掛ける。そして「ん〜、でもナニを話そうかしら?」の発言に思わずずっこけそうになる佐鳥は「そこで迷うんですかっ?!」と突っ込みを入れる。それに対して時枝が少し気になっていた事を訊ねる
「柚紀さんが"人ならざるモノ"に幼い頃から狙われていて、それから身を守る為に神社にお世話となり対価として舞手になっていた。的なのは理解できてますが【静樹氏が居なくなってからの数年は神社と関わらなかったと解釈出来ます】……その間、彼女が無事だった要因は何だったのでしょうか?」
「あら?そこに目をつけるのは悪くないわよ時枝くん。……その理由は【静樹の遺産と言えるあの翠の石が柚紀ちゃんのチカラを封じていたからよ】それはあの月様ですら感知出来ない程完璧だったけど、……一度その封印が解かれた以上、必ずまたあの子は狙われる」
「!!?……だから、少し強引にでも月様は柚紀ちゃんに早急に会おうとしていた?宮司のお爺ちゃんに無理難題を押し付けてでも、舞手さんの身を危険に晒してでも。……その、…柚紀を狙う敵を倒す術を佐鳥達が手に入れる事は、出来ますか?」
「………出来なくもないけど、オススメしないわ。コチラの事に一度でも深く関われば最後、抜け出すのは不可能となる。それは"平和を、何気ない日常を愛する"柚紀ちゃんを悲しませる事になるのは必然。だから君達はそのままで居て欲しいの、可能な限り、その時が来るまでは、ね(…パチィン)」
更に追求しようとしたが再び柏手を叩かれ、結界が解除されたらしく周囲に人の気配が戻ってくる。そしてタクシーも到着して「さ!あの子が待っているから行きましょうか」と言われてしまい……渋々従う二人だった
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次の日の朝、佐鳥と時枝は神社最寄りの駅前に来てそれらしい人達を探していた。言実から到着予想時間は聞いており、それより前に二人は生身のままで待っていた。本当に向こうが自分達が案内人か分かるのか不思議に思いながら
「……柚紀さんはメディア関係に些か疎い人だけど、多分他の街の人におれ達の顔や名前は浸透してないよな。………逆にトリオン体で出迎えろなら分かるけどさ」
「まぁおつるちゃんが平気だって言うならそうなんじゃないの?ってかそれより……(ジャラッ)……何で佐鳥達にコレを渡してきたんだろう?言われた通り身に着けてはいるけど」
駅に電車が止まり人が出てきては視線を巡るが、それらしい人は未だ現れず時間を持て余し始めた佐鳥が昨日解散する前に言実から渡された【赤と黒、濃淡違う緑のパワーストーンがそれぞれ使われたブレスレット】を観察する。……嵐山から遠征に行くメンバーに柚紀が石を使ったお守りを渡したと聞いたので、恐らく製作者は彼女なのは想像付くが何故言実がコレを渡したのか、その意図が掴めないのだ。そんな事を一人考え耽っていると、前方からやって来た人に佐鳥が気づけずぶつかってしまう。勿論直ぐに相手の顔を見て謝る佐鳥に対して、恐らく20代位の……喉仏があるので男性は佐鳥と時枝を交互に見て
「水と火、それに君達を覆うその"波長"………貴方達が言実ちゃんが電話で話していた案内人の二人かしら?それにしても、……まだ中学生、よね。君達みたいな子供が精鋭部隊の一員なんて、ボーダーも人手不足なのかしら?大変ね〜〜」
「(ムッ!)佐鳥は自分からボーダーに入りました!それに色々苦労はしてますが、その事を嫌とか入隊して後悔した事は一度もありません!!後、見た目や年齢と実力はイコールじゃないですよ!?そりゃあ風音ちゃんみたいに、小さな時からずっと頑張ってきた訳じゃないけど……大切なのは"どれだけ真剣に取り組んだか"や"明白な目標を決めて努力を怠らない事"だとオレは思いますが?」
「(ポン!)落ち着けよ佐鳥。……初対面で互いの事を知らないのでご自分の思った事を口にするのは…別に悪くはないですが、貴方の話し方は何処か"子供なのに無理強いされた"と言う理由で憐れんでいる風に見受けられます。だからコイツは怒った、…………そう言う固定概念が彼女を追い詰めた要因の一つだろうから」
「……………………(スチャッ)確かにそうね、二人の言う通りだわ。気分を害したなら謝るわね、…ごめんなさいね。でもあの子、………柚紀ちゃんに関わる以上生半可な覚悟や意思は貴方達を苦しめ、最終的にはあの子が泣く羽目になる。そんな事を僕も二度とさせたくないの」
最初はサングラスを掛けたまま話していた男性だが、二人が各々思った事を口にした内容を聞いてソレを外して"試して悪かった"と謝罪と理由を告げる。その姿が保健室で見た言実と重なり"柚紀の為に思っての言動"と分かりナニも言えなくなってしまう。そんな空気を断ち切ったのは、少し離れた場所で成り行きを見守っていたガタイの良い男性二人であり「全く貴方という人は……」「彼等が良い人なのは、波長で分かると思いますが?」と語りながら近づいてきたのだ。その二人を見て佐鳥は、……ちょっと残念そうな表情をする
「ありゃま、佐鳥の勘が外れたや〜。てっきり"怖い顔付きだけど面倒見の良い人"が来ると思ったんだけどな〜。柚紀ちゃんが懐く人、大体そのパターンだもん!!」
「あら、意外と良い線いってるわね!確かに候補にはそのタイプの子も居たんだけど、コッチも同じ様な催し物が控えてて【神社職と護衛がこなせる子で柚紀ちゃんと顔見知り】って絞ったらこの二人になったのよ。……さて、一応名乗った方が良いわよね、初対面時の挨拶は基本だもの。……
「「よろしく」」
「………宜しくお願いします。おれは時枝充、コッチの理解が追い付いてない方が佐鳥賢と言います」
挨拶もそこそこに早速移動しようとしたが、タクシーが一台しかおらず、荷物もそれなりにあるので先にガタイの良い二人が行く事に。これに対して案内役の自分達と一緒じゃなくて良いかと訊ねれば「平気よ、此処には"初めて来た訳じゃないから"」とアキラに言われ、時枝がうっすらと警戒心を抱く。その空気の変化に気づいたが話を聞いていなかった佐鳥が二人を交互に見つめれば「少し話をしましょうか」と言って柏手を一つ叩いた瞬間
- キイィーン -
「っ!?ナニ、今の感覚っ!!ってか一瞬耳鳴りがしたんだけどっ!」
「それもだけど、……音が、無くなった?別にずっと賑わう場所や時間帯じゃないけど妙に…静か過ぎる」
「あら、佐鳥くんは結構良い五感と感性持ってるわね〜。で、時枝くんは冷静さと分析力が売りかしら?………今、"人払の結界"を張ったから少しの間は誰も来ないわ。言実ちゃんに"僕のお眼鏡にかなったら少しだけコチラのチカラに関する事を二人に話してくれ"って言われたの。ま、入門編だからそこまで難しくない筈だから気楽に聞いて頂戴な(ポンポン)」
「「…………」」
正直状況が飲み込めないが、言実が仕組んだ事なら悪い事にはならないだろうと待ち合いスペースのベンチに二人も腰掛ける。そして「ん〜、でもナニを話そうかしら?」の発言に思わずずっこけそうになる佐鳥は「そこで迷うんですかっ?!」と突っ込みを入れる。それに対して時枝が少し気になっていた事を訊ねる
「柚紀さんが"人ならざるモノ"に幼い頃から狙われていて、それから身を守る為に神社にお世話となり対価として舞手になっていた。的なのは理解できてますが【静樹氏が居なくなってからの数年は神社と関わらなかったと解釈出来ます】……その間、彼女が無事だった要因は何だったのでしょうか?」
「あら?そこに目をつけるのは悪くないわよ時枝くん。……その理由は【静樹の遺産と言えるあの翠の石が柚紀ちゃんのチカラを封じていたからよ】それはあの月様ですら感知出来ない程完璧だったけど、……一度その封印が解かれた以上、必ずまたあの子は狙われる」
「!!?……だから、少し強引にでも月様は柚紀ちゃんに早急に会おうとしていた?宮司のお爺ちゃんに無理難題を押し付けてでも、舞手さんの身を危険に晒してでも。……その、…柚紀を狙う敵を倒す術を佐鳥達が手に入れる事は、出来ますか?」
「………出来なくもないけど、オススメしないわ。コチラの事に一度でも深く関われば最後、抜け出すのは不可能となる。それは"平和を、何気ない日常を愛する"柚紀ちゃんを悲しませる事になるのは必然。だから君達はそのままで居て欲しいの、可能な限り、その時が来るまでは、ね(…パチィン)」
更に追求しようとしたが再び柏手を叩かれ、結界が解除されたらしく周囲に人の気配が戻ってくる。そしてタクシーも到着して「さ!あの子が待っているから行きましょうか」と言われてしまい……渋々従う二人だった