(弓場隊５人)「！！？(ガクン！)」
「っ！？コレって、確か"かげうら"で起きた……くっ！…落ち着けっ、……鶴ヶ峰っ！？(一番近くに居るのは……王子かっ？！彼奴何しやがったんだ！！？)」
「キャッ！！……柚紀、ちゃん。(どうして？ののさんだって側に居るのに、……何が不安なの？何が貴女を…そこまで追い詰めるの？)」

柚紀の精神が不安定になると発生する現象の一つである加重現象に見舞われ、初見の五人は仕方ないが経験のある荒船や綾辻すら戸惑いを覚えてしまう

-　彼女の地雷には触れていない筈なのに何故？　-
と
更に不安定だと聞こえる"心の声"が聞こえなくどう対処すれば良いか分からず加重が心なしか徐々に強くなってきている様に感じた荒船がとりあえず側に行こうとした、その時

-　……キイィーン、スタッ。クイッ……ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ　-
「(ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ)落ち着け鶴ヶ峰。誰にナニを言われたりされたかは知らんが、それが許容出来ない内容ならきっぱり断るなり拒絶の意思を"口にしたり行動に移せ"。お前ならコチラが求めなくても"そうする理由"をちゃんと話すだろ？(ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ)それでも向こうが何か文句を言ってきたり……手を下しそうになれば(ﾎﾟﾝ、…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)今なら俺が必ず何とかしてやる。だから、心配するな。(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)因みに、……俺が誰か、分かるか？」
-　………フッ　-
『(ﾊﾟﾁﾘﾊﾟﾁﾘ……ニコッ！)勿論！！私は風間さんを見間違えたり聞き間違えたりしない自信がありますもん！色合いや体格もですが、声や私を宥める時の行動や頭を撫でる速さや強さは個人で違います。………無意識に、出来るだけ色んな事で相手を見極める様にしてます…(コツン)……多分、…あの二人が傍に居たせい、だと思います。昔は…アソコまで違いがなかった、から(……ギュッ)』
「………(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)(あの二人、……例の双子の事か。思った以上にコイツの言動や考え方…実体験や経験によって生み出された持論に影響を与えているみたいだな。だから巧妙な罠も仕掛けて成功させれた、と言う訳か)((…荒船、何故鶴ヶ峰の精神が揺らいだか分かるか？))」
「………(クイッ)((コイツが妙な事を言ったのが理由、なのは理解できます。行動が原因なら鶴ヶ峰は"対象物から距離を取ろうとする筈"です。ですが、言われた瞬間にあの現象が発生したとなると、………確実に重度のトラウマ案件に触れる発言をしたかと。ただ気になるのは"綾辻や藤丸さんが側にいたのに何故こうなったか"です。男だけなら、まだ分かりますが))」

風間がワープしてきて柚紀を鎮めるのに成功し、内部通話で状況把握に務める。……内心では敵であるあの双子に関する推測を考えつつ。そして指名された荒船が王子を立ち上がらせつつ色々告げ、それを聞いた風間が理由を語る前に気が抜けて…………精神不安定や加重現象を起こした代償で減ったトリオンを無意識に体が補おうとしている様で"トリオンを吸い取られる感覚"に見舞われ、一先ず柚紀を椅子に座らせる事に。…話しかける際に"視線を低くしろ"とアドバイスをして綾辻と蔵内の二人に対処を任せて、王子に尋問している荒船に何故か換装を解いた風間が理由を語る

「忘れたか荒船、鶴ヶ峰が苦手な相手の主な条件は【年上・長身・異性】だと。(チラッ)今日出会ったであろう弓場隊四人は全員これに該当する。……言実さんが接触を許可したメンバー…部隊には【見た目や実年齢、若しくは精神年齢がそれ相応の奴が必ず居た】……それも負担の要因だろう」
「あ〜……更に言えば冬島さんは逆に言実さんより年上の隊員で、無意識に鶴ヶ峰は父親にあの人を重ねているって諏訪さんが言ってた気が。でも一番の原因は王子の言動ですね。………コイツ"自分が鶴ヶ峰に一目惚れしたと勘違いしそうな言動"をしたんです。…この手の経験は恐らく少ないだろうし生真面目なアイツは真に受けてしまった。ってか……(ガシガシ)…加賀美が言ってました【鶴ヶ峰は恐らく一人っ子である点から"兄弟姉妹の憧れを抱いているせいで、同級生にしかその対象に見れない"】と。更に言えば……年上から"その感情を向けられたせいで"異性に対するトラウマを抱える理由の一つなのは確実です。………だからあんな事になったんですね」

ショッピングモールでの一件を思い出しつつ"これは仕方ない"と荒船は自己完結させる。……あの時も女子は居たが犬飼や当真の言動で取り乱したのだ、…加重現象が起きなかった理由は"暴走したら多大な迷惑になるのと、鎮められる存在の不在が柚紀を無意識に感情やトリオンを抑え込んでいた"と推測。かげうらの一件は【我慢が出来ない程に精神が疲弊していた】からであり、基地内の場合は【言実を始めとした頼れる存在が必ず居るから我慢しなくなった】のである
そして柚紀が落ち着いたのを見計らい、弓場が「………ウチの奴が悪かったな」と控え目に謝罪。本当なら土下座をする勢いで全力で謝ろうとしたが逆にそれでは柚紀が萎縮すると荒船と風間が止めたのだ。そして戦犯と言える王子も謝罪するが「……僕、嘘を言ったつもりはないんだけどな〜」と余計な一言を言って「お前はちっとは反省しろ！！軽率な発言は姐さんを敵に回すぞ！！？」と藤丸がきっちりお説教をした所で新たな訪問者がやって来る

-　ズカズカ、ズカズカ　-
「よぉ〜、邪魔スンゼ〜弓場〜。(ズカズカズカ…クシャリ)……そう落ち込むなって鶴ヶ峰、今回は互いに知らなかったから起きた"出会い頭の衝突事故"みてーなもんだ。これは未然に防げなくても仕方ねぇよ。(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)幾ら頭脳明晰でも記憶力も良いとは限らねぇだろ？ってかお前の場合は【知り合った奴の事を事細かに覚えようとする】ってつる姐が気にしてたぜ？………ボーダー職員も含めれば四桁位居るんだぞ？全員覚えるとか止めとけ止めとけ、(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)……此奴等を知りたいって思うのは良いが、"人並みに"しておけ。その範囲が不明なら、あ〜………………野々村にでも聞け、アイツならきっちり線引きしてくれるさ(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ、ポン)」
『…………はぁ〜い。……あの、諏訪さん。その……………諏訪さんは"お迎え"に来てくれたんですよね？………ラボまでおんぶして下さい、何か……(ぐうぅ〜〜)………っ！…二人が来てくれて気が緩んだせいか、お腹空いて来て……動けないです』

加重現象を地震と勘違いし、反射的に開け放たれていた入口から私服姿の諏訪が現れ挨拶もそこそこに柚紀に一直線に近づき"落ち込んでいる"と察っして慰める。……柚紀はそれで納得したが他のメンバーは不思議に思い風間が代表して訊ねれば「姐さんが嫌な予感を察知して俺が様子見に派遣された」と言われてすんなり納得。それから腹ペコで柚紀が不機嫌になる前に諏訪におんぶされて部屋を後にする一行であった(弓場は変わろうとしたが、この後の防衛任務に支障が出ると諏訪が断った事を追記)