初の演習
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暫く無言が続く中、このままでは埒があかないと踏んだ時枝が一歩前に出ると諏訪と対峙する
「……すみませんが諏訪さん、おれ達から貴方に話せる事はありません。聞きたいことがあるなら言実さんに訊ねて下さい。…おれ達より詳しいですから」
「勿論つる姐にも聞くが、……あの人が居ない間に何かあったんじゃないか?そればかりは当事者だろうお前等に聞くしかない事だ、……違うか?」
「そう言われましても……佐鳥が笹森に説明した通りですよ?ソレ以上の事は少なくともオレは、分かりません。柚紀ちゃんも、お婆ちゃん先生も、……本部長も話してくれませんでした、から」
一番有効であろう言実の名を出すが、それでも引き下がらない諏訪に佐鳥が更に説明する。それは時枝も大体で、……推測は幾らでも出来るが実際分からないのだから仕方ない事である。そんな二人の表情を見て少し考える素振りをした諏訪が次に取った行動はと言うと
「そうか、変なこと聞いて悪かったな。どうせだ(クルッ)途中まで徒歩になるが送ってやるよ。時間も時間だからな(スタスタ)」
「えっ?!あ、あの諏訪、さん?……良いんですかそれで」
「ん??(クルッ)何だよ?やっぱり何か隠し事でもあるって言うのか?あるならとっとと白状しやがれ!」
「(ブンブンブン)な、ないです!?あったとしてもあそこが色んな動物が沢山居た事くらいしか、珍しいことは……うん。……じゃあ、何で諏訪さんは一人でこんな所に居たんですか?柚紀ちゃんやおつるちゃんが気になったからとかじゃ、ないんですか?」
すんなりと追求を止めて歩き出した諏訪の態度に呆気を取られた時枝が思わず本音を漏らし、それを聞いて振り返った諏訪の厳しい表情を見て慌てて佐鳥が"あの家で印象深い事"を口にして諏訪の行動理由を訊ねる。……あの屋上のヴァイオリン同様、踊りの事は言うべきじゃないと思ったからである
「(ガシガシ)まぁ、あれだ。……戻ってきた日佐人の様子が少し可笑しかったから気になってな。…此処の婆さんの事は俺も知ってたから、そこは疑ってねぇし、鶴ヶ峰に関しては本部長もだが、…あのつる姐が一緒だぞ?万が一とか有り得ねぇ~さ。トリオン体は勿論だが……生身でも普通に野郎を捌くだけの実力の持ち主だからな。…あれは凄かった」
「わぁ~、聞きたいなおつるちゃん武勇伝!?って話が違うか。……あのお婆ちゃん先生ってそんなに有名なんですか?佐鳥は知りませんでしたよ?……とっきーも、だよな?」
「そうだね、それにこんな時間ですよ?……よく待とうと思いましたね?あの家におれ達が居た確証は無かった筈ですし、…どうしてですか?」
とりあえず三人とも歩きながらそんな感じで話をしている。諏訪はどう話すべきか等を考え、内容が纏まれば一部推測が混じるが語り始めた
「婆さんはこの周辺じゃ有名なんだよ、あの茶屋や元医者な事……今は居ないが旦那が動物や音楽好きな事とかな。…一度だけ姐さんにあの茶屋でご馳走になった事があって、そん時の表情や態度が気になってちょっと調べただけで簡単に分かった事だ。…で、日佐人に此処に居るって聞いて飯食った帰りに立ち寄ったら………笛と鈴の音が聴こえて来た。そっから"音楽系が好きな鶴ヶ峰はまだ居る点"や"時間からして長居はしない事"を踏んで待ってた訳だ。……此処は三門市の"ほぼ中心部"だ。お前等がマンションと"方向が別なら"此処で別れるのを予想してな」
「お~(パチパチパチ)……諏訪さんって地味に頭良いですね!!えっ?それっておつるちゃん効果ですか?!!」
「姐さん効果って何だよ?まぁ、…あの人の言葉足らずは何時もだからな~……経験から推測したりもするし、俺自身が推理小説を好むからでもある。………お、そうだ。時枝なら分かってそうだが一つ鶴ヶ峰に関する忠告と言うか…アドバイスしてやるよ」
「鶴ヶ峰さん関連、ですか?……何か気になる事でもありますか?」
諏訪の見事な推理力や行動力を素直に称賛する佐鳥、それに若干気を良くした諏訪は更に何かを言おうとする。笹森が部下なのに恋敵(?)である自分達に言うことなど何かあるのか……そう考える時枝だったが、一先ず諏訪の言葉を待つと
「お前等、今日あの二人のマンション知っただろ?で、昨日の席で話した通り中学までは他の奴より距離がある。本人も対策は取りそうだし携帯もあるが、……恐らく暫くは"無事に学校まで辿り着けるか"不安になる筈だアイツは。その辺きちんとフォローしてやれよ?日佐人はマンションが何処か知らねぇし、京介は顔合わせすらしてねぇんだ。…………泣かすなよ?」
「「!!?」」
最後に軽く睨み付けた後に「じゃ~な、さっさと帰れよ~」と二人の返事を待たずに一人去っていく諏訪。それを見て差はあるが"一番の目的は最後のアドバイスを言うことでは"と考えた二人。暫く無言が続いたが、最初に口を開いたのは……やはり佐鳥だった
「あ~、うん。………柚紀ちゃんに似た子が兎だったもんね~。…やっぱり独りぼっちが一番嫌なのかもね彼女は。…だから辛い目にあっても誰かの側に居たがるし、誰かの為に動こうとする。………一人の方が気楽な筈だし、傷つく事も…ないのに」
「人は一人じゃ生きてられない、…あの言実さんだってその筈だよ。でも、子どもと大人ではずっと一緒には居られないし、…居るべきじゃない。何時かは親離れしないとね。それらを理解して手を貸すのが、……とりあえずおれ達の役目かな?今の所は」
「かな~?ま、その事は追々考えるとして今は………学校の通学路関係だね!!とっきー、考えるのは任せた!!オレは教えてくれた諏訪さんに何をお礼するかを考えるから!!(オレ一人だと寝坊しそうだけど、とっきーが居れば大丈夫!…かな?)」
「あ~……ハイハイ。…とりあえず帰ろうか、まだ日にちある事だし(確かにお礼する必要はありかな?……昨日のアドバイスを含めても)」
そんな感じで各々考えたながら帰路に付く二人であった