初お目見えの舞踊
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案内された言実が使用している部屋は内廊下から襖でなくドアにより出入りする様になってはいるが、室内は和室であり机と本棚位しか家具は無くて言実らしさが窺える一室である。そして先に歩いていた忍田だったが柚紀を気遣いかなりゆっくり歩いていたので、後からやって来た佐鳥達が部屋にたどり着く前に合流したのだった。室内に入り、勇犬が押し入れを指し示しそこから布団を出して畳に敷くと柚紀を横たわらせ掛け布団を掛けてやった。因みに碧兎は離れる気がなくベッタリなので無理に引き剥がさずそのままだ。いや、正確に言うと
‐ …………………(ジーーーー) ‐
「……何かあの犬ってさオレの事、警戒してる?忍田さんにはそんな仕草してなかったのに、……何で?」
「多分、佐鳥がその子(碧兎)を鶴ヶ峰さんから引き離そうとしたのが気に入らなかったんじゃない?おれには警戒してないみたいだからね。で、……今までのパターンだとこの子も誰かに似てる筈だけど、…白い髭を生やした人は流石にボーダーには居ないし、……本部長、心当たりありますか?」
「そうだな~、……白ではないが髭を生やしているなら冬島くんかと考えたが、…子ども達が懐いているのと、見方によっては眼鏡をしている風にも窺えるから………"林藤さん"か?」
「「あ!成る程!!」」
部屋で留守番をしていたソルト&ペッパーな毛並みが特徴で黒と青の中々お洒落な首輪をした犬(ミニチュア・シュナウザーで成犬)が、主に佐鳥を監視しているせいで下手に手出し出来ないのだ。因みに引き離そうとしたら思いっきり威嚇の唸り声を披露されて犬達が驚いたので、忍田が止めたのであった。……大切な子を守ることに関しては親(大人)は強しである
ある程度落ち着けば忍田と菫梟は居間に引き上げて行く。曰く"あの二人に話がある"との事だ。なので佐鳥・時枝、そして…外出中の子と太刀川犬以外の犬猫が室内室外に集合する事態となりかなりの大所帯となったが、皆柚紀を気遣い大人しく見守っている。居るのはいいが
‐ ドーン!シャキーン!デーーン!!…ちまっ ‐
「それなりに図体の大きい子は外から見ているから部屋が圧迫されないけど、……何か壮大なる顔触れとも言えなくもないね。えっと、こっちから諏訪さん・嵐山さん、迅さんで…追加のこの子は誰だろう?」
「黒っぽくて迅さんに似た犬の側に居るから…………"京介"?」
「………成る程、柚紀ちゃんと本人が会った事ないし、この子が来たのは彼女が居間を離れてからだったね…此処まで偶然が重なると……少し怖いかも(チラッ)色んな理由で」
迅犬の隣に居る大人かは不明だがスマートでスタンダードな白黒の毛並みに迅犬と同じ色の首輪をした犬(シベリアンハスキー)を佐鳥は見て、更に柚紀を取り囲むようにして眠る"五匹の猫達"を思わず苦笑いをし、時枝も少なからず同意する。そんな穏やかな雰囲気が流れている中
‐ ピィーー……ピィー……ピィー! ‐
‐ ……………………ガゥ、ガゥガゥ ‐
「ん?主の鳴き声がする。帰ってきたのかな?でも、……何か近づいてきてない?……佐鳥達また襲われたりしないか?!(そう言えば指に怪我をしてたっけ?血が止まってるなら絆創膏剥がした方が良いかな?後、…おつるちゃんが彼女に渡した"お守り"は……恐らく)」
「多分大丈夫だよ、…(ゴソッ)佐鳥もトリガーホルダー所持してるだろ?万が一の時は換装する様にね。……彼女を守らないといけないからさ(あの黒い犬の鳴き声もするけど、居間に面していた庭とは違って"裏庭"……"坪庭"みたいな此処に大型犬の彼が此処に辿り着けるか微妙だし…)」
「(ゴソッ…)了解了解!!さぁって、……来るかな?」
例の主の鳴き声が聞こえて窓際に移動して身構える二人。ホジションの癖か時枝が一歩前に出ている形となっている。そして上空を飛ぶ主の姿を視認したかと思えば、急降下してくるが行き先は部屋にではなく、庭先にある大きな木(柊)そして"何もない空間"を羽ばたきながら攻撃し始めると
‐ な、なんだよコイツっ!?何で俺が居るって分かるんだよ??ちょ、止めろって!!って…… ‐「(シュン!)うわぁっっっ!??……(ドスンッ!!!)」
「!!笹森っ?何でお前が此処にっ?!?(ピィーー!!)あ!気をつけて!また来るよ!?」
「時枝に……佐鳥っ?!お前等こそ何で此処に…(ガゥッ!!ワン!!…キャン!)へ?えっ?!今度は何だよっ?!!」
笹森の声が聞こえたかと思えば、主のまさかの攻撃をされてバランスを崩してしまった拍子にカメレオンが解除されてしまい、そのまま地面に落下し尻餅を付くトリオン体の笹森。いきなり現れて驚く時枝だが、主の鳴き声を聞いて警戒を促す。その声を聞いて二人の存在に気づき話し掛けようとする間もなく、恭犬、ラブラ、遅れながら子甲斐が笹森の前に躍り出て主と対峙する。一触即発な雰囲気に成りそうになったその時
‐ ………ヴゥ~~ ‐
‐ ………グルルルル ‐
‐ ……………(ギロリ) ‐
‐ ………………ガゥガゥ ‐
‐ ………………バサッ… ‐
屋外に居た清犬・勇犬が唸り声を上げ、迅犬は吠えないが鋭い眼光を飛ばし、更には向こうの方で玄犬がまるで"戻ってこい"と言っているかの様に吠えている。…流石の主も諦めたのか笹森にこれ以上危害を加える事なくこの場を去っていくのであった
「諏訪隊(犬)に助けられた笹森(人)って感じか?……えっとさ、…何で笹森が此処に居るのさ?それもトリオン体の状態で」
「何でって……(コリコリ)…防衛任務中にバイクで危険区域を縦断している言実さんに遭遇して諏訪さんに追えと言われて、街中だと目立つからカメレオン使って追跡してて、それで……途中で見失ったけど、此処の店…と言うかお婆ちゃんが元は精神関係の医者だって知ってたからもしかして、と思って来たら店前にバイクあって、店には言実さんとお婆ちゃんが居て、鶴ヶ峰の事を聞いたら【外から様子を見るなら構わない】って許可貰って、何処に居るか探してたら犬達が此処に集まってるのに気づいて、……コイツらセラピードックでもあるから…多分近くに鶴ヶ峰が居る気がして、でもバレない様にって言実さんに言われて…とりあえず木に登って室内を見ようとしたら………」
「原理は分からないがあの鷲……お店にある茶室の主に見つかってあーなったと。…とりあえずそっちの事情は理解したよ」
嵐の去った様な平凡な空気の中、一先ず佐鳥が事情を笹森に訊ねれば、長々と正直に事情を説明をする。それを聞いて把握する時枝は内心……"どこまで此方の事を話すか"を考えていた。流石に全ては無理なのだ、……屋上で約束した件も関わるので