対峙の舞踊
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あれから老婦に言われた通りに、佐鳥は犬達の時枝は猫達の相手をしてあげていた。途中で笛に喚ばれたらしい子が数匹増えたが"全匹大人しい子"であったので遊びには不参加であった。そしてある程度遊んだ後に、濡れた毛並みをタオルで拭いたり一部の動物はドライヤーを使ってやったり、ブラッシングや雅猫の爪を切ってやったりしてひと息付く二人とほぼ同時にあの分厚い本を閉じて忍田が溜め息を漏らしたのだった
「?……どうかしましたか本部長?因みにそれは何の本でしたか?」
「…………これは本でなく"アルバム"だ。……それも彼女…言実くんのモノだ。……最初は静樹さんが私達同様【自分が世話になっている人】と程度で彼女にも先生方を紹介したと、私は思っていたが………違ったみたいだな」
「???どう言う事ですか?……おつるちゃんはお婆ちゃん先生を"育ての親"って言っていましたから、…当たり前な気が。それに柚紀ちゃんが言ってた、………【ずっと前にお祖父ちゃんお祖母ちゃんを亡くした】って。…なら、その人はおつるちゃんの御両親、だと思います」
"母親の"と言う可能性もあるが、忍田が先ず柚紀の母にして言実の義姉の存在をちゃんと知らない気がした佐鳥。……知っていればこの約一ヶ月"一度も話題や名前が上がらない"のは可笑しい気がしたのだ。…娘である柚紀の、最悪命に関わる重大事項が発覚したら親がしゃしゃり出てきても普通なのだから
時枝も同じ様な事を考えてはいたが、それ以上にアルバムが気になっていた。…言実のなら【鶴ヶ峰静樹の写真】も必然的にある筈だと、……話は聞いているがどんな人物か気になるのだ。…あの髪や瞳の色に関する事を含めて確かめたいと思い手を伸ばす。が
‐ パタパタ……ポフッ…フルフル ‐
「!?………………おれは見ちゃ駄目、なの?」
‐ コクコク………パタパタ…ポフンポフン、ポフンポフン ‐
「え?ちょ、何でミニ梟オレの頭の上で何度も跳び跳ねているの?!痛くはないけど、……(スッ)だ、大丈夫だよ!とっきーが駄目なら見ないから佐鳥も!?ね?ね?」
忍田の頭に止まっていた菫梟が伸ばしていた時枝の手に降り立ち首を振り"君は駄目"と訴える。次に佐鳥にも"貴方も駄目だからね?分かってる?"と言いたげな行動を取ると、言い聞かせる為に優しく両手で菫梟を捕まえれば、目を見て了解したと言って貰えたので、満足すれば再び忍田の頭の上に戻っていく。その一連の行動を見て、アルバムの中身を知る忍田はこう口を開いた
「……済まないが、私も二人には見せる事が出来ない。…他人の過去を勝手に知るべきでない、それも……本人が語らないのなら尚更だ。知れば自ずとその人の苦しみや悲しみを背負う事になる、それは安易にすべき事ではない。(ポン)コレを見ればそうなってしまうだろう、その覚悟……お前達にはあるか?佐鳥、時枝」
「「…………」」
忍田の真剣な表情と話内容、それらの言動を見て二人は小さく首を振った。……無理だと思ったのだ、あの賢くて強い言実の事を知りたくないと言えば嘘になる。だが、二人が"本当に知りたいのは"…、そして忍田もそれに気づいていたから止めたのだ
「とは言っても、人はやはり気になる生き物だ。だから、……柚紀くんにも関係しそうな事を語るとしよう。これなら言実くんも文句は言わないだろうし、…二人もそっちの方が興味あるだろう?」
「……………………そんなに、…分かりやすいですか?」
「一応私は君達の上司だからね、…部下の事はそれなりに理解しているつもりだよ?恐らく嵐山や綾辻も気づいていると思うぞ?……特に時枝、…君がそこまで一定の人物を心配し気にするのは、……私は見たこともない。佐鳥の場合は、いつも通りにも思えるが……生憎身近に"似た言動をする者"が居て、その者があの言実くんに恋い焦がれている状況だ。違うかも知れないが、………これでも本部長を勤める身であり彼女達には劣るかも知れないが年の功もあって、洞察力には自信があるが、……どうかな?」
「…………………似た言動をする者って、…太刀川さんっ?!!だぁ~~!!そっか~!!……とっきーじゃなくて、ソッチの切り口からバレる可能性もあるのか~~!?(じゃあ、下手すれば笹森経由でバレる可能性も?でも学校が始まれば接触しないで生活は……無理だな。絶対柚紀ちゃん関連で関わる事になるもん!)……とりあえず、暫くは太刀川さんに会いたくないかもオレ」
忍田の指摘に反論できず、二人とも顔を赤くさせてしまう。それを小柴と子トラは本気で心配しており他の動物達が"ま、頑張れ"的な雰囲気を醸し出しながら各々ちょっかいを出していた。そんな年相応の反応をする部下達を微笑ましく見つめながら、【言実の"トリオン体使用しない"ストレス発散方法】を話そうとしたその時………
‐ ……………リーン…………………………ちゃんっ?! ‐
‐ ピクッ!……キャン!!(タタタタッ) ‐
‐ ピクッ!……ニャ~!(チラリ…タタタタタッ) ‐
「えっ?!ち、ちょっとお前っ!!何処行くんだ!?そっちはお店があるから行っちゃ駄目だっ!!(スクッ、ダッ!!)」
「えっ?!君までどうして?…………!…まさかっ!(スクッ…チラッ)………佐鳥達を追い掛けます。それと…あちらの様子もついでに見てきます。(鶴ヶ峰さんはあの子達をおれ達に例えた、その二匹が同時にナニかを感じ取ってお店の方に走っていった。…偶然かも知れないけど)決めつけは駄目だ、……確かめないとっ!(ダッ!!)」
いきなり小柴と子トラが鳴きながら居間を飛び出して走り出してしまい、佐鳥が反射的に追い掛ける。…一応忍田に一言言っては居るが、こちらも返事を待たずに走って追い掛ける時枝。それを呆然と見つめる忍田と残された動物達であった