ふれあいの舞踊
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柚紀の側にいた小柴と子トラが今度は二人の元に各々行ったのを見て老婦が「……お茶を飲みながら話そうか、あたしが疲れてきたからね~」と、未だに二人が縁側に居る状況を変えるべくちゃぶ台に座るように促し、お茶を配り始める。佐鳥と時枝には冷たいもの、大人二人と柚紀には温かいのを出していた。因みに座り順は忍田から時計回りで佐鳥、柚紀、老婦、時枝の順だ。…"何故自分は温かいのを"と不思議に思った柚紀は一先ずお茶をひと口飲んで…納得した
『!…温かい、ほうじ茶?それにこの味わい……お婆ちゃん、迅さんとも知り合いなんですか?あ、旧ボーダー時代からの付き合いだから当たり前かも知れませんが…(チラッ)忍田さんは"まだ此処に住んでいる"って知らなかったから……』
「迅くんかい?…あの子も優しい子だよ、この年寄りを気にしてくれてね~、時折顔を出しては一寸した世間話をして直ぐに帰ってしまうけど、ね。………そう言えば二週間位前だったか【お婆ちゃんに頼みがある】って珍しくお願いをされたのを覚えておるよ。…【訳ありの子にお茶の差し入れをしたいけど、自分は詳しくはないから分からない】と言っていたからアドバイスはしたが、選んだのはあの子。だけど【美味しく淹れる自信無いからお婆ちゃんが用意して欲しい】って頼まれたね~。で、(ナデナデ)……そのお茶の差し入れ先が柚紀ちゃんだった訳かい。そのバック、あの時迅くんにあたしが渡した奴だから……【女の子に上げるならビニール袋とかより、コッチの方が良い】とお節介を焼いてね」
「二週間位前で…飲み物、迅さん………!…あの屋上で柚紀ちゃんが飲んでたアレか!!」
「………確かに"大変だった"や"選ぶのは楽しかった"とは言ってましたし、……"鶴ヶ峰さんのお父さんのお陰"とも言ってたので【教えて貰った事を迅さんが思い出して自ら淹れた】とおれは考えたけど…鶴ヶ峰さん、お茶一つでそこまで分かるの?」
佐鳥と時枝はあの場に居合わせており、迅の言動や物的証拠があるから老婦の言うことが嘘では無いと理解できる。だが、柚紀は老婦の"発言前"に迅との関わりに気づいたのだ。そのきっかけは"話す直前に口にしたほうじ茶"…話の流れ的に【あの屋上で飲んだのと同じ代物】と時枝は判断したが、それ以上の事は分からない状況だ。更に一口飲んでから柚紀は判断したポイントを解説し始める
『コーヒーもお茶もだけど、"同じ味を毎回出す"のって難しいんだよね。豆や茶葉の保存状況やお湯の温度、淹れる環境や水の種類……例え同じ人が淹れたとしてもコレ等が違うだけで味も格段に変わるよ。…あの面倒屋な言実さんですら、この一ヶ月コーヒーだけは自分で淹れてたの【気分で自分が飲みたい味わいに微調整したい】って言って位だから。……さて佐鳥くん、お婆ちゃんが"同じ味を何度も出せるだけの腕前"なのを私が判断した理由、…分かる?』
「えっ?!い、いきなりこのパターンっ!!えっとえっと……同じ味を出し続けないといけない理由があって、その理由は佐鳥でも分かるって事でしょ?ん~、ん~~~……「おれ達は何処で車を降りた?」えっ?えっと~………あっ!!(ポン)そっかカフェ!お店か!?…お婆ちゃん先生に会いたいからって理由もありそうだけど、美味しいお茶目当てって人も居る訳か!!だって美味しいもん、このほうじ茶!!……こんなに味が変わるんだね~、ねぇ、何で何で???茶葉?お水?淹れ方??」
「フフフ、…それは秘密だよ。教えてしまったら商売上がったり、だからね。……別に稼ぎたいからあのお店を開いた訳じゃないけど、…無料では納得しないって人が多いのよ。年寄りは頑固だけど、……年の功や今までの経験から"モノの価値"が分かるからこそ、自分の感覚を信じているんだよ。コレは他人には推し測れない、…それは若い君達にも分かる筈、……どうかしら?」
「「『………』」」
飲み物に関する知識を話していた筈が、いつの間にか老婦による人生論的なものになっていて学生三人は何とも言えない表情となり、各々お茶を飲んだり茶菓子に出された水饅頭を食べたりしていた。……おっしゃられた事に差はあれど自然と同意出来てしまっている自分が居るのに気づき、あの言実に"育ての親"と言わしめただけの人物と納得したからだ。そんな三人を見ても余裕な老婦は、正面に居る忍田を見てこう切り出した
「さてさて、……あの子…言実ちゃんにお願いされた事をするには柚紀ちゃんだけを、少し借りる必要があるのだけど……忍田くん、その間二人に話しておく事、話題はあるかい?無ければ、話題提供必要かしら?」
「……可能ならご助力願えればとは思います。しかし先生…」
「フフフ、分かってますよ忍田くん。……初対面なあたしに大切な柚紀ちゃんを預けるのが不安…そう二人が考えると思ったのでしょ?大丈夫、……少なくとも"二人っきり"の空間には、しませんから。(……パンパン)…悪いけどアレを持ってきておくれ」
『アレって???……お婆ちゃん、誰に頼み事したの?言実さんは【お婆ちゃんは一人で暮らしている】って言ってた。…でも犬や猫は居るから、…………"まだ居るの"?別の子が』
「(クスッ)直ぐに分かるよ、…あの子はソッチの部屋(台所)に居るからね(…スッ)」
言実がわざわざ老婦に連絡した本題に移る為に、とりあえず保護者にあたる忍田に了承を求める。忍田本人は特に異議はない様子だが、両隣に座る直属の部下になる二人が許可しないと老婦も同じ事を考えており、"あるモノ"を"誰かに"持って来させようとする。詳細は不明だが今の現場から柚紀が憶測を告げると、老婦は答える事なくただ"誰かが来る方に掌を上にして差し出す"動作を見せた。……すると
‐ ………フワッ…ポフッ ‐
『!…温かい、ほうじ茶?それにこの味わい……お婆ちゃん、迅さんとも知り合いなんですか?あ、旧ボーダー時代からの付き合いだから当たり前かも知れませんが…(チラッ)忍田さんは"まだ此処に住んでいる"って知らなかったから……』
「迅くんかい?…あの子も優しい子だよ、この年寄りを気にしてくれてね~、時折顔を出しては一寸した世間話をして直ぐに帰ってしまうけど、ね。………そう言えば二週間位前だったか【お婆ちゃんに頼みがある】って珍しくお願いをされたのを覚えておるよ。…【訳ありの子にお茶の差し入れをしたいけど、自分は詳しくはないから分からない】と言っていたからアドバイスはしたが、選んだのはあの子。だけど【美味しく淹れる自信無いからお婆ちゃんが用意して欲しい】って頼まれたね~。で、(ナデナデ)……そのお茶の差し入れ先が柚紀ちゃんだった訳かい。そのバック、あの時迅くんにあたしが渡した奴だから……【女の子に上げるならビニール袋とかより、コッチの方が良い】とお節介を焼いてね」
「二週間位前で…飲み物、迅さん………!…あの屋上で柚紀ちゃんが飲んでたアレか!!」
「………確かに"大変だった"や"選ぶのは楽しかった"とは言ってましたし、……"鶴ヶ峰さんのお父さんのお陰"とも言ってたので【教えて貰った事を迅さんが思い出して自ら淹れた】とおれは考えたけど…鶴ヶ峰さん、お茶一つでそこまで分かるの?」
佐鳥と時枝はあの場に居合わせており、迅の言動や物的証拠があるから老婦の言うことが嘘では無いと理解できる。だが、柚紀は老婦の"発言前"に迅との関わりに気づいたのだ。そのきっかけは"話す直前に口にしたほうじ茶"…話の流れ的に【あの屋上で飲んだのと同じ代物】と時枝は判断したが、それ以上の事は分からない状況だ。更に一口飲んでから柚紀は判断したポイントを解説し始める
『コーヒーもお茶もだけど、"同じ味を毎回出す"のって難しいんだよね。豆や茶葉の保存状況やお湯の温度、淹れる環境や水の種類……例え同じ人が淹れたとしてもコレ等が違うだけで味も格段に変わるよ。…あの面倒屋な言実さんですら、この一ヶ月コーヒーだけは自分で淹れてたの【気分で自分が飲みたい味わいに微調整したい】って言って位だから。……さて佐鳥くん、お婆ちゃんが"同じ味を何度も出せるだけの腕前"なのを私が判断した理由、…分かる?』
「えっ?!い、いきなりこのパターンっ!!えっとえっと……同じ味を出し続けないといけない理由があって、その理由は佐鳥でも分かるって事でしょ?ん~、ん~~~……「おれ達は何処で車を降りた?」えっ?えっと~………あっ!!(ポン)そっかカフェ!お店か!?…お婆ちゃん先生に会いたいからって理由もありそうだけど、美味しいお茶目当てって人も居る訳か!!だって美味しいもん、このほうじ茶!!……こんなに味が変わるんだね~、ねぇ、何で何で???茶葉?お水?淹れ方??」
「フフフ、…それは秘密だよ。教えてしまったら商売上がったり、だからね。……別に稼ぎたいからあのお店を開いた訳じゃないけど、…無料では納得しないって人が多いのよ。年寄りは頑固だけど、……年の功や今までの経験から"モノの価値"が分かるからこそ、自分の感覚を信じているんだよ。コレは他人には推し測れない、…それは若い君達にも分かる筈、……どうかしら?」
「「『………』」」
飲み物に関する知識を話していた筈が、いつの間にか老婦による人生論的なものになっていて学生三人は何とも言えない表情となり、各々お茶を飲んだり茶菓子に出された水饅頭を食べたりしていた。……おっしゃられた事に差はあれど自然と同意出来てしまっている自分が居るのに気づき、あの言実に"育ての親"と言わしめただけの人物と納得したからだ。そんな三人を見ても余裕な老婦は、正面に居る忍田を見てこう切り出した
「さてさて、……あの子…言実ちゃんにお願いされた事をするには柚紀ちゃんだけを、少し借りる必要があるのだけど……忍田くん、その間二人に話しておく事、話題はあるかい?無ければ、話題提供必要かしら?」
「……可能ならご助力願えればとは思います。しかし先生…」
「フフフ、分かってますよ忍田くん。……初対面なあたしに大切な柚紀ちゃんを預けるのが不安…そう二人が考えると思ったのでしょ?大丈夫、……少なくとも"二人っきり"の空間には、しませんから。(……パンパン)…悪いけどアレを持ってきておくれ」
『アレって???……お婆ちゃん、誰に頼み事したの?言実さんは【お婆ちゃんは一人で暮らしている】って言ってた。…でも犬や猫は居るから、…………"まだ居るの"?別の子が』
「(クスッ)直ぐに分かるよ、…あの子はソッチの部屋(台所)に居るからね(…スッ)」
言実がわざわざ老婦に連絡した本題に移る為に、とりあえず保護者にあたる忍田に了承を求める。忍田本人は特に異議はない様子だが、両隣に座る直属の部下になる二人が許可しないと老婦も同じ事を考えており、"あるモノ"を"誰かに"持って来させようとする。詳細は不明だが今の現場から柚紀が憶測を告げると、老婦は答える事なくただ"誰かが来る方に掌を上にして差し出す"動作を見せた。……すると
‐ ………フワッ…ポフッ ‐