晩冬の道標〜光が導くままに〜
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さて、言実との別行動を余儀なくされた柚紀だが特に不安そうな素振りは一切見せなかったが、これで瑠花が居なければかなりヤバかっただろう。一応冬島も当真も見知っているが、やはり自分が知っている二人とは別人なのだ。………それ故の先入観や何時もの癖が出ないとも限らない中、唯一アチラには居ない瑠花の存在が"此処は自分が居る世界とは別"と常に意識出来るのだ。ただ、未来はどうなるかは不明である。何故なら
『(モグモグ、ゴックン!)それにしても、コッチじゃ私と瑠花ちゃんが邂逅して"既に一年以上経過している"とわね〜。時間の流れって残酷な程早いよね〜吃驚だよ〜(パクッ、モグモグモグ…ゴックン!)あ、因みに私は瑠花ちゃんに"ちゃんと会った"後、また体調を崩して不審に思った言実さんに検査をして貰ったらかなり面倒な体質ってのが判明して結局あのまま三門市に住む事になりました。(パクリ、…モグモグ、ゴックン)……ん〜、このアップルパイ絶品!!甘さとかパイ生地のサクサク感とか私好みかも〜』
「おっ!?そのパイの良さが分かるとか、おっちゃん嬉しいぜ!!?……嬢ちゃん、…柚紀ちゃんは何処か瑠花ちゃんに雰囲気が似ているせいか、俺でもあんまり抵抗がないんだよな〜。…………本当に血縁関係ないんだよな?」
『な、無い、…筈です。少なくとも親戚に鶴ヶ峰って珍しい苗字の方はいらっしゃらない、筈ですから』
「…………似てますか?この二人って。さっきの現場で分かった例を上げれば、方やグラスホッパーを自由自在に使いこなせるけど、方やトリオン体性能を用いても機動力がかなり無いし、……僕からすれば共通点を探す方が大変な気がするけどね(ズズズッ)」
丁度冬島への差し入れで持参していたアップルパイを美味しそうに食べている柚紀を、チラ見しつつ遠慮なく言実お手製トリガーホルダーを分解していく冬島はかなり嬉しそうにしていた。そんな冬島の言い分を真っ向から否定する菊地原(トリオン体のまま)に「あるだろ?サイドエフェクト持ちって言う共通点がさ」と出水(生身)が指摘する
「ま、かなり特殊な体質だけどな〜。【常に全力を出してしまうせいでガス欠や身体の負担が生身にも現れる】とか、かなり使い勝手の悪い能力じゃないか?」
『で、でもかなり制御が生身でも出来るようにはなったから平気です!!トリオン体はそれ用に独自カスタマイズ施されたとは言え、慣れるのは大変だったな〜。………因みに【中学卒業後は生身でも日常生活を送りたくて進学もせず、集中的に特訓しました】ので、在学はしてませんが一応……瑠花ちゃん達と同じ年齢になるの、かな?あ!?違うか!!最近だけど、ボーダーと提携している市立高校に通い始めたんだった!だからちゃんと高校一年で一緒だよ!……まだ慣れないな〜、学校行けるのは嬉しいけどボーダーの恩恵ありきだからね』
「市立って事は俺と同じか!?ま、それはさておき……トリオン体もだが、生身のアンタを改めて見ても瑠花とタメには見えねぇぞ俺は。……人によってはそれこそ大学生だって言っても疑われないレベルだ。…………何で此処まで差があるんだ?(ジーーー)」
『うっ、あ、あんまりジロジロ見ないで欲しいです。その……この容姿のせいで色々苦労してて、………人と、特に男性と関わるの、ちょっと、苦手何です』
向こうでも初対面の相手に今の当真みたいな視線を受ける事はあったが、やはりイヤなものは嫌なのできっちり発言をする。そして気分が低下し、食べていた手も止まり明らかに顔色も呼吸や心拍数にも変化があるのに気付いた瑠花と菊地原が割り込み『し、師匠でも柚紀、ちゃんをい、虐めたら私、お、怒りますから!』「……あの保護者を敵に回さない方が良いですよ?オトからしてもかなりの肝の座った、実力者ですから」の発言を聞いて早々にお手上げ・降参の意を示す。それが面白くて声を殺しながら笑う出水がふと、気になる事を柚紀に訊ねる
「なぁなぁ鶴ヶ峰ちゃん、君のトリオン量ってぶっちゃけとの位なの?太刀川さんの弧月をシールドで防いでたけど、サイドエフェクトを使えば平均的な量でも出来そうかな〜って思ったり、…思わなかったり。あ!どうせだし今ここで測ってみる??冬島さ〜ん、測定器ありますか〜???」
『あ、その…………多分、此処じゃ"正確な数値"は分からない、と思います。……私は出水先輩や当真先輩達を知ってはいますが、あくまでもそれは"私が住む世界の"であって、貴方達ではない。……環境が違えばこう、緊張した力んでしまって数値に差が生じてしまうので。ただ、………定期的に測っているのですがコチラの感覚と同じなら最新で【私のトリオン量は一部隊の総トリオン量を一人で賄える位】…ですね。多分太刀川隊相手でもそれは変わりません』
「………単純計算しても俺の約倍な訳ね。因みにあの脅しで作ったトリオン弾……"大きすぎないか?"」
『あれは【メインとサブの弾総数を合わせたモノ】です。だから【二つの弾の性質を掛け合わせる合成弾】とはまた違う解釈となります。………本来は出来ないみたいなんですが、予備知識が無い状態でフルアタックしようとしたら、…何故かあの形に』
「あ〜…………うん、何となく分かるわ俺。ぶっちゃけ合成弾も【こんな事出来たらいいなー】的な思い付きを実行したら出来たって感じでさ…多分あの巨大なトリオン弾も同じ分類で、更にサイドエフェクトが合わさってみたいな………"無知故の産物"な感じか。それなら納得だわ」
出水独自の感覚であの現象が解明し納得すれば、茶菓子を完食して作戦室を後にする。それを見送り気を取り直して残りを食べようとする柚紀だったが、……………やはりこの方は騙せなかった様子だ
「で、実際の所アレってどんな仕組みなのさ?出水先輩に話したのって"全部が本当じゃない"でしょ?……………君の世界に僕が居るなら、嘘は通じないっての、知っているよね?」
『…………………アハハハ〜。やっぱり君は騙されてくれなかったか〜。……うん、何個か嘘があるよ?でもそれを説明するの、コレを食べてからでも良いかな?ちゃんと本当の事、話すからさ』