夏の終わり~きっとまた~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
事情を聞いた太刀川隊と防衛任務を変わって貰った嵐山達は一度隊室に戻り、生身の荷物とついでに柚紀へ返す物を持って三人は足早に部屋を後にした。綾辻は本部の連絡を中継する役割と、言実から知らされた"最短で人が居なさそうなルート"をナビゲートする為に残ることになっている
さて、此処で問題なのは"有名人である嵐山達が一般人に如何に見つからない様にするか"だった。……言実は冷静を装っていたが、綾辻や本部作戦室のオペレーターに繋げずに用事のある者達に直接通信を入れた時点で、実はかなり焦っていると解釈し、生身でなくトリオン体のまま行動をしている。……つまり目立つのだ"色んな意味で"。万が一でも、あの広場の様にファンに絡まれるのは宜しくないのだ。そんな中、佐鳥がある事を思い付いたらしく進言すれば全員が納得したので言実の協力の元、試しにそれを実行に移す事に。一体それは何かと言うと
‐ ‐ ‐
‐ ‐
‐
〔…間もなく人通りや車の交通量が増えますので、歩道の移動に切り換えて下さい。屋根伝いはまだ明るいので、見つからない様に移動するのはそれ以上は難しいかと〕
「(スタン!)了解だ綾辻、此処からは人の多さによって速度を調節する。…本部から追加情報が入ったら連絡してくれ」
〔了解しました。皆さん、……柚紀ちゃんをどうかお願いします〕
「(スタン!)大丈夫ですよ綾辻先輩!!佐鳥達がきっちり柚紀ちゃんを無事に見つけ出しますから!!?大船に乗った気持ちで吉報を待っていて下さい!!」
「(スタン!)……とは言っても非常事態な事には変わりないだろ?…(チラッ)送ったメッセージに既読は付いていないし、言実さんが携帯のGPS機能で居場所を調べててみたらトリオン反応があったのと同じ公園、そこに居るとしても鶴ヶ峰さんが返事を返さないのは…不自然過ぎる。って話していても仕方ないので、…行ってみましょう」
屋根から通路に着地した三人は、周囲を見て誰かに見られていないかを確認してから歩道を歩き出す。……すれ違う何人かの人は三人を見返すが、誰も声を掛ける者は居なかった。それを見て佐鳥は自分の案が上手くいっていると感じ取る
「にしても、"ジャケット着ていないだけ"でここまで変わるもん何だね~。……ほら、今だって女子とすれ違いましたが声掛けられませんでしたし」
「まぁ、笹森もおれ達と言ったら"赤い隊服"って上げたからね。それに中のインナーも黒で下も黒だからわざわざ言実さんにお願いをして"トリオン体のインナーを夏らしく"して貰ったし、……一般人に溶け込めている感じかな?」
「トリオン体だと暑さも寒さも感じないが、生身じゃ違う。…そう言えば季節でトリオン体の服を変更する奴もいるらしいが……夏位は俺達も衣装替え見当してみるか?そうすればもう少し地域に色んな意味で溶け込みやすくなるかもな!」
トレードマークである赤いジャケットを腰に巻き、インナーを各自好きなのに変更したのであった。因みに嵐山は白で半袖のシャツで、時枝は灰色のTシャツに背中の方に猫のデサイン入り、佐鳥タンクトップで濃淡緑三色を使った迷彩柄である。勿論他は変えていないので顔を見れば嵐山隊と気づくが、気持ち早足で歩いているので「急いでいるのか?」と察してくれているらしく誰も声を掛けようとはしていなかった
〔皆さん、本部作戦室からです!同じ公園から柚紀ちゃんのトリオン反応を感知したと。ただ、反応が"先程より大きくなっている"との事です!〕
「了解した綾辻、直ぐに現場に急行す
~ 君………な………わり………ぅら………め… ~
「っ!?これは、……柚紀ちゃん!!(ダッ!)」
あっ!?おいっ賢!!?いきなり走り出すなっ!?(ダッ!)」
着実に目的地に近づいていく三人に、綾辻から連絡が入る。トリオン反応と"あるモノが聴こえてきた"事に嫌な予感を感じた佐鳥は、一人走り出す。それに遅れて嵐山と時枝も走り出したのである。時枝と並走しながら先行く佐鳥について嵐山は訊ねてみる
「……なぁ充。何で賢はいきなり走り出したと思う?普段の言動からでなら俺でも分かりそうだが、今回は"柚紀ちゃん関連"だ。…多分、お前の方がその理由に心当たりがあるんじゃないか?」
「…………あくまでも、おれの予測の話ですが、……彼女のトリオン反応を感知したと言うことは高確率で"歌姫を発動させている"のを意味します。………彼女が歌姫を外で使用したのはおれの知る限りでは…"四回"の、筈です。その内、センサーが感知したのは"最初の2回"と聞いています。そして歌姫発動時は今まで必ず"側にボーダー隊員が居た"。……だけど、お二人が住むマンション周囲には【ボーダーの人間が住んでいない】と思います。…だから不安なんだと思います。万が一"イレギュラーゲートが発生"…等の予想外な事態に見舞われたら、と」
「……成る程。歌姫ではないが彼女のサイドエフェクトによってゲート量が増大した件がある以上、…今までは……と片付けるべきじゃないな(…迅から何も連絡が着ていないのは気になるが)…とりあえず急ぐぞ、賢がもう見えない位先に行っている」
「………ですね(……やっぱり今回"も"なのか?…イマイチ法則性が確定しないが、…恐らく佐鳥がアレだけ焦っている理由は……)」
先行く佐鳥や、目的地に居るであろう柚紀の安否を気にしながら走る二人は各々危惧する事を考えていた。嵐山は【迅が動いていない件】についてで、時枝は
~ 声を………く……、「いっ………か……ぅ」 ~
……そう、聴こえているのだ。探し人の声が、…歌声が。佐鳥が走り出す直後から時枝にも聴こえていたが、また"途切れ途切れに聴こえてきた"事に戸惑い行動が遅くなったのだった。…数日前の雛の鳴き声はちゃんと聴こえたのに、と。因みにだが柚紀が屋外で歌った事を知っている回数は、正確数えると"五回"なのだが………時枝は屋上の件は話すつもりは無いのだ。あれだけが"迅が居合わせていない"し、……本人とも約束したからである