12.境界線の曲~少女達との決定的な違い~(77.
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お昼時も過ぎ、例の休憩スペース前も人の往来が無くなり静けさが漂って居る中、二人は動けずにそのままの状態でいた。理由は
「『(は、離れるタ、タイミングが……分からないっ!)』」
……コレであった。よくよく思い返せば時枝は"柚紀と二人っきり"になった事が無いのだ。何時も必ず誰かが一緒(大体が佐鳥)に少女と接するので、適度な距離を保っていており更には……今の体勢は所謂"咄嗟の判断"元より"勢いが余った行動"であり、この後どうするかを考えていなかったのだった
一方柚紀は、離れようとすれば離れられるのは分かっていた。一見すればガッチリホールドされている様にも窺えるが、実際は軽く手を添えている程度なのだ。だが、泣く一歩手前程精神的に危うかったせいもあって……今のように人肌を感じれるとやはり落ち着くと言うか心地良いらしく、…中々離れられないのが現状だ。だが二人とも"このままでは良くない"のは分かっているが、…と言う感じで困っている所に
‐ 喫煙室が隣接している休憩スペースならこっちだな。ったくあの姫様の暴走もつる姐並みに厄介だなこりゃ ‐
‐ まぁまぁ、今回は色々噛み合わなかったせいな訳ですから。次は大丈夫ですよきっと ‐
『!……諏訪さんと、堤さんの声が聞こえる。…時枝くんも、聞こえるよね?』
「……………確かに聴こえるけど、…鶴ヶ峰さんは凄い勢いで近づく足音に気づいてないの?」
『??足音?(コテン)』
先ず柚紀が遠方から聴こえてきた諏訪と堤の声を時枝に告げる。それを聞いて耳を澄ましてみると、確かに"微かに"聞こえるがそれ以上な"騒音と共に近づく人物の声"に気づいた時枝は、些か嫌そうな表情をしながら指摘する。言われて諏訪達が来るであろう方角とは別の方に柚紀も意識を集中させてみると
‐ ドドドドド、
ドドドドド、
ドドドドド ‐
‐ 走れ弾バカ!!万が一にも柚紀ちゃんが泣いてたら、姐さんに俺達マジで殺されるぞ?!! ‐
‐ うんなの分かっているって~のっ!!?だけどな、俺はお前みたいに生身も早く走れねぇんだよこの槍体力バカが!!?こうなりゃ…トリガーオン!! ‐
‐ あっ!!?換装とかズリィーから!!って、おわっ!!? ‐
‐ すみません米屋先輩っ!?でも佐鳥は急いで居るんで見逃してくださいっ!!! ‐
『………米屋先輩と、……出水、先輩?後、佐鳥くんの声?それに何だか焦っているみたいだけど、どうしたんだろう?』
「(……流石にこの状況で見つかったらマズイか)(…スッ、スクッ)…多分嵐山さんが佐鳥に連絡したんじゃないかな?君が見つからないから探すのを手を借りる為とか、…おれでも見つからなければそうするからね。とりあえずそこに居たら怪しまれそうだし、(スッ)立てる?」
『ぅっ!……ごめんね、明日から忙しくなるのに面倒事に巻き込んじゃってさ。(ギュッ)……あ、あれ?アレ??…た、立てない。な、なんでぇ~(ジワッ)』
状況を把握すると時枝は柚紀を腕の中から解放すれば先に立ち上がり手を差し出す、探しに来てくれた彼に罪悪感を感じる柚紀も立ち上がろうとしたが、足に力が入らず立ち上がれずその理由も分からず涙目になってしまう。そんな柚紀を見てどうしてこうなってしまったかを考え、ある可能性に行き当たる
「(そう言えば菊地原が出水先輩にナニか文句を言っていたけど、……もしかして先輩が彼女に気づかなかった事を会話から知って?で、彼女も先輩の名前だけ言うのに少しだけ、…戸惑いがあったね。………とりあえず、先に辿り着くのは佐鳥だろうし)……ちょっとごめんね?(パッ…、スッスッ…ヒョイッ)」
『ふえっ?!!(ブラ~ン)ぁ、あの、と、時枝くん。その……………ぉ、重くない…ですか?(トリオン体は筋肉とかもあるから持ち上げるの位平気そう、だけど……朝方かなり食べちゃったし大丈夫かな?)』
「???…全然平気だよ?寧ろ軽すぎて不安になる位。…でも"前より"は、……うん健康的になったんじゃないかな?あの時はそこまで食べたくても食べれなかったからね。それと、……確かにトリオン体で強化されているけど、おれも男だからね?その気になれば生身でも(フワッ)君を持ち上げるのは難しいかも知れないけど、簡単な手助けや支える事位は出来るかな?」
『っ!!?』
繋いだ手を一度離せば、両手を脇下に差し入れて柚紀の身体を軽々しく持ち上げる時枝。流石にこの体勢が恥ずかしいやら不安定やら……女子らしい心配事を口にしながらうっすら顔を赤くさせる。顔色が変わった理由が分からないが一先ず問題がない事を、更に"ちょっとだけ本音"を微笑み付きで口に出されて柚紀は更に顔を赤くする。……そんな少女の変化にやっと気づいた時枝が"そのままの体勢"で訊ねようとしたが
‐ タタタタタタタタ ‐
「あっ!!?とっきーと柚紀ちゃんみっけ!?…………えっとさ、…その体勢の理由聞いても大丈夫?」
「………………おれも彼女の居そうな場所を聞いて探してたんだけど、…見つからなくて。此処も一番最初に来たけど姿が無かった。……で、とりあえずこの階の休憩スペースを一通り見て戻ってきたら……このソファーの影に隠れて、泣いているのに気づいて、……救助した所、かな?」
「ソファーの影にって、まるで"かくれんぼ"みたいだね!!(テクテク、ピタッ…ジー)あ!本当だ泣いた跡があるし、目も赤いかも!……とりあえず座らせたらどう?こう、何て言うか子ども扱い?動物扱い??は良くないよ?彼女だって恥ずかしがっているみたいだし」
予想通り佐鳥が一番に到着して直ぐに気になることを指摘したのであった。そのお陰で思考回路も通常に戻った時枝は【まるで自分も今見つけた風】な嘘をついた。……でないと、見つけてから連絡をしなかった理由を聞かれると思ったのだ。そして自分もだが柚紀も正直には答えれない、それは確定している事だからである