90.初雪の曲(155.
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迅に掛けた暗示が思った以上に無茶をしたらしく、柚紀は数日更に本部基地での生活を余儀なくされた。(因みに言実との約束の料理は食堂の厨房を借りて作製したので問題なし)元はあの日にお婆ちゃん先生の家に戻るつもりだったが、二宮・城戸達との会談でも平常心を保つ為に髪色を変えない程度に自己暗示を掛けていたせいもありトリオンの消費がかなりされていたのだ。が、それも落ち着きお婆ちゃん先生の家からも退院し、マンション暮らしに戻りあと数日でクリスマスとなったある日の放課後
「(ムスーー)もぅ!やっと日常生活に戻ったって思ったのに、もう少しで冬休みになるし、柚紀は相変わらず学校休み勝ちだし、………色々素直に喜べないんです」
「柚紀ちゃんに関してはやはり二つ目のサイドエフェクトが原因だろうと言実さんも言っていたし、連絡も会うのも容易だから以前よりはマシだと俺は思うぞ?それと冬休みは何時もの賢なら逆に喜んでいただろ?………何が気に入らないんだ??」
「だってですよ嵐山さん、……年が明ければ中学を卒業しちゃうじゃないですか!別に高校行くのは佐鳥だって嫌じゃないですし、柚紀だって……最悪ボーダー推薦で入れるから平気だろうけど…………絶対に先輩方がちょっかい出しに来ますよ!?基地でさえそうじゃないですか!!?接する時間が減るのは佐鳥は嫌なんですよ〜〜!!!!」
「(ハァ〜)………仕方ないだろ?今では柚紀さんはボーダー隊員から絶大な人気を有している存在となってしまった。それも階級やポジション・年齢関係なくほぼ全ての人に該当する。…………本人も嫌がっていないし、皆さんそれとなく距離感や接し方を気にされていますから大きな問題も起きてないけど……(ハァ〜)…………かなり、複雑な気持ちだな。おれも」
「(クスッ)佐鳥くんだけじゃなくて時枝くんもそんな事を言える様になったのは大きな進歩ね。それに、……丁度愛しの彼女に会うきっかけが出来たんだし我慢せずに会いに行けて良かったわね」
「先輩お二人が誰かを好きになるのは構いませんが、任務や広報に悪影響及ぼさないで下さいよ?後、ボーダー関係者や基地では構いませんが学校や……それこそ広報の仕事中の言動には気を配るのを忘れないで下さい。万が一にも一般人にバレたら…………多分矛先はアチラに向きますよ?」
広報の仕事が終わった嵐山隊メンバーが何処かに向かって話しながら一緒に歩いていた。……佐鳥は兎も角、時枝も柚紀に対する感情を仲間内では隠すつもりもなく、三人も受け入れているが"時と場合をきっちり把握しろ"と木虎が指摘する。実際に感づかれそうな言動が度々あってそれをフォローしたりもしているのだ。これに対しては二人とも自覚があるらしく苦笑いを浮かべていた
「さて、そのお目当ての子を探さないといけない訳だが迅に【俺は迷子探知機じゃないから今後は自力でどうにかしろ】って言われている。(……チラッ)メッセージを送ったが返事がない以上、一番居そうな場所を目指してはいるが、…………多分不在だろうな。だが特に検査や誰かに会うって二人は聞いてないんだろ?」
「ですね。因みに今日は本部におつるちゃんと一緒に来て……
〜 子供の頃の夢は 色褪せない落書きで 〜
(ピタッ……- ピタッ -)………これは…」
「賢?いきなり立ち止まってどうしたんだ?…充もどうして二人して"上を見上げている"?」
〜 思うまま書き滑らせと 描く未来へとつながる 〜
「…………すみません嵐山さん、どうやら今回は"おれ達にしか聞こえていないみたい"なので二人で柚紀の所に行ってきます。あ、(…ヒョイ)丁度使いそうなのでコレも持っていきますね。……行こうか佐鳥」
「だな!!では後で柚紀を連れて帰りますね〜」
と、二人していきなり別行動を取るのだった。何故そうなるか理解出来ない木虎に綾辻が解説する
「多分だけど【柚紀ちゃんが何処かで歌ってて、それが二人には聞こえた。だから会いに行った】んだと思うよ」
「えっ?!!………私には聞こえてないし、嵐山先輩達も、ですよね?あの時はちゃんと聞こえたし私もトリオン体です。なのに、…何で……」
「先ず、テロ騒動の時は黒トリガー初始動だし歌姫も久し振りで不安だった柚紀ちゃんが【あの二人含めて俺達が側に居てくれたら嬉しい】と思って歌ったから俺や木虎にも聞こえた。これは迅が言っていただろ?因みに、今日は歌姫使用予定はないし、亜種が出たとかでも恐らくはない。その場合は【効果対象者を限定する為にトリオン体を使用した上で】だろうし、実力に不安があるメンバーなら高確率で野々村ちゃんに要請が行く。…ま、その場合でもあの二人になら聞こえるのかも知れないがな」
「嵐山先輩の言いたい事は分かりますが、………どうしてあの二人には無条件で柚紀先輩の歌が聞こえるのですか?後、焦った感じでもないですから歌っているとしたらプライベートで、…多分生身で、ですよね?それでも聞こえるとか現実的ではないですよ?」
柚紀のサイドエフェクトは確かに不可能を可能にするが、あくまでもトリオン体時や戦闘時であり今みたいな平凡な日常でプライベート時ならそうはならないと思っている木虎。……あのシルバーブレットの加工品があればただ歌っているだけの状況が作れるのは実証済みであり、途中で屋上に来た三上も基地内に居たが柚紀の歌声は聞こえなかったと知っている。ならば何が理由なのか?その答えを綾辻が再度解説する
「ほら、柚紀ちゃんは"歌を歌うのが好き"でしょ?で、あの二人は"柚紀ちゃんが好き"。……少しニュアンスは違うかも知れないけど【好きと言う共通の感情を抱いているからサイドエフェクトが作用する条件を満たしている】んだと私は思うよ?勿論、私も柚紀ちゃんの事は好きだけど……一番とか特別な存在か?って言われたらちょっと違うかな?でも、柚紀ちゃんにとっては歌は特別であり、あの二人にとっては柚紀ちゃんと言う存在が一番大切で特別な子。その想いの強さがあの三人を繋げるモノだと、私は思うよ?(そして恐らく、……柚紀ちゃんが"一番"を見つければ、その人にはどこに居ても歌が聴こえるようになる)」
- 歌はあの子の気持ちを現すもの、言ってしまえばあの子自身の心そのものを表面化したものだから -