ボーダー初日、会議室を出た際に自分のサイドエフェクトについて柚紀に語った場所に少女はソファーに体育座りをして蹲っていた。そして『どうしよ、どうしよ。城戸さん相手にあんな事を言っちゃったよ。大丈夫かな？怒られないかな？ボーダーに、ちゃんと入れるかな？』とブツブツ不安を漏らしており、うっすらと髪色が変化する程……先程とは打って変わってかなり余裕がない。そんな柚紀に近付き頭を撫でながら「大丈夫だよ、もし城戸さんが君が望まない事を強要しようとしてもボスや忍田さん、それこそ言実さんが黙ってないから」と元気付ける。……その言動に顔を上げ、迅の自信に満ちた表情を見て安堵した柚紀がうっすらと笑みを浮かべて気持ちが浮上したそんな時

-　♪〜♫♬♪〜〜♫　-
『ふへっ？！！わ、私の歌声っ？！えっと……私、携帯持ってきてないから…………迅さんの携帯から？』
「だね。それにこの曲設定してる相手は……(ゴソゴソ……pi!)…もしもし、どうかしたか？嵐や…❲迅っ！！柚紀ちゃんが今何処に居るか分かるかっ？携帯に電話やメッセージを送っても返事も既読も付かないんだ！マンションに帰宅するとも賢達は聞いてないって言うし、恐らく基地内に居るのは分かるんだがラボにも居なくて居場所の検討が付かないんだ！！！❳(キイィーン！！)っ！！……落ち着けよ嵐山。…彼女なら丁度俺の隣に居るよ？さっき城戸さんから呼び出しを喰らって今後の事について話し合いをしてたんだ。……そう言う大切な話の場に携帯を持ち込むのはマナー的に良くないだろ？だから彼女は今は手ぶらな訳。…納得したか？」

嵐山からの電話であった。それも柚紀にも会話内容が聞こえる程の音量で焦った声音で、嵐山らしくなく柚紀は驚きを隠せない。そんな彼女の頭を空いている手で撫でながら柚紀を探していた理由を訊ね、内容を把握した上で通話を終了さた迅は説明をする

「(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)何か君の意見を嵐山隊皆が聞きたいらしいんだけど、この後って何か用事ある？」
『用事……いえ、特にないです。強いて言えば…(グ～)………お昼ご飯が食べたいな〜位です』
「あ、確かにもうそんな時間だね。流石に嵐山達もお菓子はあってもちゃんとした料理は………！……いや、それも心配ないかな？とりあえず移動しよっか。あんまりノンビリしてたらまた嵐山から電話が掛かってきそうだし(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)」
『？？？』

よく分からないが柚紀の望みも叶うらしいので大人しくついていく事に。……この際に迅と柚紀が手を繋いでいるのは、もうお約束なので割愛
そんなこんなで作戦室があるエリアに到着すると、何やら大量の荷物を持ったフブキに遭遇する

「おっ？！迅さんにユズじゃねぇ〜か！！？………もしかしなくても今から嵐山隊の部屋に行く感じか？」
「まぁね。にしても………(ヒョイッ)うん、視えてはいたけど凄い荷物だね〜。流石の嵐山人気って感じかな？はい、柚紀ちゃんも手伝って上げて」
『はーい！うんしょっと！(ポカポカ)……ねぇフブキ、この炊飯器って食堂から借りてきた奴？こう…炊きたてな感じが機械越しにも分かるよ？だったらさー……いつの日かみたいに運搬用のカート借りれば良かったんじゃない？流石に生身でこの大荷物はフブキでも辛かったでしょ？』

クーラーボックス二つに一般家庭用の炊飯器一つを抱えたフブキを見て、自然な流れで各自荷物を持ってあげる二人。それに対する礼と柚紀の指摘に苦笑いを浮かべながら荷物の詳細を話し始める

「俺にはさ【世話焼きお節介で漁師兼海産物を扱うお店を経営してる親戚】が居るんだが、三門市がネイバーによる被害が出たのがニュースで流れたらしくてさ"食い物に困ってないか"って心配して海産物を色々送って来た訳。それと並行して道場の近所に住むマダム達が嵐山さんのファンで、……風の噂で"過労で嵐山さんがダウンした"ってのを聞きつけて"栄養満点の料理を食べさせて上げて"って感じに押し付けられた。道場に避難してた教え子達も今じゃ自宅に戻ってる状況で、消費出来るか不安でとりあえず木虎に嵐山さん達が基地に居るのを確認して……って感じだ。ってか二人は何で一緒に居たんだ？」
『あ、フブキは暫くの間道場で寝食してたもんね〜。……うん、親戚の話は初耳だったけど色々納得かな？前に"お魚捌くのが上手くて助かってる"ってシロのお母さんが言ってたもん。にしても老若男女問わず人気者とか、流石は嵐山さんだね！！！…えっと、……上層部の人達から呼ばれて対処したその帰りだよ？あっ！？だ、大丈夫！ちゃんと言実さんや忍田さんも同席したし、嫌な条件を突き付けられたりしてないから！！ねっ？迅さんっ！！？』

和やかに話を進めていたが"上層部"のワードを聞いた瞬間、明らかに不機嫌になるフブキを見て慌てて"自分は大丈夫"と強くアピールする柚紀が……何だか面白くて笑いを溢す迅。(その後、ちゃんとフォローをしてフブキの気を鎮めるのに貢献)
そして嵐山隊の作戦室が見える所に差し掛かると…………何故か佐鳥が廊下側で待ち構えており見つけるや否や「あっ、キタキタ！って三人一緒だったの？？！」とオーバーリアクションを取る。それを聞きつけてか綾辻以外のメンバーも部屋から出て来て廊下で話し込みそうになったが、「皆サーン、お話をするなら中でお願いします」と綾辻に言われて全員室内へと移動となった