88.会談の曲(153.
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それからまた数日が経過し、犬飼と約束(?)した日曜日の午前。二宮と共に言実のラボに訪ねに来たのを柚紀が応対、室内に招き入れる。だがそこには部屋主の言実の姿は無く代わりに
「………(ハァ〜)東さんは分かりますが、何故お前まで居る……加古」
「アラ知らないの?柚紀ちゃんが男性が苦手なのを。……例え東さんとは言えど、男ばかりの空間に長時間居ればか弱い柚紀ちゃん一人はかなり辛くなるみたいよ?この場合"同性・若しくは同級生"が居れば平気らしいけど、今回彼女が話したい内容や相手を考慮して私が呼ばれた訳。文句なら東さんに言ってくれない?」
「そう言う訳だから二宮も我慢してくれ。あくまでも俺達は同席するだけであって、会話に口出しする気はない。だが……鶴ヶ峰が危うくなったと感じれば介入する、そこは了承してくれ。そうでなければ俺も普通に言実さんの雷を食らう事になる、………流石にそれは御免だ」
と、言った感じに東と加古が既にスタンバイしていたのだ。因みに柚紀は客人である二人の為に飲み物の準備をしていて会話に不参加であった。そして用意が出来れば四人の元に合流し『炭酸を、私は飲まないのでとりあえず"生姜入りの紅茶"にしました。お好みでミルクやお砂糖を入れて下さい』と、どうやら二宮が好きなもののリサーチをしていた風な事を口にして柚紀が椅子に座ったのを確認後、カップの中身を一瞥した二宮が口を付けずに本題を切り出す
「それで、俺に何の用だ?わざわざ言実さんが居ない時を見計らいそれも東さんにご足労を頂く程、重要な事なのか?」
『えっと………まぁ、私にとっては大切な事なのは認めます。で、……敢えて言実さんが居ない時にお呼びしたのは"蒸し返さない為"です。あの人"とある思い違いをしていて"、今から話す話題になると明らかに不機嫌になるので』
「あの姐さんが思い違いって珍しいね〜。(…ゴクゴク、カチャン)……でも、それがどう二宮さんに先生役をお願いする話に繋がるの?」
『えっとね、その……お礼が言いたいってのは本心だけどある意味建前的なもので、本命は…(ゴソゴソ……トン)……これに書かれている内容を解読したいんです。これはお父さんが残した"研究資料の一端で、主に私のサイドエフェクト含めた体質や体調管理に関する注意事項なんかが書いてあります"。ですが、それを記録するのに使われたのは"ドイツ語"で言実さんも一応読めるのですが、どうやら近界独自の言語だってお父さんに嘘を言われて……拗ねてしまったから教わるのは無理そうなんです。それで、……大学なら色んな語学を習えると聞いて、一年生ならまだ講義選択の余地があると東さんに言われて、だから……その…』
柚紀になりに頑張って説明する内容を無言でただ聞いている二宮に、東が補足説明。医学系のカルテにはほぼ日本語での記載はせず、外国の言葉表記を使用している。そして今では英語表記なのだが、静樹氏は昔ながらのドイツ語を使用していた。……言実もIT関連の専門書を読むので英語は完璧だが、ドイツ語はそこまで詳しくなく一部解読不可能だったのだが、知らなくても今まで問題なかったので重要視していなかったのだ。因みに柚紀宛のメッセージを解読したのは、彼の師であり二人も何かとお世話になっているあのお婆ちゃん先生である
一先ず話を聞いた上で二宮は考える素振りを見せる。自分の事を知りたがるのは理解出来る。だが……と考えていたら加古がこんな質問をする
「つまりは柚紀ちゃんはドイツ語を教えてくれる人を探してる訳よね?……お姉さんじゃ駄目なの?」
『えっと……加古さんって多分"感覚系"な方な気がして、勉強を教わるには"合わない"かなと。わ、私、勉強に関しては基礎からきっちり積み重ねて覚えないと中々身につかないのと、…………たまーに"何でこうなるの?"と変な思考の坩堝に嵌まる事があるので【それを理由込みでちゃんと説明出来る先生】が欲しくて、…………すみません(シュン)』
「俺は何回か鶴ヶ峰に勉強を教えているが、間違えた解釈をしているのが以前あってあれを覚え直すのは大変だった。……そう言う意味では【鶴ヶ峰と同じ目線やペースで一緒に学び、時には教え合える者】が必要なのも頷ける。別に二宮がドイツ語の講義をわざわざ取る必要はない、先生役は俺が引き受ける。だが、スナイパー指導や研究室関連の事もあって頻繁には無理だから、その際に予習復習出来る人に二宮が良いと思ってな。勿論強制はしないし、二宮に取っても悪い話じゃないと思うが?」
「………具体的に、俺に何のメリットがあるんですか?コイツ…………鶴ヶ峰と一緒に勉強する事に」
そう、先生役なら同席している加古や東でも可能で寧ろそちらが色んな意味で適任ではと二宮すら思ったのだ。しかし、加古は柚紀の勉強に対するやり方的な理由で、東に関してはやはり信頼されているだけあってかなり多忙で"講座に間隔が生じてしまう点や自分一人の為に東の手を煩わせるのは"と柚紀が罪悪感を抱かせないようにする工夫なのだ。……どこまで二宮が理解しているかは不明だが、自分に不必要な事をわざわざ習う必要性を問う。その際に苗字ながらも初めて名前を呼ばれた事に嬉しそうにしている柚紀。それを見て犬飼が口を開く
「メリットはかなりあると、俺は思いますよ?まず年下の姪っ子ちゃんに関わる明白な理由が生まれます。コレないと多分二宮さんでも今後は容易に近づけなくなりますよ?……数少ないS級…黒トリガー適合者でそのチカラも絶大です。あの逃亡者の二人組が彼女を今後も狙ってくる可能性が高いから、護衛的なのをつる姐なら付けそうですし………この候補達には二宮さんと姪っ子ちゃんの仲は良くないってのも知れ渡ってますよ?ま、これを抜きにしても……やっぱり姪っ子ちゃんとは仲良くした方が二宮さんの為ですよ?主につる姐さん関係で」
「…………………………鶴ヶ峰の話をしているのに、何故あの人が出てくる?」
『???だって二宮さんって、……好きですよね?言実さんの事が。だからいきなり現れた姪である私に嫉妬して風当たりが強くなってしまった。………違いま、せんよね?(ニコッ)見た目は変わりませんが(トントン)此処のオトは騙せませんよ?』